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表題作恋煩い

永沼寛康,買収予定のボロアパート管理人,27歳
槻島敬也,大手不動産会社の子会社社長,29歳

その他の収録作品

  • 恋模様
  • あとがき

あらすじ

買収予定のぼろアパートに、偵察部屋を借りた槻島。壁に穴があることに気づき覗いてみたところ・・・?ツンデレ社長とアパート管理人の、運命を変える恋。

作品情報

作品名
恋煩い
著者
砂原糖子 
イラスト
志水ゆき 
媒体
小説
出版社
新書館
レーベル
ディアプラス文庫
発売日
ISBN
9784403523885
3.9

(123)

(32)

萌々

(57)

(28)

中立

(2)

趣味じゃない

(4)

レビュー数
21
得点
474
評価数
123
平均
3.9 / 5
神率
26%

レビュー投稿数21

元タチの受!

覗き、首筋の黒子、板前、元タチの受…
素材が良すぎます!!しかもそれらが、すべて美味しく料理されていて言うことなしでした。

会社社長である元タチの受・槻島のキャラが最高でした。ツンデレ(ツン多め)、女嫌いの男好き、負けず嫌いで天邪鬼、中学生相手に大人げない態度をとるような可愛い男です。もう、大好き♪自分の立場を演じて、わざと悪ぶっているような言動に、むしろそれとは真反対の彼の本性が見えるようで面白かったです。

古いアパートの壁穴から覗く男と覗かれる男という背徳的な出会いが、たまらんエロスでした。槻島の秘書やアパートの住人の中学生等、男性の登場人物が多めなんですけど、その中でも、槻島の初めての男「委員長」の存在は印象的でした。高校卒業と同時に別れたけど、永沼と出会い、”こんなに自分が男を求めるようになるんだったらつないどけばよかったな~”と思っているところで再会し、実は単なる欲求不満で永沼に興味をもっているんじゃないんだ!と気づかせる展開がうまいな~と思いました。

また、個人的に性癖のど真ん中の、”どっちがどっち”問題。180㎝と182㎝の身長で、2㎝小さいから組み敷かれてください的な会話に、私は萌えました。いや俺タチ専だから無理、と軽く拒否る槻島でしたが、結果、好きな人とつながれないくらいならプライドもバックバージンも捨てる男気に惚れ惚れしてしまいました。
愛ですね、愛。

志水先生のイラストが男前×男前のガチンコな2人にドはまりしていて、こんなにご褒美みたいな作品だったのか…と今更ながら気づいたのでした。

1

男前同士のガチンコ勝負

いやー、これ大好き! こういう攻✕攻なら全然オッケー、と思った作品。
まったくレビューもなにも読まずに読み始めたんだけど、それがかえってよかった。

まず冒頭、淫靡であやしいシーンから始まって惹きつけられた。壁に開いた穴から隣人の男の自慰行為を覗く男…。
これってアレか? 覗き穴からアレコレしちゃう変態的なやつなのか? とドキドキ。覗きという行為自体は確かに変態っぽいんだけど、それは恋心(と性欲)を募らせる結果にしかならず、だんだん薄れていったので無問題(ちょっと残念?)。

槻島の目線で語られていくお話なのだけど、まあこの槻島が、なんともいけすかない男。金持ちの社長で、女嫌い。高校の時に付き合った同級生の男の子がいたんだけど、卒業と同時にあっさり捨てている。ちなみに、その時はタチ。

結構ひどい男なんだけど、弱みもある。それは自分が愛人の子で、実の母に捨てられたということ。産みの母親が赤ん坊の自分を抱いている写真を、後生大事に持っていたりして、ちょっと可愛いところもあったりして。

中盤、高校時代の恋人との再会もあったりしてしんみりしたり、念願叶って永沼を組み敷いての兜合わせでドキドキしたり。
で、レビューなどの前情報なしで読んでた私はこの時点で、挿絵を見ながら、受けと攻め、逆じゃないかな~?なんて思ってた。

でもって、いざそうなった時に、ああこういうやつか~って思った。
実は攻め同士の攻防って言うのが、わりと本気で苦手。セックスのポジション争いって、延々とやられると萎えてしまう。

