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しなやか→ひめやか→あざやか
「しなやかな熱情」で臣(警察官/受け)がキャンキャンし過ぎてて怯みましたが、やっぱり続刊からはそんなことありませんでした。キャラクターが記憶と違い過ぎてて怯んだので。あとがきに書かれている通り紆余曲折あったせいか「しなやかな熱情」とは話の雰囲気もちょっと違う気がします。
シリーズ物では珍しい展開だと思う。慈英に雰囲気の似た(というか本人が似せてる…?)キャラクター(三島)が出てきますが、2巻、出版社移籍してかつ間があいているのである意味1巻からやるネタとしてはなかなか珍しい。キャラが分かってるからこそ読者も似てるって感情になるわけで。だから三島が慈英に似てるとはちっとも思わないまま話が進んでいったのだけれど、どちらかというと慈英のキャラクターを説明するための1冊だったのかな。
シリーズ2作目。1作目の4年後という設定です。
「ちるちる」さんの「トーン」に「シリアス」とありましたが、
「サイコホラー」ですね。
慈英の大学時代の友人、三島が盲目的に慈英の才能を崇拝し、
徐々に壊れていく様子はホントに怖かった。
キャーという怖さというより、背筋がぞぞーっと寒くなる怖さですね。
臣の危機にかっこよく慈英が登場するのですが、
ここでは慈英に怖さを感じました。
学生時代の友人の名前や顔を「忘れる」ことはままありますが、
身近にいた人間や恋人の「存在」さえ覚えがないというのは
照映のいうとおり「いかれてる」と思います。
学生時代の慈英にとって他人はのっぺらぼうのような
存在だったのかもしれません。
他人に対して「無関心」「無頓着」な慈英の
唯一執着する存在が臣で、
それを「かわいそう」だと慈英は言うけれど、
自己評価の低い臣には
これくらい溺愛されたほうが幸せなのかもと思います。
文庫の発行はこっちの方が早いですが、シリーズ第二作目です。
『しなやかな熱情』を先に読むことをオススメします。
はてさて。前作にて見事にすれ違いだった二人の想いもまとまり、それから四年の月日が経ったところから始まります。
やーだー同棲してんじゃん。
とまぁ、ニマニマは置いといて。
今回は全体的に病んでるなぁ…と。
慈英の大学時代の友人、三島の慈英に対する憧れを超越した執着が…こわい。
だけど、それよりも『歪んでる』と思ったのは慈英でした。
いくら周りがその視界に移ろうと必死で、強い想いを抱えようとも、慈英の目に心に何にも残っていない。
人の顔と名前を覚えるのが苦手、そんなもんじゃない。
いっそのこと残酷なまで、慈英は『人』に興味が無かったんだと知り、何よりも『いかれてる』のは慈英なのではないか、と思いました。
確かに三島の所行はゾッとするものがあり、許せないんですが…ある意味では三島も被害者なのかもしれません。
『無関心』って一番こわい。
臣の自虐思考も絶好調!だがそれを凌駕する慈英の執着が明るみに出てきました。
いやぁ、人に無関心だった分、ひとりに向かうと凄まじいものがあるね、慈英よ。
いい感じにパワーアップした慈英にニヤニヤ、今日も絶好調にえっちぃ臣を堪能いたしました。
ねぇねぇ、慈英さん。
いつも持ち歩いている、臣を書きためたスケッチブック…見ーせーてーーーーーー!!
始めは前作からの導入、条件紹介、既存問題の提示などの起こしはすっと薄く始まり、三島の登場から徐々に深いところへと潜っていきます。
心理描写が巧みな作家さんだなとは思っていましたが、これは中でも群を抜いていると思いました。これだけ鮮やかにその情景を含めて描けているものはBLに限らずそうはないんじゃないかと思うほどでした。掘り下げただけ、描写だけでなく、動きと情景と掘り下げとそれらすべてが密に絡まって奇跡の場面になっていると思います。
クライマックスシーン、これは本当に掛け値なしに「神」と呼ぶにふさわしいシーンでした。
あとがきで「お話に引きずられることもあった」と書いてあり、さもありなんと思い、また少しホッとしました。これだけ掘り下げていたらどこかに作者自身の苦しさがにじんでしまいそうなものなのに、この作品にはそれがなく、終始作者としての位置を崩したところは見受けられないままうつくしく物語が閉じられていたので、作者のポテンシャルに舌を巻いた部分があったのです。余裕綽綽とこれだけのものを書いたわけではないとわかって(当たり前なんでしょうが)、ほっとしたのです。
やわらかな言葉づかいで慈英と臣が人として丁寧に描かれ、それぞれの思いに触感があって胸に迫りました。
慈英と臣を私にとって大切なCPにしてくれた1冊です。
シリーズ二作目ですが、前作から四年も経ってからのお話です。
一作目は、慈英と臣が出会って恋に落ちて、付き合いだすまでのお話だったんですが、
受け様の臣が余りに卑屈な性格だった為、かなり面倒くさい展開でした。
まあ、私にはそこがツボで面白かったんですが(笑)
そして三十路となった今作でも、臣の基本的な性格は変わってません。
恋人同士の熱い時間を過ごした後に、食事に出た二人は、
慈英の美大生時代の同級生、三島に偶然出会います。
懐かしそうな三島に反して微妙な反応の慈英でしたが、
三島に呼び出されて頻繁に二人で飲みに出るようになります。
その内、家にまで押し掛けるようになり、三島はどんどんストーカー化していきます。
とにかく、三島の慈英に対する執着は、余りにも歪んでいます。
激しい憧れ、羨み、妬みは、殆ど狂気のようで・・・
三島の過去の、慈英自信や慈英の彼女達に行ってきた罪も明らかになりますが、
「彼は、俺なんだから。彼のものは、俺のものなんだ」と言い出す始末。
なんかもう、無茶苦茶病んでます・・・
でも、照映も言ってますが「いかれてる」という意味では、慈英が一番でしょう。
ある部分で「天才」的な才能がある人は、
その分、別の何かが欠落しているのかもしれませんね。
慈英の、自分が興味を感じた物事以外への無関心さは、ちょっと異常です。
そしてその無関心が「人」に対してだった場合、
もうこれは「罪」と言ってしまってもいいのではないでしょうか。
「おまえ・・・やっと俺を見たんだな」と、泣き笑いの顔をした三島。
たとえ排除対象としてでも、存在を無視されるよりは嬉しい・・・
酷いことをしてきた三島ですが、最後はちょっと哀れでした。
そして臣ですが・・・
相変わらず卑屈な性格は変わっておらず、ウザいです(笑)
今回も、自らの身体を張って、三島の悪事を暴こうとしますが。
照映も「ほっときゃいいんじゃねぇの、そんなもん」と言ってますが、私もそう思う(笑)
結局臣の勇み足が、事態をややこしくした様な気がします。
だけど、少年の頃に親に捨てられ、無償で愛されたことが無いという臣。
身体と引き換えにしか愛される方法を知らなかった少年時代が、余りに哀れです。
臣が、慈英の為にと必死になってしまうのも仕方ないのかもしれません・・・
卑屈だけど一生懸命な、この面倒くさい臣が、私はかなり好きなんです(笑)
ネジが飛んでしまっている、いかれた天才画家の慈英と、
自分に自信がなくて卑屈でウザい、セックス依存症気味な臣。
慈英の臣に対する執着っぷりは凄まじく、執着愛大好物の私には
このシリーズは美味しい限りです(笑)
崎谷はるひ先生の作品の中で、一番好きなシリーズです!