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表題作名前も知らず恋に落ちた話

渋谷昌宗・建築現場監理技術者・34歳
宮脇克実・建築設計事務所チーフアシスタント・31歳

その他の収録作品

  • あとがき

あらすじ

週末になったら、名前しか知らないあの男にまた会える――若き建築デザイナーの宮脇克実(みやわきかつみ)の趣味は、誰ともつるまず独りバイクで山を走ること。ある日、同じスクランブラーに乗る男・マサムネと出会い意気投合! 一緒に山を疾走できれば、本名も仕事も知らなくていい――逢瀬にも似た週末のツーリングに、克実は夢中になっていく。ところが、克実が手掛ける建設現場で偶然再会してしまい!? ※口絵・イラスト収録あり

作品情報

作品名
名前も知らず恋に落ちた話
著者
水原とほる 
イラスト
yoco 
媒体
小説
出版社
徳間書店
レーベル
キャラ文庫
発売日
ISBN
9784199009143
4

(74)

(32)

萌々

(20)

(17)

中立

(2)

趣味じゃない

(3)

レビュー数
15
得点
293
評価数
74
平均
4 / 5
神率
43.2%

レビュー投稿数15

後悔すらしない人生なんて

読みやすくて萌えました〜。
あんまり深く考えずにタイプの違う美形の2人が惹かれあっていく様を眺める…これ最高。
悪い意味ではなく、BLファンタジー系だと思うのです。
そこに、適度に趣味のバイクでのツーリング、お互いの仕事である建築が絡む。
バイクも建築もどっちかというと男の世界。
だから、どこか少女漫画っぽい恋心のピンク色をうまく調和させてる。
また、イラストは線が細めで繊細な絵柄が素晴らしいyoco先生。
話の内容からはもっと武骨系の絵師さんを起用する方が合うかな、と思うのです。でもyoco先生が描かれたことでより甘さが加味された事は確か。
2人の出会いから打ち解けていく過程はとても自然。
ですがキャンプでのキスとか克実が起こすバイク事故などは少々不自然、かな。
事故が無くても、設計と施工のミスを乗り越えていく展開だけで十分2人は強く結びつけると感じましたが…
また、夏休みの旅行で結ばれますが、バイク乗りなんだから挿入はしなくても良かったのに。挿入至上主義ハンターイ!
克実が予定通りドイツに研修に行く展開は良かったです。仕事を諦める必要はないですもんね。
あとはもっとイチャイチャが読めれば良かったかな…
総合「萌」で。

1

お仕事トラブル描写のほうが印象に残ってしまった……

「彼は優しい雨」が良かったので、積み本の中からこちらを選んでみましたが、あまりピンとこないまま終わってしまいました……

恋愛描写があっさりと淡々としていて、この二人はどうなるの?みたいなワクワク感も特になかったというか。
なにかが足りない感じというか。

最初の引っかかりは、ノンケの受けが早々に攻めとキャンプで触りっこをしたシーン。
いくら自然の中の開放感&酒の勢いとはいえ、早くない?抵抗なさすぎじゃない?と思ってしまったところが私の中での敗因だと思います。

というのも私の中で「ノンケの壁はそう簡単には壊れないだろう」というのが根底にあるんですね。
BL読みのくせに。

BLあるあるの「男が好きなんじゃなくてお前が好きなんだ」というのもあまりしっくりこないというか。
何をしても息がぴったりの相手が「最高の相棒」ではなく、ノンケだけどあえて「恋人」になるというところにちょっとでも違和感を抱くと、途端に嘘くさく感じてしまう。
(その点「彼は優しい雨」の受けはゲイなので、自然と恋愛感情に変わっていくところが超自然で違和感なくお話に入り込めました。)

というわけで、この触りっこシーンに?!となると同時に、あー触りっこを早めに登場させることで、同性に興味なかったはずなのに違和感なく触れちゃった俺…どうしよ…みたいなところから進めていくんだろうなと妙に醒めてしまったというか。