でもこの槻島!!
「嫌ならやめようか」って言われて、いやいやせっかく男とやれるのに、それは勿体無い、とばかりに、あっさり抱かれちゃうんだよ。いや~、いいヤツじゃないの。
しかも可愛いくて、その上気持ちよさそう! 私、もともとタチだったキャラが、渋々ネコをやって、屈辱とか肉体的な苦痛ばかりを強調されるのが苦手なんだけど、いやいや、この槻島さ~。
もともと素質あるんじゃないのっていうくらい、しっくり抱かれるの(笑)。
また永沼もいいよねえ。もともとノンケだし、物腰はソフトなんだけど、時折見せる雄みがいい。この先、いい攻め様になると思う。

後日談の「恋模様」は双方の目線から。
普通BLだとどちらかに肩入れしてしまうけど、このふたり、どっちもいいんだよなあ。お互いに嫉妬し合うのが可愛くて、ニヤニヤしちゃう。
もう一度「正しいポジションで…」と思ってる槻島(笑)。永沼を押し倒すんだけど、結局また気持ちよさそうに抱かれちゃった。いつか抱ける日が来るのかしら。でも、実にいいツンデレ受けだと思います。
秘書の樫谷さんがまたいい。なんでもお見通しのお母さん、とあとがきにあったけどまさにそんな感じ。
しんみりと泣かせるところもあり、時々くすっと笑えるところもあり。可愛くて甘いお話で、最後までめいっぱい楽しめました。

1

表現が好き

二人とも180cm超えの攻め×攻めではありますが、受けの槻島のタチ時代というのは高校生のときだけで、それからは女に嫌気がさすほど女を抱き潰してきて、ようやく俺は男の方が好きだと自覚するも男と関係できないまま燻ってる……みたいな状態なのでタチの現役感はないというか、俺はタチだ!と思ってるのは槻島だけで、私から見ると充分受けです。

買収狙いの築50年のボロアパートに偵察と称して部屋を借りた槻島。
壁に開いている穴を覗いたら、管理人さんである攻めがオナニーの真っ最中……。
穴があくほど(実際あいてる)その様子を見つめる槻島の渇望感が良かったです。

すっごーーくいいなぁと思った表現がありました。

高校時代に「委員長」と呼ばれる男と付き合って、卒業と同時に別れを告げた槻島は、(この時はタチだけど)同窓会で彼と再会します。
記憶の中にある委員長は俯いてボソボソ喋るような男だったけど、実は計算高くそれを表に出さなかっただけという事を知ってしまう槻島。
おまけに大人になった彼はその狡さを隠す事もなく、ゲイだけど出世のために偽装結婚をしつつも、槻島を狙ってる事を隠さないヤツに成り果てているという現実。

別れを告げた後、道の角に消えるまで一度も振り返ることなく立ち去ってしまった在りし日の委員長の姿を槻島はふと思い出すのですが、それは赤ん坊だった槻島を捨て去ってしまった母親や、母親代わりに懐いていたのに、自分を差し置いて家政婦に懐く姿を快く思わない義母に契約を打ち切られてしまい来なくなった家政婦の姿とも重なって何とも切ないんです。
幼い頃から自分の元には誰もとどまってくれないという経験を繰り返した末に、「人はいなくなるものだ。」という考えを持つに至ってしまっている槻島。(だからどうせいつかは…と好かれる必要もないから口も悪くなるというところに繋がる)

委員長に再会した後の
「確かなのは、もう「委員長」はこの世に存在しないことだ。たとえ目の前に本人が現れようと、あの日自分が見送った高校生はもういない。」
というモノローグが、槻島の決定的な喪失感みたいなものを感じさせて、胸を打ちます。
(ここだけ取り上げてもピンとはこないと思いますが、その前から読み進めてくると、この一文が何とも切なく沁みるのです)

ぶっちゃけ言うと、受け攻めのキャラとか関係の深まり方などBL的にはあまりピンとこなくて萌くらいなのですが、ここのシーンが好きなのでそれだけで萌萌です。

それと槻島が、優良物件を嗅ぎ分ける女達の嗅覚をトリュフを見つける豚に例えるくだりが、何とも言い得て妙だし、槻島の徹底した女嫌いも同時に感じさせるので砂原さんの表現力って凄いなぁと感心しました。

2

キャラが魅力的です。

槻島がなんか憎めないんですよね。
口が悪いといっても相手をディスるようなものではなく、憎まれ口をたたく感じ。
自分が憎まれるような事を言うけど、他人を貶めるような事は言ってないと思います。
中学生相手にムキになったりするけど。

でも永沼に対しては結構素直なんですよね。永沼の手をジーっと見つめてみたり。
それに、言ってることは意外と正論で、ごまかしたり隠したりしない正直なところもあるんですよ。
名前を呼んでほしくて偽名で契約してるのに本名を名乗るとか。まさしく恋煩い。アホ可愛いです。

