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表題作呪いと契約した君へ

乾壮馬,大学で民族学を学ぶ青年
鳥居愁,神職見習い,20歳

その他の収録作品

  • あとがき

あらすじ

人に取り憑いた悪霊を、自分の体に乗り移らせて除霊する――神社の神職見習いとして、異能力を使い人知れず解呪をしてきた愁(しゅう)。そこへ取材に訪れたのは、大学で民俗学を研究している乾(いぬい)だ。「ここに凄い除霊師がいるって本当?」と明るく話しかけてくる彼には、禍々しい怨霊が憑いていた!? 「俺昔から不運体質で、この前死にかけたんだよね」と屈託なく語る乾を、見て見ぬふりはできなくて!?

作品情報

作品名
呪いと契約した君へ
著者
栗城偲 
イラスト
松基羊 
媒体
小説
出版社
徳間書店
レーベル
キャラ文庫
発売日
電子発売日
ISBN
9784199011061
3.6

(21)

(3)

萌々

(9)

(8)

中立

(0)

趣味じゃない

(1)

レビュー数
9
得点
75
評価数
21
平均
3.6 / 5
神率
14.3%

レビュー投稿数9

脇キャラに大変萌え

自分の気持ちを伝えるタイミングなどを見誤り、結果ずっと想っていた相手を新参者に取られてしまうキャラクターがすっっごくツボなのですが、まさに今作の陵が私的にツボでした笑
こんなに脇キャラに萌えたのは初めてかもしれない。もっと素直に、もっと早く気持ちを伝えていればな〜手を挙げたのは良くないですね〜などと謎に上から目線で陵を見てました。

あと栗城先生は受けが入墨を攻めに見せるシチュが好きなのかな?他作品でも見たことあって、なんだかニヤニヤしてしまいました。

私は大変楽しませていただいたのですが、受けの子の処遇はうへぇってなるぐらい可哀想なので苦手な人は苦手だろう(当たり前だけど)と思いました。
ただ可哀想な受けが攻めに救われて幸せな道を歩き出すシチュがお好きな方は読んで損はないと思います!

あとラストを読んで、夏に買ってすぐ読めばよかったな〜と後悔笑
bl小説でこんな終わり方あるんだ!と驚かされました。

3

人権無視のいとし子という存在



全く尊重されてないのに「いとし子」と呼ばれ祓い師をさせられている愁(受け)が、その異常に気が付かない異様さを民俗学の調査にきた乾(攻め)に指摘され助けられるまでとその顛末。

あらすじとかはほかの方が詳しく書いてくださっているので感想だけを


とにかく気分の悪い話でした。
不運な攻めを不遇な受けが助け、逃れられない状況の受けを攻めが助ける話なのですが、2人の状況(特に愁)の境遇が胸糞悪すぎ。

お祓いの仕方などどう見ても売春と一緒。相手が人間じゃないだけ。
これを物心つく頃からしてたのだから児童虐待という言葉では生易しい。
乾の方も全く悪くないのに長年理不尽な呪いに晒されているし、2人ともが理不尽な苦痛を幼少の子から浴びせられているのがしんどすぎた。

お話はとてもよく出来ていたので、愁の不遇な状況がもう少し違うベクトルであったなら違っていたと思うのですが、ジャ○ーズのことで騒がしい今というタイミングのせいもあって、愁の不遇さに感情移入しすぎてしまって、話に集中出来ず気持ち悪さだけが残ってしまいました。

0

可もなく不可もなく不可もなく

作家買い。
「萌」評価です。

可もなく不可もなく。
悪くはないけど、期待値が高かっただけに、
少し、中途半端。
いうならば、序章といった印象。

もっと、怖くても良かった。
もっと、攻めと受けのLoveがあっても良かった。
もっと、当て馬とのあれこれがあっても良かった。
もっと、先祖との確執があっても良かった。
もっと、エロがあっても良かった。
もっと、受けの生い立ちについてあれやこれやあっても良かった。
もっと、感動があっても良かった。
もっと、もっと、、、

別にこれで悪くはないのですが、でも、いつもの栗城先生の作品だともっとすっきりとして、もっと刺さったような。
続編があれば、ちょうどよいのかも。

0

”呪い”ってそういうものなのか〜の不思議系

先生買いです。
BLというか、ちょいオカルト系読みものとしてとてもおもしろかったです。
攻め受けに対しての萌というより小説の面白さのほうが上回ったので萌度は低いのですが、BL好きで不思議なお話が好きな方にオススメしたいです!(オカルト、だとは思うんですがそんなに怖くはなくて、”ホラー”っていうより”不思議”という感じ。)
松基先生のイラストがとーてもいいです。

”呪い”っていうものを情緒と切り離したシステマチックな事象として解釈するっていう説明になるほど〜〜っ!と勉強になりました。とはいえ、ここはBLですから、”解呪”の儀式はちゃんと(?)エロいですw触手エロちっく。特にここを宮司の息子(陵)視点でみたら、めっちゃスケベなんだろうな〜と思いました。正直、陵に一番スケベな雰囲気がありました。

攻め受け+宮司の息子の三角な関係性についてはもっとドロドロがあってもいいような気がしたんですけどw、あくまで舞台となっている神社にまつわる”呪い”の仕組みの謎を、攻め受けが解明していく展開がメインだった印象です。しかも、それらはあくまで”推測”でしかなくて、やはり謎は謎のまま…っていうところがいいと思いました。

