この“逃避行”が終わるまでは 好きでいさせて。

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表題作さよなら共犯者 上

ヒロセ(関谷廣世)
斑鳩はじめ,高校2年生

あらすじ

秘密を抱えたずるい大人×孤独でひたむきな男子校生

俺はあの冬、年齢も仕事も、
本当の名前すら知らないオトナに、
恋を…してしまった――。

―――――――

大手企業の跡取り息子・はじめは、
家柄ゆえに何となくクラスに馴染めず、
かわり映えしない日常を送っていた。

そんなある日、はじめはヒロセと名乗るスーツ姿の怪しい男と出会う。
自分のことを何も知らない相手に居心地のよさを覚えたはじめは、
「追われている」と冗談交じりに告げるその男に、すっかり心奪われてしまう。

けれどヒロセは、いつどこへ行ってしまうかも分からない。
不安を抱いたはじめは、
家出同然でヒロセに着いていくことを決めるが……?

少年の青春と大人の葛藤が絡み合う、年の差・逃避行ロマンス。

作品情報

作品名
さよなら共犯者 上
著者
あがた愛 
媒体
漫画(コミック)
出版社
竹書房
レーベル
バンブーコミックス moment
発売日
電子発売日
ISBN
9784801974043
4.3

(230)

(133)

萌々

(59)

(28)

中立

(5)

趣味じゃない

(5)

レビュー数
18
得点
990
評価数
230
平均
4.3 / 5
神率
57.8%

レビュー投稿数18

ミステリアスなずるい男に惹かれちゃう♡♡♡

年齢も仕事も、本当の名前すら知らない大人の男への恋…。
決まりきったルーティンの中に突如として現れたイレギュラーな存在。自分の事を何も知らない相手との居心地のよい会話。

高校生のはじめにとって、大人のヒロセのちょっとミステリアスで、だけど言葉の端々から伝わる悪い人じゃない優しさが魅力的に映っています。この年代の子特有の大人への憧れ、まして友達同士の関わりがほとんどなくて自己的過保護になって冒険した事がないはじめには余計自分とは対極の存在で珍しく映ったんだろうと思います。
危ない事をしているのを自分でもわかっているのに興味の方が勝って覗いてしまう穴のような、そんなドキドキさが前半から伝わってきました。
ヒロセに大人の男、恋心を自覚してからは優秀な優等生とは思えないほど大胆な行動をしていて、とても可愛いです♡♡

途中登場する猫のエピソードが「そうくるか…!」と唸りました。はじめだけでなく、ヒロセサイドの感情が見え隠れしていて、はじめと一緒に居てはいけないと過去の自分を思い出しながら、はじめとの律している大人な部分が伝わります。
手を出してしまったら終わりって頭では理解してるはずだし、ギリギリのところで理性を保っていたと思いますが…はじめのあんな可愛い姿をすぐ隣で聞いていたら( ◜ᴗ◝)
抑えられるはずがないんだよなぁ!(いいぞ)

紙 白塗り

上巻ははじめの抜きだけで、Hはありません。
精液の飛ぶ描写が少し大袈裟に感じますが、ストーリーが綿密に練られていて2巻どうなるのか、と先が気になる展開です。

1

恋、憧れ、執着?

普段読まない分野、30代×高校生にチャレンジしてみて良かった!人物以外の絵の描き込み量がすごく多くて驚きました。
ヒロセと最初に出会うシーンはお互いの良さを絵でしっかり表現してくださっているので、ただ会話をしているだけなのに読んでいてBLセンサーが振れ始めドキドキします。

丁寧に展開していくストーリーが、全く違う環境、年代の2人が惹かれ合うスピードにピッタリで嫌悪感なく読めました。

電気もきてない取り壊し予定のアパートで黒髪同士が会うので絵面が黒っぽいのですが、その暗さがそれぞれが抱えている「生きづらさ、悩み」とリンクし、インモラルな雰囲気にプラスに働きゾクゾクします。

