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表題作そらの誉れは旦那さま

三雲高虎,25歳,隼瀬浦領主の長男
空良,19歳,小国領主の子で高虎の妻

その他の収録作品

  • 雪にて候
  • あとがき

あらすじ

男の身ながら隼瀬浦領主の長男・三雲高虎に嫁いだ空良。名前もなかった自分に「空良」と名づけ溺愛してくれる夫と正式に祝言も挙げ、持ち前の知恵と能力を生かして国政にも貢献し穏日々を送っていた。ある日、戦地にいる領主・時貞から高虎へ援軍要請が届く。空良の力も貸してほしいとの報に、空良は反対する高虎を説き伏せ戦場に同行するが……?

作品情報

作品名
そらの誉れは旦那さま
著者
野原滋 
イラスト
サマミヤアカザ 
媒体
小説
出版社
幻冬舎コミックス
レーベル
幻冬舎ルチル文庫
シリーズ
そらのだいじな旦那さま
発売日
電子発売日
ISBN
9784344847354
4.4

(109)

(79)

萌々

(16)

(6)

中立

(1)

趣味じゃない

(7)

レビュー数
13
得点
478
評価数
109
平均
4.4 / 5
神率
72.5%

レビュー投稿数13

シリーズ3巻目にして萌えが下がらず

作家買い。

『そらのだいじな旦那さま』→『そらのいとしい旦那さま』に続くシリーズ3冊目です。序盤にさっくりと前2巻の説明があるので未読でも理解できないことはないかと思いますが、1冊目にあたる『そらのだいじな旦那さま』だけでも読んでから今作品を読まれるとより一層この作品の持つ世界観に入り込めるかなと思います。

ということでレビューを。

3巻目にしてこの萌え。素晴らしい。
個人的に『そらのだいじな~』がドツボに入ったこともあって、続巻の期待度がどうしても上がってしまいますが、今シリーズは高虎と空良の2人の関係を軸に進むストーリーなので、信頼度とか愛情、絆が強まっていく描写に激萌えし、期待を裏切らない神作品でした。

今巻は大きく分けて2つの軸があります。

一つは、空良が高虎と共に戦地に赴くこと。
もう一つは高虎が自分の城を与えられること。

全く異なる要素を上手に組み合わせて進むストーリーで、その手腕に圧倒されました。

膠着状態が進みなかなか攻め落とせない城がある。
その戦に高虎の父が赴いているが、城をおとすために空良の力を貸してほしいと頼まれる。

大事な空良を戦に駆り出すなんて認められない、と言う高虎を説得したのはほかでもない、空良。自分の力が高虎の力になるのなら―。

そう願う空良に説得され、ともに戦に赴きます。

はじめは侮蔑の目を向けられる空良。
それは、「鬼神」と呼ばれる高虎の妻が男だから。
そして空良の稀有な才能を知らないから。

けれど、そのどちらもを、高虎、そして空良は受け入れ、そして打ち破っていく。お互いの信頼と愛情を糧に困難に真っ向から立ち向かう二人のなんとカッコいいことよ。

高虎は今までスパダリ感半端なかったですが、今巻はちょっとダサい。
いや、いい意味で。

彼は空良のことになると穏やかではいられない。
それは空良を大切にしているから。そして、空良もその気持ちを汲んで、上手に捌いちゃってる。一見、高虎に守られるだけの空良、に見えて、実は空良が高虎を上手に操縦してるんです。

二人の関係が良い風に育っていて気持ちがほっこりしました。

そして空良も。
彼は過酷な子ども時代を過ごしたがゆえに自分の気持ちに疎いところがある。悲しいという感情を持っていなかった。悲しくても、誰も助けてはくれなかったから。涙を流しても、誰も抱きしめてくれなかったから。

けれど今は高虎をはじめとする隼瀬浦の城の皆さんがいて。
自分の気持ちを素直に表現し、涙を流すことができるようになった空良の姿が自分のことのように嬉しかった。

空良の助言により城をおとすことができた高虎は、褒美として自分の城を持つことができるようになります。これが後半のお話。

新しい城主に、その国の住人はどこかよそよそしくて…。

そんな彼らを、高虎、空良、そして魁傑たちは心を砕いて接していく。

高虎の素の素顔にうっかり萌えた…。
彼は正妻の生んだ子である次郎丸を城主にすることだけを目標に生きてきた。そのために命を賭すことも厭わない思いで。

けれど、彼もまた空良という存在を得て「自分の人生」を見つめるようになったんですね。スパダリに見える高虎の孤独と苦悩を、空良が昇華していく。

うんうん、なんて素敵な夫婦なんだー!


