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本編の解釈に大きな影響がある話を本編に収録しない商売の仕方には常々憤りを感じるということは表明しておかねばならない。
シリーズ完結。様々なビルア種の身体をのっとっている間、ずっとカリカリしていた彼が、最後は穏やかな生活を手に入れたのは良いとして、引き換えにした命は多過ぎるんだよな、と思う。間接的な大量虐殺犯なんだよな。それもかなり自己中心的思想の。ただただ無力のまま傷をつけられた存在もいたわけで。
高IQが揃いも揃ってちょっと間抜けすぎるよな、というのも気になってはいる。その力におごっていると所詮こんなもんなのかもしれない。
ラム・ディーバが新人女優だった頃から、love escapeでは「結構いい年」まで経ってるのね。
シリーズの中では2巻収録のジョン&ニコラスが一番好きでした。シリーズ序盤の本の方がワクワクする感じがあった。
シリーズの最終巻。
このお話にはまってからというもの、ケモミミを見てはビルア種?と二度見するくらいにはどっぷりです。
5冊目の「love escape」では、O(オー)はとっくに絶滅していて、しかもOのことが教科書に載っていた未来の世界でした。
それも絶滅は30年前だというので、一体何があったのかとても気になっていましたが、その全貌が本書で明かされます。
4冊目の「endless destiny」からの続きでもあることも嬉しかったです。4冊目巻末のSS「Rainy」が実に不穏で、あの薄暗い思念と本書の初期パトリックの得体の知れ無さとは容易に結びつき、唯一大事にしている指輪が決定づけました。
本書の素晴らしいところは、その魂をも救ったことです。
復讐だけにとらわれて、乗り換えても乗り換えてもその機会を狙っていた彼。
本当であればあの裁判の場面で終結するところだと思うのですが、そうならなかった。
もう読み進めるまでまったく結末も見えてこないし、話がどっちに転ぶのかも分からない。
そして得られた最後(購入特典の書き下ろしペーパーのSSまで含む)は納得のいくもので、幸せな気持ちにもなるもので、パトリックの魂もシドの魂も救われるものでした。
終わってしまうのは淋しいけれど、(いや、どこかでSSなどでお目にかかれる日が来ると信じてますが)こんなに満足度の高い作品群を世に出していただけたことに感謝しかないです。
あとがきで、本書を書くために4冊目を書いたようなものだった、とあり、壮大すぎて震えました。
バーンズが「虫」の概念を崩す漢だったのも、6冊目にして新たな発見でした。
表紙のイラストがとても良いです。シドにパトリックにタンカー。美しいミモザの木の下にはサンドラとビゲル。いつまでも見ていられます。
パラスティック・ソウル、シリーズ最終巻。 この物語を読めてよかったです。 協力書店の特典が真の最後ですよね…文庫に収録されてないSSですが絶対に読んで欲しいです。 ある人物の強い願いが叶う時、どういう最後を迎えたのか見届けて欲しいです。 愛を知ってしまったが故に、Oである彼が起こしたことその後を読むことが出来て良かったです。 若干のネタバレですが、シリーズで4巻が1番好きなのですが……もうその事が明らかになる瞬間の鳥肌でした。 まだ読んでない方、4巻読み返してから読んだ方がより良い読書になるかと思います。
ケモミミ近未来シリーズ♪っていうファンシーな設定から想像できない哲学じゃね…?!なガチな内容ですがとても読みやすいので安心してください。私はシリーズの最初から読んでるのですが、単体でも楽しめるんじゃないかなと。あと、ここから初めて興味をもったら遡って読むというのもいいかもしんないです!
こちら小説D+誌掲載時に読んで最後の”O”、もはや狂気!なんて震えたので、文庫を手に入れてからしば~らく積んでたのですが、、やはりというかさすがというか、読み始めたらあっという間にその世界観に引き込まれまくり…。また、描き下ろしもあって、以前おぼえた恐怖wとは違う印象がありました。この物語に流れる切なさの説明は難しいぜ…と心をまるっともっていかれるような読後感がありました。サブタイトルの”unbearable sorrow"、耐え難い悲しみってゆーのかな(直訳まんまだと)、やはりここは極北的切なさですね。恋愛って一人でするものでもないんだろうけど、結局一人にならないとわからない気持ち、それを知って自覚する感情みたいなものなのかもしれないなと思うのでした。
徹頭徹尾突き放したような視点で語られるような文体が、この残酷な物語をとても読みやすくしてる気がするんです。主人公が抱える感情の矛盾に「いやもう、お前は何がしたいんだよ~!」ってなるんですけど、こういう複雑さを読み易い文章で伝える巧さは、安心安定の木原先生です。
物語の途中まで、あれ~?こいつって~?、、パトリックと名乗る「O」の正体を忘れてたんですけど、あぁ!あのアイツね~!ってなる瞬間の楽しさがシリーズ読破組にはあります。物語ごとに姿も名前も変わる「O」なのに、きっちりそのキャラクターに一貫性があるのが面白いです。本当に不思議じゃないですか?名前も顔も変わる相手を特定のひとだと判別できる魂レベルの感覚って、なかなか人間には得難いものだと思うんですよね。正直、このパトリックが執着しているジェフリーってそんなにいい男だったっけ?っていうところがありまくるんです。むしろ、この人はハルの内面以上に”肉体(見た目)”に執着してたような印象すらあったんで、そこに人間と”O”との本質的な違いを感じずにはいられなくて、パトリックが哀れに見えました。
”忘れない”っていう特性って苦しいことだと思うんですよね。タイトルとこの特性を持つ完璧な”O”の存在がリンクしてしまいました。過去の楽しい思い出を忘れないから、その後に思い返すことで失った悲しみを繰り返すというところで、サンドラとシドとパトリックとの疑似家族の件は、本当に涙腺にくるものがありました。最初に読んだときは、木原先生なだけになんか不穏な展開もあるんじゃないかと勝手にドキドキしたものですが…。この件は全体からみた分量としては短いけれど、都市部と対照的な自然の豊かな色彩が描かれている視覚的な部分や、いろんなことを考えさせられる示唆的な描写がぎゅっと詰まっている密度の濃いパートだなと思いました。
本編のオチ…まるで文芸のような曖昧さで、あぁこういうのもアリだなって思いながら、ふいにピラっと挟まれてるおまけSSを読むと、なんとゆーハピエン!!ってノックアウトされるのでした。萌えるとかそういう表現で評価できない神作品です。
ラストエピソードとありますが、実は前作しか読んだことはありません。なのでパトリックという人物はこの作品の中からしか知りようが無いのですが、なんて愚かなとしか思えませんでした。
そして1人の私恨によってあのOにこんな未来が待って居るとは思えなくて、やはり木原音瀬先生の紡ぎ出す物語は一筋縄では行かないと思ってしまいました。
他の方のレビューに外では読まないようにとあったので覚悟していましたが、終盤はサンドラとシドの間に流れる愛情に涙が止まりませんでした。
そして同じ年月だけ一緒にいたはずなのに、この2人から何も感じ取れなかったパトリックが愚かに思えたのでした。
本当の愛をシドは知っていて、あれだけジェフリーに固執してOの滅亡に関わったパトリックは知らなくて、シドを失った時に初めて愛を知ったと思うととても感慨深かったです。