0

あがた愛先生だからこそ

上下巻読んだ後にレビューを書いてます。振り返れば内容の割にやや長かったなとも思うのですが、しっかり楽しめました。長い分はじめ(ユキ)の可愛さに説得力が生まれますしね。ヒロセも愛着が湧いちゃうよな〜という説得力。お金持ちのお坊ちゃんが〜とか、追われてる叔父さんとの逃避行みたいな設定と展開に目新しさはないものの、面白いから何度も焼き直されるともいえる。あがた愛先生の絵が可愛くて安定しているので、だからこそ読める。

0

受けの目の大きさがちょっと気になる

 家は裕福だけど孤独な高校生が、廃アパートに居座る何かに追われているという男に懐く。導入は斬新で面白いですね。ヒロセが一体何に追われているのか、いつも持っているPCで何を書いているのか、上巻ではまったく分からないので気になります。

 一方、そんなヒロセに気を許し、恋にまで発展してしまうはじめは、告白した時ヒロセに言われたように、初めて本音や弱みを晒したことでヒロセを特別に、唯一の理解者に感じている部分がまだ大きいんじゃないかなと。相手のすべてを知らなければ好きになってはいけないのか、というはじめの反論も理解できるし、難しいですね。個人的には現段階で萌えはあまり感じません。下巻でどう展開していくのか楽しみです。

0

廃アパートの扉を開けるとそこには非日常があった

※こちらは上巻の内容のみの感想となります。

大手メーカー斑鳩自動車の社長を父に持つ、成績優秀品行方正だが日々の暮らしに鬱屈した孤独な思いを抱えている学生、斑鳩はじめ(ユキ・受け)と、「悪の組織」から逃げるために解体予定のアパートの一室に潜んでいた謎の背広の男、関谷廣世(ヒロセ・攻め)の、現段階ではあらゆる方面で予想のつかないミステリアスストーリーです。
とりあえず、徹底的にネタバレを避けて読んでいるのですが、結論から言ってまだまだ五里霧中ですね。若干、まだ材料が全部出揃ってはいないんじゃないか感はありますが、今ある情報だけでも色んな展開の予想ができるし、考察がはかどります。

仲のいい友達もいない、家族は忙しい父とハウスキーパーの加藤さんと猫のむくむく。何が楽しいかもわからなくなるようなルーティンの毎日。そこに突然現れた謎の大人の男・ヒロセ。彼と過ごすうちに、はじめは「楽しい」と思えるようになったり、ヒロセのことをもっと知りたいと興味を持ったりしていく。そして、ふとした瞬間にヒロセの指がはじめの唇をかすり、はじめの中で新たな想いが芽生えるわけで…。はじめが意外と思い立ったら即行動で、どんどんヒロセに夢中になる様子に危うい感があったりします。
「嫌な先生の授業の間違いを指摘したら内申点は下がるけれど、人気者になれる。どうする?」というヒロセの言葉に対するはじめの「人気者になりたいわけじゃないけど指摘する。間違ってるから」という答えに、強さと真っ直ぐさ、同時に危うさも感じましたね。

ヒロセは、謎な部分が多いので中々掴みにくい感はありましたが、アパートに潜んでいた不審者の割には正論や良識的な部分がある感じで、はじめの真っ直ぐだけど衝動的な告白を理屈でがっつりねじ伏せてしまいます。でも二人で旅をはじめるうち、はじめの年相応の表情をもっとみたいと思うくらいには情がわいてるみたいだし、自分が隣で寝たことでムラムラしてしまって一人で処理中のはじめに文字通り手を貸したり潤んだ顔に思わずキスしてしまうくらいにはほだされ流されしているようですが、本心はまだ見えないですね。

ヒロセにはかつて、飼いたくて名前をつけたのに飼えなかった「ユキ」という猫がいました。そして、また、名前の知らない「坊ちゃん(はじめ)」に自分のことは好きなように呼んでといわれ「ユキ」と名付けたわけです、が。
はじめの気持ちは依存なのか、恋慕なのか。ヒロセははじめの気持ちをどうするのか、彼の目的は達成させられるのか。
そして、二人の旅の先には何が待っているのか。
色々と考えながら下巻を読みに行こうと思います。