戦がある時代を描いた作品なので若干血生臭い描写はあるものの、それでも登場人物たちが素敵で、非常に優しいストーリーなのです。

今巻で初めて登場するキャラが何人かいますが、中でも魁傑のかつての仲間である菊七が素敵でした。

彼の過去も含めて、今後も登場して欲しいナイスなキャラでした。

今シリーズは今後も続くようでうれしい限り。
次巻を楽しみにしています。

※親切な腐姐さまのご指摘を受け、一部レビューを訂正しております。

14

ぴれーね

いえいえ!

私もポッチさまとは比べものにはならないくらいやらかしてて、見かねた優しい姐さんに教えていただくと言う事を繰り返してます(^^ゞ

余計なお世話じゃないんかなぁと迷ったんですけど、お役に立てたならとても嬉しいです。

失礼しました。

ポッチ

ぴれーねさま
こんにちは。コメントありがとうございます。
おお、本当だ…!
お恥ずかしー!
早速レビューを直しておきます。
ご指摘ありがとうございました!

ぴれーね

こんにちは。
今巻も最高でしたね!
私も菊七がお気に入りになりました(*^^*)

ところで、年齢が十三歳の件ですが、坂木じゃなくて次郎丸の事を言ってるんじゃないかなぁと思います。
全然違う箇所の事だったり、余計なお世話だったら申し訳ありません。

本当、次巻もすごく楽しみです\(^^)/

ワガママを言えるようになって、良かったね。空良。

高虎と空良の物語、第三弾になります。
一応、ここからでも読めるようには書かれてるんですけど、最初から読まれる事を強くオススメしたいです。
二人のこれまでがあっての「神」なのです。

で、前作ですが「既に出来上がってる二人だからさぞかし甘かろう!」とイソイソと読み始めて、切なさにのたうち回る羽目になりましたが。
今回こそですね、とにかくめちゃくちゃ甘いです。
もう序盤から高虎が溺愛ぶりを暴走させてて、笑いがひたすら止まらないです。
また、ただただ甘いだけでは無くて、とにかくあたたかい巻になるんですよね。
戦に、空良の「武将の伴侶」としての成長に、別れ。
そして、新たな出逢い・・。
相当盛り沢山の巻になるんですけど、特に駆け足だと感じる事も無くじっくり読ませと、流石の実力派作家さんだと思います。

なんと言うか今回は、ひたすらスパダリでパーフェクトとだと思ってた高虎の、弱さやちょいダメな部分なんかも語られます。
でもそこにもすごく感動するんですよ。
前作は切なくてボロボロ泣けましたが、今回はホロリと来ちゃう感じの、優しい涙がこぼれて。
空良、ワガママを言って泣けるようにまでなって、良かったねと。
高虎、一人で抱え込まず、弱音を吐けるようになって良かったね、と。
読んでて、感無量になりましたよ。


内容です。
姉の身代わりとして早瀬浦領主の長男・高虎に嫁いだ空良。
溺愛してくれる夫と正式に祝言を挙げ、自身の能力を生かして国にも貢献しと、幸せな日々を送ります。

・・と言うのが前作。
今回ですが、戦地にいる領主・時貞からの援軍要請により、空良も戦場に同行する事になるんですね。
更に、その戦場での功績により、新たな領地を与えられて城持ちとなった高虎。
そこで空良ですが、彼を受け入れて愛してくれた早瀬浦の人々と別れる事になりー・・と言うものです。