永沼はなんとなく目が離せなくなったんでしょうけど、ちゃんと槻島の柔らかい部分を見抜いていると思います。自分に対して特別な感情をもっているのを感じて可愛くなっちゃったんだろうと思います。
だから抱きたい。になったんでしょうね。

最後にはちゃんと両想いなんだなって思えました。

キャラが魅力的で挿絵がマッチしてました。読んでよかったって感じです。

4

(攻)×(攻)

攻めしかいない攻めキャラワールド。
二人とも一筋縄ではいかない性格で、口が悪い槻島にイラッとすることもあるのですが、お話が進んでくるとその理由が分かってきます。

お仕事描写がしっかりしているのでお仕事BLとしても楽しめます。
お話の展開は王道、でも恋愛が始まるスタートの部分が珍しくて面白いです。

あと絵師さんが素敵。
こんな絵も描かれるんだなぁと、いつもと違う感じに感動しました。
続きが読みたいです。

3

『攻め属性の男性を組み敷きたい』願望を満たす作品

電子書籍で読了。挿絵有り。志水さんのイラストの益荒男ぶりが素敵です。

最初に、槻島の仕事は『不動産会社』というより『都市プランナー』の方が近いと思います。読み始めの辺りでは「プランナーとしては考え方が古くない?」と思いましたが、ちゃんとそれもストーリーに絡んでいましたので、ご安心して読み進めください。

今まで砂原糖子さんのお話を読んで「あ、イマイチ」と思うことがありません。どこかで必ず楽しませてくれる。いつも読み終わってから「すごいなぁ」と思います。
今回、私が萌えに萌えたのは『組み敷かれる攻め属性の男性』(笑)。
攻め×攻めというシチュは他の作品でも何度か読んだのですが、何故だろう?このお話ではやたら具体的な絵面が描けるのですよね。おかげさまで「あら、私って男男しい人を組み敷いて上から覗きたい願望があるのね」と気づきました。新たな萌えツボの発見!素晴らしい。
イラスト効果もあると思いますが、なんだかんだ言ってこれは、描写の力なんじゃないかと思います。壁穴から隣室を覗く槻島さんに不快感を感じない所とかも含めて、砂原さんはファンタジスタだなぁ……

4

大型犬は嫉妬深く手ごわい

砂原先生、お試し中なのと、志水先生の挿絵見たさに購入。表紙が本当に素敵。
ずいぶん前に購入したのですが、なぜか読み切れず、
最近ようやく読み終わりました。
読んでみれば、なんか可愛くて、2~3回立て続けに読み返してます。
カプの攻防が新鮮だったからかも。萌2でお願いします。
雑誌掲載分170Pほど+書下ろし90Pほど+砂原先生のあとがきと
個人的1押しは 0志水先生のあとがき?1P。
サブキャラ 社長秘書を描いてくださってます。
イメージぴったりで大好きです、この秘書さん!

受けさんが性格ひねくれてるタイプなせい?で
中の挿絵も あえいでいるか、眉間にしわ寄ってるか という絵が多い感じ。
1枚 着衣のまま抱き合ってる図があるのですが、二人ともガタイがいいので
なんだか ぷっと笑ってしまいます。
そう、カプが意外でした。二人ともでかい。
私の読んだ中では珍しいタイプでした。

登場人物は 攻め受け以外に
アパート住人の中学生坊主(the中学生!といった感じ)、
社長秘書(30代後半♂ 社長曰くロボット)、小料理屋の同僚(♂)、
アパートの元大家(今の大家の祖母)などが出てきます。

社長が、父親の愛人の子ということで家庭での愛情には恵まれなかった育ち。
性格が最初は強烈ひねくれもの だったのですが、恋しちゃって
どんどん可愛くなってしまって、もうきゅーーーん。
アパート大家は忠犬ハチ公。まっすぐ。そして嫉妬深い。
この大家、じつは手ごわいぞ。。と 途中で気づいた社長さんでしたが
もうめろめろになってたので、時すでに遅し。
組み敷かれてました(笑)惚れたものの弱み。

その後も、する時の位置が気になって、なんとかならないかと
社長がじたじたしてる所が可愛い。あきらめろ、惚れた方が負けだー。
社長秘書もなかなかいい味を出していて素敵です。
硬い文章な気がしたのですが
何回読んでも、きゅうきゅう♡する作品でした。