2

AMAZING

これは新味のない物語だが、あがた愛先生はそれを新しい模様に書いた。一人の学生、一人の逃亡者、二人で逃亡の旅に出た。とても刺激的に聞こえます。私は斑鳩の勇気に感心しました。彼は今年私が見た最もかわいい役の一つで、勇敢ですが、無鉄砲ではありません。自分が何がほしいか知っています。広世と斑鳩はとても特別な人で、孤独のため、いくつかのつり橋の効果が惜しんでいます。とても感動的です。しかし、愛の深さの責任の切さは、私はこの物語の結末があまり満足していないことを提出しなければなりません。彼らの再会のシーンに止まったほうがいいと思います。要するにとても、とても優秀な物語で、私は心からすべての人にお勧めします。(英語から翻訳)

6

感情移入できない

攻めが受けと一緒に逃避行する理由が、最後まで納得いかない。というか、無責任な大人に見えてしまう。受けのことが好きなら、受けがいることで救われたのなら、受けが何と言っても家に帰すんじゃないかと思う。受けを家に帰そうとする描写はあったけど、それを受けが拒否したあとに、その受けの意思を受け入れる攻めの構図が、あまりにも攻めの意思の弱さを感じて無理だった。もっと責任感のある大人であって欲しかった。あとはお父さんが絶妙にちゃんといい人で、違和感。完結の仕方がこんなにすんなりうまくいくものかな、という疑念だけが残ってしまった。

0

上だけでは評価はつけれない...

「追われている」という何者かも分からないスーツの男に出会った高校2年生の斑鳩はじめ(受)。大企業の跡取りで、坊ちゃん故に時刻表的生活を送り、友人もいないはじめは、その謎の男と過ごすうちに引かれていきます。

上巻は逃避行を始めるまでの、導入と言ったらあれですけど、まだまだ序盤です。その男についても何も分からないままです。ですので、「上巻が面白かったら下巻も検討しよう」というのはなかなか厳しい作品です。それなら試し読みで十分だと思います。
上巻だけでは評価はできないなと感じています。ぜひ下巻までセットで読んで評価してくださいね♪

0

何も知らない大人との冬の日の逃避行

神です。
息が詰まる日常に辟易していたはじめくんは、偶然知り合った大人のヒロセとの非日常的な時間が大切になり、そしてヒロセへの恋心を自覚します。しかし大人のヒロセははじめくんの気持ちを聞いてもなお廃アパートにとどまる訳にもいかず、場所を移ろうとしたところ、はじめくんが家出して逃避行についていくことに…というあらすじです。

素晴らしい点はたくさんありますが、まずは主人公がいいです。
優秀で模範的な美少年のはじめくんですが、一見大人びている彼はヒロセと一緒にいることで子供っぽさが際立ちます。年相応に無邪気にはしゃいだり、悪いものは悪いと言い切ったり、ヒロセを困らせるようなわがままを言ってみたり。まだ世の中を知らないからこその真っ直ぐさは見ててすっきりしますし、その心を開いた人には懐っこい性格にヒロセも救われます。
はじめくんとは対照的に、ヒロセは世渡り上手な大人という印象を最初に読者に与えます(作者様はずるい大人と表現されています)。ちゃんと線引きをしてはじめくんと接しようとしたところとか、お金ははじめくんに払わせないところとか、大人としての良識がちゃんとしている人なので安心して読み進められました。はじめくんも可愛くてすごく好きですが、このヒロセはまたギャップがいい。序盤は大人としてはじめくんの質問を巧みにかわしたり大人らしい振る舞いをするんですが、その大人っぽさとは裏腹に、彼の隠れている理由には子供っぽさを捨てきれなかった故の葛藤があります。また、序盤はじめくんの気持ちを良識ゆえにかわしていた分、終盤でのスパダリっぷりがとてもよいです。自分は髭があるような年上キャラには興味なかったのですが、ヒロセは魅力がかなり掘り下げられていて受け入れられました。というか髭剃りますしね笑

