他人の空似で面倒くさい男にロックオン!?

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表題作HYPER BLACK

仁科清人,39歳,警視庁の検視官
飯島一哉,検視補助官に引き抜かれた元捜査一課刑事

その他の収録作品

  • 黒の章
  • 白の章
  • あとがき

あらすじ

卒倒してしまうくらい死体を見るのが苦手なのに、なぜか誰も気付かない些細な手がかりを見つけて犯人逮捕に貢献してしまう飯島。現場で昏倒必至ながらも目鼻が利くと捜査一課にまで配属され、悪戦苦闘の日々を送っていた。だが、ある事件をきっかけに、強面の偏屈者で有名な検視官の仁科に目をつけられてしまう。仁科は「お前のその目が欲しい」と、嫌がる飯島に言い放ち!?
白黒決められない大人の恋愛事情は未解決!?

作品情報

作品名
HYPER BLACK
著者
井上ハルヲ(オハル) 
イラスト
小山田あみ 
媒体
小説
出版社
KADOKAWA(アスキー・メディアワークス)
レーベル
B-PRINCE文庫
シリーズ
デンパ男とオトメ野郎
発売日
ISBN
9784048923439
3.7

(51)

(11)

萌々

(24)

(11)

中立

(1)

趣味じゃない

(4)

レビュー数
8
得点
185
評価数
51
平均
3.7 / 5
神率
21.6%

レビュー投稿数8

プロローグが…重い

警視庁捜査一課の刑事である飯島は事件現場での捜査中に昏倒しそうになったところを、同じく警視庁鑑識課の検視官で強面の偏屈者でもある仁科と遭遇します。何故か飯島の容姿に目を瞠る仁科…。事件解決後の打ち上げで泥酔した飯島は、仁科にお持ち帰りされてしまった上にセクハラされてしまいます。さらに後日、仁科の助手として検視補助官に請われた飯島は、12年前の事件で殉職した仁科の同僚・磯崎と自身の容姿が似ていることを知るのですが――…。

二人の出会いと第一の事件を描いた「黒の章」、検視補助官となった飯島の奮闘と第二の事件を描いた「白の章」がほぼ同量で収録されています。それぞれにプロローグとして犯人視点の短い描写があるのですが…これが作品の雰囲気にそぐわないほどシリアスで重い。重くて、面白くて、とても惹き込まれるプロローグで、本格推理小説が始まるのかとワクワクしました。しかし本編が始まると事件の扱いはあっさり終わっちゃって、あのプロローグは必要だったかな…と疑問に感じました。

他人の空似で仁科に固執されてしまう飯島は、刑事としては血や死体が苦手なことを除けば真面目で将来性もあり、思考回路もロジカルでイイ子だと思います。仁科に対して「あなたのことは嫌いだけど尊敬しています」と言い切るところも好ましかったです。

どうにも腑に落ちなかったのは仁科です。兎にも角にも最初に飯島にしたことはセクハラな上にパワハラだし、磯崎に似ているという理由で手を出したのは自分なのに、「代用品になるつもりはない」という飯島に対して「代用品じゃなくお前が欲しい」などと言い放ち自信たっぷりにキスするは、「また抱かれに来い」なんて言い出すは…。キレ者らしいけど頭のネジが一本外れているとしか思えませんでした。

「白の章」では仕事をともにすることで少し距離が縮まった二人が描かれていますが、ベッドシーンに至る数時間の描写が妙に間延びしてダラダラした印象でしんどかったです。その数時間に100ページって…。萌えの期待を引き伸ばしすぎて、事に及ぶ頃には正直「ああ、やっとか」と思いました。というか、仁科はともかく飯島は完全に同情心で抱かれてしまった気がしますが…いいのかな。いいのか、二人が納得してるなら。

