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表題作ひめやかな殉情

新進気鋭の画家・秀島慈英(27歳)
長野県警刑事・小山臣(31歳)

同時収録作品夏の日のトルソー

その他の収録作品

  • あとがき

あらすじ

刑事の小山臣が新進気鋭の画家・秀島慈英と恋人同士になって4年、同棲を始めて1年が過ぎた。
幸せではあるが、画家としての地位を確立していく年下の恋人に、自信を持てない臣。
そんな二人の前に慈英の大学時代の友人・三島が現れ、慈英につきまとう。
不安を感じる臣だったが…。
慈英&臣、待望の書き下ろし最新刊。
表題作ほか商業誌未発表短編も同時収録。

作品情報

作品名
ひめやかな殉情
著者
崎谷はるひ 
イラスト
蓮川愛 
媒体
小説
出版社
幻冬舎コミックス
レーベル
幻冬舎ルチル文庫
シリーズ
しなやかな熱情
発売日
ISBN
9784344806016
4

(41)

(19)

萌々

(11)

(8)

中立

(2)

趣味じゃない

(1)

レビュー数
11
得点
165
評価数
41
平均
4 / 5
神率
46.3%

レビュー投稿数11

一生消えない絵を描く。あなたを俺の『作品』に仕立てて。…っていうのが怖かった…(°Д°)

慈英×臣シリーズ。出会いから4年経ってます。現在二人は同棲中。今回は慈英が臣に執着する理由というか…慈英の持つ歪みが露になった巻かなと感じました。そして慈英の悪癖発覚(笑)慈英は臣とセックスした後、必ず臣のイった顔の絵を描く癖が。それでいっつも臣に怒られてます。そんな二人の関係が好き。

今回のキーマンは三島という男です。三島は慈英の大学時代の同期。この男は慈英の絵と慈英自身に物凄い執着を見せ、慈英の抱いた身体を持つ臣にまで手を出そうとします。そんな三島に対する慈英の対応が静かすぎて怖かったよぉ…(´Д`)

三島のことを抜かせば二人はラブラブでしたよ。そしてエロエロ。相変わらず臣は最強の誘い受けです。なんか臣が可愛くなってて甘えたりしてよかったな~。4年前までは慈英が振り回されてばかりだったのに、いまでは慈英が臣を転がしちゃってます。

そんな二人の前に三島が登場。三島は慈英の所に押し掛けてしょっちゅう飲みに来るものだから、臣は後見人の堺さんの家に転がり込みます。せっかく同棲してるのに三島め…とこっちがむかっ腹。
臣が何日も帰ってこないものですから、慈英は携帯に何回も電話を入れてます。でも臣は三島が来たらまずいからと帰るに帰れず、堺さんの娘・和恵(高校生)のお節介でようやく慈英が迎えに来ました。

臣&和恵のやりとりが面白くて笑っちゃいました。和恵は慈英と臣のことを知ってるので完全に二人を夫婦扱い(笑)そして和恵の母親も。慈英が臣を迎えに来た帰りにお惣菜まで持たせてくれました(笑)完全に慈英は実家に家出した嫁を迎えに来た旦那みたいになってました(笑)

さて、いよいよ臣VS三島。三島の過去の悪行を暴き慈英に付きまとうのを止めさせるため、臣は自分の身を囮にして三島に本性を出させます。臣に襲いかかる三島。危なくなった時に慈英が登場。三島に組敷かれた臣を見て激昂するわけでもなく、静かに臣を抱き抱えてお風呂に連れていこうとします。三島のことなんか視界に入っていないし、そんな人間なんか初めからいないという態度をとる慈英が怖かった…(¥△¥;)

慈英は三島という人間が大学時代の同期にいたということさえ覚えていませんでした。というよりも慈英は大学時代の人間や付き合っていた女性もあまり記憶がないということです。慈英はその頃、絵以外のものを全て投げていたために。

何にも執着しない慈英が唯一こだわり、追いかけ手に入れて逃がさないと執着するのが臣という存在でした。何故自分なのかと分からない臣。その問いに対する慈英の答えが優しくて、臣のことを愛してるんだなぁというのが伝わってきてよかったです。

ああ…このシリーズホント大好き(´∀`)

6

慈英が臣以外見えてない所が萌えます(^3^)/

慈英×臣シリーズ第2弾!
人間関係が下手くそな画家・慈英と、親に捨てられた過去を持つ警察官・臣が主人公です。

幸せな2人に横やりいれる、狂った男が出現。
自分を才能ある慈英と重ねて陶酔してるイカレタお方です。。。

そいつに振り回されながらも、ラブラブ度が増してくる2人。

せつない中に幸せがあって、私は大好きな作品で、何度も読み返してます(*´∇`*)

