特典付
「全部あげるから生きて帰って」恋も知らない戦神に注ぐ愛。
すごい話だった!壮大な映画みたい。「ヒーロー」がどれだけの犠牲を払って闘っているのか…小さい頃から訓練されてイキガミとして生きる鬼道の孤独なこと…吉野に出会って変化する鬼道の心情に心が震えました。下巻は特に涙なしには読めなかったわ
(上巻のレビューからの続き)
下巻冒頭から吉野に懐きまくって可愛い鬼道だけど……自分のその感情の正体さえも知らない。自分が誰かを好きだとか、誰かが自分を好きだとか、想像もつかない。生まれて初めて、まっさらな心で恋をした少年そのものな顔がほんとに可愛いです。
可愛くて、可哀想で、可愛い鬼道。目つきが悪くて下睫毛が長いデフォルメ顔も好きです。鬼道の言葉を「オレ バナナ スキ」に変換しちゃう吉野も的確すぎて笑いました。
吉野は鬼道をよく理解してるし、職業柄こどもの扱いにも慣れてるから、鬼道が未来を描けないことも当然想定内だったと思う。それでも敢えて、能天気すぎるぐらいの幸福な未来を自分は描いてみせる。鬼道の前でどこまでも「普通」の人間で居続ける吉野。「普通」もここまできたら偉大です。
吉野の愛に包まれて、イキガミを辞められる?という希望も見えてきて……でもそこでハッピーエンドにさせてはくれないんですね。さらに抉ってきます。容赦ない。
極限状況で二択を迫られて、鬼道といたい、他のものはどうだっていい、と願った吉野。ドナーとしても、教師としても、いつも人に尽くしてきた吉野が、ここに来て自分のエゴをとった。
孤独に傲慢に生きてきた鬼道は、吉野に出逢って人間らしくなってきて、愛を知った。そしてここに来て、他人の心もわかるようになってしまった。仲間たちにも愛し愛される人がいて、お互いを失いたくないのだと。
何というジレンマ。でも鬼道はそれを「灯がともった」というのね……。尊さにただ泣くしかないです。
どちらが正しいか、なんて答えはないし。
世の中の不条理も簡単には解決しないし。
ただ、柴田の投じた一石が変化をもたらして、鬼道と吉野は一緒に「明日」を迎えられるという小さな幸せを得るラスト。1年後、数年後はわからなくても、ただ1日1日を積み重ねていく。
もう、BLもファンタジーも超越した、壮大にして根源的な愛の話でした。何度読んでも全編泣きます。
でも、BLとしてもちゃんと好きな作品です。
可愛い可愛い鬼道が、恋をして成長して幸せになっていくのを見守れて、ほんとうに良かった。
闘う意味、守るべきもの、ひいては自分の中に芽生え生まれているハズの感情にすら執着も意味も見出せずにいたイキガミの鬼道
鬼道が唯一執着をみせるのはドナーの吉野という存在のみ
鬼道は「自分がイキガミで吉野がドナーだから」一緒に居る、居れると思っている
吉野はちゃんと「好きで愛情を持っているから」一緒に居る
2人のズレが生じてしまうに至った鬼道の過去と今の世の中のイキガミ自体の存在意義への考えが切なく悔しく、苦しい
変えられぬ過去、思い描けない未来、、、
そんな先の見えない重い空気の中に突如差し込む柴田という光の存在
皮肉なことに目を失い光を失った柴田が彼らや「イキガミとドナー」の光となるのです
皮肉だけれど不条理ではない
柴田の行動を「自分達の為に…」と思う吉野と鬼道だけれど柴田にとっては自分の過去への贖罪と無力だった横暴な世界への復讐だと言う
何と情の深い人なんでしょう
静かに柴田の想いに胸が震えれしまって仕方ない。゚(゚´Д`゚)゚。
誰かが誰かを想う先に生まれる未来は希望の光を信じられる
自分の事しか考えられない、自分も含めて誰の事も思えない先に在る明日には色を感じない
鬼道の世界に差した吉野という光
鬼道と吉野、イキガミとドナーの世界に光を届けた柴田の想い
満点の星の光の元「明日を想う」2人が眩しくSFらしいロマンティックさにムネアツなクライマックスでした
読むまでもっと切なくて胸が苦しくなって読み返すのも辛い、、、ってなる感じかと実は思っていましたが(←勝手な先入観です…何でそんな風に思ったのか???謎過ぎる…自分。。。)読後はとても穏やかで胸がじんわ~りするお話しでした
ほんと、読まず嫌いしないで良かったです
鬼道が吉野以外の為にも自分を活かしている姿は立派な番犬感満載でとっても微笑ましくなりました(ღ˘͈︶˘͈ღ)
あの小さきリーダーは鬼に金棒ですね♪
自分事なのですが順調に自身のファンタジー慣れをひしひしと感じていて嬉しい…!
さて、、、次は気になったきっかけの続編シリーズを読んでみたいと思います♪
楽しみです‼
手元に「イキガミとドナー 二人のイキガミ」上下はあるのですがまだ未読です。
早く読みたい。
でもオリジナルのこちらについて言っておきたいことがあって書いています。
この評価はずいぶん前につけたものです。
神評価でも良かったのに。
二人のイキガミを読み終えた後こちらを再読して評価するのなら間違いなく、神評価にしてるはずですね。
確信している。
イキガミとドナーは間違いなく文系が描いたSFなんですよね。
山中ヒコ先生が文系だと決めつけているわけでは決してないです。
が、絵柄もそうですしこんなお話、文系脳にしか描けません、とまるっきり文系の私が申しております。
カズオ・イシグロ氏の「わたしを離さないで」を読んだ時もそう思いました。
科学をわからない私でさえもこりゃないだろ、ツッコミどころ満載なんだけどー
と言いながら読んでいたものです。
でもでも、イシグロ氏のSF小説(いや彼のはSFなんかじゃないよという論評は置いといて)も、山中ヒコ先生のSFコミックスも私の心を打ちました。
胸のあたりが痛くなります。
こちらは鬼道と吉野のハッピーエンドで気持ちも穏やかになりますが、「二人のイキガミ」上は違うであろう事があらすじでも分かってしまいなかなか読めないのが現状です。
話が逸れましたが言いたかったのは文系理系とかどうでもよくて、イキガミドナーは名作です、なんです!
鬼道と吉野のお話の下巻です。
吉野からの愛情のおかげで鬼道が段々と変わっていることが尊いなと感じます。
しかし、鬼道が未来を想像できないところが切なく、吉野の描いている未来が訪れることはないと鬼道が諦めているのが寂しかったです。
死んだと思っていた吉野が生きていて、イキガミの人権が得られてのハッピーエンドは唐突で説明不足な感じが否めません。
イキガミはナイフでも傷つけられないはずだけど、イキガミが持っているナイフなら傷つけられるんだ?というのは疑問に思いました。
また、戦闘シーンの動きが分かりにくく今は何してるところなの?となってしまい、あまりハマれませんでした。
世界観は好きなので、滝と柴田の続編もそのうち読めたらいいなと思います。