• 電子書籍【PR】
  • 紙書籍【PR】

表題作暁に堕ちる星

黒田宗晃 大企業の経営者 /篤行 息子で跡継ぎ
清澗寺貴郁 清澗寺家の養子で長男

その他の収録作品

  • 暁に光る星
  • あとがき

あらすじ

和貴の養子・貴郁は、生きている実感がわかず、自分を抑え込みながら過ごしていた。そんな貴郁の元に、縁談話が舞い込み…!?

作品情報

作品名
暁に堕ちる星
著者
和泉桂 
イラスト
円陣闇丸 
媒体
小説
出版社
幻冬舎コミックス
レーベル
リンクスロマンス
シリーズ
この罪深き夜に
発売日
ISBN
9784344829589
3.8

(28)

(11)

萌々

(8)

(5)

中立

(1)

趣味じゃない

(3)

レビュー数
8
得点
103
評価数
28
平均
3.8 / 5
神率
39.3%

レビュー投稿数8

愛は全てを救う


和貴の養子で長男、貴郁のお話。
前作では明かされていなかった彼の内面に迫れます。

義父、義兄との3P、二輪挿し、他者に情事を撮影させるといった特殊な濃厚要素てんこ盛りなので、刺さる人とそうでない人に分かれそうな作品ですね。
かく言う私も苦手設定ではありましたが、和泉さんの重厚なお話の前では好みも重要ではなくなるのが凄いです。

それよりも何よりも、貴郁の初恋の相手が和貴だったことが衝撃で色々考えてしまいました。
おまけに深沢によりそんな父の痴態まで見せつけられて……さすが深沢……じゃなくて!
凄く私好みだったので、そこばかり思い出してしまい駄目ですね。

あんなにも理想的な父親であろうとしても貴郁にとってはそうでもなく…守ってあげたくなるような父親と称された和貴がほんまそれなすぎて…宗晃に惹かれてしまう貴郁には少し複雑な気持ちになりました。
最終的に結婚を喜んでいましたが、貴郁の行き着いた先を知らない和貴のことを思うと…この真実は頼むから墓まで持っていってくれよなって思います。

愛を求める貴郁にはとても心を打たれました。
注いでくれる相手が二人もいるなんて…本当に羨ましい限りですね。

どんな重荷を背負ったとしても、そんな相手が見つかるなら清澗寺家の一員になってみたいぞと思うくらいに(笑)今回もたっぷりとした愛のお話を見せてくれます。

3

抑圧は体に悪いことがよく解りました

『抑圧されて育つことがどれだけ不幸を生むか』について深く考えさせられた物語でした。
それもねぇ、今作の主人公である貴郁は、養子に入った和貴に捨てられまいとするあまり自分で自分を縛ってしまっているから、他者からの力によって抑圧されているよりもたちが悪い。
そんなことを思っていて、ハタと気づいたのは、このシリーズは清澗寺家の淫蕩な血を巡って展開していますけれど、実は『家』というものに抑圧され続ける一族のお話なんじゃないのかしら?ということ。

時代の変遷からそう感じたんですよ。
貴郁は冬貴の血を最も色濃く継いだ人物とされていますが、冬貴は「これぞ清澗寺家」として書かれた人ですよね。そして、彼にはその血に対する葛藤がない。自由に淫蕩に生きているんです。
これ、大正デモクラシーの影響なんじゃないでしょうか?
家の血を色濃く残しながら、家制度の崩壊を暗喩させる冬貴。
家からの呪縛を呪いながらも、家の崩壊をくい止めるために、家が受け継いできた『血』を利用し、そうすることで更に傷ついていく和貴。
『家』と言うより『親(和貴)』との関係(子どもである自分の居場所)を確保する為に色々面倒臭いことになってしまう貴郁や泰貴。
これって、所謂『家制度』がそれぞれの時代にどう捉えられていたかということを如実に表している様に思えたんです。……考えすぎかな?

清澗寺家の為の政略結婚だと思って黒田家の令嬢と結婚した貴郁ですが、実は義父(宗晃)と義兄(篤行)が貴郁を手に入れるための策略だったというお話で、貴郁は2人に共有され3Pのエロエロシーンがてんこ盛りなんですね、このお話。
これ、読者サービスじゃないんです。
貴郁が自分の淫蕩さを受け入れるために絶対必要なものとして書かれているんです。
この2人の攻めによる3Pシーンによって、貴郁が「自分が自分のままでいてもいい」「取り繕わなくても自分は愛される存在だ」と気づくシーンのなんと美しいこと!
抑圧された子どもが解放される名シーンだと深く感銘いたしました。

お話の完成度から言えば『神』なんですけれど、私、実はエロエロがそんなに得意じゃないのね。ちょっとお腹いっぱいになっちゃって(笑)。
耽美好きの元気な姐さまであれば、とてもとてもご満足いただける1冊だと思います。

