イラスト付
『烈火の血族』に続く、「血族シリーズ」の第2巻。
序盤、前作のストーリーをさらりとおさらいしてくれていますので前作未読でも理解できないことはない、のですが、でもやっぱり前作未読の方はそちらから読んでほしいな。
SHYノベルスの夜光さん×奈良さんのシリーズは本当にハズレがないですが、今シリーズもめっちゃ神!
まだ2巻目ですが、神評価しか付けられない面白さ。なのです。
普段コミックしか読まないよー。
とか、
ファンタジーものってあまり得意じゃないんだよね。
と思われている方にも激しくお勧めしたい、素晴らしい世界観を放つ作品です。
シリーズ1作目となる『烈火の血族』がめっちゃ面白かったので、今作品の発売を心待ちにしていました。
ということでレビューを。ネタバレ含んでいます。苦手な方はご注意ください。
「魔法学校」を舞台に繰り広げられるファンタジーもの。
主人公は真っ白な肌と髪を持つマホロ。
幼少期に自分を引き取り、大切に育ててくれたジークが失踪。ジークを探し出すべく、ローエン士官学校に入学したマホロは典型的な落ちこぼれ。
けれど、そんなマホロに惹かれ、守り、愛してくれるノアと出会い、マホロは自分の身体に施された「秘密」に近づいていく。が、子どものころから尊敬してきたジークは敵対する立ち位置にいて―。
というのが1巻で描かれていたストーリー。
2巻はジークに襲われ、そしてローエン士官学校を追い出されてしまったマホロの現状の描写から始まります。
危機的な状況にいるマホロですが、うん。ピンチとは無縁の状況にいます。
それはなぜか。
スパダリのノアがマホロを守ってるからなんですね。
イケメンで、名家の御曹司で、魔法使いとしても有能で、父親が軍のトップという、まさにザ・スパダリのノア。そんなノアに一途に尽くされ、愛され、そして身体まで開発途中という、なんとも蜜月状態なマホロなのです。
が、そんなマホロのもとに、ジークが送り出してくる刺客が次々と襲う。そんなマホロを、ノア、そしてローエン士官学校の校長・ダイアナが守る。二人に守られ、マホロは自身の出生の秘密に迫っていくが―。
2巻の大きなキモは、ノアの友人。
彼の回想から2巻は始まりますが、この回想の描き方が素晴らしい。
ちょっとした表現で、「彼」の内面をきっちり魅せます。さすが夜光さん。この、「彼」が誰のことなのか、是非とも読んでご自身で確認されてください。
ノア×マホロの2人は安定の甘々。
ジークに掛けられた魔法によって彼らは身体を繋げることができずにいますが、出来なくてなお、いや、出来ないからこそなのか。この二人の濡れ場がめっちゃエロい。ノアのマホロへの執着心とか愛情とかが透けて見えてくるのも良き。
けれど、そこに忍び寄る闇の足音がなんとも恐ろしい。
そしてそれと闘う過程で少しずつ見えてくるノアとマホロの過去と秘密。特にノアは極度な人嫌いですが、そうなってしまったのは彼の過酷な過去のせいではないかと、そう思わせる。マホロという存在を得て、彼がその過去を乗り越えられると良いな。
コミカルなだけでも、甘々なだけでも、そしてシリアスなだけでもない。そのバランスが秀逸です。
ストーリーを展開していくうえで、重要なキーパーソンがその都度登場しますが、そのキーパーソンを通して見えてくるストーリーが実に素晴らしかった。ジークの仕掛ける策によってマホロは様々なピンチに立たされます。怒涛の展開、そして新たな謎の解明、とテンポよく進むストーリーで、一気読みすること請け合いです。
そして特筆すべきは奈良さんの挿絵。
今回も素敵でした。
濡れ場はひたすらエロく、ノアのスパダリ感は半端なく、マホロの可愛らしさ(マホロは途中とある理由で子ども姿になりますがこれが犯罪級に可愛い)に悶絶し、そして途中で見開きのイラストがありますがこのイラストが見せる緊迫感がヤバい。
1巻ではノアへの想いを自分でも測りかねていたマホロですが、2巻で自分のノアへの想いを自覚します。そのきっかけとなるシーンが、これまた良き。マホロの危機と萌えとが表裏一体で、よりハラハラ感が増しました。
最後、マホロの危機で終わっています。
ノア、そしてジーク。
二人の男の、マホロへの執着心。
BL的な萌もきっちり描きつつ、ジークとの対決がどうなっていくかのストーリーも面白く、次巻の発売が今から待ち遠しいです。
頭の中に映像となって浮かんでくるような不思議な感覚にドキドキする。
もう夜光花先生の作品に魅了されっぱなしです。
本当に面白かった。ずっと読んでいたくなる。
そして、奈良先生の見開き挿絵が!今回はなんと2箇所に増えています!
