• 電子書籍【PR】
  • 紙書籍【PR】

表題作永遠の昨日

山田浩一、愛想がいい高校2年生17
青海満、秀才だが周囲から浮いている高校2年生17

その他の収録作品

  • 一昨年の春、みっちゃんと出会った。
  • 四月の最初の日曜日、俺は電車に乗っいた。

あらすじ

榎田尤利の名作BL、大改稿の上待望の文庫化!ピュアで切ない、白の恋物語

17歳、同級生の満と浩一。
ふたりは正反対の性格ゆえに、強く惹かれあっている。
しかしある冬の朝、浩一はトラックにはねられてしまった。
頭を強く打ったはずなのに、何喰わぬ顔で立ち上がる浩一。
脈も鼓動もないけれど、いつものように笑う浩一は確かに「生きて」いて、
その矛盾を受け入れる満。
けれどクラスメートたちは、次第に浩一の存在を忘れ始め……。
生と死、性と青春が入り混じる、泣けて仕方がない思春期BL決定版。

作品情報

作品名
永遠の昨日
著者
榎田尤利 
イラスト
丹地陽子 
媒体
小説
出版社
KADOKAWA
レーベル
角川文庫【非BL】
発売日
電子発売日
ISBN
9784041119679
4.3

(68)

(46)

萌々

(11)

(5)

中立

(3)

趣味じゃない

(3)

レビュー数
14
得点
292
評価数
68
平均
4.3 / 5
神率
67.6%

レビュー投稿数14

当たり前なんて存在しないのかも

読み終えて、はー…と長いため息が出ました。
ラストに向かうに連れて、無意識のうちに息をするのも疎かになりながら読んでいたのでしょうか。
今でも何とも言えない感情がぐるぐるとしています。

とても不思議なお話だと思うのです。
現代ものなのは確かなのですけれど、浩一の身に起こった現象はファンタジーやオカルトめいたもの。
でも、なぜかそうは分類したくない自分がいるのは、あまりにも山田浩一という少年が当たり前にそこに存在し、確かに生きていたからなのかもしれません。

開始数ページで目を疑い困惑しました。
こんな始まりがあるのだろうかと。
そして、普通ではありえない事ばかりが続きます。

だというのに、矛盾しきった不可解な現象を受け入れ、ごく普通に生活し想い合う彼らの姿を追いかけながら、お願いだからどうかこの魔法を誰も解かないでほしい。
終始そんなことを考えながら読み進めていたように思います。

当たり前の日常って、本当は当たり前に来るなんてことはないんですよね。
作中の言葉を借りるのなら、家族や好きな人と毎日会えることだって、生きていることだって奇跡なのでしょう。
最後の最後まで読み終えて放心してしまい、しばらく何も言葉が出て来ませんでした。
明るめのトーンで進むのがよりぽかんとさせるというか…
泣けたかどうかで言うと、泣くまではいかなかった。
しかしながら、心地良かったぬくもりがふっと突然どこかへいってしまったような喪失感に包まれています。

青春も、強い想いも、愛も、生も、その逆も、斬新な切り口でありながらしっかりと丁寧に描かれている作品です。
書き下ろし部分も含め印象に残る言葉が多く、じっくり咀嚼しながら読みたくなる1冊でした。
みっちゃんに本当の意味での明日が訪れるのだとしたら、それはみっちゃんが浩一と再び逢えた時なのかもしれませんね。

1

まあまあかな

今やBLは一大コンテンツなので良作はいくらでもあるが、この当時は縛りがなかったので(ハピエンオンリー、死ネタNG etc.)、この頃なりの先の読めない良さはあるかな。あと、残された時間と離別を意識しながら共有してゆくという内容はなかなかないので、そちらも評価させて頂きます。

うまいこと言ったつもりなんだろうけど、文庫本の帯の「いかないで。……いって、いいよ。」は、今の人からするとただのギャグにしか受け取れなくて逆に寒いので、是非そちらの文句を変えて欲しいところ。

1

間違いなく名作

とにかく泣けると聞いて、最新の文庫本を購入しました。旧バージョンを読んだことはないのですが、私のように最近知った人でも今から読めるので、古参ファンの方が発売当時からたくさん応援し続けてくださったんだなぁと感謝の気持ちでいっぱいです。そして、文庫化までしていることからも本当に名作です。今知って読んでも間違いなく感動できると思います。