コミカルだったり勢いがある話なら、ノンケの壁をあっさり超えていくお話も全然OKなんだけど、真面目に淡々とした作品だったのでなんかいまいちその方法では乗り切れませんでした。
恋をする高揚感とか熱量みたいなのがあまり無かったこともあり。

残念なことに恋愛面よりも記憶に残ってるのが、仕事面でのトラブルが起きたところなんですね。
「こんなのは俺のデザインじゃないっ。これじゃ駄目なんだっ」とヒスってる受けの姿。
そして頑固な鳶職人に謝り続けている受けの姿。
それと、そのトラブルは自分の見落としが原因なのに、まるで他人事のような現場監督の姿……(それにしてもなんなの、あいつ)

スクランブラーって何?の無知な私でも、バイク乗りの爽快さ、楽しさが伝わってくるような描写は良かったです。
だからこそ、もっとバイクを全面にだしても良かったのに…と思いました。
お仕事BLとしても結構描写があるので、お仕事面はもちっと削っても良かった気がする。

でも最後のページの「人生もまた常に一瞬先には何が起こるかわからないスクランブルの連続なのだ」という一文は、この作品を表していてとても印象に残りました。

3

男同士ならではの心地よさ

タイトルと表紙がとても素敵ですね!
名前も知らずに恋に落ちたであろうバイカーが絶妙な距離感で立っているのが良い。

ストーリーも表紙のイメージままでした。
仕事もプライベートも充実させている大人の男。
ことプライベートに関しては今が最上でありこれ以上はないと思っていたのが、
ふとした出会いに楽しみが広がり、人との関わり合い方や人生観なども良い影響を与え合う。

誰かと一緒にいていままで感じたことのないような心地よさが恋愛へと発展していきます。

私はバイクの知識が皆無でツーリングの楽しみ方も全くの未知な世界なので、
文章を読んでもピンとこない場面もあれば(主にバイクや部品の名称関連;)
息の合った走りの楽しさってこういうことなのねー!とウキウキが伝わる場があったり。
少しバイカーの世界に触れられたのは楽しかったです(﹡´◡`﹡ )


この作品は共通の趣味を持つ"仲間"から"恋仲"へと意識が変化していくのですが、
女としか付き合ったことのないノンケが男惚れしていく過程がとても良きです。

ノンケが同性相手にドキドキしてしまうのもストンきました。
作中を引用させていただくと
『抱き寄せられて女になったような気分とは言わない』
『ちょっと子供に戻ったような気分だった』
『強い男の人に憧れて、その人に触れれば自分も強くなれると信じている子どものような気持ち』
これには、ああ、なるほどな、とシックリ。

ここを起点とした始まりのせいか、性別にこだわる部分も少なく。
ごく自然と求め合い、シンプルに答えをみつけて、ごく自然と先の人生まで見据える。
そこには「男だから~」とか「女だったら~」とか「子供が~」とか余計な思考がないのですね。
攻めも受けも理知的な大人の男性で、とにかくカッコよかったです。


BLとは関係ない部分の余談ですが、
受けが仕事のミスをした下りがイライラして平静に読めませんでした。

受けは工事の修正部分をデータでも口頭でも伝えています。
けれど現場までに反映されずミスが起きる。
これって現場監督の責任じゃないのか…?
こだわったデザインでミスされたら思わずカッとしてしまうのも仕方ない気がするのですが…;

現場立ち会いを後回しにしたチェックミスはわかる。
思わず出た言葉が職人を怒らせてしまったのもわかる。
けど現場責任者が当事者じゃないとばかりに中立で居るのに腹が立って腹が立って。
BLとは関係ない部分でイライラするのがちとゲンナリしました;
(本は楽しく読みたいぞー(;ω;))

反対に、表具師の清河。
粋な男で言葉のひとつひとつがカッコよくて響くセリフが多いのですよー!
攻めにとって人生の指針になっている男惚れするタイプのおじさんです♪
清河のような男性が側にいたら、攻めの内面がカッコよくなるのに納得。うむ。