迫力と美しさに見惚れてしまいますね。
血族シリーズ第2巻目となる今作。
前作は物語の序章といった感じの内容でした。
今回は登場人物の掘り下げなのかななんて思っていたのです。
ですが、さすが夜光花先生。
それだけで終わるはずがありません。
わくわくとときめき、解けていく謎と新たに増える謎…嵐のような展開が待ち受けていました。
250P弱のお話ですが、体感では500Pくらいの読み応えを感じました。
以下、ネタバレを含んだ長い感想となります。
ノアにぐいぐい惹かれてしまい、ごちゃっとしてしまっているかもしれません。
前巻からノアの実家でお世話になっているマホロ。
190cmと150cm=身長差40cmの凸凹な2人の仲睦まじい様子と甘い雰囲気が可愛い。
この時点ではまだマホロは愛される事に戸惑い、ノアが押せ押せな感じですね。
そんな甘い時間も束の間、次々と現れる刺客達。
ノアの過去、謎だらけの島、森の人、光の民、マホロの過去と記憶、司祭、"ギフト"を授ける者…と、まさに手に汗握る怒涛の展開が続きます。
その中でノアとマホロの関係の変化もきちんと描いている。
読ませる展開が本当に素晴らしい。
私は各巻に登場するノアからマホロへの「質問」がとても好きなのです。
扉絵の、愛する人が溺れていたらどうするか?と、マホロの髪に口づけながら問うシーンはどこか切なく、それと同時にノアの危うさと根底にある感情が溢れてくるかのようですし、前巻で謎だったノアのバックボーンについても少しずつ明かされていきます。
自身の生い立ち、亡き母親への愛情と後悔を吐露する姿が印象的。
2つ目の「愛する人に嫌われる薬か、愛する人に忘れられてしまう薬のどちらかを飲まなければならなかったら、お前はどうする?」
というノアの問いに「忘れられる薬」が良いと答えるマホロに対して「俺は嫌われてもいいから忘れないでほしいな。絶対にまた好きにさせる自信があるから」と返すノアがもう…ギャップがずるいです…
自信家で尊大。悪戯っ子のように翻弄するけれど、いざという時には頼りになる実力者で愛情深く優しい先輩。
でも実は弱い部分や脆い部分も持っている。
心を許し、愛した者には弱みも全てを見せる魅力溢れる攻めです。
ノアという人が更に好きになりました。
今まで誰にも興味を示さず、どこかぽっかりと心に欠けている部分があったノア。
そんな彼の足りなかったパーツをいつしか埋めていた愛おしい少年。
今回、ノアが新たなギフトを望まずとも手に入れてしまったことによって、授かったその力は良い方向に働くのか?それとも?