いきなりネタバレになりますが、いわゆるハッピーエンドではないです。満が17歳から37歳まで描かれますが、この期間の彼を思うと自然と泣けますね。思春期の話なので浩一と満以外の登場人物もたくさん出てきますし、彼らが全員個性的なのも良かったです。榎田尤利先生の作品はBLも一般もいくつか読んできましたが、登場人物がたくさん出てきてもそれぞれの個性が強いので「あれ、今の誰だっけ?」となることはまずないですね。今作でも学生・先生・家族と全員のキャラクターがしっかり引き立っていて読みやすかったです。
最初は設定が少しファンタジーっぽいかな、と思いつつも違和感なく読み進められましたし、ずっと満視点で話が進むのですが、最後に浩一の気持ちが描かれるので二人が惹かれ合った理由がストンと腑に落ちる、という分かりやすい作りになっていたと思います。BLファンなら一度は読んでほしい名作です。

4

本年初涙しました

作者買い+ドラマになったとの事で期待買い。
あらすじ未知で読んだのですが、タイトルや表紙の感じからシリアスな作風なんだろうと思ってたので序盤に起こった出来事にびっくりしました。
シリアスと言えばシリアスだけど、コミカルでもあり、とても読みやすかったです。
悲惨な出来事が淡々と進むのは多分みっちゃんが混乱してるせいなんでしょうけど。

でも終盤はやはり悲しいエンディングの予感がひしひしと伝わって来て、段々とシリアス味が増してきました。
浩一との別れはやはり涙が止まりませんでした。
1番大切な人との別れ、もう会えないなんて悲しすぎて…。
いつまでも一緒に居られると思っていた未来が途切れてしまった、2人の気持ちを考えるともう無理でしたね。

書き下ろしの37歳になったみっちゃんも、明るく毎日を過ごしているようで安心しましたけど、まだ浩一以上に好きになれる人がみつかっていないみたいで、さらに泣けました。
すんなり浩一を超える恋人が出来ていても複雑だけど、いつまでもみっちゃんが1人なのも悲しくて…。
同着でもいいから浩一に似た誰かに出会えますように。

3

死ぬってどういうことか

ドラマ化もされて(ドラマは未視聴です)、だいたいのあらすじは知っていたのですが、始まってすぐ故人になってしまうんですね…。

高校2年生の浩一とみっちゃん。もう2人の普段の描写からお互い好きなんだな~と好きが滲み出ているようでした。

突然の事故に当然みんながパニックになるんだけど、何故か本人が一番あっけらかんとしていて、状況とのチグハグさが面白く、悲しむ暇もないんです(何せ動いて喋る訳ですから)。重いテーマなのに重くなりすぎずに進められる榎田先生、さすがですね。

このお話を読んでいて思ったのは死ぬってどういうことなんだろうってこと。もちろん医学的な死に関してはみっちゃんが解説してくれてるんですが。そうではなくて、意識としての死って言うのはどういうことなんだろうか…と。みっちゃんが言うように、故人のことを関係した人が忘れてしまうことがその人にとっての死だとしたら凄く悲しいことだし、それがみっちゃんのように親しくしていた関係の人なら怒りさえ覚えてしまうんだなぁと思うんですよね。

その点、浩一が轢かれて直ぐに動けてしまったのはみっちゃんの思いが強すぎたことと、もちろん浩一の未練も強かったんだろうなぁ、と…。最後に浩一サイドのお話もあって、浩一が一緒に暮らしていたご両親が実の両親では無いことが書かれていて、ショックも受けたし納得もしました。伯父さん夫婦に引き取られるのは珍しいことでは無いけど、血の繋がった両親の愛情を受けていない分(たとえ義両親からの愛はいっぱい受けていても)、みっちゃんに対する愛情の深さがあったのかな…と。

一方のみっちゃんも、両親からの愛情はあったにも関わらず、それを十分に実感できない状況にあって、本人は寂しいなんて思ってもいなかったけど心の拠り所が欲しかったのかな、その点、自分を真っ直ぐ見つめてくれる浩一に絆されて、惹かれていくのも無理のない話だったんだな、と納得が行きました。

2人の歯車がピタリと合って惹かれあったのに事故で引き裂かれてしまい、みっちゃんは光一が亡くなった後20年もその辛さや孤独と共に居たんだな…と思うと胸が熱くなりました。同級生や高校の先生など、2人の関係を後押ししてくれる登場人物がいた事はとても救いになりました。

故人を偲ぶってよく聞くフレーズだけど、その意味を考えて、せめて命日だけでもしっかりその人を思い出す時間は作らなきゃなと改めて感じましたし、親しい人が亡くなった人にも寄り添える本かな、と思います。

