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表題作隣人は恋人のはじまり

小野圭司,マンションの上階に住む歯科医師
堂島蛍,会計係の主任

同時収録作品その後の眠り王子

宮村周平,デリの常連から恋人になった会社員
堀篤史,デリのオーナー,料理教室講師

その他の収録作品

  • あとがき

あらすじ

癖、偏屈、偏食で意固地な経理部会計主任の
堂島 蛍がこの世で一番愛するものは、静寂と清潔だ。
人に好かれたいと思ったことはないし、
恋愛とか結婚とか、わずらわしいことは人生から排除している。
だから、今はとても幸せだ。……幸せな状態のはずだ。
そのはずなのに、なぜか胸がざわざわして、蝶のつがいにさえいらついてしまう。
そんなある夜、酔っぱらった蛍は勢いで恋人代行業の便利屋に電話してしまう。
現れたのは、清潔な匂いのするハンサムな男だったけど!?

作品情報

作品名
隣人は恋人のはじまり
著者
月村奎 
イラスト
木下けい子 
媒体
小説
出版社
大洋図書
レーベル
SHYノベルス
シリーズ
いつも王子様が
発売日
ISBN
9784813012986
3.8

(113)

(27)

萌々

(55)

(20)

中立

(8)

趣味じゃない

(3)

レビュー数
16
得点
423
評価数
113
平均
3.8 / 5
神率
23.9%

レビュー投稿数16

これぞツンデレ

眠り王子にキスを、は未読ですが、これだけでも大丈夫でした。

受けの蛍が、とにかくカワイイ。
攻めの小野先生が惹かれるの、わかります。
拗らせちゃってツンツンしているのに、根本は優しくて極度の照れ屋さんなんです。
作中ずーっと空回りしていて、一所懸命さにほっこりしちゃいました。
この蛍の「ツン」が、私には可愛かったのですが、苦手な方もいるかもしれません。

小野から「好き」がだだ漏れしているのも良かったです。
強引に思うほどグイグイ押してます。
蛍みたいな性格なら、このぐらいじゃないとダメな気がします。

お話の流れは有りがちなのですが、最初から最後までストレスなく(途中、切ない場面はありますが、先は読めるので)読めて、正月疲れした身体に優しい作品でした。
安心の月村先生クオリティ、大好きです。

0

都合よくハマる

何せ、この二人の出会いが「恋人代行頼もうと思ったら、都合よくご近所さんに助けてもらって、さらに代行業者と間違えたまま色々しちゃった」なのですよね。

ま、攻めの小野の方は引越しのご挨拶の時点で、好意を持っていたというからキッカケに過ぎなかったんだとは思いますが。
受けの蛍は生い立ちがちょっとややこしくてねじ曲がって育ってしまったということもあって、素直じゃない性格です。ツンデレなのか、もうその域じゃない気もしますが。

物語は二人の距離の詰め方というか小野の近づき方というか。
それを軸に蛍の病んでる思考回路を追う形で進んでいきます。最初は気がつかなかったんですが、「眠り王子にキスを」の宮村が出てきてました。単なる同僚かと思いきや、篤史の彼氏だった宮村でした!
蛍が唯一?ちゃんと話せる同僚でしたが、蛍にもカムアウトして恋人が男性だっていうシーンに萌えました。
きっと蛍に心理障壁を低くする一つのきっかけでもあったと思いました。

最後は小野のうっちゃり的な展開でめでたく結ばれるわけですが、小野みたいな人がいたら世の中楽しいだろうな。

0

強引な歯医者さんとツンデレリーマンに萌え

ツンデレで無愛想なサラリーマンの蛍が、モテモテな歯医者さんの小野に翻弄される姿が本当に可愛くてたまりませんでした。
ものすごくお酒に酔った蛍がお姫様抱っこをリクエストしたり、キスをねだる姿にキュン…。
小野はイケメンでモテモテなのに、潔癖、偏屈、偏食な変わり者の蛍をどの辺から好きだったのか…。
小野が蛍にしつこく?仲良くなろうと近付いていくのが、手懐けている感じがして好きなポイントです。
小野の言葉攻めと、ちょっと強引っぽい濡れ場がものすごく好みです。