まずこちら、序盤からめちゃくちゃ甘いです。
や、空良の力を借りたいと言う戦場からの要請に、高虎が大反対するんですよね。
「お前を戦場に連れて行くなど、出来るはずがないではないか!」みたいな。
いや、結局は空良に説き伏せられて、二人で戦場に向かう事になるんですけど。
で、「そなたは優しすぎる。その優しさ故に、傷付く事が心配なのだ」とかって高虎が眉を下げれば、共に戦場に行ける事が喜びだと語る空良。
「大切な方だから、ずっとおそばにいたい・・」みたいな!
いやもう、「(心配で心が休まらない)俺はかわいそうだろう? 慰めてくれ」とかって、意外とちゃっかりなスケベ高虎に笑えるなら、真面目に慌ててる空良には可愛くてニヤニヤしちゃう。
甘いなー!
もう、めちゃくちゃ甘いな!!と。

まぁそんな感じで、暇さえあればイチャついてくれる二人の甘々っぷりも最高なんですけど、なんと言っても今回、空良の成長ぶりにも胸アツでして。

実は空良ですが、これまで、愛する人の為に自分を犠牲にしてしまう所があったんですよね。
これは彼の生い立ちに大きく起因するのですが、読んでてとてももどかしいし切なかった。
で、前作のラストで、愛する人を守る為に自分も大切にしなきゃと、ようやく気付いたワケです。

今回、戦場に同行した空良ですが、そこでの経験や新たな出逢いにより、今度は自分の立場と言うものを理解するんですよね。
いや、作者さんも書かれてるんですけど、これまでの彼は、ただ与えられたものをありがたく受けとめるだけだったんですよ。
そして大事な人の幸せの為なら、自分が蔑ろにされてもいいと思い込んでいた。
でも、それ自体が根本的に間違っていたんだと気付く。

そうなの!
空良が蔑ろにされてそれを許すって事は、夫である高虎もまた、周囲からバカにされるって事なの!
そんな事を、自分にも周囲にも許すんじゃなーーい!と。

いやね、最初から空良をずっと見守ってきたけど、こと「自分を大切にする」に関しては、彼の成長は亀の歩みなの。
三巻にして、ようやくここ!?なの。
でも、空良はそれでいいの!!

あの、自分が不幸だとすら気付いてなかった、過去の不憫すぎる空良。
溢れんばかりの幸せを与えられたからと言って、急に自分が大切な存在だなんて、大事には出来ない。
本当の所で、理解なんて出来ない。
だからこそ、よくぞここまで!って胸がいっぱいになっちゃうんですよーー!
マジで!
マジで!!

ちなみにですね、戦場での彼の活躍にも胸がすくんですけど、戦場から戻ってからのエピソードにも、なんだかホロリと来ちゃうんですよ。
そう、繰り返しになりますが、一国一城の主となる高虎。
目出度い事ですが、早瀬浦とはお別れになるんですよね。

これね「皆さんと離れたくない。行きたくない」とボロボロ泣く空良に、すんごく感慨深くて。
駄々をこねて周囲を困らせと、ワガママを言うー。
ああ、泣いてワガママを言えたんだねと。
すごく心が痛むのと同時に、良かったねと、ホロリとしちゃって。
いやもう、本当、三巻にしてやっとここ!?ではあるんですけど。
でも、良かったねえ!と、こっちも泣けちゃうんですよ。

ちなみに、まだまだ語りたい萌えが山ほどあるけど、字数制限が迫ってきたので簡潔に。
新しい領地に旅立つ二人ですが、そこでは領民との間に溝がありと、なかなかの苦労展開になります。
今回、高虎の弱さやダメな部分も語られると書いたんですけど、これ、空良が成長したからなんですよね。
ひたすら守られてるだけなら、彼の弱さは見えて来なかった。

ここまで常に空良の前に居て、あたたかく優しく包み込んでくれた高虎。
彼も人間なので当然疲れるし、悪意ばかりぶつけられれば心も弱る。
そんな高虎を、今度は空良が支えるんですよね。
守られるばかりじゃ無く、対等な存在として支えになるのです。
ここもまた、すごく素敵でした。
ここでもさあ、ホロリときちゃって。
この二人、よくぞここまで!ですよ。
や、最初の「空良を戦場になんてとんでもない!」は、いかがなものかと思うけど。