工事現場の職人さんも清河も仕事にプライドを持ってるのは同じだけど、
正直魅力的なのは清河の考えだなぁ…と思っちゃいました。

2人の関係性・展開など男同士ならではの魅力があってとても良かったです。
しかしなぜかあまり熱量を感じず違和感があったのですが、
コモさすけ様のレビューを拝見しスッキリしました。同感です。

4

男性同士というツボ

男同士じゃないとできない距離の縮め方があると思うんです。
この作品には「それ、女性でもいいよね」となり得ない「男性だから」という必然性が散りばめられています。そこが好きな人にはたまらなく魅力的な、いわゆるツボを気持ちよく押してくれるような心地良い作品でした。

まず、改造バイクというテーマが男性的です。「スクランブラーはオンロードバイクを改造したオフロードにも対応できるバイクだ」という序盤の一文からは主人公である克己君のバイクへの愛がだくだくと流れ込んできます。趣味を超えて自分のライフワークとしてのバイクを大切にしている姿がとても自然体です。一人でも十分楽しく過ごしているし、知らず知らず30代の落ち着きも出てきてしまった。そんな彼が大好きなバイクを通して同じくらい大切な人を見つけていくこの1冊の過程には、派手さは無いけれども、彼にしか描けない人生の感動があります。

克己くんの視点で物語は進みます。それを通して見ていくと彼はとてもアンテナが鋭くて、小さなことに感動できる心豊かな人なんだなーと気付かされます。キーポイントとなるカフェ「レッド・フォックス」の描写もそう。男性客が多いワイルドな雰囲気のお店なんですが、はっきり言って女性が好む場所ではなさそうなんです。でも彼の視点からはそこの居心地の良さや、アットホームな雰囲気がたくさん伝わってくる。良いものを良いと感じられる心を持つカツミくんが、マサムネくんに対して高評価を重ねていき、憧れが滴っていく感じも癖になります。

さらに、好きなシーンの一つが、二人でキャンプへ行くところです。これも友達の段階で二人きりでキャンプへ行って一つ屋根の下で一夜を過ごすって、男女ではハードルが高いと思います。でも、男同士のバイク友達であればすごく自然なことのように思えてくる。そうして自然的に発するイベントの中で、恋愛感情に発するイレギュラーなイベントが重なり、二人の関係性が複雑で彩り豊かなものになっていく。最終的に一冊を通してどこまで行っても「この二人だからこうなった」という必然性を貫き通しているところが最高に気持ち良いんです。

仕事が上手くいかない所も、それだけ彼らが一生懸命に仕事をしているからこそ抱える葛藤だと感じました。そうした人間の弱さは、一見格好悪そうでも、実はすごく格好良いと思いますし、きちんと自分たちで乗り越えていく姿には男らしさも感じます。

会話はそれほど多くなく、物語は淡々と進んでいくように思えますが、そこからもお互いへの信頼感や安心感がじんわり伝わってきて、飽きることはありませんでした。yocoさんの挿絵も素敵。ライダースジャケット姿が最高です。シンプルだけど、上質で洗練されていて気付けばとても充足感を感じさせてくれる良作でした。

6

男として惚れるのがいい

ずっと気になっていた作品でやっと読めました。
いいですね!ザ・男同士という感じ。
こういう男として男に惚れる、男同士お互い高めあって共に将来を生きていく。新鮮でした。

バイカーを見る目も変わりそうです。ロマンがありますね。

お互い一目惚れでいいなと思っていて、相性が良くて、お互い一匹狼だったのに一緒にツーリングするようになって。連絡先も名前も知らなかったのに仕事先で再会して。

克実の仕事での葛藤や成長も良かったし、昌宗の懐の深さ男前さもとっても良かったです。
(でも足場を組むミスは克実のせいではないのでは?その後の発言がまずかったようで大事になりましたが、あの発言も克実らしくないような気がします)
昌宗が克実を安易に慰めたり助けたりせず刺激を与えたり立ち直るきっかけをくれたり。その裏ではしっかりフォローもしてくれていて。危機に駆けつけるのもヒーローのようですね。