0

歯医者さんが無敵

月村先生祭りで。
自分の欠如感を生まれのせいにも環境のせいにもしたくなくて、そんな自分が嫌で嫌で、でもそのいちばん辛い部分にぶつけずにいられない蛍を、わりと容赦なく正直にさせていく攻様の小野さんがとても魅力的です。
スパダリともちょっと違うんですけど、なんとも言えない大らかさと憎めなさ。つかめなさが逆に小憎いくらいでした。ホームの歯科医院では診療してるだけでえっちでした。
最高潮に、くぅぅぅそういうとこ!てなるのは次のお話の「その後の眠り王子」でした。
全部わかってて宮村くんに蛍のぶんまで謝ってた小野さん!!なんだやっぱりスパダリか!ていう(でもちょっと違う)…ここでいちばん悶えました。

冒頭からしばらく、蛍の感じ方がほんとにしんどくて…女性性や生殖、人そのものへの嫌悪がむき出しで読んでいてすごくすごく辛かった。
月村先生の描写や人物のつくりがすごいてことだと思うのですが…あまりにリアルに文言がしんどくて、挫折しそうになったあたりで、
小野さんがぐいぐい蛍を解していって、蛍のコミカルさに余裕が出てきて、後は一気に読めました。
甘えたいとき、ふわふわのパンケーキみたいな柔らかい何かに包まれたい、て蛍が思うくだりが、刺さり過ぎました…。
木下けい子先生の挿絵も、蛍の可愛げを最大限に見せてくださってて読み始めのしんどさを助けてくれました。
小野さんの謎の余裕もイメージぴったりでした。

ただひとつ、小野さんに勝手に残念だったのが、出会い方からして偏屈で自分勝手な蛍に構う理由のなかに「美人で」というのがあったこと。
作中で蛍が美人なことはほとんど生かされてなくて、そこがまたこのお話でとても好きな部分なのですが、どうせなら蛍との勝手な掛け合いを楽しめる小野さんには、蛍の中身でまるごと見て欲しかったなあと…、
小野さんが、いい人なだけでないとこが好きだけに、本編読み中はつい理想を求めてしまいました。
でも後のお話で挽回以上でしたやっぱり小野さんズルイ〜!
寛大で食えなくて、月村先生の攻様の中でもダントツに好きです。
二人のお話としてはくっついて終わったようなので、どこかに続きがあるなら知りたいです。

4

一人こじらせさんの救世主?王子様?

眠り王子にキスを、を読んでいないけど本編は大丈夫でした。

堂島蛍と小野のお話。

蛍に共感しながら読んでました。
蛍ほど潔癖で偏食じゃないけど自分と似て、兄弟が多くて早く実家を出たく、人から浮いてしまうが本当は構われたい仲良くなりたいけどうまくできないから一人がいい。
小野に構われてモヤモヤぐるぐるするところは、友人未満?な人に対する自分の気持ちを思い出させました。相手はどう思って構ってくるんだろうとか。
きっとつまらない相手だと気付けば去っていくだろうと自虐的に思ってしまったり。

小野は蛍に何を言われても笑って自分に都合のよい様に受け取り気付けばすっかり小野のペースに。
そして一人が幸せ!でも最近人恋しい蛍を構ってきます。男女両方いけるとか蛍が好みのタイプだったとか言われて経験のない蛍は戸惑います。
小野の行動や言葉にぐるぐるする蛍が可愛かったです。一人突っ込みとか。

偽恋人ダブルデート事件もすっかり見抜かれてましたね。
そこからの小野の追い詰めも良かったです。
一生蛍を構い倒して甘やかしてでも一人になりたいときは一人にしてあげてください!蛍をよろしく!

