「拝啓、泣きたくなるほど恋しいあなたへ」

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表題作罫線上のカンタータ

坂上葉治,大学生で漫画家→漫画家
古賀爽人,大学生→会社員

同時収録作品罫線上のカンタータ

皆戸蒼爾(港),大学生,二次創作のBL小説書き
周防あける(スオ),美容師専門学生,二次創作の絵師

その他の収録作品

  • 描き下ろし
  • 時系列(カバー下)

あらすじ

漫画家を目指している大学生の葉治は、ひとつ上の先輩である爽人に初めての恋をした。

爽人は人当たりがよく穏やかな性格をしているが、いつも手袋をしている理由を誰にも話そうとしない。

「手紙を書くのが苦手」だと言う、彼のその手袋の下に隠された秘密とは——…。

早寝電灯が紡ぐ、『手紙』で繋がるオムニバス・ラブストーリー。

・コミックス描き下ろしあり。

作品情報

作品名
罫線上のカンタータ
著者
早寝電灯 
媒体
漫画(コミック)
出版社
ホーム社
レーベル
アイズコミックス.Bloom
発売日
電子発売日
ISBN
9784834265040
4.5

(149)

(98)

萌々

(36)

(11)

中立

(3)

趣味じゃない

(1)

レビュー数
17
得点
670
評価数
149
平均
4.5 / 5
神率
65.8%

レビュー投稿数17

いつもながら読むのが楽しくて❤︎

2組のラブストーリーをオムニバス形式で
描かれています。
この2組にも接点で交わる裏設定があります。

モノローグが多めの作家さんですが、
台詞がないコマでも魅せる描き方が素敵で
読み応えというか、好きだわぁと毎回思ってしまう。読むのが楽しくなる作品を描かれるなぁと思います。

今回は、手紙がキモになってますね。
タイムラグが生じるのもそうだけど
筆の跡みたいなところから、差出人がバレるかバレないかという萌えが素敵なアイテム?
作中のテキストも、遊び心のある書き方をされていて楽しいです。

内容については、なんといっても、
キャラにぐっときました。
1組目のカプは、私好きです〜

普段は思ったことをはっきり言うけど
大切にしたい人の前では、発揮することなく
彼の方から話すのを待つ攻め。
当たり前っちゃ、そうなんだけど
ラブストーリー上にあってはときめかないわけないのですよ。

正直、描かれる心理描写に惚れぼれしてしまって、
読み終わったあと、ちゃんと内容を理解するためにもう一回読み直したりはしたんですけど、素敵な気持ちにさせてもらったのは間違いなくて、良かったら読んでもらいたいです〜

1

手紙にまつわる切なくも優しいオムニバス

先生の『52ヘルツの共振』に感動し、他の作品も少しずつ読んでいます。先生の作品に流れる、優しさや切なさが好きです。

こちらは世界観のつながった2CPのお話が、交互に描かれています。実質中編2話といった内容です。
攻め視点、受け視点が交互にくるのも面白いです。

【葉治×爽人(1・3・5話)】
大学の後輩と先輩の二人。
葉治は、爽人に恋している漫画家の卵。爽人はいつも手袋をつけていて、少しミステリアス。
そんな二人の数年にわたる恋の話。

中盤はかなり切なさもありつつ、収まるところに収まってよかった。5話では葉治が、あることで悶々と悩んでいる様子が可愛かった。健気で可愛い年下ワンコくんでした♡

最後に少し濡れ場あり。爽人がすごく可愛くなっちゃうけど、葉治がそれにのまれず、男前なのにキュンとしました♡

【港×スオ(2・4話・書き下ろし】
葉爽編のだいぶ後年のお話。
港は葉治の漫画の二次創作をしている大学生。スオは葉治の漫画に刺激を受け、絵を描いている専門学生。
SNSで交流していた二人が、偶然リアルでも出会い仲良くなって…というお話。

受け視点の2話のスオも可愛かったんですが、攻め視点の4話、港の気持ちにめちゃくちゃ萌えてトキメキました。

この港スオCPがツボで、すごく刺さりました。
ピュアなスオと、少ーし腹黒執着でムッツリな港が大変良きです♡この二人のその後をもう少し読みたかった!(濡れ場も欲しかったw)


二つのCPのお話が交互にというのは斬新な描き方なんですが、前のシーンを読み返したい時には、少々不便でした。先生の作品は読み返したくなる内容なんですよね。

どちらも優しさや切なさのある、いいお話でしたし面白かったです。先生の他の作品も読んでいきたいと思います。

紙本購入 白抜き修正

1

流れも良い

作家さまのコミックス今までで一番好きかも!
2カップルがかかわってくる(?)お話の流れも告白の後の流れも良い。
あの短編のメッセージがめちゃ気になる。

1

変なアカウント名にしてなくてよかった

早寝電灯先生の長編が読みたいななどと思っていましたけど、先生はコンパクトな作品の方が得意なのかな?

