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心を半分残したままでいる(2)

kokoro wo hanbun nokoshitamamadeiru

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表題作心を半分残したままでいる(2)

中上衛、真文の隣人で中学二年生~大学生、14~19
静良井真文、記憶障害持ち高校生~大学生、16~21

その他の収録作品

  • 夏の裏側
  • あとがき
  • 朝の裏側

あらすじ

恋人の久遠と暮らしつつ、どうしようもなく中上に惹かれていく静良井。
だが想いを通わせた記憶を失くした静良井を、中上は別人だと言って拒絶する。
そんなとき、久遠が日記に細工をして途中から恋人に成り代わっていたことがわかる。ではずっとそばにいてくれた恋人『M』とは誰なのか。実は静良井と中上の本当の出逢いは十年以上前、二人が学生の時だった──。
恋の成就と、その後の長い別離の真相に迫る回想篇!!

作品情報

作品名
心を半分残したままでいる(2)
著者
砂原糖子 
イラスト
葛西リカコ 
媒体
小説
出版社
新書館
レーベル
ディアプラス文庫
シリーズ
心を半分残したままでいる
発売日
ISBN
9784403524547
4.4

(182)

(128)

萌々

(34)

(10)

中立

(1)

趣味じゃない

(9)

レビュー数
19
得点
807
評価数
182
平均
4.4 / 5
神率
70.3%

レビュー投稿数19

胸が締め付けられる愛

1巻を昨夜読み、こちらの2巻を明け方近くまで徹夜して読みました。

衛と真文の過去回想編です。

砂原先生の構成の巧みさに、ため息しか出てきません…。
ああ、回想編でのこのシーンがあの時のあの場面に繋がっているんだ、とか、
衛視点のあの出来事を、真文はこんな気持ちで捉えていたんだ、とか。

1巻では明かされなかった、真文の足の火傷跡の真相も明かされ、きっと何か重い重い事情があるのだろうと覚悟はしていた(つもりだった)のですが。

あまりにも衝撃的で、悲劇としか言いようのない真実に、胸をひと突きされたような痛みを感じました。

”記憶喪失もの”という一つのジャンルは、今までに色々な作品で描かれてきたジャンルで、私もそこそこ読んできたと自負していますが。
こんなにも胸を抉られ、「記憶を失う」ことが持つ意味、恐怖、不安、周囲への影響をリアルに感じたのは、今作が初めてです。

この物語の果てにただ甘いだけの結末が待っているとは思いませんが、どこかに救いがあることを信じて、最終巻も心して読みたいと思います。


0

ジレジレ

「心を半分残したままでいる」2巻です。

2巻は静良井と中上の過去のお話から始まるのですが
まさか…まさか…!と序盤からとてもびっくりしました。
あらすじに書いているのでこちらに書きますが
まさか二人の本当の出会いが静良井が高校生、静良井と中上が中学生の頃からだなんて…!
とてもびっくりしたと共に、中上は静良井に忘れられたのは
1巻の1回だけじゃなかったんだなぁ…ってとても悲しい気持ちになりました。

2巻である程度の進展があると勝手に思っていたのですが
2巻はあくまで過去のお話だけで進展はしません。
なので、1巻の続きは!?!?!?!とジレジレした気持ちになってしまいました。

この過去を経て、現在が悲しい状況で、
3巻こそは中上も静良井も救われてほしいなぁ…って思いました。

0

静良井が失っていた過去編

タイトル通り、1巻では触れられなかった静良井がなくしていた、中上と出会った中上中学生、静良井高校生の頃から中上が大学生になり、静良井が玄関に置いていた非常用持ち出し袋を持って飛び出して行った夜までの回想が中上視点と静良井視点から書かれていました。

1巻で謎だった静良井の脚に残る火傷の痕の理由、静良井が非常用持ち出し袋を持って家を飛び出した理由、中上との出会いが解き明かされました。静良井の母親の最期まで…。


好きな相手、それも思いを通じ合わせた相手から「君は誰?」と言われる衝撃の大きさを身をもって体験したことは無いけど、それがどれだけ自分の身に大きくショックを与えるかは想像にかたくないです。それを覚悟していたとは言え、病院で幾度となく繰り返されるその衝撃的な再会は中上にとってもとても辛かったはず。そしてそれを7年後、繰り返すことになるのだから…。

2巻で回想を挟んでいるからきっと3巻は1巻の続きですよね…。本当はもっと時間をかけてこのシリーズを読む予定だったんです。なのに先が気になりすぎて結局一気に読んでしまいました。ちょっともったいない気もしますが、もうこうなったら3巻まで一気に読み進めたいと思います(ただの決意表明ですみません)。

1

平和なシーンですらしんどい

 攻め視点。(衛視点)
 初っ端から前巻の伏線回収にゾワっとした。
 前回の金色ってその事だったんだ、と納得。金髪はあながち間違いではなかった。
 前の巻から思ってたけど、真文足滑らせて転びすぎだよ……読み進める度に、地面が濡れてる描写がないか、気を張ってしまう。
 数年平和に過ごしてて、いつ発端の記憶喪失になるのかビクビクしてたら、濡れた地面でも階段でもなくて意表を突かれた……。

 中学〜大学までの回想エピソード。微笑ましいはずなのに、一巻の出来事を思うと胸がぐっと苦しくなって、素直に癒されないのが悔しくて泣けてくる。

1

切ない!

1読んですぐ2!の気持ちだったんですが、同梱発送待ってて少し間があき…落ち着いた気分で2に挑みました…。

こんなに青春のキラキラ描いているのに、こんなに泣けるってどうしてでしょう…!?って静良井の病気のしんどさもあるのですが、1を読んでいるからなんですよね~。構成の妙!!2から読んだら、きっとキュンキュンするぅ~とか単純に思った部分も多かったはずですが、2に描かれる多くの出来事が1につながっていて、、切なさを増幅させます。(金髪ってあんだだったんかい!という発見もあり…)

彼らのこの濃密な時間、思い出の一つ一つが、川底に落ちてる石ころみたいに、静良井の心の奥深くに沈殿していて、ときどき光があたるとキラキラ光って夢に現れたりしてたんだな~と思いました。思い出せない記憶も消滅しているわけではないということが、ささやかな救済のようにみえます。

忘れられることが回避できないのに、それでも約束を重ねずにはいられない2人が尊すぎます!!そして、そんな約束を愚直に守り続ける中上だからこそ、刹那的であるはずの10代の恋愛が、人生を左右するようなイベントになり得たと感動しました。ここに描かれている2人の4年が不慮の別離によって、中上の中で(おそらく静良井のなかでも)、そのまま色あせることなく冷凍保存されたのでしょう。数年後を知っている読者からみたら、なんとも儚げな彼らの青春の日々が美しく描かれていました。

0

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