1

この歯医者、腹黒だと思う~

眠り王子にキスもよかったけど どちらかと言えばこっちの方が好き。
前作は 受けさん周囲の環境が厳しすぎて読んでて痛かった。
こっちは、腹黒っぽい歯医者と 転がされる 意固地 純情さんとの掛け合いが面白くて(そう、他人事だから安心してげらげら笑える)萌2.
無責任な親が出てくるので ちょっとムカってするけど、
全然まだまだ許容範囲。
無責任親がダメ という方は ちょっと嫌だなって思うかも。

表題作が200ページほど。「その後の眠り王子」が15Pほど。
相変わらず素敵な素敵なけい子先生の挿絵。
大好きなんだよなあ・・・うっとり。
カラー口絵は、酔っぱらった受けさんが攻めさんと初同衾した翌朝の図。
攻めさんめっちゃ嫌な奴~よゆーの笑み(笑)
焦る受けさんの表情が、本編すべてを表してる~

本編の中表紙には手をつなぐ二人の立ち姿が。
歯医者、めっちゃ爽やかに微笑んでますが、本編読んだ後は
私には腹黒の笑みにしか見えない(爆)

眠り王子の攻めさんが、本編受けさんの同期という設定。割合活躍。
(「いつかも王子様が」のヒナちゃんと佐原も 
  最後のショートに名前だけ出てきます) 
眠り王子読んでた方が楽しいとは思いますが、
これだけでも読めると思います。

攻めさんは受けさんと同じマンションに住む開業医(歯医者)。
老若男女問わずモテそうなやつ。
受けさんはリーマン、数字にまじめな会計係。攻め受けともに30歳。
一人でマイペースで何が悪い!的な受けだったのに
最近は寄り添ってひらつくちょうちょにまで当たり散らし気味(爆)
そんな時に出会って、攻めさんが好みだからとあの手この手で懐柔し
くっついちゃう というお話かと。

何が楽しいって、攻めさんが言いくるめて、いいように受けさんを
転がしていくところが、めっちゃ楽しい。
男同士でもソファが一つしかなかったら、後ろ抱っこして支えるとか云々・・・
そんなわけあるかーーーーーーと一人突っ込み、大爆笑。
本当に攻め受けの掛け合いが楽しい作品でした。
ちゃんと幸せになるしね!

眠り王子の短編には深く深く考えさせられる言葉が。
(相手がいるがために)「考えた通りに事が運ばない瞬間こそ
生きていることを強く感じる」
いいなあ、そんな風に感じられる人を見つけることが出来て、
一緒にいることが出来て。
こればっかりは努力しても、そんな風に思えない関係もあるもんねー。
二人が本当に幸せそうで、本当にうれしく思いました。
読んでる皆さんにも、そんな素敵な出会いがありますように と
きっと先生は思ってくださった と信じよう♡
さあ、明日も頑張るぞ!

2

恋愛なんてクソだと思っていても、淋しくなることはあるもので

サラリーマンの蛍は人間関係を良好に保ちたいという感覚が希薄で、偏狭で意固地。
変化の無い日々と、一人の時間を愛しており、恋愛、ましてや結婚なんてわずらわしいと思ってます。
同期の宮村も自分と同じで一人を楽しんでいるから、モテるのに一人身なのだと思っていたら、実はそんな宮村にも恋人がいる、と知ります。
周りがみんな恋だの愛だのに浮かれているのに、自分だけ取り残されたようで淋しくなってしまった蛍は、便利屋のチラシに書いてある『恋人友達代行サービス』に酔った勢いで電話をします。
蛍は、現れた男に管を巻き、お姫様抱っこをせがみ、キスを強請り、らしくない姿を曝します。
翌日、酔いが醒めた蛍は便利屋を呼んだことを後悔するのですが、電話をした履歴がありません。
実は蛍が便利屋だと勘違いしたのは、蛍の住むマンションの上の階の住人だった!・・・という出会いから始まる物語です。

