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表題作とのこい

木崎真人,世の隣人の大学院生,22歳
城島世,生活雑貨を扱う会社員,28歳

その他の収録作品

  • 城島世との恋
  • ―――との恋
  • あとがき

あらすじ

あなたとふたりでごめんをしたい――。

28歳のサラリーマン・世は、恋愛が苦手なゲイ。会社の呑み会の翌日、目が覚めると明らかに「事後」の様子で、
記憶が無い世は誰と一晩を過ごしたのか全く分からない状況に。
詮索しないでおこうと考えるも、隣人の大学院生・真人からは「必ず犯人を捜してこい」と言われてしまう。
思い当たる人物を辿っていく世だが、その行動が後輩の戸川、上司の柳瀬との関係まで変えていくことになり――!?

作品情報

作品名
とのこい
著者
朝丘戻 
イラスト
丹地陽子 
媒体
小説
出版社
フロンティアワークス
レーベル
ダリア文庫
発売日
電子発売日
ISBN
9784866576756
4.3

(101)

(70)

萌々

(13)

(9)

中立

(6)

趣味じゃない

(3)

レビュー数
20
得点
435
評価数
101
平均
4.3 / 5
神率
69.3%

レビュー投稿数20

No Title

世さん小悪魔すぎる…魅惑的な男に翻弄される色々な人たちの切ない想いも挟みながら基本的にはコミカルなお話でとても楽しかったです。真人が作ってくれるご飯がとても美味しそう。 あの夜の真実も、犯人とのそれから…もラブたっぷりでごちそうさまです

0

とのこい

ミステリアスにはじまり その謎を解くため始まった心理戦や探りあい…
一つの真実に向かって絡まり合う人と人…
真実じゃなくても 選んでほしい…そんな希…
真実じゃなくても 大切に思っていた想い…
真実をしっていてあえて知らんふり心に決めた心の内
真実の中のホントの真実は 誰の想い!?
『世さん』それとも 他の誰か?
辿り着いた真実に さらに 踏み込む そしてさらに『愛』をふり注ぎ大切に大切に育てる覚悟(愛)
純愛でした。
本編のあとのショート
私は すっごく好きでした(*´꒳`*)ヨキヨキ

2

この受けが合うかどうかが鍵

「とのこい」という題名は、「世との恋」という意味だと作者インタビューで見ました。
これは納得。
攻めと脇役2名の合計3名が、世と恋してどうなったか、が描かれています。

冒頭はわくわくしながら読んだのですが、謎の答えが読者にも察せられてからの過程が長かったです。
メイン2人の間にある”一夜の記憶”にたどり着くための過程なんですが、脇役視点のストーリーも間に挟まれてきます。

こうなると、メイン2人の間にあった会話のやりとりを忘れてしまうんです。
何度もページを遡ってしまいました。

そしてこの物語を楽しめるかどうかは、受けが読み手の嗜好に合うかどうかにかかってくると思います。
美しくて性格は可愛くて甘え上手な”魔性”の男。
でもその実は、優柔不断で周りの男たちをキープしてしまう、ずるい男でした。

受けの行動は、3名が物わかりの良い男達だったから成り立つけれど...
年齢にしては、ちょっと子どもっぽすぎるかなと思ってしまいました。

ただ年下×年上要素は楽しめたので、その点は良かったです。

1

切なさ控えめ

好きな作家様でステキなイラストなので期待大きく読みました。
恋愛を怖がっているちょっと寂しがりやのゲイと彼に振り回される三人の男たちの物語りという感じのストーリーに惹かれたのですが、私の好みではありませんでした。
萌に至るまでの展開が長すぎるというか消化不良というか…
記憶にないワンナイトの相手は誰なのかを探っていく話は初めは面白くて先が楽しみな感じではありましたが、割とすぐわかってしまい意外な展開とかどんでん返しもなくミステリじみた展開はあまり楽しめませんでした。
振り回される三人の男たちは魅力的で面白かったです。