1

壁穴から始まる

キュンキュンした切ない話でした。アパートの管理人×不動産再開発会社社長。アパートの土地を買上げたくて策略のひとつとしてアパートに部屋を借りた社長が隣に住む管理人の自慰を壁穴越しに見てしまったことから意識し始めた。攻め×攻め(元タチ)というわりに、ツンデレ気味で可愛い受けでした。受の槻島さんが悪人ぶっているけどいい人で、永沼さんに恋をしていく内にどんどん可愛くなっていっちゃう所がすごく良かった。攻の永沼さんも面倒見がよくて誠実な人。秘書の樫谷さんはとてもいい味だしてましたね。彼視点のペーパーも楽しめました。

4

攻×攻の攻防

「言ノ葉」シリーズの作家さん。くらいの認識で、
BLアワードにノミネートされているので読んでみました。

「ちるちる」さんのあらすじもろくに読まずに読み始めたのですが、
お話に引き込まれました。
中盤まで、受様が攻めるものとばかり思ってました。
いやぁ、受様本人もそう思ってたみたいですが。
攻様は意外にもに押しが強いです。おそるべし天然。

「さくら荘」というアパートにまつわる話なのですが、
伏線がいくつも張ってあって、最後にすべてがわかったとき、
槻島にぶわーっと感情移入してしまって‥。

「恋模様」
「恋煩い」後日談。
数ページ読んで‥吹きました。
多くは語れませんが、樫谷グッジョブです。
それにしても、槻島。
「恋煩い」でも思ったけど、早合点しすぎだから。
これで、よく社長やってられるもんだ。
まさに恋は盲目だね。

6

理想のツンデレ

砂原糖子先生と志水ゆき先生という、素敵なコンビの一冊。
なんとなく、真面目なお話かと思って読み始めたら。
とっても楽しいお話でした♪
口は悪いがやり手のイケメン社長と。
真面目で寡黙なアパートの年下大家さん。
体格は同等なんですが、中身がかなり凸凹な二人のお話です。


このお話は。
『恋煩い』は、槻島(イケメン社長)視点。
『恋模様』は、前半が永沼(アパート大家)視点、後半は槻島視点。
という、二つのお話にわかれていました。


大手不動産会社の社長の息子で、子会社の社長である槻島敬也(つきしまたかや)。
長身で甘いマスクのイケメンで、その事を自覚している行動言動です。
女性には色々懲りていて苦手なせいか、酷い言葉を吐き捨てたりします。
仕事では、土地の再開発事業を手掛けていて。
自社ビルから見下ろせる地域も、公園にして緑地化しようとしています。

その予定地で、唯一立ち退きを拒否しているボロアパート「さくら荘」。
このアパートの管理人は、槻島よりも二つ年下の永沼寛康(ながぬまひろやす)。
実は大家以外にも専門職で働く、勤勉で生真面目な男です。

秘書の樫谷(かしたに)とのやり取りで、何故かさくら荘の空き部屋に住むことになった槻島。
ボロアパートの部屋には、壁に穴が空いたまま修理もされておらず。
隣に住む大家、永沼の生活を覗き見る事が出来る状態。
これは偵察だ、と心で言い訳しながら覗く穴の中の男は懐かしい人に似ていて…?


※ここからはネタバレ注意ですよ。


この話の中で、何が楽しいって槻島の性格です。
私には、最高に理想的なツンデレでした♪
身長180cmもある甘いマスクのイケメン社長なんですが。
兎に角、驚くほど口が悪い!
口が悪いのに、本人も自分の性格の悪さを自覚しているのに、何故か妙に可愛い。
子供相手に大人気ない発言するくせに、端々に良い人が見え隠れ。
ほんっと、不思議な人です。

そんなツンデレ社長槻島と、無表情だが優秀な秘書の樫谷(かしたに)のやり取りがとても面白いです。
知らぬ間に、槻島を掌で転がしています。
お釈迦様のような母のような不思議な秘書、樫谷。
こういう秘書さん、好きだわぁ♪

わかりにくいのは、永沼の気持ちです。
口とは裏腹に気持ちがダダ漏れの槻島とは、あまりにも正反対です。
寡黙だし、生真面目だし、槻島に対して取る態度をどう受けとったら良いのかわかりにくい。
しかしそれがわかった時が、やはり楽しいですね。