蛍がかなりの偏屈なんですが、私は結構共感出来てしまいました。あそこまで綺麗すっぱり会社での人間関係を構築せずにやっていくなんて羨ましいな・・・
この物語、攻の小野圭司が蛍に対してぐいぐい押してくるんです。狙ってますオーラがかなり漂っています。
蛍に共感して読んでいたので、小野に気にかけてもらって嬉しい反面、鬱陶しさも感じてしまいました。
私は、小野があまり好きになれませんでした。悪くない男なんですが・・・強引。なのに、冗談から始まったダブルデートは中止にしないし・・・
お互い偽のカップルでのダブルデートは、物語を進める上で鍵となるイベントではあるのだけれど、小野の性格から考えると直前中止か、デート中に蛍を掻っ攫うくらいはして欲しかったかな・・・と勝手ながら思ってしまいました。

「眠り王子にキスを」の攻・宮村が作中に結構出てくるし、巻末には「その後の眠り王子」なる短編が付いているので、「眠り王子にキスを」が好きな方は是非!
相変わらず宮村はカコイイし、宮村に愛されることで前向きになった篤史が読めます!この二人、本当に最高にお似合いのカップルですよね!
幸せな短編をありがとうございます!!

月村さんの作品はまだ2作しか読んでいないのですが、受けの後ろ向きな性格が結構ツボです。
この物語も、その部分はとても萌えました。
日常と地続きなのに、優しい雰囲気に包まれていて・・・素敵な作品を書かれる作家さんのようなので、他の作品も読んでみたいと思っています。

4

意地っぱりな所が可愛いのです

気負わずに楽しく読めるラブコメです。
随所にクスッと笑える描写があるので、読み終わった後は元気になれますよ〰。

意地っぱりでひねくれ者だけど根は純真な受けと、一見好青年だけど一筋縄ではいかない攻めです。
もともと同じマンションに住んでいて、ゴミ出しなどで接触があるにも関わらず、受けはその他人への関心の無さから攻めを全く認識していません。
しかし受けの勘違いをきっかけに攻めと交流を持つ事になります。

受けはその性格からかなり口が悪いし、攻めはひょうひょうと上手くあしらっていて、この応酬が面白くてニマニマしてしまいます。
もともと、意地っぱりでひねくれ者の受けが、口の上手い好青年風だけど意地悪な所のある攻めに上手いこと言いくるめられたりして掌で転がされるという設定が大好きでして( ´艸`)

受けの方もいまいちつかみ所の無い攻めにじれて「同僚から告白された」とアクションを起こしますが、すぐに嘘だろうと見抜かれてしまいます。ここで攻めが、もう少し焦ったり嫉妬したりすると受けへの愛情を深く感じられたのですが…。
余裕がありすぎる分、受けへの思いがしっかり感じられないのが残念な所でした。

そしてHが少なめではあるんですが、受けの反応や言う事がいちいち可愛くて萌えます!
事後の会話も、ものすごく二人の性格が出ていてニマニマしちゃいます。

短編は『眠り王子』の二人ですが、こちらも素直になった篤史さんが破壊力抜群でキュンキュンしました。
一冊で二度おいしいです(^^)

3

可愛らしいCPでした

月村作品の中でダントツに好きな「眠り王子にキスを」のスピンオフと聞いて手に取ってみました。ネガティブな受けにキラキラの攻め。月村さんらしいストーリーでした。

受けの蛍が人付き合いが苦手で、ネガティブで、几帳面で、という性格なのは家庭環境が大きく作用しているのですが、そのあたりがきちんと書き込まれているので共感できる。
性格上、素直に甘えることが出来ず意地を張ってしまうけれど、「愛してほしい」「甘えたい」という彼の本質が非常に可愛らしかった。

小野さんもビジュアル的に好みの蛍に、間違いとはいえあんなに可愛いことされたら、そりゃ惚れちゃうよねえ。ただ彼のちょっと掴みどころのない感じがちょっとなあ、とは思ったりしました。好みの問題なのですが、個人的に包容力のある攻めの方が好きだからだと思います。