1

読後も脳内占拠

買ってはいたものの、読む時間がなく飛行機移動のある時にと読みました。
マスクをしていても鼻をすすらなきゃならないし、涙は落ちるしで泣いてることカモフラ全くできなかった。あ、泣かせにくる系ではありません。でもどこかにスイッチがあって泣いちゃう感じです。
私は主人公cpじゃなく、元カレとのエピソードがとにかくギュッときて、出てくるたびに泣いてた。あの選択は間違いじゃなかったってことはわかります。わかりますが辛い。SSでももう終わったんだってことは念押しされてるみたいに書かれていたのでわかるんですが…。絶対無理だろうけど、2人が付き合って別れる所までのお話が読みたい。世って呼び捨てにする場面を、部屋で2人でキスしながら話している場面を読みたい。どんなテレビを見ていていたのか、何を食べていたのか知りたい。本当にお勧めな作品です。

4

タイトルのなぞは

ランキング入りしている作品で、興味を持ちまして購入しました。
初めての作家さんです。

導入部分は、おや?
なかなか引っ掛かりのある始まり。
ワンナイト明けの、朝なんです。
で、そこからはワンナイトの相手を探す世の恋物語でした。

時系列は同じなんですが、それぞれ世、柳瀬、戸川、真人のモノローグ。それぞれの恋物語のオムニバスのような構成でした。
面白いです。
なんだけど、私はなかなか入り込めなかったです。
きっと、読み手の好みの人物にフォーカスすると切なさも、恋の昂まりも、喜びも感じとれるんだろうな。
読んでると、迷路に入った気持ちになりました。
世と真人が、恋から愛し愛される二人に変わるまでは、甘い!
中盤の迷路に負けずにたどり着くと、世と真人の愛の答えが待ってるんですよね。
私は、答えにたどり着くのちょっと忍耐が要りました!

2

あちらに見えますのが、好きぴだけに見せる顔でございます(表紙)

煌びやかなイルミネーションの前で両手を広げる世くん。その視線の先にいるのは一体誰なのか...??そんなわくわくから始まる作品です!

過去の恋愛から、「恋愛が苦手」になった主人公のリーマン・世くんが、謎の一夜の相手を探るお話なのですが、
謎解きだけじゃなく、登場する四人すべての愛や恋が詰まった作品になっています。
そこがとっても面白い...!この作品の魅力のひとつです!

【四角関係】って言うと、どうしてもメインのカップルに焦点が当たるので、
残された人たちって雑に描かれたりとか、残されたもの同士でくっついちゃったりとか、なんでやねん!!!って突っ込みたくなることありませんか...私はあります。笑

でも、とのこいは、きちんと4人それぞれを繊細で丁寧に描かれていて、こんなんみんな好きになっちゃうじゃ~~~~~~ん。。ずるいって思わずなってしまうくらい、4人それぞれに魅力溢れて、感情移入してしまう作品です。

なんと言っても!!!
世くんを取り囲む謎の一夜の相手候補の3人の男たち、めちゃくちゃいい男なんです。
毎日ごはんを作ってくれたり、見えるところでも見えないところでも世くんを想って色々(?)していたり、スパダリ100点✨️なエスコートしたり.....
結婚させてくれ...って何度思ったことか.....‍(泣)

そんな3人に想われる世くんも、良い意味で「天然人たらし力」(超褒め言葉)がカンストしてて。まじで愛おしい。愛さずにはいられん!って訳よ。
そして私は【甘え上手な年上】という新しい扉が開きましたありがとうございます。感謝。

そしてそして!
朝丘先生の紡ぐ言葉とラブコメのマッチが大天才。
朝丘先生の作品の中でもいちゃらぶシーンが大好きなので、先生が描く会話のテンポだったり、心情表現だったり、小説読むのが苦手な私でもするする読めて、
朝丘先生の作品ってこんなにもラブコメとぴったりなんだなぁ!と感じました。
もっといっぱいラブコメ書いて欲しい.....。全部読むから!!!!

絶対両思いじゃんーー!!な、もだキュンいちゃらぶも、
相手の幸せを一途に思うが故の切なくも温かな愛も、
ごはんを一緒に食べてただ幸せを感じるようなささやかで愛おしい日常も
かけがえのない幸せがすべて詰まってます!!!✨️
そう、これは\\全人類大好きな//ハッピーセット✨️

明日仕事なのに、こんな長文を書いちまった私とおんなじ気持ちを味わってほしーーーい!
是非!この冬にぴったりな、とのこいと出逢ってください!