4

最後の一行で涙腺崩壊…。

初出は2002年の作品なんですね。
クロスノベルズ→花丸→角川と3度目の出版で
今年は2020年。
本当に20年たって最後の書き下ろしでみっちゃんもクラスメイト達も17歳から37歳になっています。凄い。

攻めである浩一くん、めっちゃいい子です。
素朴で一途で溺愛で読んでいて苦しい。
残りページが少なくなるにつれて、あーここで
何かマジック的な事が起きて
浩一くんに起きた事が覆らないのか〜、と
何度思ったか。
でもそうはならなかったよ。

受けのみっちゃんもその生育歴からか
なかなかの難しい性格なんですが
冒頭1ページから2人は凄く好きあっているのが
わかります。
そんな2人だからこそ浩一くんが交通事故にあって
即死だったにも関わらず、さも生き返ったように
高校生活を送るべくみっちゃんが古今奮闘、画策に画策を重ねる様子と、教室の演説シーンはハッキリ言ってだいぶ笑える。
でもみっちゃんが浩一くんと離れたくなくて一生懸命で必死であればあるほど読んでる私たちは悲しくて胸が張り裂けそうなくらいつらいです。

物語全体に流れる空気感は青春小説?のようでもあり所々ホラー味もあり、コミカルな言葉の応酬や
ファンタジーチックな夢のシーンもあり
ほとんどがみっちゃん視点ですが浩一くん視点の
1章が凄く新鮮で救われました。
最後の章の本当の最後の最後の文で浩一くんを想い続けるみっちゃんのあまりの一途さに
涙が止まりませんでした。

榎田先生、素敵な物語ありがとうごさいました。




4

周到な違和感の果てに


「近々、白泉社版を入手しよう」と考えていたので、角川文庫版の発売はすごくありがたかったです。
一般文庫は、BLレーベルより価格が安く、レジにて驚きました。でも、一般文庫版は挿絵が1枚もありません。そこが残念です。




<以下ネタバレを含みます>

主人公は、山田浩一と青海満(みっちゃん)。みっちゃんが語り手の一人称で、物語は進みます。
物語の最初の方で、「これは涙のエンドになるな」との予想がついてしまいました。
その予想は違わないのですが、そこまでたどり着く過程の描き方が丁寧で説得力があり、かつ、思わぬ展開を見せるので、頁をめくる手が止まりませんでした。

まず、冒頭でいきなり、浩一が交通事故で死にます。
この事故の様子、遺体の様子が、詳細かつ生々しくスプラッタ。めまいを起こしてしまいそうなほどでした。
結果、浩一は生ける死体となってしまいます。ゾンビではありません、生ける死体です。
この後の、みっちゃんの行動がすごいです。(浩一が延々と「みっちゃん」と呼び続けるので、本名の満より、頭の中で「みっちゃん」になってしまいます。)
冷静かつ沈着に、サクサクとことを運びます。
クラス委員長を説得し、わちゃわちゃ楽しいクラスメイトたちを、浩一が遺体であることを、他の人たちには秘匿するよう巻き込んでしまいます。
この謎の結束力は、高校生ならではのものでしょう。
変なことを頼んでいるシーンなのに、この辺り、妙にわくわくします。
その後も物語はどんどん進んでいくのですが、チラチラといくつも変な違和感が、私を襲いました。「これは、いわゆるミスリードというヤツなのでは…?」と思ったのですが、いつの間にかまんまと乗せられましたね。それもまた善し。
一番の違和感は、みっちゃんの冷静さです。
それは、過去の浩一とみっちゃんが語られていくにつれて、どんどん大きくなっていきます。
幼い頃の母の死。亡くなったという先生の恋人。目の前の生ける死体の浩一。
輝ける新しい生命の誕生。
みっちゃんは、次々と「死」と「生」に対峙していきます。
この物語は、まさに「生と死の物語」なのです。
ラストも近くなり、違和感はみごとに回収されて、私は涙をこぼすことになりました。
ラストのエピソードは、おそらくこの文庫化のための書き下ろしでしょう。新装版を買って、本当によかったと思いました。

6

号泣必須です

以前、単行本を読んでいましたが、文庫本が発売されて改稿されているということを知って、また読み返したいと思いました。
本筋はもちろん変わっていませんが、より深く理解できました。そして、やっぱり号泣必須です。
とくに加筆されたお話がとてもよかったです。

単行本が発売されてから20年。同じ年月が経って、高校生だった満たちは37歳になっています。
大人になって就職・結婚などを経て、コロナ禍で成長した満たちに出会えます。

きっと何年経っても満は変わらないだろうと望んでいたけど、実際目の当たりにするとやっぱり切ない気持ちになりました。
最後の言葉がグッときます。
満も読者も永遠に昨日を忘れられない物語です。

6

ホラー的BL?