昌宗も克実と同じ気持ちでいてくれて良かったです。ただ、くっついた後克実の口調が可愛くなった気がするのですが。

スパダリに溺愛執着される可愛い受けも好物ですが、男として男らしさを保ちながらお互いひかれていく、克実が性別を越えて昌宗を好きになるところがいいですね。
そして一緒に生きていくことを望み話し合いお互い心地よく過ごすことを優先する。

ドイツに一年間行くのも前向きに捉えてくれて、無事に遠距離恋愛をして帰国後は同居というのも萌えます。

初読みの作家さんでしたが大満足でした。なんだかんだで甘かった~。

3

バイク乗り同士だからわかること

バイクと聞けば、危険!心配!となってしまう私ですが
きっとバイクに乗った事がある人にしかわからない充実感があるんでしょうね。
克実と昌宗はお互い連れがいたわけではありませんが
お互いの走りが心地良いというだけでも
心の距離を縮めるには充分だったのかもしれません。

それにしてもいくら克実がきれいな顔をしているからって、
昌宗が精悍な顔だからと言って
キャンプでキスしてコキ合うの早くないかな??
酒から始まる関係は大好きなんですが
自然の中だから解放感もあったんでしょうけど…。

現場の監理技術者・昌宗と設計士・克実が仕事で会ってしまうのも鉄板ですが
私は克実がやらかしたシーンでがっかりしてしまったのです。
「こんなのは俺のデザインじゃないっ。
これじゃ駄目なんだっ」
鳶工の人達の前で、昌宗の前で、31歳にしては感情的になり過ぎ…。
その言葉が自分自身に向けたものであっても誤解されて当然ですもの。
誰しも失敗は必ずありますが。

それに対して昌宗の懐のデカさ。
苦労してきた分の余裕があるんだなぁと感心しました。
このような相手じゃなければ克実と上手くいかないなぁ、とも。
昌宗の愛に包まれたらドイツ行きの一年もきっとあっという間でしょう。

昌宗が世話になっているという、表具師の清河の言葉にグッときました。
「自分の道は自分で決めて生きていくんだよ。
後悔するならそれも人生だ。
でもな、後悔すらしない人生なんかつまらんぞ」
男の生き方を説いていましたが、
こういうふうにどーんと構えて生きていけたらいいなぁ。

克実は頑張り屋でもありましたが
多少女々しいようなところもあったので
個人的にちょっと萌えづらかったです、すみません。
でも、二人の出逢った場所でもある山の麓のカフェ“レッド・フォックス”、
ここのサンドイッチやマフィンがとても美味しそうで
こんなところがあったら私も車で行ってみたくなりました。軽ですけど…。

4

大人の恋


建築設計事務所に勤める克美(受け)は週末に一人でお気に入りの山へバイクを転がしに行くのが習慣になっています。そんな時、最近常連となったカフェで同じく一人できている昌宗(攻め)と出会います。克美は昌宗が自分が愛車を買うときに最後まで悩んだもう一つのバイクに乗っていたこと、自分にない凛々しい容姿に目を引かれます。名前とバイク乗りということしか知らないという関係で何となく誘われて一緒に走るようになり、毎週のようにカフェで落ち合って走りに行く関係になるのです。

克美は設計事務所のデザイン部でチーフアシスタントを勤めています。見目が良いので合コンにもよく誘われるのですが、今はバイクを走らせるほうが楽しい31歳です。恋人は結婚を焦る彼女に「バイクと私とどっちが大事?」と聞かれ選べなかったことで一年以上前に振られてしまったきり。
大学時代からバイクを教えてくれた尊敬する先輩が事故で亡くなってからは誰かとつるむことなく一人でバイクに乗るのが習慣になっており、今は週末のバイクに乗るのがリフレッシュとなっています。今の大きな案件が終わればドイツへの研修も決まっており順風満帆といったところです。