6

好きになれない

評価を下げて申し訳ないです。

前半は本当におもしろく、疑惑のキャラクターたちも魅力的で、ワクワクしながら読み始めました。

しかし読み進めるにつれ、何度も酒で記憶を飛ばし、相手を悪者で強○と決めつけたり、全員の気持ちを欲しがり甘える世にとにかくイライラ。

早々に犯人はわかるのですが、その後もキープしつつ同じようなところを行ったり来たり…真人が不憫で辛い。
当て馬たちは、世が自分で気づく前に先回りをして、世の都合がいいように行動。
それにまでプンプンしている世。
とても人間臭いですが好きになれない。

そして、そんな世を可愛いと思ってメロメロな攻めたちにまたイライラ。

表面はいい上司として取り繕いつつ、世を想い続ける柳瀬さんも、自分が優先すべき家族に不誠実ですごく嫌。

話としては悪くないのですが、とにかくキャラクターが好きになれず、読み進めるのが辛かったです。

8

新しいBLのかたち

BLは主人公がはっきりしている場合が圧倒的に多いと思いますが、こちらこ作品はお相手が誰だかわかりません。
この人かな、と想像しながら読み進めるのがラブコメというのもあり楽しいです
お相手がわかってからの仲良しな様子もしっかりと描かれており読み応えもあります。
嫌な人も出てこないので楽しい幸せ!な気分で読めます

6

たくさんの愛があふれてる作品

恋愛要素だけではなくて、主人公の世さんとともに一夜を共にした相手を推理していく楽しさがありました。

割と序盤で目星はつきますが、その理由を推測していくのがすごくわくわくして、明かされた正解もさすが朝丘先生、ずっとちらちら散りばめられていた伏線が見事に回収されていて!
再読した時にあーー!ってなります(笑)

一回目は柳瀬さんの包容力にめろめろになり、二回目は真人くんの深い愛情に自分まで愛されてるような錯覚になるほどハマり、読み返すたびに違った魅力に気が付きます^^(戸川くんもとっても素敵男子です)

もてもての世さんですが、わかる!!
可愛いんですよ。とっても。
酔っぱらってても絡み方が許せちゃうというか、恋愛が怖い世さんも、いつも上司として部下を大事にしている世さんも、感情が決壊してぐずぐずに甘えてる世さんも、全部ひっくるめて愛おしいです。だいすき^^



サイン会のお土産小冊子「とのこと」は本編とは違った設定が読めるので、とのこい好きな方には絶対読んでいただきたいです!!
Web無料版をダリアさんが作品情報ページにアップして下さっているので是非☆

6

ふたりで作り上げる関係が愛しい

「ふたりでごめんをしよう」

このセリフを見た時に、あぁ絶対今回の物語も素敵なものなんだろう、と確信していました。

朝丘先生の本はどれも心理描写がとても細かくて、人の弱さ、足りなささえも丁寧に描いてくださいます。かっこいいところだけじゃない、万人受けするようなかっこよさ、優しさだけじゃない。足りない部分があるからからこそ人間味があり、弱さゆえの行動に深く共感ができ、登場人物たちを愛おしく思います。

恋愛って綺麗事だけじゃできないと思います。
それでも自分の弱さに向き合って、相手に向き合って懸命に生きる彼らをひたすら応援したくなります。
そして、それをあますことなく伝えてくださる朝丘先生が大好きです。
どの本にも作者から登場人物たちへの愛が伝わってきて、幸せな気持ちになります。
朝丘先生の深い愛情に包まれた彼らの恋、ふたりで紡ぐ関係ぜひ読んでみてください。

6

前半の萌え・中盤以降の盛り下がり…

とても評価の難しい作品…というのが正直な感想です。
(と言いつつ、評価を下げてしまい申し訳ないのですが、、)

序盤はドキドキワクワク感マックスで、ページを捲る手が止まりませんでした。
おおお!ここからどうやって受けは一夜の相手を突き止めていくのか…!?と。

が。

前半部分で既に犯人の目星がついてしまうため、その後延々と続く世の一人語りが
個人的に耐えきれず。

犯人探しをする中で上司、後輩との関係も変わっていき…とあらすじにあるように
ストーリーも進むのですが、その中での世の行動にも何か子供っぽさと言うか、身勝手さを感じてしまい…