皆さんのレビューを見て読んだせいもあるんですが、ファンタジーすぎて入り込めず。泣けるか?というと全く…旧作を読んでみようかな。
毛色の違う作品なので、初心者や軽めのが良い方は合うかもしれません。最後に浩一と結ばれるシーンがありますが、必要だったかなぁ。でもアレがないとBLじゃなくなるか。
本筋よりも、途中に出てくる先生同士の痴情の縺れ(から発展して自殺まで事がおよんでしまった)が気になってしまいました。

新しい文庫本なので、20年後の後日談も読めます。最近書かれたので、みっちゃんは医者になっていて、コロナ(と、具体的には書かれてません)で奮闘していたようなことも書かれてます。
これからまた20年後にコレを読んでピンとくるのかな?

残されたみっちゃんはまだ一番に出会えてないようですが、これから出会えるんだろうか。
とか考えてしまいました。

個人的には、あの先生CPの話を読んでみたいかも。

5

明るい作風だけに切なすぎました

とても良い話でした。
榎田先生らしく軽妙な掛け合いが多くて、二人もクラスメートも個性的で可愛くて明るくて優しくて、厳密に考えると超常現象だし怖い状況でもあるのに、とても爽やかな雰囲気が続きます。
浩一くんをはねた人も、二人の家族も皆いい人。
だからこそ余計な感情をもたずに二人の恋に集中して読めました。

純粋な気持ちが、過去のエピソードと絡めてより分かりやすく、感情がとてもよく伝わります。
特に、その能力から二人を支える立場にあった鏡屋さんが頼もしかった。
甘くて切なくて本当に可哀相です。
二人の仲の良さや絆の強さを感じれば感じるだけ、本当だったらこのままいつまでも続いていくはずの毎日だったんだよな、と思わせ、それが不慮の事故によって突然途絶えることになってしまう悲劇を、改めて考えさせられました。

巻末の過去話も後日談もよかったです。

6

感想

最初はギャグなのかと思いました。なんか笑っちゃいけないところで笑いそうになった。
とんでも設定。
しかしどんどん引き込まれて、最終的には泣きそうになりました。
すき。

4

家読み推奨

大好きな榎田先生の昔のお話の新装版。(前のバージョンは読んでいなかったので比較できないですが、まるっと2箇所ほど大改稿されているとのこと)高校生ものなので、どうかなぁと思っていたのですが、まんまと先生の筆力に乗せられ号泣。家読みをとても推奨するピュアピュアなお話、本編260頁ほど。最近親しい方を亡くした方は辛すぎて要注意かも。絶対忘れないお話という意味で神にしました。

白く雪が積もった朝。いつもどおりに二人で学校に向かっていたのに、みっちゃんを守るため、と左側を歩いていた浩一にトラックがぶつかって…と続きます。

攻め受け以外の登場人物は
クラスメイト(委員長、仲良しの女子、視える女子)、攻めの両親+妹弟、受けの父親+恋人、担任、副担任ぐらいかな。人生色々だ。

++めっちゃ内容に触れる感想

高校生ものはそんなに得意じゃないのですが読みだしたら止まらなかったでした。後味は悪くはないのですが、あまりにも悲しいので読み返しはできないです。

第一関門。冒頭で、攻めさんがはねられちゃうんですよね。読んでいるこっちとしては「は?」でした。そこの記載が色々ショッキングで。あちこちダメージを受けている体をなんとか見るに耐えるようにするというか、動くようにするシーンが「わあ・・・」でした。スプラッタがすっごく苦手な方はご注意いただいた方がよいかも。

第二関門。なんとかクラスメイトを言いくるめ、元通り高校生活を送るかに見えたある日。今まで普通にしてきたクラスメイトが攻めのことが無かったかのようにふるまいだすんですよね。そこがもうダメで。ここからは外では読めんと思ったんです。(だから家読み推奨としました)忘れるということが大切なことは良く分かっているんですけど、でもまだそこにいるのに!と思うと辛かったでした。今思っても涙ぐんじゃう。