昌宗と出会い何となく気が合い一緒に走るのが習慣になったころ、キャンプに誘われそこから克美は昌宗を意識するようになります。
そんな時意外なところで昌宗と会い、二人はお互いの正体を知るのです。


バイクは全くと言っていいほど知らないので、読んでいて初めて知ったことばかりでした。バイク乗りが一週間働いた後リフレッシュしに山で気の合うもの同士で楽しむという感じが楽しそうで、あまり恋愛が絡むように見えなくてどうやって恋愛に持っていくのかなと思っていたら、キャンプでお酒も入り夜空を眺めていていい雰囲気になるという展開で、今まで昌宗がそう言った雰囲気を一切出
さなかったのでちょっと意外でした。(これは克美視点だからかもしれません)そのあともゆっくり進むという感じで、克美がしてしまったミスのせいで克美が追い込まれ周りが見えなくなったところではちょっと痛い心も身体も思いをしてしまいますが、それがきっかけで二人はより近づくことになるのです。
昌宗は苦労してきたこともあってか懐の深い人物で、失敗しとことん落ち込む克美のことを心配し、直接的なアドバイスをするのではなく考え方を示す形で応援します。
二人ともが仕事とプライベートをちゃんと切り離して話ができるのがとても好感が持てました。
二人が恋人同士になったときもちゃんと話し合いこれからどうするか決めていることもよかったです。
話の当初からドイツ研修が決まっていた克美が恋愛脳になって研修行かないとか言い出すんじゃないかとちょっと心配しましたが、ちゃんと将来を見据えたうえで自分に必要なものを諦めることなく二人で一緒にいる道を話し合うところがとても良かったです。


ただ、最後がちょっと駆け足になったような気がしたのが残念でした。
尺の関係があるのはわかりますが、旅行の工程予定についてはとても詳しく書かれていたのに、実際の旅行の話は一日目と二日目の夜の話と寺社のちょっとした感想くらいしかなくてワープしたみたいに時間がたって、いきなり「楽しかった」で終わったのであれって感じだったのがちょっと残念だったな。

二人が恋人になっては、すぐに二人がかかわっていた大きなプロジェクトが終了するまでとんで、そのあとすぐにドイツに旅立ったと思ったら、いきなり一年経って、あれよあれよという間に終わりで拍子抜けしてしまいました。もうちょっと余韻を楽しみたかったです。
できれば、ドイツに行っている間の二人とか、帰ってきて同棲するようになった二人とか。せめて、帰国した喜びで自宅に帰った後のエッチとか・・・読みたかった。


3

爽やかな恋物語(オートバイマニア話ではない)

電子書籍で読了。挿絵とあとがきもあります。

水原さんと言えば『痛い』が代名詞(最近はそうでもないけど)。
このお話は全然痛くありません。むしろさわやか(怪我する所はあるけど、そこもあまり痛くない)。

ここ最近、あらすじのさわりをご紹介するスタイルで書いていたのですが、この作品はレビューがたいへん多いので、今回は割愛します。

「受けが主人公がドカに乗っている。攻めはトライアンフだ」と小耳に挟んでいたので、期待を膨らませ過ぎたのかもしれません。もっと男男しい、それも、オートバイマニアのお話かと思っていたんです。
たいへん読みやすくスルスル読んで「あれ?終わっちゃった……?」。
直前にレビューを書かれた、コモさすけ様(勝手にお名前出してすみません)と似た様な感想を私も抱きました。

水原さんの、さらっとしたというか、感情のうねりをしつこく書かない文章は嫌いではありません。
ただ、今作については「もう少しねちっこく書いていただきたかったなぁ」と。
全くもって個人的な好みなんですけれど、主人公の二人が自分のオートバイについてどれだけ愛しているか語るシーンがあったら、とんでもなく好きなお話になっていたと思うのです(この二人はあまりお喋りではありませんが、でも、話し始めたらとんでもなく『語る』はずだと思うのですよ。そういう時間を過ごした様な描写はあるのですが、その内容については触れられていなくて)。

