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表題作それは秘密の方がいい

伊沢春紀,高校2年生,クラスで人気のあるバレー部のエース
真宮博文,17歳,高校2年生,地味で根暗な学年一の秀才

その他の収録作品

  • だから一緒にいればいい(書き下ろし)
  • あとがき

あらすじ

クラスメイトの伊沢が、自分の元カノとキスしているところを目撃してしまった真宮。
勉強も運動もできて性格もいい人気者の伊沢を、勉強しか出来ない地味な真宮は逆恨みしていた。
そこでキス画像をタテに脅迫してやろうと思い立つ。ところが伊沢は「困った」と口では言いながら妙に楽しそう。
伊沢に嫌な思いをさせたくて見当違いの努力を続ける真宮だが、距離が縮まるにつれて彼を嫌うことが難しくなっていき…?

作品情報

作品名
それは秘密の方がいい
著者
渡海奈穂 
イラスト
南月ゆう 
媒体
小説
出版社
新書館
レーベル
ディアプラス文庫
発売日
電子発売日
ISBN
9784403525216
3.1

(28)

(2)

萌々

(9)

(11)

中立

(2)

趣味じゃない

(4)

レビュー数
6
得点
81
評価数
28
平均
3.1 / 5
神率
7.1%

レビュー投稿数6

No Title

冒頭受けくんがだいぶ拗らせてるぶっとんだ子なのかな?という印象だったんだけど、学校内で人気者の攻めにもどうやら秘密が…という展開でございました。いやぁ攻めがだいぶヤバかったぞなかなか強烈な攻めだった…!めろちゃんまじ気の毒南月ゆう先生の挿絵最高でした

0

ホームドラマ家族こわい


学校一人気者(偽りの姿)とぼっちな秀才の割れ鍋に綴じ蓋カップル


女顔なのを幼少時からからかわれ続け他人とのかかわりを避けるようにボッチを貫いていた真宮(受け)は人当たりがよく運動も勉強もできる人気者の伊沢(攻め)が大嫌い。
そんな伊沢が2週間ほど付き合って別れた(まだ3日ほどしかたってない)元カノと放課後の教室でキスしているのを見て、逆上し脅してやろうと写真を撮ります。
でも、いざ脅そうとしても脅す内容がわからずしどろもどろに・・・



初めはコメディなのかと思いました。真宮は脅そうとしているのに、人がいいから全然脅せてない。
困らせるはずなのに傷つけたんじゃないかと気を遣ったり、どう見ても伊沢にからかわれているようにしか見えないのに、脅しているつもりで満足しているし。
読んでいて何やってんだと呆れてしまいました。

そして伊沢はとてもよく周りを見ていてすごくいい子なのかと思ったら、なんか不穏な感じがして、周りをさりげなく支配というか自分の思い通りに誘導している感じがすごく怖い。
そしてそれを誰も気づいていない(例外が一人いましたが彼女もまた異端だったからこそ気づけたのでしょう)


結局、勘違いに勘違いを重ねた(伊沢によって重ねさせられた)真宮の暴走もあって、めでたく二人は付き合うことになるのですが、なんとも不思議なカップルでした。
まぁ、当事者同士が納得の上だからいいのかな。




中編2編で成り立っており、前半は特に伊沢が何考えているのか理解できなくて気持ち悪くて怖くてどうにも好きになれませんでした。
が、後編で伊沢の家族が登場したことで腑に落ちました。


前編はすべて真宮視点でしたが、後編は時々伊沢視点が入ります。
これによって、伊沢の家族が登場するのですが、これが気持ち悪い。
読んでいて、これは台詞があってそれにそって喋っているのだろうかと思ってしまうくらい、ドラマのようなのです。
それもはじめは両親は素でホームドラマの夫婦のような人なのかと思っていたので、こんな家族だったら窮屈でも理想の息子を演じないと仕方ないのかなと思っていたのですが、蓋を開けてみたら、お互い分かっていて理想の姿を演じているだけの夫婦という。
コワイコワイ(∩´﹏`∩)

伊沢は、家がリアルホームドラマ家族だからそう演じるしかなかったというより、そう演じることを強制されていたというかそういう風に誘導されていた。


読んでいて違和感がありました、家事完璧な理想の母親とかいっているのに、伊沢はいつもコンビニ弁当。
他人を卑下するような言動・・・
お互いそのことをわかっていて夫婦やってるようなので当事者的には満足なんでしょうが、巻き添え食らってる伊沢は気の毒です。
両親ともが要領よく何でもできてしまう人達で伊沢は二人の能力や気質を受け継いでしまったのでしょう。
でも、早くに自分たちの異常に気付き、そうならないように自省しようとできる伊沢はそのせいで自己嫌悪に陥ってしまったりきっと色々悩んだのだと思うと伊沢は伊沢でとてもかわいそうな子だと思いました。

両親が伊沢のことを貶していた時は、あなた達の遺伝子きっちり貰って、要領よく生きてますからーって言いたくなった

裕福な家のようなので伊沢が大学で家を出るのは可能そうなので、きっと高校を卒業したら異常な家族から逃げることができるでしょう。

そして、真宮の目立たないスキルも凄い。成績に響かないようにやっているふりして目立たないのはまさに職人技。運動神経があまりないのと人とのかかわりが苦手なのは仕方ないとしても、どちらもスペックは高いので二人でいれば鬼に金棒でしょう。

大学に入ればもっと人とのかかわりは希薄になるし、二人とも息を思いっきり吸えるようになるのではないでしょうか。
数年先の二人がどんな感じが非常に気になります。


二人の話というよりは、伊沢の家族が気持ち悪かったので、すごく気持ち悪いというのが印象に残っていますが、伊沢は真宮を見つけられてよかったねというのが最終的な感想です。