神様が攻めを救うなんてことはなく、散りゆく桜のはなびらのように過ぎていく時間。最後に加筆された部分がまた胸を痛くしてくれて泣いてしまうんです。浩一は同着一位で好きな人が現れればと言ってたけど、きっとなくって、次元を変えないと多分だめなんじゃないかな。同じ競争を走って同着一位と思うぐらい好きな人って、きっとみっちゃん(受け)には現れない。相手が違えばその人その人各々のレースがあって、ゴールまでたどり着けるかどうかなのでは・・と思ったお話でした。一生懸命生き抜いた先で浩一にもう一度会えるといいよね、みっちゃん。

桜吹雪 という印象のお話でした。3月発売でしたが、ぴったりの季節だったと思います。

8

アップデートされてました

事前にクロスノベルス新書版を読んでから
今回の角川文庫版を読みました。
大幅に加筆修正されたというので、
違いを知りたくて。
確かに違いました。文章自体が違うところもたくさん。その他にも新書版では、あだ名が「ミッちゃん」だったのが「みっちゃん」に。
(もう一人カタカナあだ名の子がひらがなになってました)
これは新旧すぐに見分けつく様になのかな?
キャラ自体が変わってるところもいくつもあったり、大きな流れを変えずに全部書き直しされていて大変な作業だっただろうなと思いました。

違いをメモで書き出してみたのですがここでは知りたくない人もいるかと思うので書かないでおきます。

文庫版で追加されていたエピソードがとてもよかったです。
・初めて二人でキャンプ旅行に行った話
・浩一のモノローグ
(思いもよらぬ事が語られていて、お父さんの言った「どうにもそわそわしちゃって……こればっかりは慣れないな。もう三回目なのに」がこう言うことか!と驚きと共に納得しました。)
・今のご時世を反映したエンディング

今作のみっちゃんと浩一の方が絆を感じられる描かれ方をしていたのでそこもグッときました。
どこか満たされなくて寂しくて誰かに[一番大事][一番好き]って言われたくて思われたかった満と浩一。
自分が居なくなってからのみっちゃんの事を心配して
「一番好きが二人いたらダメなの?」って質問にも切なくなったし、一番好きが二人にならなかったみっちゃんの20年間もどんな切ない日々だったんだろうと思ってしまう。
ラスト226ページ以降うるうるが止まりません。

17歳だったみっちゃんが、最後37歳になっています。新書版が発売されたのが2002年、ちょうど今年2022年で20年経ってるんですよ。
17歳だった子が37歳になるだけ年月が経過しても色褪せない作品です。

新書版、文庫版どちらも良さがあったので読み続けていきたい作品です。

14

「永遠の昨日」のままのみっちゃん

月末だというのに、我慢できず電子版購入してしまった。 

三度も再刊された人気作。
姐さんがたのレビューを要約すると、「痛哀しい究極のワンコ攻め」。(実は、ワンコ攻めの意味を私は知らない)

①永遠の昨日        山田ユギ  クロスノベルス 2002年2月15日
⓶永遠の昨日(新装版)  紺野キタ  花丸ノベルズ  2010年11月18日
 花丸文庫お試し読みマガジン ワンコセレクション   2015/04/01~
③永遠の昨日       丹地陽子  角川文庫    2022年3月23日~ 

「@edayuuri 過去作を大改稿したものなのですが、まるっと書き下ろしたパートが二箇所ほどあります。」https://bit.ly/3uzqoFe
・・前作を読んでいないので、どこが加筆部分か分からない。 あとがきも無いし。 

・・加筆部分は、完結部の37才、医師になった満についてだと思う。 
悲しみは経年により角が取れて丸くなったけれど、37才になっても、未だ浩一の消え際の言葉が残っている。

「みっちゃん、俺と同じくらい、好きになれる人と出会って」 

こんな言葉を置いていかれたら ・・逆に忘れられなくなるじゃない?
浩一は雪の降る日に事故に遭って、暫く満の傍にいた。他のみんなにも浩一は見えていた。
死体の浩一が消えたあの日は、満にとっては「永遠の昨日」のまま。
浩一が自分の死体をどうしたのか分からないけど、ちゃんと事件にならず処理できたみたい。(さすがファンタジー)

もし「魂魄だけでもいいから傍に居て、と思う誰か」が居る人が読んだら、
満の今が、どうにもこうにも切なくてたまらなくなると思う。

★榎田ユウリ/榎田尤利先生にマシュマロを投げよう、が、開いてます。https://bit.ly/38dZDil

10

この作品が収納されている本棚

マンスリーレビューランキング(小説)一覧を見る>>

PAGE TOP