槻島の持っている写真とか、さくら荘との縁とか、高校の同級生(同窓会)などなど…。
様々な事、様々な人との関わりの中で、槻島がどういう人物なのか、周囲にどう思われているのかがわかってきます。
いや~槻島、めっちゃ好みのキャラでした♪

これだけでも神にしたいところなんですが。
一つだけ、個人的にすご~~~くがっかりした事がありました。

それは、槻島が最後まで受だった事です。
一つ目の『恋煩い』では相手がノンケだった訳ですし、わかるんですが。
『恋模様』では受になった事への強い抵抗があっただけに、かなりリバを期待してしまいました。
最後やっぱり受で終わってしまい、思わず「え~っそりゃないよ~☆」と声に出していました。
あ~っ、ホンとに残念☆
でも、そんな優しい、でも口の悪い槻島が大好きです♪

5

どちらが攻めるか?

シリアス‥‥かと思って読み始めていたのだけれど、
そこはかとなくコメディテイストで、志水さんの挿絵もよくあっていて
まとまりよく気持ち良く読める作品だった。

双方180cm越えの男同士、というのがいい。
ボロアパートの管理人で本職は料理人の永沼と
ワガママ毒舌な若き会社社長の槻島。


ボロアパート買収の為……に部屋を借りて
見つけた壁穴から覗いてしまった男の自慰。
というのは美味しいネタで、序盤からなかなか萌えるんだけれど
それは全体としてはあまり重要ではない感じ。

買収問題もあまり突っ込んでは描かれず
そういうシリアスさやシビアさよりも、
アパートの住人の人間模様や、槻島の心模様などが中心。

何と言っても、お金に権力美貌に頭脳となんでも持っていても
実は寂しい槻島が、穏やかでまっすぐな永島に惹かれていくに従って
傲慢不遜な鎧が破れて調子が狂っていく不器用な可愛さがいい。


常々、攻め受けが当たり前のように決まるのはなぜ?
話し合ったりジャンケンしたり、時に揉めたりしないのか?
と思っているのだけれど
槻島が主導権を握ろうとしてジタバタしているのが、また楽しい。

秘書の樫谷が、いい仕事をしてくれています。
BLには時々この手のスーパーな秘書や付き人が登場しますね?

10

めんどくさくてかわいい

 家庭環境のせいで、人の愛情というものが信じられず、というか信じたり求めたりするのが怖い受けの敬也。
読み始めてすぐは、強引で傲慢で口が悪くて抱きたい派だしで、ホントにこっちが受け??てな気持ちになりました。
 対する攻めは、真面目でまっすぐで人当たりのいい寛泰。
穏やかだけど男っぽくて、無理強いはしないけど折れない。

 読み進めるにつれ、敬也のすること言うことがいちいちかわいくて。
ヒールぶってるけど、中身は子供で。
めんどくさいけどかわいい。いや、めんどさくいとこがかわいいんだな。
ほぼ敬也視点だけど、この時寛泰は敬也の事かわいいなーって思ってんだろうなー、とにまにましながら読みました。

 淡白っぽい寛泰がえちシーンになったらまっすぐに情熱をぶつけてきて、こりゃーやられちゃうよなぁ、でした。
敬也視点なだけに、敬也が恋煩いでわたわたしてるところはたくさん見てきたけど、なかなか寛泰は見せてくれなくて。
 なので、落ち着いてて、あまり動揺を見せなかった寛泰が、敬也が女性をナンパしたのかとあわてて敬也のマンションに押しかけてくるシーンはとても好きです。

 志水先生の挿絵がまたかっこいい攻×攻な2人でステキです。
でも読んだ後だと、どうしても敬也の方が色っぽくかわいく見えてしまいます。

10

槻島が好きだなぁ~

 表紙イラストにすごく惹かれたけど、私的に当たり外れのある作家さんなので出版社サイトで試し読みしてから購入し、ワクワクしながら初読みして何だか物足りなさを感じたので、翌日に再読。けれど感想は変わらずで、期待していたほどは愉しめなかった。
 攻×攻的な設定は大好きだし、容姿・社会的地位ともに最高ランクの槻島が、女性のことを悪し様にののしったり、偏見に満ちた評価を下しているさまは全く不愉快だと思わなかったし(むしろ同意した)、本心を隠して故意に露悪的な言動をとるところや、子供相手に本気になってる姿などは可愛く思えたし、恋愛に慣れているハズなのに永沼相手だとあたふたする様子は愉快だったし、上か下かに拘っているくせにグズグズになってくると拘りを捨ててるところは笑えたし・・・・設定や内容的に好みでない要素はひとつもなかった。
 でも、評価は萌。続けて2度読んだのに変わらない。私にとってはグッとくるものがなかった。これは、ひょっとするとレーベルのせいなのかも知れない?とか。砂原さん作品で一番好きなのは『ファンタスマゴリアの夜』で、次いで『イノセンス~幼馴染み~』。人気の高い『言ノ葉ノ花』などは何度読んでも可もなく不可もなくといった程度の感想しか持てずにいるから、レーベルの目指すものと、私の求めるものとがズレているせいで、設定もイラストも好みなのに思い切り愉しめなかったのかも?・・・だとすると惜しいな・・・