「眠り王子~」はお互いを想うあまり慎重に進む恋だったのに対し、こちらのCPはちょっと子どもっぽくて意地の張り合いをしてしまう、そんな可愛らしいCPでした。

そしてここでも宮村さんは素敵だった…!宮村さんと堀さんのCPが読めてうれしかったです。この二人のその後のストーリーがすごく読みたいです。続編書いてほしいなとか思いつつ。

木下さんの優しい挿し絵もストーリーに合っていてよかったです。

8

安定の面白さ☆

穏やかだけど強引な攻めと意地っ張りで実は寂しがりやな受け♪
可愛さと燃えがいーっぱい詰まったカップルでした>///<

あんまり意地っ張りすぎる受けって得意じゃないんだけど
月村さんの作品だと素直に読めてしまうから不思議っ!

二人のやりとりが可愛くて可愛くて
声を出して笑ったり突っ込んだりしちゃいましたw
癖のある二人だけど相性はバッチリ☆

残念だったのは、短編が別カップルの話だったこと・・・
せっかく表題作の二人に萌えまくって読んだから
最後まで二人の話がよかったな~・・・

4

意固地な受け

前作品「眠り王子にキスを」の攻め様が、
今回の受け様の会社の同僚として登場されます
ちょいちょい、今回の受け様とのからみがあったり
今回のカップルの痴話げんかに巻き込まれたりしますw

前作品を読んでいなくても読めますが、
その同僚として出てくる方のカップルが気になるとは思います

つかみどころない愛相のいい、受け様には意地悪な攻め様
気難しくて日々決まった事を淡々とこなしながら、
自分は幸せだと思いこんでおこうとする寂しがりやな受け様

きっちりしていたい受け様ですが
攻め様にその生活も見だされて、わけがわからないうちに
好きになってとあたふたしている所が面白いです

攻め様がしょっぱなからひょうひょうとしていて
意地悪な所が、つかみどころもなくて受け様を不安にさせてしまいますが・・・

すらりと読みやすい作品で
前作品のカップルのその後をかいま見れて嬉しかったです

5

笑いあり、切なさあり

「眠り王子にキスを」のリンク作品
攻めの宮村が主人公の会社の同僚として登場する。
前作を読んでなくても楽しめるが、巻末のSSが幸せそうな前作の二人なので
是非順番に読まれることをお勧めします。

             * * *

偏屈で意固地な経理部勤務の堂島蛍は、
その育ちの反動で、静寂と清潔をこよなく愛している。
人付き合いも最低限の彼が、ヒョンなことから知り合ったのは
同じマンションに住むイケメン歯科医・小野。

この二人の噛み合わない(小野は分かっていてだと思うけどw)
会話がなんともおかしい。
そんな基本コメディで、くすくす笑いながら読み進めるんだけれど
コメディだからこそ、蛍の健気さ不器用さが切なくて胸に迫り
特に後半は(筋は見えているのに!)かなりグッときた。

本当は寂しくて愛されたがりの蛍。
コミュニケーションが下手くそでで天邪鬼な言動が多いけれど、
根はピュアで善良、そして臆病。
そんな彼をちゃんと理解して、笑顔で去なしつつ包みこんで応じる小野。

小野をどんどん好きになっていく蛍の、隠そうとするのに
頭隠してお尻はピカピカ目立っちゃっているような、恋心が
(小野も私も)可愛くてたまらない!