もう一つは、オートバイで走る爽快感についても「もうちょっとページを費やして欲しい」と。
やっぱりこちらも、さらっとしているのですよね。
あの、グッと重力が体にかかっているのに風を切っている不思議な快感や、とんでもないスピードで移りゆく景色、空模様の変化で天候に不安を覚える気持ちの変化とか「もっともっと『オートバイ愛』に溢れてても良いんじゃないか、もったいない」って、読み終わってから思っちゃったんです。

あ、すみません。
オートバイ小説じゃなくてBLでした。
お話が悪い訳ではないと思います。
ドカと聞いて勝手に萌え滾って、自爆した私が悪いのです。
失礼いたしました。

5

fandesu

コメント、ありがとうございます(優しい!)。

「おんなじ頃におんなじ本を読んで、似た様なことを思っている方がいるんだなぁ」と思って、思わず書いちゃいました。
「読む本の傾向が似ているのかも」とも思っております。只今、ご贔屓作家の未読本が減ってきて開拓中のため、レビューをよろしくお願いいたします(笑)

コモさすけ

お気になさらず!〉名前出し

複数作品で偶然にも前後レビューしてますよね(笑)またお目もじの際にはよろしくお願いします。

文体に特徴あり

文章語尾にちょっと特徴があって、「~だからだ。」とか「~した。」等としても良いところが全て「~だから。」「~したから。」になっていて、少女漫画や女性誌コラムっぽいな、と感じました。

それが良い悪いではなくて。好き嫌いはあるかもしれないです。
自分は好きでも嫌いでもないんですが、折に触れ「少女漫画っぽいなあ~」という意識になって、男臭いバイクの世界とちょっとアンバランスだなーとは思いました。でもyocoさんのイラストとは合っている感じかな。

後は描写の仕方が、例えばボウリングをやったとして(実際に小説内にボウリングのシーンは出てきません)、ガターやスペア、ストライク、点数、靴だのボールの重さだの指が穴から抜ける感じだのモニターの表示だの隣のレーンだの受付カウンターだの書こうと思えばいくらでも書けると思うんですけども、「3ゲーム楽しんだ」だけで次に進んでいく、みたいな流れが割とあって。

なんか随分あっさりだなー、でも全体の流れからしたら支流だし些末だし、ここにそんなに文字数裂くわけにもいかないだろうし、実際詳しく描写されてもくどいし、こんぐらいがいいんだよなー?でもなんか突き放されたような感じを受けるんだよなあ、なんでかなー?と軽くモヤモヤしながら読みました。

あくまで自分の感覚なので、共感を得られるとも思えないし、このモヤモヤに対する分析も上手く表現出来ず、そんな自分にもモヤモヤしました。超個人的主観ですみません。

9

心地よく読み終えた、大人の男同士の恋。

この本、表紙の黄色の使われ方がyocoさんの絵に映えて印象的なのだけれど
読み始めて「なるほど!」DUCATIのscramblerのカラーなんですね。
ここ数年各社が競って発表しているスクランブラーモデル、
DUCATIって言えば一般的なイメージはイタリアンレッドだけれど、
スクランブラーに関してはイメージカラーも黄色なんですよね。
https://scramblerducati.com/jp

と、それはさておき、このバイクというアイテムを
魅力的に使った一作。

バイクという趣味を通じて、走りに行った先で名前も知らずに出会い惹かれ、
仕事を通じて再会し、真面目に恋愛をしていく様が描かれている。
お仕事の描写も適度な案配で、それなりの困難も乗り越えていく
地に足がついてた大人の恋愛模様。
どちらも男らしく自立した職業人としてもかっこいいところが、とてもいい。