3

面と向かうと素直になれずツンデレ

ぼろアパートの買収のために、自らぼろアパートに部屋を借りた社長の槻島。
偵察目的だったはずが、部屋に開いた壁穴からアパート管理人である永沼の自慰行為を目撃。しかも、永沼がタイプだったために、ぼろアパートに足しげく通うはめに!

永沼のことで頭がいっぱいなのに、面と向かうと素直になれずツンデレっぷりを発揮する槻島が可愛いいです。
ただ、全体的に「きゅん」とくるものがなくちょっと物足りなかったです。

ちなみに最後の終わり方といい、社長秘書の存在が気になる(^^)

1

ベストバランス!

おもしろいけど読み終えてしまうといまひとつ記憶に残らない、私の中でそんな印象が強かった最近の砂原先生の作品ですが、これはよかったです。

CPのキャラがそれぞれ魅力的でした。
ひねくれた子供の槻島と、真面目で素直、大人な永沼。どちらがではなく、どちらもよくて、そう思える作品は読んでいて楽しいです。わくわくしながらあっという間に読み終えました。
物語は舞台になる古い木造アパートを、取り壊そうとする槻島と、それを拒む管理人の永沼、それぞれの思いをもとに進んでいきます。その思いが、単なるお金儲けでないところが、話しに深みを与えています。コミカルでありながらも、軽すぎなくてあたたかい感じがするのはそのためなのかな…と。

もともと砂原先生の書かれるエロシーン、さりげないのに色っぽくて好きなんですが、今回ぱっと見のイメージとは逆の攻め受け設定が、エロシーンのエロさを2倍増し(?)させていました。ふだん真面目な人が、いやらしくて嫉妬深かったりするの、大好きです。俺様な人が、いきなりかわいくなっちゃうのも…。

志水先生のイラストも、とってもよかったです。作品の雰囲気とぴったりでした。
好みじゃない絵だと作品を読むのすら苦痛で、いっそ絵がなければと思ったりしてしまいますが、ぴったりくる絵だと、ものすごい相乗効果ですね。イラストは大事、あらためて思いました。
いろんな面でバランスのとれた作品、おすすめです。

6

見てはいけないものほど、見たくなる

もし、自分の部屋の壁に穴が開いてたら……?
まあ、不動産会社に腹を立てる人もいるかもしれませんが、
穴を覗いてみたくなりませんか?
人の家なんて覗いてはいけない…でもちょっとだけ見てみたい…
なんて好奇心にかられるのではないでしょうか?
主人公の槻島は、そんな好奇心に負け、壁の穴を覗いてしまった
人物です。

   ◆◆   ◆◆   ◆◆

《CP》
ボロアパートの実直な管理人 × アパート買収計画をすすめる社長

会社で街の再開発計画を進める槻島(受け)。
しかしボロアパートが買収できないことで計画は一向に
進んでいませんでした。
そこで槻島が「様子見」「偵察」という名目で、ボロアパートの一室を
借りてしまいます。
すると部屋の壁には穴が空いており、好奇心から槻島はついつい
穴を覗いてしまいます。
そこには自慰をする青年の姿が……。
翌日、それがボロアパートの管理人だと知ります。

槻島は自分自身には正直。そしてワガママ。周囲にはツンデレ。
だけどそこが見ていて痛快です。
自分の心には素直なくせに、まわりにはツンデレというのは、
見ていて可笑しいです♪

ボロアパートの管理人・永沼(攻め)に心躍るような高揚感を覚える槻島。
うあー、ワガママ坊っちゃんが、無愛想男に惚れてしまうのかっ!?
ドキドキしながら、2人の恋模様を見続けました。

モーションをかけるのは槻島(受け)の方から。
しかし「遊びでそんなことはしない」と
突慳貪に返されてしまいます。
2回目の誘いも槻島から。永沼(攻め)も流されてフェラと手コキ。
ふたりとも色っぽくて、目が離せませんでした。