木下先生の挿絵は相変わらず雰囲気があって素敵だし、
前作のように涙が溢れるような感動はなかったものの
楽しく、そして切なく甘く、心地よく読み終わる作品だった。

10

きゅんとして笑える

主人公の蛍、11人兄弟の3番目と言うなんとも中途半端な位置で
ちょっと訳有な生い立ちゆえに、ひねくれて素直じゃない性格。
そんな蛍を少しづつ矯正していったのが、矯正だけに歯科医師の小野。
蛍とは正反対の性格の小野は蛍がどんな態度をとろうとものともせず
なんてポジティブな人間!と言いたくなるような性格だけど
人間観察は鋭くて、かなり懐が広い男。

とにかくこの二人の何とも言えないコメディのようなやりとりに
笑ったり、きゅんとさせられたり、さらりと読める作品です。

小野と蛍が付き合うようになったきっかけのデリヘル事件や
ヤギとナポレオンフィッシュが付き合っている件、
11人兄弟の名前の由来やケチャップだらけの食事の話
宮村を巻き込んでの動物園デート・・・
どれをとっても笑えるんだけど、どこか心にきゅんと来る
そんなメッセージがうかがえて蛍の気持ちをそのまま表現しています。

蛍のかなりひねくれた自分勝手な妄想には
呆れるを通り越して笑ってしまうほど。
そんな蛍をまるごと全部受け入れることができる小野は
男女問わず人気があるのも分かる気がします。
1人が好きだと自覚していた蛍が1人が好きだと思い込もうとしていることに
気付かせてくれたのは宮村で、自分でも気づかないうちに
完全に小野なしではいられないほど、
蛍の気持ちの中が小野で一杯になっていても
それをなかなか素直に認められない蛍。
でも、そんなところもひっくるめて
蛍の全部を受け入れてくれる小野はさすがです。

今まで「いつも王子様が」「眠り王子にキスを」を読んで
月村先生の作品にはまってしまった私にとって
「眠り王子にキスを」にリンクしているこの作品はまた格別でした。
「眠り王子にキスを」でこれまた絵に描いたたような好青年の宮村が
蛍の同期で、蛍の良き相談相手兼偽の恋人役をして登場します。
「眠り王子にキスを」でも、その人柄は最高でしたが
今回もまたこれ以上ない好青年で登場します。

「その後の眠り王子」では
宮村が蛍に頼まれて恋人役をしてきたことを篤史に話すという内容でしたが
会社ではできる男として蛍やみんなの注目の的である宮村も
篤史の前ではデレデレで篤史のことを心から愛しているんだということを
再確認でき、ホントに「年下ワンコ」そのものだと感心しました。
ちょっと違うのは前作の時より、篤史がかなり素直になって
宮村から愛されているという自覚が相当あるということ。
そして、それが自分の自信につながっているということ。
今回この2人の話題は「偽装デート」でお互いに愛し合っていて
信じきっていて何も心配することはないんだけど
ただ単に気持ちの問題・・という結論に達しながらイチャイチャする2人。

朝比奈と佐原、篤史と宮村、そして今回の蛍と小野・・・
次は誰だろう・・・?
ファンとしては2人のその後を覗けるのはこの上ない幸せ。
どこかでリンクしているお話、世界がどんどん広がって
想像しながら、すごく楽しんで読むことができました。
次回も楽しみです。

14

楽しかった~♪

サクッとあっという間に読んじゃいました~
自分はあまり小説は沢山読んでいる方じゃなくて、
いつもは読むのに結構時間がかかってしまうんですが、
これはビックリするほど、速攻で読み終わってしまいました。
SHYノベルスだからっていうのもあるのかな?
(文字数が少なそうなイメージ)
気軽に楽しく読めるラブコメ本としてオススメです♪

今回の受け(表紙上)は、
人付き合いが苦手な、なかなかに偏屈で口が悪いリーマン30歳ですが、
大家族ゆえのトラウマを引きずってちょっとねじ曲がっちゃってるだけで、
心根は真面目でちょっと幼さも見え隠れする可愛い人でした。
自分で自分の言動や思考にツッコミを入れてることろとか、可笑しいです。


キレイで静かな生活が何より大事!
恋人なんていらないし、1人の時間をこよなく愛している。
なのにふと人寂しく思うことも…
そんなある日のこと、ひどく酔って帰宅して、
便利屋のチラシの「恋人代行」の文字に目がとまった受け。