11

めちゃめちゃ良かった

レビュー書き慣れないのですがなんだかめちゃめちゃ良くて胸がいっぱいになったので…。

献身的で健気な主人公にはやっぱり自己肯定感を持ってほしいので、そらの能力が正しく評価されて本人も自信と覚悟を持っていく過程がとてもうれしかった。
物語の中盤で2人が置かれた状況が大きく変わる流れがあるんですが、読んでるこちらとしても「みんな今幸せなのに…どうしてこんな酷なことを…」(不幸な事件ではないんですが)と感傷的になってしまうのを、終盤に向けてどんどん「ああ…間違ってなかったんだ…!2人のこれからには必要な試練だったんだ…!」とほんとに海からの気持ちよい風がさぁーっと抜けてくような気持ちにさせてくれて、大満足の3巻でした。

特に高虎の219ページの3つのセリフが、2人の人間性と関係性の尊さをこちらにもじーんと感じさせてくれるものでとてもとても好きです。
そうであろうとする努力の上に成り立つ「善い人間」というものを、説得力を持って描いてくれる作家さんなのだなぁとじんわりしました。

2人の今後が楽しみです。

6

シリーズ三作目

またこの2人に会えるとは♪( ´▽`)歓喜!

本篇「そらの誉れは旦那さま」と、ショートで魁傑視点でのお話「雪にて候」が入っております。
本篇も実質2つのお話が入っている感じ。
1つ目が、空良の初陣。…といっても空良が前線に立ち刀振るうわけでは無いです。戦略に空良の才能が必要と考えた時貞(お館様)により戦場へと招ばれるお話。
2つ目が、高虎が新たな領地を与えられ一国一城の主となるお話。
前作、前々作共に、主な物語の舞台は時貞が治める隼瀬浦。しかし今作では隼瀬浦から飛び出し、戦場と新たな領地である日向埼が舞台となります。…隼瀬浦のしんしんと降り積もる雪の描写、好きでした(/ _ ; )ちょっと寂しい。

前作、前前作の隼瀬浦にいる空良は高虎に守られ、空良自身も、こんなに幸せなのだからこれ以上望む事は無いといった感じの儚い健気さが炸裂しておりましたが、今作では、空良が高虎を支えよう、高虎が恥じぬ様にと頑張ろうとするプラスな意味の健気さが炸裂しておりました。……もうどっちにしても可愛い〜(;ω;)♡
空良の成長って事なんだろうな。

個人的な萌えポイントである、普段は冷静で強く優しい高虎が、空良の身に何かが起こると荒ぶり手がつけられなくなるさまが今作では2度も拝む事ができました。幸せ〜〜!ありがとうございます(*´◒`*)笑

このシリーズ、高虎が空良をベタベタに甘やかすところも大好きなのですが、何かと侮られる事の多い空良が、空良の才能であったり優しさであったり空良の持っているもので巻き返すところ大大好きです。スッとします( ˘ω˘ )♡

6

おめでとう!

前作『いとしい旦那さま』の読後感は「哀しい」だったんですね。
『いらない子』として育ってきたそらは類まれな能力を持ちながら、自分の価値を低いものとしか思えない。愛されていることは解っていても、それが自信につながらない。
これがひじょーに哀れだったんですよ。
「こんなんが続くのはヤバいだろう」とも思いましたよ。

今回のお話ではそらがもう一歩踏み出します。
信頼する人たちに応えるため、勇気を奮います。
そしてなんと!完璧だと思っていた高虎にも苦悩があることを察して、それを分かち合おうとします。

これは素晴らしい!
名前すらなく、自分の身を捨てることが『恩義に対する正しい行為』と思っていた『子どもそのもの』の様なそらが、愛する者の為に自分を主張することを覚えたの。
高虎をはじめとする隼瀬浦の皆さんの勝利ですよ!
愛の勝利ですよ!
いやー、良かった良かった。
前作でちょっとガックリ来た方ほどお読みいただきたいと思います。

5

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