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私の第一の感想も前に書かれていらっしゃる、
ぐひさんと同じ感じでした。
ルコ先生は然るべきところへ行けば、それなりの診断が下るだろうなと。
そして、榎田先生はそれを踏まえて書いていらっしゃるのだろうなと。
一つ間違えば、困っただけのキャラになりそうなルコ先生は
その純粋さで嫌味なく成り立ってる。
たぶん、ルコ先生が普通の人でこの性格だと、ダメだった。
それに比べれば、東海林のキャラクターは普通の人だったのに
なぜに?と本編では思っていたその謎が、
番外編ですんなりと腑に落ちるように解決されてる。
このキャラクターたちをこんな風にまとめられる榎田先生は、
とにかく凄いなと思いつつ読破。
評価は舌を巻くいきおいで「神」!
生活遂行能力が著しく低い漫画家の二木。
片付けるのもお風呂に入るのも面倒くさくて、ほぼ大半の時間を布団にくるまって蓑虫で過ごすというつわものです。
幼馴染の東海林がいないと部屋は大変なことに。
でも二木だから許せてしまうのは何故でしょう(笑)
そんな二木を自立させようと二木から離れた東海林ですが、二人とも依存しあって生きてきたから会いたくて苦しくてしかたありません。
マンションの下からペンを落としたと嘘の電話をかけた東海林と二木のやり取りに泣けました。
きみがいないと息もできないと、東海林を刺激する殺し文句をさらっといっちゃう二木が最高です。
二人が本来の居場所にちゃんと戻れて本当に良かった~。
東海林と二木だから許せてしまう素敵なお話しでした。
二木の片づけ出来ない、時間を守れない、単純な作業を覚えられない、忘れっぽい、情緒不安定というこれらの特徴、なんだかどこかで聞いたような感じがします。
それだけでなく一定の分野においてはもの凄い集中力を見せたり、独特の感性を持ち合わせていたりと、これは然るべき機関へ行けばそれなりの診断名をつけられてしまいそうだと思いました。本編に直接的な表現は無いですが、榎田先生はある程度そういった知識と見識を持った上で二木というキャラクターを生み出されたのだろうと推測します。二木は子どもの頃から他の多数の人間たちとはテンポが合わなかったという説明がありますし、おそらく先天的にちょっと変わった特性を持っているということだと思います。
作中で茜さんが二木の描く漫画を割れたビー玉のようと評しているのですが、きっと二木自身にもそのような魅力があるのだと思います。不完全で未発達、それでもキラキラと健やかに輝く生命そのものの美しさがあるのだと思います。そして、とても優しく清らかな心の持ち主である。漫画を描きながら亡くなってしまった鳩子に想いを馳せ、彼女の命を紡ぎ続ける姿に胸が締め付けられました。そんな子に甘えられて、東海林が好きになってしまう気持ちとてもよく分かる。中盤で死んでやるとゴネる二木を東海林が思い切り罵倒するシーンがありますが、それも真摯な愛情の裏返しのように思います。結構言いたい放題言ってますが。
東海林と二木との関係は共依存関係に近いと言えますし一般的な価値観で判断すればあまり良い状態ではない、不健全と評されてしまいそうなんですが、この二人に関しては必ずしも不健全とは言えないよなと思います。支配か服従という極端な関係になるのではなく、互いに何かを与え合うことが出来れば、共依存的な関係も一つの健全な愛の形として成立すると感じました。
コミカライズの方を読んでから読みました。
お話は二つ。「きみがいなけりゃ息もできない」と「きみがいたんじゃ転居できない」です。
息も~の方は、漫画とはちょっと違っていました。それぞれの心情がより詳しく書かれていたり、大筋は同じでもそこに至るまでのエピソードが違います。
なので、漫画ではとことん訳の分からない悪人だった鼎にも、少しだけ救いが見えました。そうだよね、やったことは最低だけれど、それまでの努力はきっと彼も漫画が好きだったからだろうし。漫画の方での消化不良が解消されました。
二木と東海林の気持ちも、こちらの方がより納得できたので、読んでみてよかったです。
転居~の方は、大学時代の再会からずるずる生活が始まるまでのお話。スケルトンがいい味出してました(笑)気持ちはわかるよ、スケルトンw
この頃から変わってない二人の関係がほほえましかったです。何があっても結局二人の間で完結しているというのに、ちゃんとそれを感覚的に理解して受け入れている二木と、理性が勝って受け入れられない東海林と、でも結局二人の間だけでもちゃもちゃやってる。その閉じた感じが、強い結びつきに思えてなんだかいいなぁとやっぱりほほえましかったです。
旧版の方で本編のレビューを書いているので、こちらでは新装版で追加された「きみがいたんじゃ転居できない」についてのレビューを書こうと思います。
「神」評価は本編と合わせての評価です。
「きみがいたんじゃ転居できない」は小説b-Boyに2005年に掲載された作品だそうです。
2人が大学で再会する時のエピソード。
本編の方で高校3年間離れていたというのは分かっていたのですが、小学校・中学校と一緒だった二人が高校時代は完璧に音信不通だったというのは意外でした。
中学の頃、「学力の差が天地ほどあったので」(笑)、2人は別の高校に行くことになり、同じ頃二木の母親が再婚して引っ越していったそうです。学力の差というのは…納得(笑)。
2人は全くの偶然で大学で再会するのですが、東海林が昔のように二木の世話係をするのは勘弁ということで避け始めます。
それでも結局は二木を放っておけない所が東海林さんらしい(笑)。
二木も完璧な男・東海林をここまで気にさせるということに関しては天才と言うべきかもしれない…(笑)。
この頃はまだ二人とも自覚できる恋愛感情はなかったようですが、潜在的なものは十分感じられるお話でした。^^