マンションの集合ポストのところでしゃがみ込み、
その場で便利屋に電話したはずが、本当はそうじゃなくて…w

恋人代行でやってきた便利屋だと受けが思い込んでいる相手は、
実は同じマンションに住んでいる歯医者さん(攻め)。
そんなことを受けは夢にも思わず、姫抱っこで運んでもらい、
歯に衣着せぬ物言いを散々したあげく、キスをねだってしまって☆

それが後で、もう会わない便利屋じゃなく、
隣人の歯医者だと気付いた時の、受けの動揺ぶりとか、
それを楽しんで付け込んで距離を詰める攻めのちょい意地悪な態度とか、
すっごく楽しくコミカルです~~

攻めは、終始受けの上手をいく大人なイケメンで、
受けが憎まれ口を叩いても突っぱねても動じずに、余裕な態度。
ちょっと「CHERRY」の攻めに似ているな~という印象でした、
(おかげで脳内ではずっと前野さんの声が鳴ってました~)
今回は同い年なんですが、年上っぽい感じです。
恋愛スキルの違いが大きいのかと、攻めはバイで受けは童貞なので☆

最後まで楽しく読めたのですが、
ちょっと欲を言えば、攻めがずっと余裕な態度ばかり取っていたので、
もう少し人間味のある一面とか弱さとかも見たかったな。
キレイな面しか見せないで、
「大好きですよ、心から、堂島さんのことだけ一生甘やかします」
なんて言われても、ちょっと現実味がない感じがしちゃった。
でも、ふたりのやり取りは軽快ですごく楽しいし、
お似合いのCPだなと思いました、ホントはもうちょっと読みたかったな。

今回脇役で出ていた「眠り王子にキスを」の攻めの宮村は、
会社でも今回の受けに対しても本当にいい人で男前!って感じだったけど、
恋人の前では少し子供っぽくなって、最後のSSは微笑ましかったです。

アッサリめで軽い印象でしたが、1冊を通してとても楽しく読めました♪

16

ラストだけ勿体無い>< 後はサイコー!

「眠り王子にキスを」のスピンオフです。

好きな作家・月村奎さんの作品!
今回はどんなキャラとストーリーだろうとワクワク。

……でも読後の感想は、うーーん…
最高なんだけど、ラストがむむむって感じです。

キャラクターは、良かったんですけどね。
前半の設定も面白かったと思います。
ただ、後半のストーリーがちょっと…って感じでした。
バタバタバタと、性急な感じで終わっちゃった…みたいな。

でも、挿絵に心揺さぶられます。
今回も木下けい子さんの挿絵が魅力的です。


   ◆◆  隣人は恋人のはじまり   ◆◆


堂島 蛍(受け)は、他人から偏屈な変人と
思われてしまう30歳の会社員。
だが蛍自身もこの世で一番愛するものは、静寂と清潔でした。

そんなある夜、酔っぱらった蛍は勢いで
恋人代行業の便利屋に電話してしまいます。
現れたのは、柔らかな笑顔を浮かべるイケメン。

…というのが冒頭なのですが、この蛍という男!
しょっぱなは、全然愛せるキャラじゃないんです!
偏屈だし、曲がったことは一ミリも許さないし、潔癖。
うっわあ、実際にこんなヤツ、いたら近寄りたくないなぁ
と、思わせるような人物です。

でも、物語の中だったら、面白いです。
サイコー。

対する攻めの小野圭司。歯医者さんです。
何故か恋人代行業者に間違われた不幸な(?)男です。
でも、まあ、よりにもよって
あんな偏屈な男(蛍のこと)を好みだなんて…

でも、柔和で穏やかで包容力があってイケメンで歯医者さん!
言うことなしの高スペックな男です。


圭司(攻め)は、どんどんと主人公の蛍を口説こうと
押しに押してきます。
趣味悪いなぁ、圭司(笑)
でも、押される蛍(受け)の反応も可愛いです。
もともとが偏屈な人間なので、態度も独特で可愛いのです。

それにしてもこんなに、いい男に言い寄られるなんて、
蛍はホント、幸せものです。
主人公の特権ですね!