キャラが魅力的なのはもちろん、冬の日の逃避行も切なく、儚く描写されています。ロマンチックというほどリアルじゃないわけではないけれど、現実感があるかというと一瞬で時間が過ぎてしまうような、そんな逃避行です。背景含め丁寧かつ繊細な描かれ方をしていました。自分が一番好きなシーンははじめくんがヒロセに名付けてもらったところでした。ヒロセといるときだけ「斑鳩の息子」ではないことを象徴しているシーンで、とても綺麗でした。
最後のシーンも感動しました。ただこちらはネタバレになってしまいますので、ぜひご自分で読んでみてください。

なお、エロは一応番外編も含め何回かありますが、ストーリーの切なさを引き立てるスパイス的な感じで、メインではないと思います。もともとエロさを前面に出すタイプの作品ではないので、ちょうどいい感じかと。はじめくんの幼くて綺麗な顔がぐちゃぐちゃ必死になるところや普段余裕げなヒロセが余裕をなくすところはぐっと来ました。

あえて物足りなかった点とすれば、ヒロセがはじめくんに落ちた理由にもっとページ数割いて説明してほしかったです。おそらく悪いことを指摘するのは当たり前と言ったシーンや、無邪気に懐いてくるところが可愛かったのだと思いますが、もっと明確に示してくれれば説得力が増したんじゃないかなと思います。

まとめると、儚く綺麗な逃避行の中でキャラの掘り下げがきちんとなされた作品でした。2冊分の描けるところを描き、描けないところを余計に入れないしっかりとした仕上がりです。作者様は後書きで連載中にスランプがあり、また、背景が大変だったとおっしゃっていますが、素晴らしい作品を描いて頂いて本当に感謝しています。
またこのような「二人の世界」を丁寧に描き上げた、切ない境遇を乗り越えるような純愛モノに出会えるように祈ります。

6

優等生が我儘を言う時

迷子になった猫を探していたら、猫と一緒に、逃亡中(?)の男見つけてしまい、、、な、お話。
お金持ちで優等生過ぎて、友達もいない男の子が、素性を知らない同士であるがゆえに、不自由で自由な交流を持つうちに知らず知らず恋に落ちていく。
この上巻での、はじめがゆっくりいろいろな感情を獲得していく、そんな展開の丁寧な描写がいいです。
別れが近いのを悟ったはじめは、共犯者になると我儘を言って家出して付いてくるのですが、
といったあたりで、下巻に続く。
この作品、主人公のはじめの正面顔アップがとっても印象的。
はじめの真っ直ぐさを印象付けるために意図的に多用しているのかしらね。

1

純粋でまっすぐな瞳が印象的

お坊ちゃんなDKと廃アパートに住み着く?謎の男のお話。第一話だけでずっしり重い読み応えがありました。薄暗い中で会話してただけなのに、二人の息苦しさが伝わってきそうな。
家でも学校でも大会社の息子としてしか見られないはじめが、自分の正体を知らないヒロセと関わりながら、いろんな気持ちを知っていきます。やがてそれは恋愛感情になり、気付いて即告白。純粋でまっすぐな瞳がとても印象的でした。
振られたその日に一緒に逃避行を決意するのは、ヒロセに逃げられると思ったからなのかな?ちょっと不思議な流れではあるんですが、はじめの居場所がヒロセの隣にしかないことを考えたら納得かも。
ヒロセの方は最初からそうでしたが、逃避行には付き合っても、ちゃんとした大人でした。でも最後のセリフを聞くと、ヒロセもはじめに惹かれてるのかな?と思ったり。
上巻ではまだヒロセの正体は謎のままなので、続きがとても気になります。

