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表題作蒼い海に秘めた恋

オルソン・グレイ,採掘師,29歳
ショア・ランカーム,研究所を脱出した青年,21歳

同時収録作品蒼い海に秘めた恋

エルリンク・クリシュナ,研究員,ショアの養父
ショア・ランカーム,エルリンクの養子

その他の収録作品

  • 碧い空に満ちる愛
  • あとがき(六青みつみ)
  • あとがき(藤たまき)

あらすじ

“憎まれてもいい… あなたが好き”特効薬開発の生体実験を受けていていたショアは、養父である開発室長のエルリンクに裏切られ研究所を逃げ出す。そして幼い頃から憧れていたグレイに会いたい一心で彼の元にやってきた。男らしく精悍なグレイは、想像以上の優しさでショアを迎えてくれる。しかしある日、ショアは出身を偽ったことでグレイを騙したと誤解され、彼に冷たく突き放されてしまう…。だけど、どんなに嫌われても好きな気持ちは変わらない―。けなげなショアに訪れた最初で最後の恋の行方は…。

作品情報

作品名
蒼い海に秘めた恋
著者
六青みつみ 
イラスト
藤たまき 
媒体
小説
出版社
海王社
レーベル
ガッシュ文庫
シリーズ
蒼い海に秘めた恋
発売日
ISBN
9784877245030
4.1

(51)

(25)

萌々

(14)

(9)

中立

(3)

趣味じゃない

(0)

レビュー数
13
得点
211
評価数
51
平均
4.1 / 5
神率
49%

レビュー投稿数13

受けの幸せを願ってやまない

はー…時間を忘れて読み耽る面白さでした。
果たして面白いという言葉が正しいのかどうか…終始あまりにも切ないんですよ。
この切ない世界観は六青先生にしか描けないでしょう。
悲しくなるくらい切ないのだけれど、ショアの行く末を見守らずにはいられないとページを捲りたくなる。一気読みでした。
都市が水に沈んでいるという設定も魅力的でしたね。

もう、もうですね、読めば読むほどショアという青年に肩入れしてしまうんです。
哀れなほどに健気な人。その一方で、彼が持つどんな目に遭っても穢れることがない誠実さを愛おしく思います。
世の中から遠ざけられ、人のため・欲のために搾取され続けてきた人生が辛すぎる。
絶望を抱えたまま逃げ出し、何も知らない雛鳥のようだったショアが唯一の光を求めて辿り着いたのは、学習用の記録映像でずっと見ていた採掘師のグレイの元で…
今まで知らなかった物事をスポンジのように吸収し、人の営みの中にやっと入ることが出来たショアを見ているとなんだか嬉しくなりますし、ただ純粋にグレイを慕う姿を見れば、ああ早く恋を知って幸せになってほしいと思ってしまうんです。

しかしながら、そう簡単に上手くいかないのが六青作品。
グレイに本当のことを話したい。でも、話したくても話せない理由が頭の中に埋め込まれてしまっている。
まるで人魚姫のようなこの縛りが、2人の間にひとつ、またひとつと誤解を生んで悲しく広がっていくままならなさ。
切なさMAX・健気さMAXな展開が続きますが、これがぐいぐい読めるんです。

個人的にグレイにはそこまで大きく惹かれるものはなかったかなと思いつつ、完璧ではなく人間くさくて子供っぽいところもある彼だったからこその展開だったのかもしれませんね。
うーん、私には不器用なエリィの方が魅力的に見えたかも。
でもやっぱりショアかな。ショアが1番好きです。
髪を赤く染めようとした彼に胸を鷲掴みにされてしまった…
はじめから終わりまで、ショアという1人の青年に夢中になって読んだ1冊でした。
エリィのその後が気になるので、スピンオフ作も追いかけたいところ。