トライアンフとドゥカティというイメージは、主人公2人のイメージにも被る。
ツーリングシーンも2人の関係がよく分かるし、とても気持ち良く読了。

今まで読んだ水原作品とはちょっとテイストが違うかな、と思うが
個人的にはこのまとまりの良さ、サラッとした気持ち良さに軍配です。

3

もっと二人の物語を読みたい。水原先生お願いします。

読みながら何度も何度も悶えました。ただ、惜しいのはドイツに研修に行ってからが駆け足だったような気がします。まあ、行く前に良く話し合った大人な二人だから心配なかったんでしょうけれども。出来るなら帰国してからの2人の甘々な生活が読みたかった。続編望むのは野暮かもしれないけど、ぜひぜひまた読みたいです。また、読みながらニヤニヤしたい。yaco先生のイラストも素敵でした。けして厚い本じゃないのに、何度も同じ場面を読み直して楽しみました。

7

今年度初の神評価作品★

作家さん&タイトル買い。
水原とほるワールドにどっぷりハマってしまい今作もワクワクと読み始め。
あとがきにもありましたが、今年のテイストは少し違うようで
人間じゃないものは出てこず、仕事の話を深く掘り下げてあったりと
そういうのが全くなく。
大人の。男性同士の。純粋な恋物語でした。
本当に小さな映画館で上映される映画を観た気分です。

下調べを入念にされるのか、作品の主体となるものを凄く詳しく書かれるので
今作のバイクに関するお話もしっかりと描写されていて
本当にリアルな2人の関係を盗み見してるような気分でした笑。
受けさんの克実の仕事に対する誠実さ・バイクにかける情熱・男としてのプライド
どれもこれも好感が持てるキャラで。
対する攻めさんの昌宗のキャラも、硬派で真っ直ぐで男らしい野性味溢れるかっこよさで。
だからこそ、克実のような一見スパダリにもなれそうなキャラを
それはもう、すんごい包容力で包むことが出来るんですよね~。
そして最後の最後、めっちゃ幸せそうな2人にやられ…。

強いて言えば、もう少し昌宗側の心理描写が欲しかったな…と。
片方視点のみだと、どうしても相手側の気持ちが分からないので
少しモヤモヤですが…
それでも心からオススメしたい満足出来る1冊でした★

13

男同士ならではの素敵な恋

イラスト買いしてしまった作品です。
カバー絵も口絵も透明感のある美しさで飾っておきたいようなイラストでした。

大人の男二人の恋愛がとても素敵に思いました。

趣味が同じというだけで名前も背景も知らない人とだんだん親しくなり
恋愛感情を持つようになる二人の男たちの仕事や日常が描かれています。

気の合う仲間から友情そして恋愛に変化していく二人の感情の変化が丁寧に描かれていてどんどん引き込まれていきました。

仕事で失敗して落ち込むことがあっても頑張って立ち上がり、趣味で憂さを晴らし、好きな人ができて悩んだり迷ったりしながら、たまにおいしいものを食べてほっとする。
そんなところは男も女も変わらないなと思いました。
そして、同性愛者ではないのにいつしか同性に想いを抱き、男が好きなんじゃなくてたまたま好きになったのが男だったという気持ちが伝わってくるお話でした。

バイクには興味がありませんでしたがツーリングにちょっと憧れました。

3

一周回って超王道

読み終えた後、とても幸せな気持ちになりました。
思いを寄せる相手に同じ思いを返してもらえる幸せを、二人からおすそ分けしてもらったみたいな感じ。

これは仕事に打ち込み余暇も楽しむ大人の男たちのお話です。
30代同士、かたやガテン系、共にバイカー。男臭い要素しかないにもかかわらず、二人の関係は単なる友情と表現するには不似合いなほどとてもピュアで綺麗。 透明感のあるyocoさんのイラストがぴったりでした。

共通の趣味のバイクで顔見知りになったマサムネとカツミ。
出会うまで一人で走ることをポリシーとしてきた二人は、流れで一緒に走ってみると存外相性が良いことがわかって、週末ごとに山麓にあるカフェで落ち合うようになります。お互い下の名前しか知らず、相手の仕事も家族のことすらも知らない間柄であっても、充実した時間が共有できればいい。ある週末、マサムネの誘いでキャンプに出たカツミは、その日を境にマサムネを本格的に意識し始めるようになっていきます。