この“世という受け”に共感・感情移入できるか、好感が持てるか、が鍵だと思いました。

最後までなんとなく世のことが好きになれず、序盤の盛り上がりが大きく失速したまま、がっかりした気分で読み終えました。

ページ数が多くボリュームがあり、本来ならば「読み応えたっぷり!」となるお話なのだと思いますが、主人公が好きになれなかったこと、また一夜の相手や自分の気持ちに受けが気付くまでが冗長に感じられ、世界観に入りきれませんでした、、

11

主人公を許容できるかどうか

仕事が出来てかっこいいけど酒に飲まれて酔うと言動が駄々っ子になる、28歳の城島世。
アパートの隣に住む大学院生の真人とは3年にわたって朝夕食を作ってもらう、隣人づきあいを超えた仲。
胃袋を掴まれている上に、真人の前ではかっこわるいところも見せられてわがままも本音も言える。
気が付けば真人の存在は世の生活になくてはならないものになっていて、彼に対する感情をどういうカテゴリで整理すればよいのか分からない。
そうこうしているうちに同じ会社で一緒に仕事をする後輩の戸川からも言い寄られ、前につきあっていた上司の柳瀬とも再燃はしないまでも相談できる関係が続く等、世をとりまく3人の男との関係が描かれ、加えて酔っ払って失った記憶を取り戻すべく本人がじたばたする、盛りだくさんの一冊。

正直序盤の展開が面白すぎて目が離せず、神作品か!とわくわくしながら読んでいました。
まず、会話が素晴らしい。私は掛け合いが続くと飽きることも多いのですが(連続「 」は5つくらいまでで地文が欲しくなる)、まったく気にならず、それどころかテンポがよくて可愛くて、本当に目の前に彼らがいて喋っているようでもあり、いつまでも見ていたかった。
加えて序盤の駆け引きめいた言葉のやりとり。ものすごくひりひりして、言葉の裏側にある感情や明らかにされていない過去や現在を想像するだけで先に進めなくなるくらい楽しかったです。
全部で11章から構成されているうちの、最初の1~3章はこのような感じで、読んでいるときの幸せな気持ちは筆舌に尽くしがたい。とても良かったです。
真人の冷めたような、それでいて熱いような、やさしいような冷たいような空気感。戸川の熱血と賢さ、真人に対峙したときの修羅場感。柳瀬の大人の包容力とどことなく人をだめにさせそうな雰囲気。
もうすべてがパーフェクトでした。3章までだと大体100ページほど。まだまだ残りのページ数もあるし、期待感もあり胸が一杯でした。
それが、4章を読んで、みるみる萎んでいきまして。
真人の恋心を知って、以降5章、6章と順に読み進めていき、世のにえきらなさや無神経さにただイライラするばかり。戸川の恋心を知ってからはより一層、世に対するマイナスの感情が大きくなりました。
11章で真相を読んだあと、再度1章を読んで、もう本当にやるせない気持ちになりました。
最終的に共白髪で欠けたところを埋め合うように共に生き、約束を守って一生一緒にいるから結果オーライと言えなくもないです。捉え方次第とも言えます。
世のことを許容できれば評価はまったく変わってくると思っています。
ただ、全部で400ページ近くあるうちの100ページが神だと思えるくらいにキラキラしていて、残りの300ページがイライラし通しだったので、この本の評価をどうするか、感想をどう書くのか、ものすごく考えての「萌」評価です。

9

不思議な作品でした!是非、一読を。

BL小説なんだけど、BLぽくないと、言うか。

あらすじは、もう書かないので。感想だけ。

まず。長いんです。ボリュームがすごい。
だけど、気づくと読み耽ってしまう。 

例の犯人探しは、結構最初から薄っすらわかるし、何なら共犯者もわかる。

じゃあ、何が書かれているかと言うと。
世と、世を取り巻く真人と柳瀬と戸川との会話、気持ちのやり取りがひたすら。
それをひたすら読んでいくうちに、何でこんなことになったのか、が自然と腑に落ちていく、と言うか。

先まわりの遠まわり。言い得て妙だな、と思う。まさに、世を表す言い回しだわ。 

読んでて、世さぁ、ちょっとさぁ、と何度も思う。恵まれ過ぎよ?と。だけど、そんな男達を惹き付けるのは、まさに世自身だし、諦めずに投げずに良かったよ。

何より、真人の忍耐力、胆力。
恐れ入ったわ。22歳!