マホロという存在がジークフリートと似た雰囲気を持つノアを善にも悪にも左右してしまいそうで…
ノアへのギフトの犠牲となったマホロの生還に、これまでに無いほど涙し安堵するノアが本当に脆そうで、アァーー…となりました。
ベッドシーンでの互いの想いの深さに熱いものを感じながら、今後の展開を想像しハラハラしてしまう。
マホロを一心に愛するノアと、己について・愛される事を知り強くなったマホロはどんな運命へ向かうのか。
あとがきの、次回は恋愛面の向上との言葉に想いを馳せて幸せを願いたい。
前作・烈火の血族がノアだとすると、タイトルの花嵐とはオスカーの事かなと。
精霊が目に見える恋多き青年。
けれど、自分と居るとなぜか相手の精霊が消えていく。
彼の独白にどうしても陰りを感じてしまいます。
校長の言葉を借りるのなら、ノアとオスカーはとても似ているのです。
「本質は俺と同じくせに」とノアが言い放った言葉が深い。
誰にでも愛想が良く優しいのは誰にも興味がないのと同じ。
しかし、マホロと出会って以来ノアは徐々に変化し、オスカーとは別のものとなっていく。
なぜノアと親しくなったマホロからは精霊が消えない?
自分とノアは一体どこが違う?
執着と嫉妬という名の小さなトゲが刺さる。
トゲはやがて大きくなり、終盤で貫通してしまう。
ギフトの話の辺りから、こうならないで欲しいと思っていた通りになってしまいました。
「あいつの心は風そのもの。信用するな」という序盤のノアの言葉を思い出す。
闇が見えて来たオスカーの今後も気になるところですが、"彼"の登場により不穏さMAXで迎えたラストの先が本当に気になって仕方がありません。
どうかノアに救い出して欲しい。
夜光花先生は筆がとてもお早い印象があるのですが、この濃厚かつ重厚なストーリーを一体どうやって生み出してくださっているのだろうと、本当に驚くばかりです。
激しい展開が続きますが、次巻はどうなってしまうのでしょう。
今回同行しなかったレオンの出番は増えるのかな。
ギフトの力も今後どんどん出て来そう。
読み終えた後に前巻の冒頭を読み返すと謎が更に深まるばかりです。
ルクスとは?「門を開けろ」とは?
続きを読むのが楽しみでなりません。
それから、新キャラクターのニコル!
なんとノアのお兄さん!物凄く好みでした!!
けれど左手には光るものが…既婚者!詳しく…!!
小さい頃はノアのナイト役だったとの事で…その小さい頃すっごく見たいな〜〜!!
父親との関係も良好とは言い難く、孤立しがちなノアにもニコルという理解者がいて安心しました。
彼は魔法団に所属しているようなので、また出番がありそう…?
もっと兄弟のやり取りも欲しい。
あとは、毎回変わる校長のヘアスタイルとヘアカラーが密かな楽しみ!
実力者でありながら、本当に可愛くておしゃれさんで大好きなキャラクターです。
今後の2人の活躍も楽しみです。
『血族シリーズ』は登場人物全員が一筋縄ではいかない感じですねー。
誰一人、良い人・悪い人という単純な分け方が出来ない。
確かにそれが『夜光&奈良タッグによるSHYノベルス』の魅力でもある訳なんですけれど……でも、この巻を読んで『薔薇』や『少年神』よりも、更にその傾向が強いと思い知らされました。
物語冒頭のエピソードから考えるに、属性を理解し本質を捕まえないと、その魔法を使いこなせないみたいですし。
そういう意味では火だって土だって風だって、あるいは光や闇も、良い・悪いではないですものねぇ……それらはただそこにあるだけで、それに接する人間の側の状況によって良し悪しが生まれるだけ。
いやー、激しく翻弄されましたよ。
この翻弄がね、凄いんですよ。
「これぞ夜光花っ!」って感じなんです。
歌舞伎だったら大向こうがかかりそう。
これからお読みになる方にも是非この翻弄を楽しんでいただきたいので、ネタバレは止めておきます。
お話の雰囲気は、前巻に比べるとアクションよりホラーとか伝奇寄り。
あと、LOVEは深まります。
マホロが可愛く健気。
健気な子ってどうして酷い目に会っちゃうんでしょう……(これ、解決しないままで終わりました。相変わらず引っ張り方がお上手です)
文章に翻弄されてページをめくると圧巻のイラストが出現するのも凄かった。
本当に奈良画伯は良いお仕事をされていますねぇ。
さて、ローエン士官学校の面子やデュランド王国のあり方も『光の当たり方が変われば見えるものが変わって来る』ということが明らかになった2巻目ですが……ってことは、初っ端から悪役として登場したジークフリートも、今後、違う側面が垣間見える場面が用意されているのかもしれません。
いゃぁ、それを想像しただけで次巻が大変楽しみです。
続巻をとても楽しみにしていたのをやっと読めました!