1

仕事BLの読後感

何故でしょうか?
確かに大人の攻めはずっとパソコンいじって仕事してる風だけど、相手の受けが学生なので、仕事の話は出てこない。身分を隠してるのだから尚更だ。
下巻の後半回答部分で初めて攻めの仕事や抱えている事情が明らかになるのですが、それもそれ程多くのお仕事事情が出てくるわけでもなく。
けれども、大好きなリーマンお仕事ものと同じ読後満足感でした。相手は学生ですけどリーマン物好きにも是非見逃すことなく読んで欲しい作品です。

最後に、攻めの紳士っぷりが本当に魅力的だって事、そして彼を今回の行動に突き動かした行方不明の友人と連絡が取れた真のハッピーエンドに拍手。

3

年の差好き、ふたりだけの世界が好きな方におすすめしたい…!

作家買いです。
構成がしっかりしているのと、無理なくゆっくりじわじわ進む展開なので違和感なく読めました!
当て馬も出て来ずひたすらに2人の世界を楽しめます。

優等生DKのはじめがヒロセの前だけは素でいられるのがなんとも可愛かったです。恋心を自覚するのも。

ヒロセの素性は謎に包まれたままなのですが、下巻読んでからまた上巻読むとなるほどなーとなりました。
免許証から見えた昭和63年生まれの32歳(2021年現在)
なんとも良い年の差だなと思いました。
大人の余裕は感じさせつつもホテルに泊まって途中までするうちにはじめの可愛さにやられ赤面するのが最高でした。赤面攻め良い…!!

セッはないのですが、隣で寝ていて意識してしまってのアレコレを20ページ近く、キスシーンだけでも2ページほど使って描かれていました。そこにじれったさが有り下巻を読むのが更に楽しみになりました~!

4

ページを捲る手が止まらない

好きな作家さんの2年ぶりの新刊とのことでとても楽しみにしていました。とても綺麗な表紙でずっと眺めていられます。
作家さんのインタビューで「不穏そうなタイトルだけどハッピーエンド」とおっしゃっていたので、安心して読み始めました。また単話配信の様子を見た感じではエロが少なそうなイメージでしたが、少ない中でもニッチでフェティッシュな要素のあるエロでとてもよかったです。

上巻は既にあらすじを書いていらっしゃる方もいるので割愛します。
恋なんてしたことないような優等生が怪しい男に惹かれてしまう…という何とも気になる出だしから始まるお話ですが、導入から逃避行までのわくわく感がすごい…。ページを捲る手が止まりませんでした。

3話の遊園地のくだりでは初めてのヒロセ視点。彼の過去やこれまでの言動が少しだけ垣間見える。そしていつの間にかヒロセがはじめを目で追いかけているところに萌え…。

逃避行中にふたりの距離がどんどん近づいていく過程にとてもドキドキしました。あっという間に巻末まできてしまい、非常に気になるところで下巻へ…。これ単話で追ってた方はもどかしかったんじゃないかなと思います…。

8

恋に落ちるのは必至。恋に堕ちてしまうのは一瞬。

ワケあり風の男との逃避行。
はじめは、大手自動車会社の子息で、なに不自由無く育った。
仕事に忙しい父に顧みられる事も無く、家政婦の加藤さんと2人暮らし同然。
学業も優秀なのに、ムッツリと大人しく、他者を寄せ付けない雰囲気を自ら出しているので、友人は居ない。
だから。猫を追って訪れた廃屋で出逢った、ミステリアスな大人の男に惹かれて、アッサリと恋に堕ちてしまう。
ヒロセと名乗る男の正体は、上巻では皆目分からない。本人の言うには何かから逃げているのだという。それは、何かリスクを伴う事らしく。ヒロセにはその勇気が無いのだと言う。
ヒロセは何かを告発しようとしているのか。
電源どうしてるのか分からないパソコンを終始抱えて何かをしている。