とにかく、ずーっと世を眺めているような小説。いい歳の私は、若干、世に呆れつつも、世の生活や思考パターンをすっかり把握して、何なら、そこにいるような気分にすらなる。

人生を共有したような不思議な後味。
表紙の意味を知ると、胸熱ですよ。

5

「俺はこうやってあなたの隣に絶対にいるから」

「あなたとふたりでごめんをしたい―。」
会社の飲み会の翌日に明らかに事後なのに記憶がない状況で目が覚めて。
隣人でご飯を作ってくれる仲の真人からは「必ず犯人を探してこい」と言われてしまい、そこから色んな人の想いが交錯していきます。
思い当たる人物を辿っていくうちに世は後輩の戸川と上司の柳瀬に行き着きそれぞれの世への想いを語るパートもよかったです。
犯人の真相もね、読んでいくと世が明らかにこの人の事が好きなのが文面から伝わってくるんです。
でも生い立ちから恋愛に臆病になっていて。
それを知っていてわかっているからこそ犯人はあの夜の真相を世が自ら思い出してもらいたかったんですよね。
世が想い出すきっかけになったワードがあの夜の重要な核の部分だったのもパズルがピタッとハマった感じがして本当に良かったです。
最後の―――とのこいは本当に良くて微笑ましいふたりがこの先も一生共に過ごすんだろうなと思える終わり方でした。

タイトルの『とのこい』の前には相手の名前が入るそうです。一体犯人は誰だったのか、共犯者は誰なのか、一体なぜあの夜の真相を世に思い出してもらおうとしているのか、全てが解けた瞬間に表紙を見返して…この物語の虜になっていました。
またクリスマスに読み返したいですね。

近年の朝丘先生作品の中で1番刺さりました。

7

城島世には「彼」しかいない

丹地陽子さんの表紙がとても魅力的で、Twitterで見かけてからずっと気になっていました。
ほぼジャケ買い状態です。
ある意味「世くんに一目惚れ」ですね!

あらすじ以上の内容はほぼ知らないまま読み出したので「ミステリーとBLって相性悪くないかな…」と思ってましたが、ほぼ謎解きはありません。
わりと早い段階で「犯人」は分かるし、そもそも君以外いないのでは?!という状況。

登場人物がみんなサッパリとしていて、大人で、他人への慮りがあって優しいので、好感度が高くストレスがありません。
他人への距離感が絶妙な小説でした。
一線越えるだけなら多分簡単にできちゃう世くんは、この3人の中で誰と恋人の距離でいたいのか。
大切な人だった上司、かわいい後輩、優しい隣人……恋人以外の関係を大切にするのか、一歩踏み込むのか。
4人とも真摯に他人と向き合っているのがとても素敵でした。

そしてリズミカルな言葉のラリーが心地良い。
印象的な台詞が多く、特に真人くんとのやりとりは年下の彼がタメ口で返事をすることでテンポが良くなってて、漫才のような雰囲気で読んでいて楽しい。


しかし「彼」が攻めで良かったー!!!
読者からすれば世くんは彼のことがあからさまに好きなのにどうして本人はそこから目を背けているのか?が、この本のミステリー要素かも知れません。
少しずつ時間をかけて、世くんには彼じゃないといけないこと、彼には世くんじゃないといけないこと、を丁寧に描写してくれています。
とにかく会話に品と優しさとユーモアがあって楽しく、変なすれ違いをしないので一気に読めました。

攻めの彼があまりにも愛情深い健気な男なので、最終的には彼のことが登場人物で一番好きでした。
たった1人の大切な人と付き合えて好きっていってもらえて、どうやら添い遂げられそうで…!本当に良かったね!!