4

どんどん依存して執着してくださいっ

執着愛万歳!もう貴方しか見えない大好きです。
受様の職業が刑事っていうだけあってなにやら毎回事件が起こる展開なのか?
愁堂先生の『罪シリーズ』読んだばかりなので、そっちの思考につい・・・
それにしても崎谷先生の書く頭おかしい人はほんと恐い。
そんな危ない人も攻様・慈英に掛かれば只の可哀相な人になってましたね・・・
好きの反対語は無関心。嫌いの反対語も無関心。
なんかこの作品を読んで納得しました。
1固体として全く認識されない哀しさ・・・
慈英の世界に色をつけたのは受様・臣しかいないんですよね~
自分の世界にしかいなかった慈英が臣の一挙一動に振り回されているのは愛故ですね・・・
臣さんが慈英に甘えている姿はほんと可愛い。
愛に飢えている受様にこれでもかと執着愛を注ぐ攻様という設定自体が好みです。
もうツンツンしすぎると疲れますよ・・・甘える所は甘えてください!
崎谷先生も慈英×臣には思いいれがあるみたいですが何年も経って続編が出版
されたりしているのにしっかりキャラが生きていて凄いな、と。
慈英・臣っていうネーミングも凄く好きです。センスいいな~
イチャイチャもこれだけ入っているのに描写がおざなりにならないのも崎谷先生を尊敬
してしまう所ですね~
そうそう、ちょっと声を大にしていいたいのは慈英下半身ゆる過ぎ!臣のセックス依存症は
許せても慈英は別にやらなくてもいいだろう。
崎谷先生の攻様って下半身ゆるキャラが結構多いのが・・・む~

2

執着と狂気

シリーズ二作目ですが、前作から四年も経ってからのお話です。
一作目は、慈英と臣が出会って恋に落ちて、付き合いだすまでのお話だったんですが、
受け様の臣が余りに卑屈な性格だった為、かなり面倒くさい展開でした。
まあ、私にはそこがツボで面白かったんですが(笑)
そして三十路となった今作でも、臣の基本的な性格は変わってません。

恋人同士の熱い時間を過ごした後に、食事に出た二人は、
慈英の美大生時代の同級生、三島に偶然出会います。
懐かしそうな三島に反して微妙な反応の慈英でしたが、
三島に呼び出されて頻繁に二人で飲みに出るようになります。
その内、家にまで押し掛けるようになり、三島はどんどんストーカー化していきます。

とにかく、三島の慈英に対する執着は、余りにも歪んでいます。
激しい憧れ、羨み、妬みは、殆ど狂気のようで・・・
三島の過去の、慈英自信や慈英の彼女達に行ってきた罪も明らかになりますが、
「彼は、俺なんだから。彼のものは、俺のものなんだ」と言い出す始末。
なんかもう、無茶苦茶病んでます・・・

でも、照映も言ってますが「いかれてる」という意味では、慈英が一番でしょう。
ある部分で「天才」的な才能がある人は、
その分、別の何かが欠落しているのかもしれませんね。
慈英の、自分が興味を感じた物事以外への無関心さは、ちょっと異常です。
そしてその無関心が「人」に対してだった場合、
もうこれは「罪」と言ってしまってもいいのではないでしょうか。
「おまえ・・・やっと俺を見たんだな」と、泣き笑いの顔をした三島。
たとえ排除対象としてでも、存在を無視されるよりは嬉しい・・・
酷いことをしてきた三島ですが、最後はちょっと哀れでした。

そして臣ですが・・・
相変わらず卑屈な性格は変わっておらず、ウザいです(笑)
今回も、自らの身体を張って、三島の悪事を暴こうとしますが。
照映も「ほっときゃいいんじゃねぇの、そんなもん」と言ってますが、私もそう思う(笑)
結局臣の勇み足が、事態をややこしくした様な気がします。
だけど、少年の頃に親に捨てられ、無償で愛されたことが無いという臣。
身体と引き換えにしか愛される方法を知らなかった少年時代が、余りに哀れです。
臣が、慈英の為にと必死になってしまうのも仕方ないのかもしれません・・・
卑屈だけど一生懸命な、この面倒くさい臣が、私はかなり好きなんです(笑)

ネジが飛んでしまっている、いかれた天才画家の慈英と、
自分に自信がなくて卑屈でウザい、セックス依存症気味な臣。
慈英の臣に対する執着っぷりは凄まじく、執着愛大好物の私には
このシリーズは美味しい限りです(笑)
崎谷はるひ先生の作品の中で、一番好きなシリーズです!

1

数々の「神」場面に打ちのめされました

始めは前作からの導入、条件紹介、既存問題の提示などの起こしはすっと薄く始まり、三島の登場から徐々に深いところへと潜っていきます。

心理描写が巧みな作家さんだなとは思っていましたが、これは中でも群を抜いていると思いました。これだけ鮮やかにその情景を含めて描けているものはBLに限らずそうはないんじゃないかと思うほどでした。掘り下げただけ、描写だけでなく、動きと情景と掘り下げとそれらすべてが密に絡まって奇跡の場面になっていると思います。
クライマックスシーン、これは本当に掛け値なしに「神」と呼ぶにふさわしいシーンでした。

あとがきで「お話に引きずられることもあった」と書いてあり、さもありなんと思い、また少しホッとしました。これだけ掘り下げていたらどこかに作者自身の苦しさがにじんでしまいそうなものなのに、この作品にはそれがなく、終始作者としての位置を崩したところは見受けられないままうつくしく物語が閉じられていたので、作者のポテンシャルに舌を巻いた部分があったのです。余裕綽綽とこれだけのものを書いたわけではないとわかって(当たり前なんでしょうが)、ほっとしたのです。

やわらかな言葉づかいで慈英と臣が人として丁寧に描かれ、それぞれの思いに触感があって胸に迫りました。
慈英と臣を私にとって大切なCPにしてくれた1冊です。

1

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