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あの子が欲しいんだろ<? br> 閉じ込めてきみだけのものにしなよ
『さんかく窓の外側は夜』も早いもので9巻目。
さて。
9巻に突入して佳境に突入した感が半端ないです。
前巻で冷川さんと喧嘩別れのような形で離れてしまった三角くん。そのまま冷川さんが帰ってこなくなってしまい―。
というところから9巻はスタートします。
冷川さんを取り戻すため。
そして「先生」との決着をつけるため。
三角くんたちは行動を開始する。
一方の冷川さんは、先生と対峙していた。
二人の共通点。
彼らの過去。
そして彼らが望むもの。
冷川さんは、先生の側に行ってしまうのかー。
なんて言うんでしょうね。
霊ものを取り扱っている作品だからなのか、すごく象徴的に描かれてる、というのか。読み手にゆだねる形で描かれている部分が多い。
それを理解しづらい、と思うか、あるいは自分なりの解釈でいい、と思うか、それは読者次第な部分があるような気がします。
個人的には、今シリーズは一貫して「愛情」と「信じる気持ち」を描いていると思って読んでいます。
人が人として生きていくうえで一番大切なもの。
それを、三角くんは生まれながらに母親から注がれて育ったし、三角くんとは対照的に、与えられず、搾取だけされてきた冷川さんとの描写を挟むことで描いているのだと。
9巻もオカルト的な描写はありますが、怖さはほぼなし。
それよりも、哀れな感じがしました。
愛すること、そして愛されることを手放した人の、その果ての姿を見させられた気分です。
あと残すは先生。
三角くんがピアスにして身に着けた「父親の形見」。
それがどう作用するのか…。
先生が作った「トンネル」を壊す三角くん。
「先生」の行動に詳しい英莉可ちゃんと、その英莉可ちゃんを守るために自分の命を賭す逆木さん。
口は悪く、冷川さんと対立しながらも、冷川さんを助けたいと願う迎くん。
彼らのすべてを信じ、「霊」の存在を信じない半澤さん。
そして何より、三角くん。
彼らの誰が欠けても、先生を倒し、そして冷川さんを救うことはできない。
今シリーズは6巻から表紙の絵柄がガラッと変わりました。
6巻では隣に立っていた彼らが、8巻では背中を突き合せた絵柄になり、今巻ではすれ違おうとしている。
どうかこのまま離れ離れになることなく、また隣で、あるいは向き合って笑っている絵柄に戻ってほしいと願ってやみません。
子どもの姿になってしまった冷川さん。
またあの不遜で飄々とした彼に戻ってほしいです。
彼には彼を信じ、待ってくれている仲間がいる。だから、大丈夫。
そう信じています。
冷川さんが幼いころに置いてきた憎しみ。その憎しみを手に入れた先生。
憎しみを奪い返そうとして、冷川は先生と縛られて身動きが取れなくなってしまいました。
その間三門くんは、英莉可、迎くん、逆木さんと一緒に先生の貯金箱を壊しまくっています、が!冷川さん!冷川さんが割と大ピンチ!っていうか大分残酷なことするね先生!これはひどい!
いざ先生の家に乗り込んで、さっそくばらける4人。男二人がまったく英莉可の話聞かない笑
先生と三門くん、冷川さんと迎くんでそれぞれ対峙するのですが、迎くんが言うように、彼が冷川さんのとこにいるのは時間稼ぎ。手遅れになる前に、三門くんが間に合うように、迎くんが何とかして冷川さんを繋ぎとめようとしています。でも顔崩れてるからほんと無理しないで迎くん…。
ヒトに優先順位をつけて見捨てると言った迎くんが、冷川さんのとこにいるって、本当に大きなことというか、冷川さんが理解できなかった人生は二択じゃない、の答えにも繋がっている気がする。
ゼロか百は選べない、生きることはそれの繰り返しと迎くんが言った通りだよ。
冷川さんを救うのは三門くんですが、その前に先生と一悶着起こすようですね。正直、先生にも救われてほしい。
だってほんと、ずっと自分を呪い続けて、こんな苦しい生き方ある?と思ってしまう…。三門くんのこと『あの子』って呼ぶのもさ、なんか、色々考えてしまう…。
父親の形見だったストラップをアクセサリーに作り替えて、三門くん本人もお守りとして身に着けるようになったのですが、これが何か大きな局面に関わってきそうで今から楽しみです。
それにしても三門くん、ちゃんと力強いんですね。先生でもどういう力かわかんないって逆に凄いね?