挿絵も優しく可愛らしくて、手に取って大正解でした……。
読書中何回も表紙の世くんを見てしまいます。

とても素敵な作品に出会えて良かったです。

4

大人の会話のやり取りが気持ちいい1作

私の中で朝丘先生といえば、何かに葛藤をしながらトラウマや生き辛さを抱えている人々が多く登場する、甘みもあるけれど胸が詰まるような切なさが多めだったり、しっとりと泣ける作品を多く書かれている印象がある作家様だったのですが、今作はとにかく優しくて暖かみのあるお話でした。
なんでしょうね…作中になんともいえない不思議な感覚になる独特の空気が流れているんですよ。
心理描写の丁寧さが光る素敵な作品でした。
丹地陽子先生の挿画も作品とぴったり合っていて素晴らしかったです。
スマートフォンのカメラ画面のようなカバーデザインも、読み終えた後に見るとなるほどなあと唸るデザイン。

今作の主人公・ゲイを公言しているサラリーマンの世視点から始まり、酔って記憶がない自分を一体誰が抱いたのか?と、犯人探しをしていくストーリー。
これだけを文字にすると、もっと切羽詰まったものになったり、不穏な空気になったりしそうじゃないですか?
けれどこの作品はそうはならない不思議。
なんだかあたたかみを感じるんですよ。
食事をして、仕事をして…と、あくまでもごく普通のいつもの日常を淡々と描きながら、犯人の手掛かりを探して思い当たる人物をあたっていく。

メインとなる世と隣人・後輩・上司の4人の登場人物を中心に、会話劇のようなやりとりが柔らかいトーンで繰り広げられていくわけなのですが、彼ら4人の誰もが種類の違う魅力を持ち合わせた人々なのが素敵。
誰1人として嫌な人物はいませんし、各人物の掘り下げ方が丁寧で上手いのできっと読み終えた頃には全員を好きになってしまうはず。
彼らの流れるような会話の数々が本当に素敵で、朝丘先生流のしっとりとした大人のラブコメが楽しめるかと思います。
会話のセンスというのか、言葉選びのセンスというのか…上手く言葉に出来ないのが悔やまれますが、読んでいて心地良いリズムで交わされるやり取りにどっぷりと浸れました。
どの言葉も優しさと愛に満ちていてすごく良かったな。

途中でややダレてしまった部分もありつつ、ラストがそれを覆すとても素敵なものでしたのでこちらの評価になりました。
派手な展開はありません。あくまでもごく普通の日常が描かれた愛情深い優しい作品です。
犯人は誰なのか?彼らの関係は?タイトルの意味は?
ぜひ、歩くように進む大人の恋のお話を覗いてみてください。

8

愛され男の最初で最後の恋

うあ゛ーーー…なにこれなにこれすごく好き。
大好きな現代ものってだけで読む前からテンション上がってたんですけど、しっとりと綴られた世界が甘くて甘すぎて虜になりました。
滑らかで優しい文章、ウィットの効いた理知的なセリフ、蕩けるほどの熱くて深い愛情が心に響く大人のラブストーリーです。

城島世という1人の男を取り巻く3人の男たちの恋愛模様が1つの事件をきっかけに複雑に絡み合っていきます。それぞれのキャラの視点からもストーリーが描かれており、ちょっとした群像劇テイスト。きめ細やかな物語の構築と設定により、細部までこの世界観に浸ることができました。
先を行き過ぎない丁寧な展開と登場人物たちの心理描写がとにかく巧み。腹の探り合いをしているような心理戦はドキドしました。


この物語の見どころは、主人公のモテモテ愛されっぷりっていうところと、恋愛しない主義の彼がたった1つの大事な愛を見つけていくってところでしょうか。大人の上司、優秀な後輩、世話焼き隣人…ジャンルもタイプも違うイケメンたちが登場します。

このストーリーにはちょっとした謎解きの要素も入ってまして、それを軸として物語が展開していきます。
世の身に起きた不可解な事件の謎。
その事件とは、世が誰かと身体を交わした痕跡があり、その"犯人"探しを始めることになります。
世は誰とも恋愛をしない主義のゲイですが、この謎解きを経て彼の恋愛観を大きく変えていくことになろうとは、このときはまだ知る由もありません。犯人探しの過程が自分の奥底に眠る真実の愛に辿り着くことになるのです。

あの日、世と身体を繋げたのは誰なのか?
生々しい情事の痕跡の理由とは?