その時、槻島はやっと永沼への恋心を自覚します。
ここは嬉しかったですね。
暖かい気持ちになったというわけではなく、
「ざまぁみろ」みたいな気分で痛快でした(笑)

そして、永沼がボロアパートを大切にしている理由が判明します。
入院している元の持ち主・祖母のためでした。
病院へのお見舞いのシーンは、永沼の複雑な哀しさに
触れたような場面でした。

それからなんと!!
3回目のお誘いがあるのですが……、、、なんと永沼(攻め)から!
「俺とはセックスしたくありませんか」
とか!
えええええ!
永沼って、ゲイでもバイでもないって、自分で言ってたのに!
しかし、上は槻島も永沼もどちらも譲りません。
身長182センチと、180センチですからね。
槻島もタチをしたかったようです。
うおおお、攻め × 攻め !!!><
……が、最後は槻島が折れました(笑)

槻島は永沼の求めに陥落しました。
それでも、ちょこちょこエッチの最中に抵抗する様が
可愛く見えてしまいました。
濃厚なエッチシーンでした★

その後も隙をうかがってはマウントポジションをとる
前段階の準備として、槻島は永沼より車道側を歩いたりと
「次のエッチの機会があったら、自分がタチ!!」ということを
アピールします。
あああ、こういうのを無駄な足掻きっていうんでしょうかね。
可愛くしか見えませんっ♪

最後のエッチシーンも濃厚でした。
それに合わせ、志水ゆきさんのイラストも素晴らしいんです!
うぉぉ、エロい!
しかもエッチの最中に、実は永沼が壁の部屋の穴を覗き返して、
槻島の自慰を見ていたことを告白します。
ぷぷぷ……やっぱりやったことはやり返されるんだよ!
ざまぁみろー!
恥ずかしがれ、槻島っ!!

   ◆◆   ◆◆   ◆◆

永沼(攻め)は、槻島(受け)を「可愛い」と連呼しますが、
ホントその通りです。
槻島は可愛いです。
これからも2人はボロアパートで、ずっと暮らしていくのでしょう。

痛快劇、楽しませてもらいました。

3

182センチ×180センチ

アパートの管理人×会社社長、年下攻め。
立ち退かせたいボロアパートの一室を、偵察のため借りた不動産会社の社長受け。部屋の壁に穴が空いていたのでなんとなく覗いたところ、隣に住む管理人の男が自慰に励んでいた。バイである受けは、初恋の相手に似た風貌の男に興味と奇妙な劣情を抱くようになり…という展開です。

壁穴覗きもの…AVか! と思いつつ読んでいたのですが、あんまり壁穴はメインじゃなかったです。露悪的で世を拗ねて、全方位に向かってツンツントゲトゲしている受けが、なぜか攻めに対しては調子が狂ってしまい、一所懸命悪役になりきろうとするんだけどダメダメでキィィーッ!ってかんじの描写がメインです。
攻めが異様に懐が深いので、受けがいくら悪ぶっても「うんうん」ってかんじで、受けはひたすら空回りです。憎めなくて可愛い受けなので、ついつい受けの味方をしながら読んでしまい、ちょっとは攻めがやっつけられてくれたらいいのに、とか思っちゃいました。
結局本編では攻めはやっつけられてはくれませんでしたが、くっついたあとの続編で、受けが女性をお持ち帰りしたと思って焦る攻め、の姿を見たときはちょっとうれしかったです。

タチしかやったことのなかった受けが、抱かれる立場に甘んじるところに、受けの想いが現れてて非常に萌えました。
でも、読んでたら、君は受けだよ、と思っちゃう。(笑)

10

胸がほんわか

久々に、受け攻め両方が好きな作品に出会いました。
アパートを買収しようと目論む社長・槻島とアパートの管理人・永沼。
あらすじを見た限りでは社長が攻め要因かと思っていたのですが、まさかの裏切り。
けれどその裏切りがとてもベストな方に働き、よりこのお話が大好きになりました。

横柄で口が悪い槻島だけど、嫌いになれない。
それは槻島の弱さや優しさが要所にあらわれているから。
『敬也 3ヵ月』と記された一枚の写真。
アパートを買収しようと躍起になっている理由。
色んなところにある、槻島を形成していった要因。
人を信じることに対する怯えや、それでもどこか情に厚い槻島が、どうしようもなく愛しい。
一方永沼は、安定の実直さで好感度は抜群。そこに決して淡泊ではない雄の部分を見せられてはもうハマるしかない。

『恋模様』でのすれ違いや嫉妬、案外言葉攻めとかしてくる永沼にとっても楽しませてもらいました。
そしてこれまた志水先生のイラストがハマっている!