しかし……
ページ数があと少ししか無いというのに、
二人の間には、全然それらしき色っぽいことがない!
キスシーンも最初の間違いのキスシーンだけだし、
あとは、ちょっとした友人間隔のスキンシップのみ。

「本当に、この話大丈夫か!?
 両想いに、ホントになるの!?
 まさかエッチシーン、一切なしとか???」

など、いろいろ考えてしまいました。

しかし、後半のラストのラストで、
畳み掛けるように両想い(?)になり、そのまま
強行突破するようにセックスに突入ー!!
正直、あまり色気もなく、
あっという間に終わってしまったような
エッチシーンでした。

ううむ、なんかページ数が足りなくなって、
わーっと、ラストにいろいろ詰め込み過ぎた……という
印象ですかね……??


キャラも設定も面白かったです。
それだけに、後半の流れがかなり残念、という感想です。



   ◆◆  その後の眠り王子   ◆◆


「眠り王子にキスを」の番外編です。
宮村(攻め)って、蛍と同じ会社に勤めてるんですねえ。
お疲れさまとでも言えばいいんだろうか。

眠り王子こと、デリのオーナー篤史(受け)。
宮村と篤史の幸せそうな一場面が、この番外編では見れます。
このカプ、好きなんですよねー。
番外編で出てくれて嬉しいです♪

物語は、もう甘々です。
宮村が篤史を好きで好きでたまらなくて……。
それに対して、篤史も応える…というような物語です。

短くて残念です(><)
もうちょっと読みたかったなー。

   ◆◆   ◆◆   ◆◆

本編の方は、語ったとおりです。

キャラも設定も良かった。
前半は本当に面白かったです。
ただ、後半……特にラストが勿体無かった!

バタバタっと、畳み掛けるようにエッチシーンになだれこんで
終わってしまった……という印象です。

設定もキャラも良かっただけに、
本当に勿体無いなぁ……。

次作に期待してます!

10

蛍の成長物語

「眠り王子にキスを」のスピンオフです。本編は単品でも読めますが、番外編は「眠り王子~」の宮村×篤史のSSになってますので、ご注意ください。

堂島蛍は幼少期の環境もあって、潔癖、偏屈、意固地、偏食。人間関係を良好に築く気もない蛍は、近所付き合いはもちろんなく、職場でも煙たがられています。ずいぶん性格のねじ曲がった受けだなぁと最初はどうなることかと思いました(笑)

そんな蛍もリア充のカップルや蝶に嫉妬もどきの感情を覚えることがあります。同期の宮村(「眠り王子~」)にも恋人がいると知って面白くありません。酔っ払った堂島は便利屋に恋人代行の依頼をしてしまいます。現れたのは、清潔感あふれる爽やかイケメン。
その便利屋に姫抱っこをせがんだりして、横柄な女王様ぶりを発揮します。

便利屋だと思っていた人物は、同じマンションに住む歯科医の小野圭司だと分かり、蛍は近づかないようにしようとしますが、小野は強引に友達づきあいを始めます。

小野は周りの誰もが手を焼く蛍を「かわいい」と言っては、蛍の上をいく発言で振り回し、静寂を乱していきます。蛍もなんだかんだ言っては、小野と一緒にいる時間を楽しく思えてきます。

小野との関わり合いのなかで、蛍は自分を見つめ直していきます。
小野は蛍のすべてを包みこむような大らかさで、強引ながらも蛍の心をほぐしていきます。
大きな事件が起こるわけでもないのですが、偏屈頑固爺のような蛍が、可愛くなっていく過程が見ものです!

番外編は、本編で宮村が遊園地ダブルデートをした日の夜の一コマのSSです。

木下けい子先生のイラストは、今回も月村先生の世界観にとても合っていました。蛍の中にある素直さ、可愛さがにじみ出ているのがさすがです!

16

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