さて。判で押した様な毎日(当たり前だ、学生なんだから!)、子供っぽく見える友人達にも馴染めない様な素振りのはじめ。裕福な家の子息なのに勝手に閉塞感を抱えて生きている事が、設定として無理があるので。浮世離れした世界の話だと分かっていても。ちょっと馴染めなくて、読み進めるのに苦労しました。だってねぇ、こういうのは別に貧しい家の子で、毒親付き、っていうテンプレの方が実はアリていだと読めるんですよ。
まず。はじめが「斑鳩家」の息子だというので、クラスメイトは遠巻きにしている、という描写。これがもう不思議。裕福な息子なのに勉強について行けなくて、庶民の通う学校に行くのならまだしも。通常は、御子息は御子息同士でつるむ学園にいるものだから、そこにいる全員が同じ様な境遇の筈なんですよ。皆んなが皆んな家政婦付きの暮らしをし、外でクレープを齧る様なはしたない事をした事が無く。資産家や成功している芸能人の子息ばかりが集う筈なんです。そういう煌びやかで騒がしい友人達について行けない、という子供ももちろんいるでしょう。しかし、はじめは違う。最初から選民意識が高い。見ようによっては、本人にその気は無くても、これはちょっと嫌なヤツなんです。
そのはじめを終始無垢で潔癖な子供として描かれているのに無理がある。
はじめは初めて出逢えた「対等」に扱ってくれる大人として、ヒロセを愛した。という。
うーん。私が天邪鬼過ぎてナナメな読み方をしてしまってるだけなんですが、皮肉の一つでも言いたくなってしまうんですよねぇ。
そうは言っても、ヒロセの正体や、「何から逃げているのか?」は、是非とも気になるので下巻へ進みます。
無垢なのは、はじめよりもヒロセなんじゃないかな、というのがこの時点での私の読みです。

あがた先生にしてはエチはまだ少なく。はじめは自分の性癖にまだ気付いて無い筈なのに、ヒロセの大人の男の色気にドギマギ。ヒロセはどうなのか。目の前で煽るはじめに割と簡単に堕ちてしまう雰囲気。彼はノンケでは無かった、と決め付けて良いものか。それも気になります。

0

上巻だけでは評価出来ない

あがた愛先生の新しい作品の上下巻が発売だと知り、「僕等に名前をつけるなら」が良かったのを思い出して、アニメイトさんで小冊子付きで購入しました。

まだ上巻しか読んでいないので、こちらだけでは何とも評価し辛いです。はじめの孤独や裕福故の虚しさが伝わって来ました。
そしてヒロセとの偶然の出会いが彼の何かを変えて行くんです。

ヒロセは得体が知れないながらも、その言動や行動から思慮深く常識人だと思いました。
はじめはヒロセに見せる表情だけは年齢相応で可愛らしいです。
ただヒロセについては本名しか明らかになっておらず、多分ですが彼は何かを成し遂げようとして迷ってるような気がします。それが正義故だとしてもリスクがあって、彼は迷い時期を待ってるうちにはじめと出会ってしまったのでは無いかと想像しました。

ただ、はじめが大企業の跡取り息子なので、一緒に行動する事でヒロセに犯罪の容疑がかかりそうで不穏な気配を感じてしょうがありません。

これから答え合わせをする為に下巻を読みたいと思います。

4

大人×高校生

作者買いしました。

大企業の息子で世間知らずっぽいはじめが、猫捜索の際に出会った怪しい男ヒロセと交流して、少しずつ惹かれていく話でした。

上下巻なので読み応えがあり、描写が丁寧で話に引き込まれました。そこそこ分厚い2冊ですが、あっという間に読み終わってしまいました。
上巻だけ買うと気になる所で終わってしまうので、上下巻セットで購入をお薦めします。

上巻ははじめの話が中心でした。高校生活では周りの人達と上手く馴染めない。家庭では家族とすれ違い、毎日淡々と同じように過ごしているはじめが、猫捜索の際に出会ったヒロセと出会って仲良くなります。

世間知らず故か知らない怪しい大人にも無警戒で、だんだん好きになっていく描写も、普段孤独だから仲良くできた人に安易に惹かれているのではと、邪推してしまいました。

でも純粋で真っ直ぐな愛情をヒロセにぶつけ、行動するようになったはじめは、キラキラしていてとっても綺麗でした。

はじめが言い出した逃避行も、普通に考えたら大変な事になる未来が見えるのに、よくヒロセは付き合うなあと思っていましたが、はじめにぐらついているヒロセを見て、惹かれているならその道もありだと思いました。

逃避行の途中で上巻終わりなので、続きは下巻で!