脇キャラ樫谷さん。謎だらけ。この人、逆らってはいけない匂いがします。笑
あぁ、本当に『なんでも知っておきたい質』なんだなぁ…。
最後のオチに笑わせてもらいました。

9

悪ぶる受けが憎めない

ほんの一部を除き、全編受け視点です。
受けが悪ぶってるのですが、それが全然キマってないし、横柄だし、憎めなくて可愛いんですよ。
二歳下の攻めがかっこいい!
受けがやることなすこと面白くて、私は笑いながら読みました。
笑ったシーンとして以下に。
槻島(受)が電柱の陰に隠れて、永沼(攻)にバレてないと思いきや声をかけられたり。永沼と一緒に歩道を歩いてるとき、男らしさを誇示するためにわざわざ車道側を歩いたり。他、会話でも槻島が悪ぶって背伸びしてるので、面白くて笑いました。永沼は動揺しないぶん、余裕の男らしさがありました。
そしてそして、あの悪ぶってる槻島が受けだと思って読み進めていたら、え?攻めなの?!でもやはりセオリーどおりの攻め受けなので、安心しました。
本作は、悪のつもりで背伸びして、中学生と口喧嘩をする29歳の社長が、慣れたフリして初心な恋をするかわいいお話です。
私は全体的に、コミカルに読みました。

14

壁穴からのぞくやつ

雑誌で一読してますが、楽しく読みました。

壁穴から隣の部屋の住人のオナニーを覗いている割には、変態なお話ではありません。先生のお話の中では、ちょうど中間な感じ。すごくシリアスではないし、ぶっ飛んだ設定でもない。

主人公は尊大な態度を取っている風ではあるけれど、根からの嫌な人ではないので、読んでいて不快になることはありませんでした。この人、攻なの? でもなんだか可愛いし受かな? と思ったらやっぱり受でした。最初は攻×攻っぽくも見えるんですが、徐々にそうでもないなーと。地味な感じの大家さんは、芯がしっかりしてて男らしくも見えてくるし。

いざベッドに入れば、社長はすごく可愛かったです。

個人的には秘書さんがなかなかいいキャラで、三人での絡みを読んでみたかったなーと思いました。槻島さんが二人に可愛い可愛いとからかわれるのが見たかったなー。

楽しく一気に読みましたが、キュンとなるとことか切なくなるところとかはほとんどなかったです。

そろそろ、ぶっ飛んだ設定のお話も読んでみたいなーと期待しています。

6

長身イケメン同士のほのぼのラブ

大手不動産会社の跡取りで、今は子会社で街の再開発プランニングやリノベーション事業を手がける槻島(受け・29歳)。
立ち退きに応じないボロアパートに住人として潜入するが、壁の穴から、隣の部屋に住む管理人・永沼(攻め・27歳)の自慰を目撃してしまい……

槻島は、俺様で女嫌いで口が悪い、あまり良い性格とはいえない主人公。
しかし、アパートが火事になったら率先して消火活動を行う等、根はそんなに悪い人ではありません。
自身をゲイだと認められない拘りや、自分を捨てた母親に対する想いなど、知れば知るほど不器用で可愛い人物だということが伝わってきます。

永沼は、本職は料亭の板前で、非常にお人好しで温厚な人物。
年上で自分とそう身長も変わらない槻島を「可愛い」「抱きたい」と思える彼は、ちょっと天然だけど抱擁力のある男前だと思います。

長身イケメン同士の二人ですが、Hシーンは意外と甘々。
普段カッコいい槻島が、絡みとなると結構受け受けしく派手に喘ぐのが、良くも悪くも意外でした。

また、槻島の仕事描写より、アパートでの生活や住人たちとの交流に重きが置かれていたので、槻島(開発)側の主張があまり伝わってこないのが若干物足りなく思えました。
まぁ、槻島がアパートを潰したがっていた理由も、実はかなり個人的な感情によるものなので、大した主張はしようがなかったのでしょうが……

個人的にはちょっと平和すぎて物足りなさもありましたが、ほのぼの系ご近所ラブストーリーとしては、キャラも立っており良く出来た作品だと思います。

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