7

誰よりも濃く…。

本誌で読んでいたので流れ的には知ってる話と言えたんですが。
いやー、やはり改めてこうして読んでみると濃いですよね。
貴郁という人は誰よりも清澗寺らしいというか、誰よりも濃く冬貴の血を受け継いでいるような。
和貴とかよりある意味、たちが悪い感じですよね(笑)
和貴の場合だと普段からどれだけ律していてもダダ漏れ感があるというか、本人もその色香の部分をわかっていて武器としているような部分もあるけれど、貴郁はそうじゃない。
あくまでも、本人としては清澗寺らしくない、自分だけが異質のように思い込んでいる部分があって。
その生真面目な部分と色欲の部分ギャップがまたふり幅が大きくて印象としてより濃く映る。
相手が2人だということも濃く映る部分の1つですよね。
これまでの人物たちはどれだけ回り道をしても最終的には「唯一」に出会って、それ以外は考えられないような状態で。
なのに、貴郁には「唯一」が2つある。
心と身体がそれぞれに求めるものが別々に存在したがゆえに2つになってしまったともいえるし、人一倍欲しがりだから1つでは足りず2つになってしまったとも言えるでしょう。
個人的には宗晃との方が好きなんですが、貴郁には絞れないんですよねー。
貴郁がきっと愛に飢えた人だから惜しみなく言葉にして注いでくれる篤行もまた必要な存在なんでしょう。
清澗寺家ではキリッとした印象の貴郁が2人との閨の中では甘えているような感じなのも印象的でした。

そして、印象的といえば深沢(笑)
もう、この人はホント、世界全部が敵!くらいの勢いで和貴の周りの人間を排除していきますね。
それも和貴が靡くことが不安だからではなく、きっとただ自分以外の人を見てほしくないというような独占欲のような感じですね。

あと、藤城。
前作から考えるとかなり変わった印象ですね。
ようやく自分の中で「愛」の価値を見つけられたことで周りにも思いやりのようなものを持てるようになったってことででしょうか。

さて。
次回は世代を戻して、また国貴たちの話に戻ってクライマックスということで楽しみv
はたして、そこに浅野は出てくるんでしょうか?(笑)←浅野大好きなんです!
やはり無理かなぁ…。
とにかく楽しみに待ちたいと思います。
藤城たちのその後も見てみたいなぁ。

6

濃厚

発売されてから評判を見てから購入を決めよう。と思っていまして必死にレビューを探している自分に「そんなに気になるんなら買うしかない」と思い直し新書plus2段組みという高いハードルの本ですが手に入れました。
深沢と和貴には隙間がないほどのきずながあり、伏見ともかつて関係があった和貴ですが、この3人が3pというのはありえないので、それに似て非なるというか、進化したような、叶わないものがかなったような、うまく表現できないですけど、この黒田親子と貴郁の関係はそのような感じに思えました。
この世界観で3pが書きたかった、ということですが、せいかんじというだけでも相当濃いのにさらに3pということで、かなりお腹一杯になります。
せいかんじシリーズも3pも好きだという方はかなり満足のいく内容だと思います。
ガッツリとしたものが食べたい時におすすめという感じです。

4

とても濃密で背徳な関係

今回の主人公は貴郁でした。
個人的に「暁に濡れる月」から気になっていたキャラなので
とても楽しみでした。読み終わったあとは、こう来るのか(笑)と思わされましたが。

この話の関係性は端的に言うと3Pなので好みが分かれると思います。

私は3Pあまり好きな方ではなかったのですが、このお話に関しては
「これもまた1つの幸せなのだろう…(この人達の中では)」
と思わされました(和泉先生の耽美な作風に酔わされましたw)

貴郁という人は和貴の影響をとても受けて抑圧されて育った子なんですね。

貴郁の義父であり実兄である和貴は、自分のようになって欲しくないという思い、
もしやり直せるならという思いから、貴郁に「清澗寺に似つかわしくない人間」
になるよう言い聞かせ育ててきました。
けれどそれは貴郁の本質とは違う育て方で貴郁こそ清澗寺の血を色濃く引き継いで
いたのです。

貴郁が我慢して生きてきたのは、和貴への愛情や複雑な出自など色々な
要素が加わっていると思いますが、その長い間植えつけられた抑圧を
解いたのが黒田親子です。

自分たちの手の内に入れるため秋穂と結婚させる黒田親子(しかし秋穂は
気にしていない)清澗寺もアレな一族ですが黒田家もアレです…w
じわじわと貴郁を懐柔していく過程は読み応えがありました。

秋穂の兄・篤行にとって貴郁は初恋の相手であり、
秋穂の父・宗晃にとって貴郁は片思いした女性の忘れ形見。
貴郁の「お義父さん」「お義兄さん」呼びは背徳感をすごく漂わせています。
濡れ場もすごく濃厚な感じです。

ただ疑問は、篤行が「秋穂なら貴郁との子を残せる」発言をしているのですが、
そこまで子供が必要だろうか…と思ってしまいました。
秋穂は父兄、貴郁の関係性も分かっていて貴郁とは利害の一致で結婚したような夫婦
関係で、なにより宗晃+篤行×貴郁ですごいイチャイチャしてるのに(笑)
子供作れるの…?みたいな疑問が。

シリーズ最新巻、とても耽美で背徳で濃密な作風で満足でした!
次巻からはクライマックスにとうとう入るようなので最終巻まで見届けたいなと
思います。

6

この作品が収納されている本棚

マンスリーレビューランキング(小説)一覧を見る>>

PAGE TOP