冷川も三角もそれぞれ先生に対峙する流れが最高でした。憎しみを糧に生きている者同士、それを共通のアイテムにして絡み合ってしまうというのはなんとも皮肉ですね。一瞬でも気を抜いた方が搦め捕られてしまう憎しみの強さ、とても緊張感がありました。ところで、先生と冷川の違いはどこにあるのでしょうか。先生はまず自分に呪いをかけて、その後、他人を呪うようになった。今は徹底して悪人に描かれていますが、離れたくなかった家族を捨てて、自分に縄をかけるところから彼の第2の人生は始まっている。
一方、冷川は当時子供だったこともあり、当然自己犠牲の観点など持ち合わせているわけもなく、手当たり次第周りに呪いをぶつけるところから始まっています。その後も彼は、自分に都合のいいようにやってきた。だけど、憎しみで生きている人間が、他人を呪っておきながら自分だけ無傷でいられるなんて、そんな都合のいいことはないのかもしれない。先生と対峙したことで、そのツケが回ってきたんじゃないか。再びあの部屋に閉じ込められた冷川を見て、私はそんな風に思いました。
冷川以外の面々は、冷川をあまり好意的に思っていなかった迎も、オカルトを一切信じていない半澤も、振り回されてばかりの逆木も、皆協力的で、改めて考えれば不思議な繋がりのチームなのにすごく安定感がありますよね。根本に思いやりのある人が集まっている。この偶然の幸運さに、冷川がいつか気付く時が来るのでしょうか。三角が前巻で霊の憑いた女性と話すことで、冷川の視点を理解するきっかけを得たのと同じように、今回はまず迎が冷川を諭すことで、冷川に凍りついた心を溶かすきっかけを与えた。第三者の客観的な言葉って、すっと入ってきやすいですよね。2人だけだとどうしても感情的になってしまうから。物理的な距離は離れていても、2人の心の距離は少しは縮まったのではないかと思っています。
人間離れした人たちが集まり、新たな力を得た人もいて、みんなで戦おうーっていう熱い展開です。そして冷川は囚われの身。
三角は首にヒモ付けてでも連れ戻す!って気合入れてたけど、すでに腰に付いてるヒモはどうなったんだろう。つながりに気付いたあとで、こっちに引っ張ることもできる?みたいなことを言ってたから(4巻で)、三角がいつ引っ張るか楽しみにしてたのに。あれから全然やってくれる気配がなくて気になってます。
何度か「適材適所」とのセリフが出てきてますが、綺麗に役割分担して全員が大活躍です。オカルトでありながら、それぞれの人間ドラマが描かれていて、なんかもうすごいなあと。
先生の語る憎しみはよく分からず、というか父親になりきれなかったアレな人の事件後の供述のようで耐え難く、もう少し納得できる裏がないかを探してしまいます。冷川の方もヤバそうなので、三角の活躍を期待しつつ次巻へいきます。
ストーリーが秀逸、面白過ぎて眼が眩んでしまいました。
信じる決断、信じない決断。
どちらも自分で決めるから意味がある。
原動力は人を助けたい気持ち。
適材適所。自分なりの遣り方を見付ければ良いんですよね。
人の気持ちなんて結局本質的に理解出来るわけ無いんです。特に愛されて育った人間には歪んだ愛で育てられた気持ちなんて分からない。
だから少しずつ教えれば良いんじゃないかな。
「一緒に居たい」「側に居させて」が憎しみを乗り越えたのは、一言で言うと「愛」ですよね。
冷川さんと、他の登場人物との決定的な違いは帰る家が存在したか。
冷川は半澤さんが居たからこそ三角さんの存在に気付けたのだと思います。謂わば2人が運命だっだのでは無いでしょうか。
冷川が三角が必要な様に三角にも冷川が大切。そうやって仲間の輪が確固たるものに成る。
登場人物がとても魅力的でした。
面白かったです。
流石アニメ、実写されるほどの名作だと思います。