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表題作六本木心中 1

瀬能結城 NOAエンターテイメント社長
九条高見 トップアーティスト

あらすじ

日本を代表するトップアーティスト・九条高見。
彼の成功の裏には、NOAエンターテイメントの若き社長・瀬能結城との、ある取り引きがあった。
成功と引き換えにその肉体を提供するという「契約」を交わした高見は、結城のことを憎みながらもその関係に溺れていき…。
愛と憎しみが交錯する、激しく切ないラブ・チェイス―。
大幅加筆・改稿にてお贈りする、新しい「六本木心中」。
ファン待望の文庫化。

作品情報

作品名
六本木心中 1
著者
ひちわゆか 
イラスト
新田祐克 
媒体
小説
出版社
幻冬舎コミックス
レーベル
幻冬舎ルチル文庫
シリーズ
六本木心中
発売日
ISBN
9784344806733
3.8

(14)

(4)

萌々

(4)

(6)

中立

(0)

趣味じゃない

(0)

レビュー数
5
得点
54
評価数
14
平均
3.8 / 5
神率
28.6%

レビュー投稿数5

憧れと憎しみと執着と

この本は1と2一緒に揃えて読んでください。
1だけだと、苦しくて苦しくて胸がつまりそうになります(号泣!)
そして、音楽業界モノの作品の中では自分の知る中では一番の作品だと思います!!
ただし、痛いもの苦手の方にはお勧めしません-本当に苦しいですから。

自分のモノになることを契約条件にして、NOAエンターテイメントの社長・結城が見つけ一気にスターダムに押し上げられた高見。
この二人に介在するものは、それでも愛なんだと信じたいです。
激しい憎しみや奴隷調教であると共に、まるで麻薬のように、高見にとって結城はなくてはならない活力のようなものになっている。
結城は、その高見の気持ちを知ってか知らずか、突き放したり、手元に引き寄せたかと思うと酷い扱いをして、執着や嫉妬さえ感じる態度に出るのです。
不器用としか言いようがないが、
結城の大企業を担う者として帝王教育をされた生立ちを思うに、高見は自由に羽ばたく結城の夢なんです。
始まりが、強制による調教だった為に高見には憎しみが生まれてしまったが、でもそれは依存に変化している。
ハードナスケジュールに疲れ果てた高見を、いきなりイギリスの別荘へ連れて行くシーン。
このひと時だけは、本音の素直な二人、本来あるべき姿だったのだと思います。

ただ、特筆すべきシーンに尿道攻めが・・・!!
いや、百合の茎って、絶対太すぎて痛いですから!!かわいそうに、、

3

ドロドロ業界モノ

90年代に書かれた作品を加筆修整との事、読み比べてないので違いは分かりませんが、確かに90年代の香りはします。
一時期の野村ドラマ的ドロドロ展開とでもいうんでしょうか、こういうの大好きなので楽しく読みました。
挿絵の新田さんのクドさと濃さも良い意味で合ってて、ドロドロ系エンターティメント、刹那的なところもちょいJUNEっぽくていいなー。

どこにでもいるミュージシャン志望のバンドのボーカルだった高見が結城に見出されカリスマアーティストとして仕立てられて行き、その条件として身体を差し出すというベタだけどこれが面白いんですよー!
文庫価格もお手軽で嬉しいしここはまとめて2巻セット読みで行っちゃって下さい。
スタイリッシュとかそういうのとは真逆系行ってますがそこが面白いです。

2

ひいい…怖い

ゾクッとするような終わり方でした。
真相が分かるのは二巻なんだろうけど、ここで終わってもいいかもと思えるような、余韻のある、背筋がヒヤリとなる一巻の結末でした。
主人公はトップスターの高見。
高見は所属会社社長の結城と過去のある因縁により、カラダの関係ありで契約している。
セックスはSMです。エロくて萌えました。
ただ、尿道に百合の花を刺しこんだシーンだけは思わず笑ってしまった、ごめんなさいw
結城が持つ高見への執着はダークです。かなり腹黒です。いいキャラです。
ひちわゆかさんの描く腹黒キャラは、下手な偽善がない。突き抜けてて好きだ。

4

六本木心中(1)

“契約”という名の下において躰を重ねる ―― その方が快楽に溺れるには都合がいい。
だが、そこに“愛情”を見つけてしまった時、恐怖にも似た揺らぎが生じる。
結城という男の、目的のためには手段を選ばない冷酷非情振りが描かれ、その真意を計り知れないところにやや物足りなさも感じるが、グイグイと読ませてくれる筆力は、さすがにひちわさん。
こういうビターなBLを読みたかったんだと再認識。
大幅な加筆・改稿を加えたとはいえ、この作品が15年も前に書かれていたものだとは
思えない。できれば、ビブロス版も読んでみたいところ。

2

胸苦しい…。

「カリスマの苦悩」をテーマにした芸能界モノは多いし、我侭アーチストが可愛く見えてくるのもお約束なんですが、この作品はそんなお約束を、ほかでもないカリスマ自身が裏切ってくれました。

確かに高見はカリスマなんです。我侭さもあるし、まさしくアーチストなんだけど、高見は人に優しい。
甘ったるい優しさじゃないから、表立っては見えにくくて、もしかしたら本人すら優しいって自覚はないのかもしれないけど。

自分の立場を作ったのが自分の力じゃないって、ちゃんと分かってるんですよね。
事務所の意向やスタッフの力で作られた「九条高見」という作品としての役割を、決して卑屈にでもなく受け入れているんです。
こういうカリスマを扱った作品って、カリスマ自身の悩みとして「世間が求めてるのは”九条高見”であって俺じゃない」的な感じになりがちだと思うんですよ。
確かに高見もそういう苦悩は抱えているんですが、それでもそれを、卑屈になるでもなく当然のこととして抱えているんですよね。

あ~、高見の魅力を言葉で伝えにくい…。
我侭なんですよ、確かに。生意気だし。
だけど、目の前のことから自発的に逃げることはしない。
体がどれだけ悲鳴を上げても自分の不調に気付かなくて、血を吐いて初めて、自分が病気って知るタイプ。
気づいたときはもう手遅れで、ようやく周りが焦るころには、すでに壊れた後、みたいな。

そして、そんな高見が一番支えて欲しい人は、誰よりも高見を邪険にする。
結城にも思惑があるんだろう、愛情があるんだろう…と、チラチラ見えるんですが、それがホントにチラチラすぎて、苦しい><
ほんのちょっとでいいから甘やかしてあげて!!!って思うんだけど、憎いの?って思えるくらい容赦がない!

結城が一度だけ見せた優しさ、というか弱さに縋るみたいに、また厳しい世界に戻っていく姿に、胸が痛くなりました。

このお話は、2人の関係が重すぎて、苦しいです。
2人がちょっとずつ歩み寄って…って展開が、まったく想像できない。
高見を支える理解者たちの存在だけがほんのちょっとの光…って感じのお話です。

1

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