刑事のお仕事の描写と小山田あみさんの丁寧なイラストが素晴らしかったので★1つプラスして評価は「萌」です。

4

シェパードx豆柴

んん〜ん。面白かったですよ。でも、突っ込み所満載なんだよなぁ。
『血と死体には耐性の無い』飯島と、『遺体を視る目は警視庁随一』の仁科のカップリングはgoodです!
仁科の若き日の恋人、殉職してしまった磯崎と飯島がよく似ている、という設定もgoodです!
だけど…現場では冷静沈着な仁科が飯島を無理やり、な展開はやはり唐突かなぁと。
そんな仁科は飯島に磯崎を重ねていた事を自覚していたにもかかわらず、検死補助官に異動を打診した飯島に『代用品になんかしない』と言いながらキスしてきたり。
こういう矛盾は人間臭いけど、この作品は人間ドラマを描いているわけではないですしね。
「オトメ野郎」の柏木をフッて、選んだのが飯島〜?的な微妙感もありますし。
飯島の方もレイプ(挿入は無くたって合意なき行為はレイプですからね!)された仁科に恐怖感を抱きつつも、同時に惹かれる気持ちがあるという流れが描ききれてないような…
作者様はHシーンが凄く上手なので全てそこで相殺されちゃいますね。
Hシーンが上手いというのはBL市場ですごいアドバンテージだと思います。『どこかぷっと笑える話を書いていきたい』とのこと、そこはそのまま生かしつつ、より一層深くアツい男達の物語を期待しております。
最後に。小山田あみさんの挿絵、最高です。

9

キャラが好きになれなかった

井上さんの新刊。『デンパ男とオトメ野郎』のスピンオフという事で楽しみにしていました。

鑑識モノ、中でも検視モノは個人的にとても好きなジャンル。ストーリー自体はとても面白かった。

過去に同僚であり恋人だった男を加害者に殺されてしまったという過去を持つ仁科(攻め)。
現場を見たときに重要なものを見つける「目」を持つものの、血や遺体がからっきし苦手という刑事としては致命的な欠陥を持つ飯島(受け)。
この二人のバックボーンや関係はとてもツボでした。

のだけれど、仁科×飯島の「ラブ」という点ではいまいちだったなあ…、という感じ。

泥酔した飯島を解放するために自宅に連れてきた仁科が、いきなり飯島に対して強姦未遂を働くのもよくわからなかったし、殉職した恋人・磯崎を心から愛しているのにもかかわらず、飯島に対してあっさり恋心を抱くようになるのも全く分からなかった。
飯島が磯崎に似てるから、という理由があるのなら、そこをもっと前面に出すべきだと思ったし、どこで、どうやって飯島に惹かれていったのか、という過程がさっぱりわからない。

対する飯島のほうも。
仁科に襲われて怖かった、という事と、仕事で仁科と関わる、ということがごちゃ混ぜになっていて、社会人としてどうなのかな、と。
あれだけ仁科を拒んでおきながら、終盤あっさり仁科を受け入れるのも拍子抜け。そこに至るまでの仁科への気持ちの変遷がよくわからなかった。
職場の面々から「ポチ」と呼ばれてしまう可愛さと、仁科への反抗心。これが飯島の魅力なのかもしれないのだけれど、個人的には自分の感情が優先してしまうバランスの悪い「お子さま」にしか感じられなかったのも、魅力を感じなかった要因の一つかも。

あと、読んでいくうちに仁科が『デンパ男~』の柏木の元カレ(というか元セフレかな?)という事が分かるのですが、柏木大好きな私は柏木をあっさり捨てた元カレにあまりいい感情を抱いていなかったのもあって、ちょっと複雑な気持ちになりました。

ストーリー自体は面白いのに、BL的な「萌え」という点ではいまいち。1冊にまとめず続き物にして、徐々に二人の気持ちが近づいていく、という展開だったら感想はまた違っていたかもしれないな、と思いました。

小山田さんの挿絵は相変わらず神でした。何しろ美しい!
表紙も素敵でした。
磯崎との思い出の上に、シェパードと「ポチ」の姿。
何とも印象的な表紙です。

7

「け…検視官っ…」呼び萌え。(//∇//)キャー

「デンパ男~」シリーズのスピンオフ。
度々柏木の回想等で登場する元彼仁科のお話ということで。

装丁はシリーズ通して同じblueさんで、やっぱり表紙の二人に笑顔無し!笑
ムスっとしてるのにちゃんと飯島(受)は仁科(攻)にきっちり
抱きしめられてますけどね。(゚∀゚ )アハ
甘々にならない本編をいい塩梅に表現している表紙です。

で。

本編なんですが。
うーーーーーーん。
ムズカシイデス…。
西村×柏木と違ってすっごく分かりにくいんですよね、この二人。
互いがかみ合わなくて分かり合えないのは全然構わないのですが、
読者も分かり合えないんですけど。苦笑