30年ちょっと生きてきて、初めて同性に恋に似た感情を抱き、それを素直に受け入れていくカツミが純真すぎて、可愛かったです。風貌はワイルドなのに紳士的で包容力のあるマサムネの言動にもキュンキュンさせられて、二人が意識して恋情を抑制しているのが明らかになってくるほど、当事者以上にトキメキが炸裂…。

マサムネとカツミが信頼を少しずつ与え合っていく一つ一つのシーンが印象的でした。
カフェ「レッド・フォックス」で朝食を摂るシーン、
キャンプでの夕食のシーン、
バイクショップで買い物をしたあとのトルコ料理と夜景、
マサムネがつくるキノコのパスタや高野山の宿坊での精進料理、
その夜の一コマなどなど。
食べるシーンばかりですね笑
エッチじゃないのにドキドキした入浴シーンもあったり、他にもたくさん好きなシーンがありました。

もちろん、彼らの仕事に対する姿勢、将来のヴィジョンを見据えていくところも、恋愛とはまた別の軸として描かれています。恋と仕事、ほぼ均等に配分された描写のバランスに大人を感じました。

過去に恋愛で辛い思いをしてきた二人が自然に惹かれ合った相手がたまたま同性だっただけ。人を好きになるのに性別は関係ないなんて、散々語り尽くされてきたのに、このお話の二人からはそんな今さらなメッセージがストレートに届きました。これまでたくさんのBL作品を描いてこられた作家さんだからこそ説得力があるのだと思います。

穏やかで希望を感じさせてくれる素敵なストーリーなので、落ち着いた大人の恋を愛でたい時にぜひおすすめしたいです。

17

男同士だからこその関係

表紙買い。3P目にドゥカティ(イタリアのバイクメーカー)という文字列を見つけて、一気に期待度上昇し、一気に読みました。今まで読んだ水原先生のお話の中で一番好きです!バイクのツーリング話が好きな方にはオススメしたいです。しっかり仕事話あり、バイク話あり(山の中走る系)で、男前二人でぴったり出来あがった関係にとても幸せな気持ちになれた1冊でした。本編のみ230Pほど+先生のあとがき です。

お話は金曜夕方、仕事をさっさと片づけて帰った克実が、翌日相棒ドゥカティと隣県の山へ向かうところから始まります。行きつけの喫茶店で朝ごはんを食べようとした時に店に入ってきたのは凛々しい顔のライダー。店の前には克実の相棒同様の、オンロード、オフロード両用のバイクが止まっていて、「いつか話せるといいな」と克実は思い・・・と話は続きます。

攻め受け以外の登場人物は
昔気質の職人さん、喫茶店のマスター ぐらい。あと家族が少し出てきますが、ほぼほぼ二人でお話は進みます。

麗しいyoco先生の挿絵話。カラー口絵の2枚目が、うーんと唸る素敵さ。満点の星の下、焚火の前でキスする二人の図で、構図がやっぱりyoco先生っぽいーととても思いました。好きだわー。

******以下はより内容に触れる感想

途中、克実が仕事でヘタレるのですが、ちゃんと立ち直ります。ただそこに心情がシンクロしてしまって、こっちまで辛かったw そうなんだよー失敗したら超辛いんだよーと思い出してしまって。そこ以外は、本当に大人な二人で、きちんと前向きにひたむきに生きているように感じられて、すんごく良かったです。この二人の関係には女性は割り込めないだろうな と思います。男前二人だから出来上がる関係というものを感じました。最後、ネタとして仕込まれていたことをどうするんだ とハラハラしていたのですが、どんどん頁数無くなってきたと思ったら、あっさり二人で乗り越えて、さっくり10歩ぐらい前に進んじゃって、あらまあお見事!と拍手な気分でした。

ああ楽しかった。食べてるお料理の記載も美味しそうだったし、山道走る時の記載も懐かしかったし、新緑の美しくなる今、あーめっちゃ山に行きたくなったお話でした!

9

この作品が収納されている本棚

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