0

蒼い海に沈めた気持ち

「健気不憫受け」「誤解などから受けに冷たくあたる攻め」「その事を後悔する攻め」という設定が私の大好物で、六青先生はそういったお話を書かれる作家さんときき読んでみました。
読んでみると私の思惑通り、上記の設定をバッチリ満たす作品。というか、当てはまりすぎて、「せつなすぎて泣く」なんて滅多にないのに物語中盤から終盤まで泣きながら読んでました……。
私が上記の設定が好きな理由は、誤解などから受けに酷い態度をとっていた攻めが真実を知り打ちひしがれる姿にスカッとしたり、後悔してるのをみて「ザマーミロ!」ってしたいからです。今まで私が読んでた作品はもう少しラブコメ色が強かったりして酷い態度をとる攻めや可哀想な受けをみても先の展開を楽しみにニコニコしながら読んでたんですが、本作品は受けの生い立ちが不憫すぎて、理屈じゃなく攻めを思い続ける受けが健気すぎて、というか「ザマーミロ!」を楽しみにするにはこのお話が儚くてせつなすぎて、途中からは「スカッとするとかもうどうでもいいんではやくショアを幸せにしてあげてください……。」って思わずにはいられませんでした。実際、グレイが「愚かだった俺を許してくれ…。」って言った際はザマーミロとか思わずただただ泣いてました。
このせつなさを存分に楽しめたのもしっかりした設定、人物描写、情景描写ならではだと思います。六青先生すごいです。ありがとうございます。

最後、ショアは頭のチップを摘出され、研究所に渡ると危険な遺跡を自ら壊し、自分を痛みつける感情や記憶とともに海の底に置いていきました。こうして何にも縛られることはなくなったショアが、今度こそ幸せになってほしいなと思わずにはいられません。
ショアの身体が弱くなっていたり、エルリンクから送られてきたものだったり、、大円団のハッピーエンドよりも少し尾を引く終わり方の方が心に残るのってなんででしょうね?エルリンクメインの「寄せては返す波のように」も読んでみようと思う終わり方でした。
(私的には赤毛のキールのその後とかも読みたいんですが……。)

ともあれ「寄せては返す波のように」だったり「蒼い海に秘めた恋」だったり題名が素敵ですね。藤たまき先生のイラストも物語にぴったりでとっても素敵です。

1

私も『人魚姫!』と思いました

私も「これ、人魚姫だよねー」と思いました!
ちらっと見た姿に憧れて、自分の住んだところとは全く違う価値観の場所に飛び込んじゃうとか、恋する相手に本当のことを言いたくても話すことが出来ないとか、決定的なのは『自己犠牲』ですよ!
結構シビアなことが繰り広げられる部分でも、文章がそれを煽らない語り口の『お伽噺テイスト』なので余計そう感じました。藤たまき画伯のイラストも絵本風だし。
そんな風なので、ショアの身の上は非常に可哀想のですけれど怒りは湧かない。
ただただ可哀想で哀しいんです。

未曾有の大災害が起きた後の世界のお話です。
水腐病という不治の病で全滅した島のただひとりの生き残りショアは、病原菌の抗体を持っていたが為に研究施設で15年間もの間、薬の開発の実験体になってきました。
でも、ショアは不幸ではなかったんです。薬の開発者であるエルリンクに愛されていると思っていたから。
薬が完成した後「ショアは単なる実験体」と研究所長に話すエルリンクの言葉を聞き、ショアは研究所のディスク映像で見た採掘師、オルソン・グレイに会いたいがために逃げ出します。
グレイはショアに仕事を与え、家事を教え、愛する様になります。ここで生きていこうと思うショアですが、彼を取り戻そうとするエルリンクの仕業によって、研究所から来たことがばれてしまう。
エルリンクは愛する人を水腐病で亡くしていて研究所を激しく憎んでいるんですね。
弁明を求められても、ショアには研究所の秘密漏洩を防ぐためにチップが埋め込まれていて、話そうとすると発作を起こしてしまうんです。
グレイに見捨てられても、彼の役に立ちたいとおもうショアが選んだ任務とは……