それを探るには簡単じゃない道のりが待ち構えています。"犯人"は分かるけど、理由を教えてくれません。あの日の出来事も教えてくれません。明かせないのはどうやら自分のせいらしい……。ますます謎は深まるばかり。

一方その理由を知るまでの間に、彼に好意を抱く、抱き続けている、または抱いていた男たちとのあれこれがあるのですが、それがすごく面白かったです!

「愛しさと 切なさと 心強さと」てな感じ。
それぞれの男たちが"世"という1人の男を愛した軌跡…とでもいいましょうか、愛情の深さや慈しみの世界が一面に広がっていました。

幸せで温かい気持ちにもなれば、ものすごく切ない気持ちにもなる。……でも切なさの裏には、愛するが故に愛する人の幸せを思う願いが見え隠れしていて、誰の目線からもどの方向からも胸に沁みました。


世を愛する男たちがみな全て素敵過ぎて困りました。誰を応援したら良いのかと(笑)

誰が犯人なのかも気になりますし、世の一生をかけた恋のお相手は誰なのかも気になるところ。相手が誰かということより、なぜその人を選んだのか、そしてそのお相手はなぜ世を好きになったのかの理由なんかもロマンチックでキュンキュンでした。
甘すぎる言葉や自然体のやりとり、恋の駆け引きはもちろん、ピリッとくるブラックジョークも全部ひっくるめて楽しかったです。


じっくりと丁寧な大人のラブストーリーを心ゆくまで堪能したい方にオススメしたいです。
読後感も多幸感も大満足(*´︶`*)

13

タイトルに納得。

作家買い。
丹地さんの描かれた優しい表紙が印象的。
が、タイトルの「とのこい」って何?と思いつつ手に取りました。ネタバレ含んでいます。ご注意ください。





主人公は28歳、リーマンの世。「せい」と読む。
生粋のゲイだが、恋をする気はなくその晩限りの相手との関係を楽しむことが多い。

が、ある朝起きた彼は明らかに自分の身体に残る性行為の跡を発見し驚いてしまう。自分を抱いた「誰か」はすでになく、いったい誰とセックスをしたのか全く思い出せない。

そのことを隣人の真人に伝えたところ、「相手が誰なのか見つけて来い!」と叱られてしまう。見つけてこなかった暁には…、と条件を突き付けられた世は、しぶしぶ相手探しを始めるがー。

というお話。

世を抱いた相手(犯人)として候補に挙がるのは3人の男。

一人目は世の上司・柳瀬。
世が絶対的な信頼を寄せる上司で、かつて淡い恋心を寄せた相手。
二人目は世のイケメン後輩の戸川。
新人だった戸川の教育係として抜擢され、以来ずっと可愛がっている有能な後輩くん。
そして、三人目は大学院生で隣人の真人。

この中の誰が世を抱いた人物なのか、その理由は。
はたまた全く別の第三者なのか?

という犯人探しから物語はスタートします。

良き上司(柳瀬)、よき後輩(戸川)、良き隣人(真人)。
仕事の上でもプライベートでもよき人間関係を築いていた、と思っている世だけれど、今出来事を介し、彼らの人間関係は大きく変化していく。ベースは犯人探しなのですが、そこに、彼らがお互いに相手に対してどう思っているのかが描かれています。

世はなぜ恋をする気がないのか。
かつての切ない恋をした時にできた心に残る感情。
そして、彼らがお互いに築いてきた歴史、そして感情。
それらが実に緻密に繊細に描かれています。四角関係、と言っていいはずの彼らの人間関係ですが、これがまた良い。

ドシリアス…、になりそうでならない。
それは、ひとえに登場する男たちがみんな等しくナイスガイだから。優しいんです。すごく。自分のことよりも相手のことを慮る思慮深さと優しさがある。