ノアのマホロへの溺愛ぶりと執着がとても良かった〜
今回はノアの屋敷にいた時からマホロを拐おうと賊が学者や校長に成りすましたりとハラハラものでしたが、ノアやノアの兄のニコルによってピンチを救われてました。
ノアのギフトを与えられた時の過去話がとても切なかったです。
クリムゾン島の謎が段々と明らかになって来たのもとても面白かった!
司祭に会いに行く途中に地下道で遭遇した<悪食の幽霊>のくだりと奈良先生のイラストがとても恐ろしくて、息を止めて読んでしまいました。w
オスカーがギフトを受け取って片目を失ったまでは予想してましたが、まさかのノアが2つ目のギフトを与えられるとは驚きました。
殺された司祭の後継者が少女だったので、無邪気さがとても恐ろしかったです。
もともとオスカーはあんまり好きでは無かったんですが、まさかあんな行動に出るとは…
ジークフリートは最後の最後に登場してましたが、彼もギフトを与えられてオリジナル魔法を使えたんですね。その魔法がエグ過ぎますよ。
でもマホロがノアの気持ちを考えて、ジークフリートを拒否してたのがせめてもの救いでした。
まだまだマホロには謎が多いので、これからの展開がとても楽しみです!
設定の凝った本格的な魔法ファンタジーもので2巻目も面白かった〜!!
クリムゾン島探検の巻で、秘密が多い島なので冒険しているようにワクワクしました。
今巻で明かされた事も沢山ありますが、まだまだ謎がいっぱいで続きが気になります。少年神シリーズのように長期シリーズ化を望みます。
最終巻までついていきます!!
今巻はタイトルの暗示するようにノアの親友(?)のオスカーの巻でノアに負けじと掴みどころがない性格で最後まで真意を見せません。
絶大な威力を誇るギフトを得る為に大切なものを失う件はとても切なかったです。その後の人物の人格形成にも大きな影響を与えるのがじわじわと感じられて見ていて辛いです。
ギフトはただの能力で終わらず何か壮大な意味(使命?)がありそう。
オスカーが大切にしていた物にもまだまだ秘密が…??
ダーク・ファンタジー好きには設定等が色々たまりませんw
重要人物が持つギフトもそれぞれ個性的で印象深いし、血族の人達も華やかで棘のある人が多くミステリアスだし、世界観に引き込まれます。
ジークフリートがマホロの定められた運命の相手なのか、運命に逆らうマホロとノアに奇跡が起こって二人が結ばれ得るのか、気になる事で一杯です。
今巻のノアとマホロはギリギリ…で攻めた内容でしたね。ヒヤヒヤしました。
またギフトの様な大きな力は選ばれし者にのみ授けられ、使い手も持ち主にふさわしくそれなりの場面で慎重に力を発動するという印象がありますが、マホロに対しては皆ギフトを濫用してしまうのがおかしかった。ギフトを持つ相手にとってマホロは属性的にも魅力的にうつるよう。
次巻のタイトルを見て、誰が次巻の裏主役か考えを巡らせるのが楽しいです。
奈良千春先生の表紙のイラストも素敵な上に、挿絵イラストが読者の想像を越える内容で、イメージが膨らんで素晴らしかったです。