14

王道のストーリーではあるが

作家買い。
あがたさんの新刊は上下2巻完結のお話。2冊が同日発売になって嬉しい限り。あがたさんて、ちょっとシリアス風味な作品を多く描かれる作家さまのイメージが個人的に強いのですが、今作品もそのイメージを損なことのない作品でした。

ネタバレ含んでいます。ご注意ください。






高校2年生のはじめは大手企業・斑鳩自動車株式会社の跡取り息子。
良家の子息で、優秀、まじめで先生方からの覚えもめでたい、そんな絵に描いたような優等生くん。が、それ故に友人たちからは距離を置かれていて何となく馴染めない。

父親は仕事人間、母親はそんな夫に愛想をつかして家を出て行ってしまった。
家事は家政婦さんがしてくれて、金銭的にも苦労することなく育ってきた彼だが、「はじめ」という人間が誰からも顧みられることのない存在であることも理解している。彼は「斑鳩はじめ」ではなく、「斑鳩家の息子」でしかない。そんな風に思っている。

そんなある日、はじめは飼い猫の「むくむく」を探している時にたまたま一人の男性と出会う。いかにも胡散臭いその男性(ヒロセと名乗った)ではあったが、むくむくを助けてくれたこともあって再びヒロセに会いに行くことに。

家族やクラスメイト達とは違う居心地の良さをヒロセに感じたはじめは、少しずつヒロセに惹かれていくが―。

訳ありな男性と、そんな男性に心惹かれていく孤独な高校生。

ヒロセが抱えるものは一体何なのか、という謎を追いかけつつ、はじめが少しずつ大人になっていく、そんなストーリーです。

孤独なはじめが、少しずつヒロセに惹かれていく展開。
「何か」から逃げている様子のヒロセ。
王道というか、よくあるストーリー展開ではあります。

が、その王道をありきたりなものにせず、王道の良さを生かしつつ読者をこの作品の持つ世界観に引きずり込むその手腕はさすがあがたさんならではか。

はじめの抱える孤独、高校生らしい焦燥感、虚無感。
そして、少しずつヒロセに惹かれ、想いを募らせていく様。
そんなはじめの心情の描き方が秀逸です。

そして、ヒロセの方も。
はじめが彼に初めて出会ったとき、犯罪者か何かなのか…?と思わせるダークさがあります。が、そこからはじめと関わり、過ごしていくうちに彼が抱えたものの大きさが少しずつ見えてくる。はじめに誘われる形で逃避行の旅に出ますが、彼の言動の端々に彼の誠実さとか人となりが見えてくる。

ヒロセと離ればなれになりたくない一心で家出同然のような形ではじめはヒロセと逃げだしますが、まだ高校生のはじめと誠実な人物であろうヒロセとの逃避行が上手くいくとは思えず、彼らのその後がどうなっていくのか目が離せない。

はじめという男の子は世間知らずなんですね。
友だちと出歩くことがないために、普通の高校生なら知っていることを彼は知らない。

そんなはじめに懐かれ、一心に思われ、それを可愛いと思い始めてしまい、けれどそれはダメだと自制もするヒロセの心情が手に取る様にわかる。大人としての分別と、はじめへの想いに揺れ動く、その心情の描き方がとにかくお上手です。

上巻ははじめを家に帰してあげようとするヒロセと、その想いを理解したうえでそれでもヒロセと離れられないはじめ、のシーンで終わり。次巻へと続きます。

良いところで終わっていて悶絶必至なので、上下巻まとめて買われることをお勧めします。

8

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