不思議だったタイトルの「とのこい」。
どういう意味かと思っていましたが読んで納得。「~との恋」が描かれた作品でした。

柳瀬との、戸川との、そして真人との、それぞれの、恋。
恋、というにはあまりに深い愛情。恋愛感情というだけではなく、様々な形の愛が描かれた秀作です。

朝丘作品はまっさらさんな受けさんてあまり多くはなくて、それなりに濡れ場が多い。が、今作品は出だしこそ「誰ともわからん奴に中出しされた受けさん」という描写から始まりますが、その後の2人の恋の行方はすごくちょっとずつ進みます(ここにもきちんと理由がありますが)。そこに愛しかないのでジレジレはしないのですが、そのちょっとずつ進む関係が今作品の萌え所の一つか。

「恋」、そして「恋をすること」。
それに臆病だった世が、たくさんの愛に包まれて幸せになっていくお話。なぜ犯人は名乗り出ないのか、その理由もめっちゃ良かった。

朝丘作品はいつもちょっと分厚いのですが、誰が犯人なのか、彼らの関係がどう収まっていくのか気になって一気に読んでしまいました。丹地さんの挿絵も相まってめっちゃ優しく、ほのぼのな温かなお話。

読後心がほっこり温かくなる、そんな1冊でした。

7

穏やかな甘さに包まれた恋

真人×世


世は28歳のサラリーマン、
ゲイで性格は奔放だけど、
恋愛に自信がない。
ある日の会社の飲み会の翌日、
目が覚めると「事後」の光景が目の前に広がっていて、
一体何があったのか思い出せない状況になってしまう。

そこで登場するのが、
隣人の22歳の大学院生、真人。
真人は大人っぽくてちょっとムッツリした雰囲気の男の子で、
世の食事を担当している。

誰かが世を「犯した」?
その「出来事」に本人の世よりも心配している
真人が「必ず犯人を捜して」と言って、
そうしないと食事を作らないという優しく世を脅かす。
それで世は思い当たる人物を探すことになる。

という始まり。

ミステリーっぽい感じもあるけど、
実は読まなくても「犯人」の正体が分かっているから、
正確にはミステリーではないね。

今回も朝丘戻先生の作品の
穏やかな雰囲気を保っている。
その中で淡々と甘く進んでいって、
読んでいると心がほっこりと温まる感じがする。

世がゲイで公言していて、
周りにも恵まれている。
ゲイという存在に特に苦悩していないように見える。
ただ、彼が恋愛に関しては苦手意識がある。
実は心の奥には深い愛を求める渇きがあって、
それに胸が熱くなる。
真人の前では、世がやんちゃになる姿がかわいい。

真人は彼独自の思考や考え方を持っていて、
世間の常識には合わない。
彼の心にはどんな愛の感情が眠っているのか?
彼の恋愛観や愛情表現はどんな風に進んでいくのか?目が離せない。

愛という感情がいらない世。
愛という感情を知らない真人。
2人の孤独さや個性が引き立っている。
それがまた魅力的で愛しく感じるのだ。

そして、
世と13つ上の先輩である柳瀬との関係も見どころ。
柳瀬は家庭を持っていてる。
2人の過去のつなぎが、世の心を揺さぶっている。
世の内面には複雑な感情がはっきりと表れている。
柳瀬の同性愛に対する弱さや、
未来への不安も感じられる。

さらに、
世と3つ下の後輩である戸川の関係も重要な要素。
世に教育された戸川は大人しくて、
実は世に思いを寄せているけど、
彼の姿勢や思いは本当に偉大なんだ。
世が幸せでいいという感じが伝わってくる。
戸川との関係や彼の存在が、
世にとって幸せな時間をもたらしてくれるのだろうな。

丹地陽子先生のイラストがこの作品にぴったりで、
心地よさと穏やかさがあるのに同時に
奥深さや繊細さも感じられる。

世のはじめ、真人、柳瀬、そして戸川。
4人の視点から、
それぞれの感情や想いが絡み合って、
彼らの恋心を追いかけていくことが楽しい。

その中で、
3人とも世のことが好きだけど、
愛の形や表現方法はそれぞれ違う。
愛は個人によって異なる形で現れるのだろう。
愛の真の価値は他人との関係で見出されるではないかな?
だから、愛について考えたり感じたりすることができるのだ。

世と真人の関係が、
お互いに特別な感情をお互いに抱いていて、
溢れる愛が心の奥まで響いてしまう。
ふわふわと甘い展開が進んでいくうちに
心がほんわかとして安心感があふれてくる作品でした。

3

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