同じ世界観の2つのCPで、手紙を軸にした1冊です。相変わらず巧みな構成で魅了してくれる。最近先生の作品に対する"巧い"の気持ちが先立って萌えは得てない気がしてきました。大好きなんですけどね。BL漫画より一般漫画読んでる感覚に近い。

5話で急に葉治と爽人の顔と身体がふっくらした気がするのは私だけだろうか。幸せ太り?

漫画や小説などの創作物も時間を超えられる手紙だなぁと。それも一度に多くの人にメッセージを伝えることもできる優れもの。

4

手紙で繋がる恋のお話。

2組のカップルの物語が交互に収録されてゆく
オムニバス・ストーリーでした。

全5話中、それぞれのカップルのお話が2編と3編。
1話目が攻め視点ならその続きでは視点が受けへと移り、
後ろの話が前の話のアンサー形式として綴られてゆきます。

1組目は大学の先輩と後輩。
集団の中で生き辛さを感じている葉治とある秘密を抱える爽人。
各々の事情から人の中に溶け込めない葉治と爽人ですが、
二人でいるときだけはありのままで、心地よさを感じられる存在でした。

同じ時間を過ごすうち、二人は互いに恋心を抱くようになりますが、
ほんのわずかな言葉の足りなさからすれ違ってしまい…。

抱く想いは同じなのに、相手を思いやりすぎて、
行き違ってしまうのがもどかしく、切なかったです。

一見明るいのに、過去の出来事が原因でその内側に繊細さを隠す爽人。
だけど、そんな爽人の痛みも不安も丸ごと受け容れてくれる葉治が男前でした。
はじめは葉治の一方的な恋慕に見えますが、話がすすんでゆくにつれて
爽人の葉治への想いも描かれてゆき、二人がちゃんと同じ質量で
想い合っているんだなぁとじわじわと伝わってきて良かったです。
甘え、甘やかし、少しずつ心を委ね合ってゆく関係がすごく素敵でした。


もう1組は二次創作活動がきっかけで出会った二次絵師と二次小説書き。
同じ漫画作品のファン同士でSNSを通じて知り合ったスオと港。
ネット上だけの繋がりだったのに、ある日、偶然リアルで遭遇し…。

同じ作品を愛するファン兼二次創作の活動者同士として出会った二人。
はじめは互いの才能への憧れだったものが、相手自身に惹かれ合ってゆき…

けれど、あるときスオは自分が港に向ける気持ちは
恋であることに気がついてしまいます。
港への想いを自覚し、恋しいと涙を流すスオに胸がぎゅっとなりました。

素直で感情がだだ漏れなスオに対していつもクールな港でしたが、
後編では彼の中に燻る作品への、スオへの熱が感じられました。

こちらの二人もまた言葉足らずですれ違いかけるも、
繋ぎとめてくれたのは手紙に綴られた“言葉”でした。

葉治と爽人、港とスオ、彼らのお話に共通するテーマは“手紙”です。
彼らの間には好きだからこそ伝えられないこと、聞けない繊細さがあって、
手紙は口では伝えることのできなかった大切な想いが込められ、
彼らを繋ぐ糸として重要な役割を果たします。
恋人になる前も、恋人になってからも、言葉を重ねて
絆を深めてゆく彼らに改めて言葉や伝えることの大切さを感じました。

2つのお話は登場人物が接触するなどの直接的ではないものの、
港とスオ編で葉治の描いた漫画が登場するなどの繋がりがあります。
その漫画『岸辺の手紙』は作中作として所々で差し込まれるのですが、
その描写がまた彼らの気持ちにリンクしていてぐっときました。

決して派手でも、劇的な展開があるわけでもないけれど、
読めばしん、と心に静かに響き、浸透してゆくような1冊でした。

6

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