2

DK好きにはたまらない

連載マンガのように少しずつ読み進めていったのですが、それが思わぬ効果を発揮してくれたみたいです。真宮と伊沢の関係がどう展開していくのか、全く読めなくて。えっ?伊沢ってどんなヤツなの?真宮可哀想だよーなどと時間をおくたびに妄想が高まり、続きを読むのが楽しみになっていました。

前半の表題本編は意外にもエロみ強め。高校生のエロさはファンタジーですよね…。DKものの醍醐味は、その年代特有の振り幅じゃないかな。ピュアっピュアから闇堕ちまでなんでもアリなんです(個人的に)。作者の趣味や性癖が出やすいのもおいしいです。近年、DK小説がレアなような気がするのでおもにコミックで楽しませていただいていますが、また学園ものがリバイバルしたら嬉しいなと思っています。

本編は一応ハッピーな結末で終わってしまい、正直拍子抜けでした。ですが、後半の「だから一緒にいればいい」こそが物語のコアなのだとわかるとやっぱり渡海作品だった!と大満足させていただきました。

少年(女)から大人への過渡期は、彼らの生育環境と密な家族との関わりが外せません。伊沢が育ってきた家庭は、真宮がいうように恐怖以外の何物でもありませんでした。伊沢はコントロールできない性癖をちゃんと自覚していて、それはいけないことだと咎めて欲しいのに、両親は息子のネガティブな部分を認めようとはしません。なのに、優等生すぎてつまらないと陰で貶めている。…ほんと、ホラーなんです。

どうしようもなくタチの悪い伊沢を好きになってしまったのが、ある意味おぼこ過ぎる真宮だったのも説得力がありすぎて、読後、生々しいカップリングだったな…と反芻してました。二人の関係性はBLだから距離をもってフィルターをかけて読めるんです。もし男女カップルだったらなぜ二人が惹かれ合ったのかリアルに想像がつく。そこが好悪を分けるところかもしれません。恐ろしくリアルなんですよ…。

彼らの年齢から時間的にも距離ができているわたしはノスタルジーをもって読めてしまったので、前半はコミックで得られるようなちょいダークエロが楽しめて、後半に攻めの闇が敷衍されていく裏面がセットになっている点にゾクっとする面白さがありました。古典的なようでいて、現代流にバージョンアップされている。身代わりジェラシー要素もあったりしてキチっと萌えも取りこぼさず。最後のリベンジもホラーみがあってなんとなく不穏だし、ぜひ続きが読みたい…二人の社会人編がとっても読みたいです。果たして関係性に変化は訪れるのでしょうか。

最近、出版社側の思惑がチラついて好きな作家様の作品を素直に楽しめなくなりそうだったのですが、この作品を読めて本当によかったです。こういうのを好きな人に届くといいなっていう作者の思いを知り、思わずハイハイハイッッッ!!ここ!ここにいますっ!!て挙手したくなりました。どうも色々とメインストリームから微妙に逸れて脇道を邁進してそうな自分の趣味に悲しみを覚えていたので、俄然元気がでました。お話自体はものすごく明るいわけではないんですけどね笑

イラストが最高でした。

3

好みが分かれそう

先生のあとがきにもありましたが、これは好みが分かれるかなあと思います。
残念ながら、私には合いませんでした。
でも、評価が分かれる作品って、人によっては良作だったりもするんですよね。お好きだという方も多くいらっしゃるかと思います。
以下、ややぼかしながらのレビューです。

きっと、ここが萌えどころだったり、受けを可愛く感じる部分なんだろうなと思える描写も沢山あるんです。
ただ、お話を読み進めながら頭で冷静にそう考えてしまう度にしおしおと心が萎えていってしまいました。
なんというかな。個人的には、読み進めながら自然と「萌えた〜!」と、自分のIQが下がっていくのが理想なんですよね。これは完全に好みの問題です。

学校という狭いコミュニティの中で、知っているようで表面しか知らない、クラスメイトの見えない部分。見えていたようで見えていなかった部分。
この辺りの登場人物達の内面の描き方は面白かったですし、分かりやすく拗らせている受けと比べて、分かりにくく屈折しまくっている攻めの図にはおっ!となったんですよ。こういう人のお話は好き。
どちらかというと、前半よりも後半の方がなんとも言えない苦味のあるお話で好みでした。
真宮は後半の方が可愛かったかな。反対に、伊沢は前半の方が好きかも。
外からは決して見えない理想の裏側が怖かったり、タイトルにもある「秘密」が効いていて、なるほどこうきたかと思ったり。

しかしながら、萌えたかというと否かなと。
伊沢の掘り下げは良いのだけれど、一部の題材がかなり苦手なものでした。中立と迷ったものの、ここで評価が下降。
相手側のことを思うと、かわいそうだね良かったねとは思えなかったのです。
面白い部分もあったのですが、今回はこちらの評価で。

4

出会えて良かった2人

雑誌掲載の表題作と、書き下ろしの続編でした。

DKものですが単純なお話しでないところが面白かったです。人によっては好みが分かれると思う内容でした。予備知識無く読んで欲しいので詳しくは書きません。

初めは攻めの伊沢を不気味に思いましたが、書き下ろし続編を読むことで彼が不憫に思えて仕方ありませんでした。

もう彼の親が怖くて仕方なかったです。

そして彼なりの後悔や懺悔を知って、間宮という恋人が出来て心から良かったと思えるのでした。
間宮も伊沢と付き合う事によって、他者と関わる事を学び成長していました。
伊沢の全てを知って愛する間宮が男前です。
出会うべくして出会った2人だと思います。

表題作より書き下ろしの方が好きでした。


それから2人の大学生編も是非読んでみたいと思いました。2人がどう変わって行くのか知りたいです。

2

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