このお話が胸に突き刺さるのは、ショアが賢い子だからだと思うんですね。
エルリンクを養い親として選択するのは『彼が一番寂しそうだったから』だし、グレイに憧れるのも『その健全さ』故なんです。
何て言ったら良いのかな?
自分が必要とされ、必要とするものを解っている、とでも言うか。
それはいつでも『実は正解』なんですけれど、運命のいたずらで全部裏目に出ちゃうんです。
それがやたら哀しい。

私が読みたかったのはエルリンクが主人公のスピンオフで、そっちを理解するためにこちらを先に読んだんですけれど、いやいや、こちらも面白かった。
ってか「面白い」って言うのが不謹慎に感じられるほど、胸が絞られる様ほど健気な『愛着』を見せつけられました。

2

切ない、でも温かい

再読したので今更ながらですがレビューを。


『健気受け』と言ったら六青さんがテッパンだなと個人的に思っていますが、これもまさにザ・健気受けです。
流行り病のため生まれ育った村が全滅し、自分だけ生き残ったショア。
その病の抗体を持っているため、研究材料として扱われ続ける日々。
まだ子どもだった自分を引き取り育ててくれた養父・エルリンクに愛されていると思っていたのに、実はエルリンクにすらも研究対象としてしか思われていなかった。

という、かなりハードな過去を持つショア。
過去だけではなく、研究結果を持ち出されないため、逃げ出されないため、頭にチップが埋め込まれているとか、腫瘍ができるとか。

そんな中彼が見つけた唯一の光であり、愛した採掘師のグレイ。
グレイとの日々がショアを癒してくれるかと思いきやまたもや悲劇がショアを襲う。

不幸続きでおなか一杯になるかと思いきや、これがならない。
ショアが、健気で、そして前向きな男の子だからかな。可哀想なんだけれど、応援したくなる、そんな男の子なんです。

個人的にはグレイよりもエルリンクのほうが好きでした。
グレイも良い男なんですが、ちょっと子どもっぽいっていうのかな…。
自分の感情が第一優先で、ショアの気持ちを聞いてあげられるだけの余裕がないのがちょっと。それだけショアを愛してた、という事なんだろうし、彼の勘違いがないとこの物語は進まないので仕方がないとは思うのですが。

エルリンクが不器用で、そして可哀想だった。
最後の写真のシーンでは思わず泣いた…。
エルリンク救済の続編もあるので、私のようにエルリンク派の腐姐さまはそちらもぜひ。

キールやタムタムといった脇キャラもナイスでした。

4

ピュア

最後、自らの髪を赤く染めるシーンに
思わず号泣してしまった(´;ω;`)ウッ…
どんな目にあわされてもひたすらけなげにいちずな受が愛おしい。

お話しの主人公は
特殊な抗体を唯一体にやどした少年。
特効薬を作るために研究所で研究体として育てられていた。
育ての親であるエリィが大好きだった。
でもある日その大好きなエリィの口から・・・
飛び出した先、一度会いたいと思っていた青年のもとへ。
青年グレイと出会い、新しい生活が始まり
憧れはいつしか好きという気持ちに代わっていく。
しかし、ちゃんとそれが実る前に事件がおこり・・・

伝わらないことがもどかしく、
伝えられないことが切なくて。
研究のことを話さないように頭にチップを埋め込まれている
受は、言い訳をしたくてもできない。
それにいら立った攻は~という展開がすごく切ない。
あとからちゃんと考えれば攻のキャパ少なすぎだろw
とも思うのだけれど
ある意味閉鎖された空間で、想いが強い分。とおもうと
それも仕方ないのかな。

一度でいいから抱いてほいし
いじらしい言葉が切なくて
髪は赤いほうが嬉しいでしょ
思ってもみない行動が胸にしみた

ラスト、エリィから届いた写真。
本当はな真実。
痛い系の話がおおいイメージの六青作品ですが
今回は王道甘めのお話しでした。
どっちかっていうと残されたエリィのほうが気になるな

4

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