すっごい曲解かもしれないのですが。
仁科に強姦(未遂)されたことでPTSD発症してるのに
仁科のことが気になって仕方ない飯島は、ある種ストックホルム症候群なのかな、と。
強姦(未遂)された後、検視補助官として仁科の近くにいることで
元々検視官として尊敬しているところに自身の検視としての力を認められた上、
相手の秘めたる澱に触れ、ほだされてしまったのかな。

前半の仁科は台詞、表情ともに鉄仮面がごとく人間味を感じられませんが
全く同じ台詞、態度であっても、飯島がその軽微な表情の違いに気づいてからは
萌え要素がぐーーーんって上がるんですよ。
あぁ、実は飯島に拒否られて悲しかったのね、なんて。( ̄w ̄)プッ
実はすっごい我儘なお子様だったという事実は萌え要素抜群でした。笑
あと、意外と飯島が漢らしいという事実も。
甘々展開に発展しても、仁科の言葉尻を捉えてムードをぶち壊す飯島の天然っぷりも
大変おいしゅうございました。( ´艸`)ムフフ
いや、これ絶対飯島の尻に敷かれるワ。笑

でも実は、本編の二人よりも柏木との絡みが実は一番ぐっときたです。
ちゃんと仁科は柏木の弱いのに強がってみせる姿を理解していたと。
幸せそうに微笑む柏木がちゃんと西村に愛されてるんだなーと実感できるシーンでした。
二人の別れのシーンの回想が井上さんのサイトで「鍵の在処」というタイトルで
公開されているので合わせて読むのがオススメです♪
仁科の気持ちがより深く理解できるかと思います。あと飯島の焼きもちも見れますvv
更に。同人誌「もう一度。」のペーパーに同じ別れのシーンの柏木視点があって
サイトのSSと対になってて個人的に切なくてオススメです。

あとこれは絶対個人的好みすぎるのですが。
エチシーンで攻めが職位呼びされると萌えるっっっ(*´д`*)ハァハァ
息も絶え絶えに「検視…官っ」って言うだけで萌え評価つけちゃうかも。爆

前半がちょっと唐突すぎて理解しがたかったのですが、後半で少し持ち直したって感じでしょうか。
その後の甘々は同人誌でしか見れないようなので、そこで補充ですかね。

3

読みごたえはあるけど…

グロい死体が卒倒するほど苦手なのに、なぜか事件につながる手がかりをよく見つける刑事・飯島(受け)。そんな彼は、現状で卒倒しかけたところを検視官の仁科(攻め)に抱きとめられる。以来、手がかりを見つける能力を買われ、検視官としてスカウトされることになってしまい…。


『デンパ男とオトメ野郎』と同じ世界観のスピンオフ作です。前作受けの元セフレが今回の攻め。
受けは、攻めと一緒になった現場で事件につながる手がかりを見つけたことにより、自分の補助になれと攻めにせっつかれるようになります。死体が苦手な受けは必死に断るものの、人の都合など考えていないような傲岸不遜な攻めはしつこくスカウトしてきます。
攻めには12年前に、恋人だった同僚を事件で亡くした過去があり、受けはその同僚に瓜二つだという設定。
打ち上げで酔いつぶれた受けは、攻めのマンションにお持ち帰りされ、無理やり押し倒されてしまいます。

一応未遂には終わったものの、尻を弄り回されてそれがトラウマになった受け。確かに自分の意思に反して尻に指を突っ込まれたら衝撃的だとは思いますが、強姦されたわけでもないのに以来攻めを見るたびにブルブル震えるようになったり、他の同僚に後ろに立たれて突き飛ばしたり、マンションの近くの景色を見ただけで気持ちが不安定になるのはちょっと大げさなような気がしてしまいました。しかもそんな大げさなPTSDが発症してるのに、食事に誘われたら悩んだ挙句ついていく、部屋で雨宿りしていけと言われても悩んだ挙句ついていく。なんかちょっと理解しがたかったです。

結局、攻めの過去の出来事を知って、同情で抱かれる。「同情か」「同情かもしれないけどよくわからない」的なやり取りがありましたが、よくわからないのはこっちだと思いました。あんなにキーキー「あなたのしたことが許せない」「いまだに怖くて震える」みたいなこと言ってるのに、なんで抱かれてもいいと思えるのか。個人的にはまったく理解できなかった。

仕事の描写はすごい…と思います。でも腐乱死体の描写が延々続くのはさすがに気分良くなかったです。
あと攻めの視点と受けの視点が1つの文章の中で入り混じってる文体なのがすごく読みにくかった。下手したら脇役の視点まで混じってくるし…。

7

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