エンディングだけ思いがけない人物の一人称になるのですが、これが新鮮で、最後にちょっとゾワっとさせられます。

0

夏の終わりにぴったりな1冊

オカルト・ホラー・謎解きエッセンスがそれぞれ少しずつ入った、夏の終わりに良さそうな1冊でした。
呪いや、人ではないなにかが登場したりもするけれど、栗城先生の文章が読みやすいので混乱せずにするっと入って来やすいかな?と思います。

人々にかけられた強い呪いを、人ではないなにかを介して解呪することが出来る「いとし子」と呼ばれる存在である愁。
神社の宮司を務める叔父から声をかけられた時にのみ解呪の儀式を行うわけなのですが、これがなかなかにきついもので。
読み始めて疑問に思うんですよ。「いとし子」なんて呼ばれているのにも関わらず、なぜ愁はそこまで手厚く扱われてはいないのか?と。
この少しの「なぜ?」を、民俗学の研究のために神社へとやって来た乾と、そして主人公である愁と共に紐解いていくお話。

シンデレラストーリーとまではいきませんが、何も知らなかった不遇な傀儡となっていた受けが、乾との出会によって少しずつ救済されていくような印象を受けました。
なんというか、人を呪わばなんとやらなお話だったかなと。
本音を言えば、受けも攻めも萌度的にはビビビっと来るものはそこまで大きくはなかったのです。
でもですね、ストーリーが面白かった。
疑問点や謎を解いていくお話って、あまりにも謎が多すぎてしまうとそれはそれでストレスだったりもするのですが…
今作はちょうど良い感じに謎部分の正体がちらほらと見え隠れしているんです。
これはきっとこういうことなのかな、なんて想像をしながら読み進め、愁たちと共に真実を知っていく。これが面白い。

宮司の息子・陵さんがとっても不器用な方で、彼のことももうちょっと読みたかったですね。
ラストがまた夏の終わりにぴったりな雰囲気で、個人的にとても好みの〆方でした。

2

もっと怖くても良かった

今月のキャラ文庫さんはホラー系が2作あったんですが、こちらも含めてライトホラーでした。

栗城偲先生の前回のキャラ文庫の「はぐれ銀狼と修道士」の方が私的には好みでした。個人的にはもっと怖くても良かったんですが、こちらの作品は「解呪」が主なので霊の形態としては登場せず対象者への呪いが靄や人の形を取って見えたりしてました。呪いをかけた人物が死んでも呪として残ったり、また無意識に呪をかけてしまったりするというところは興味深いと思いました。

個人的に胸糞悪かったのは幼い頃から愁を洗脳して囲い込んで来た宮司一族でした。義務を果たすのが当たり前で疑問に思う事のない愁が痛々しいんです。それに幼い愁にこの一族がした事の残酷さと、シュマとの解呪方法が禍々し過ぎで…。

その愁に寄り添って一般的な常識を伝えて感情の蓋をこじ開けたのが乾になります。
この乾の屈託のなさに愁が惹かれて行くんです。

読者は直ぐに乾が愁に対してどんな感情を抱いているのか気がつくと思うし、従兄弟で禰宜の陵が愁に辛く当たる理由にもピンと来ると思います。

この陵がキッカケで事態が動き思わぬ形で決着がついてました。最後の章の宮司視点がありましたが、もっとシュマについて詳しく知りたかったです。

0

長く縛られ続けた関係を断ち切るのは

今回は民俗学部の大学生と見習い神職のお話です。

秘儀を行う受様が攻様との出会いで人と関わる事を知り
自信の望んだ道を歩き始めるまで。

受様は児童養護施設に預けられた赤子でしたが
黒沢神社の宮司一族の家に養子として引き取られ
その後に神社の祝福を受ける"いとし子"となります。

受様は黒沢神社の神職見習いをしていますが
受様ただ1人のいとし子として特別祈祷である
強豪な呪いの解呪を一手に担っていました。

解呪は受様の心身に大きな負担をかけてますが
神社への恩義と責務から何をおいても
儀式を優先しています。

そんな受様に対して宮司の長男の禰宜は
いつも高慢な態度で今日も明日から入るという
大学の研究室の取材に関わることを固く禁じてきます。

ところが翌日、境内を掃除する受様は
男性に声をかけられて知らず対応してしまうのです。

この男性が今回の攻様なのですが
攻様の肩あたりに輪郭が曖昧な髪の長い女の影が
しな垂れかかっていて息をのんでしまいます。

しかしながら爽やかな挨拶をする攻様は
その存在には気付いていないようで
受様は対応に困ってしまいます、

そんなところを禰宜に見つかり
その日の夕拝を終えた受様は禰宜は呼び出され
攻様はいとし子について嗅ぎまわっているらしいと
接触禁止を念押しされるのですが

翌日もやってきた攻様はなぜか受様に声をかけてきて!?

研究の一環で神社のいとし子に興味を持つ攻様と
神社のいとし子として特殊な解呪をしている受様の
オカルテックファンタジーになります♪

受様はてっきりいとし子のことや解呪について
聞かれるのかと身構えますが
攻様は単純に受様と持つと話をしたいだけのようです。

しかも攻様は自身が呪われている自覚はなく
自分が不注意では済まないくらい不運体質だと言い
解呪を目的に探っている様子は見えません。

ばかりか元々黒沢神社は厄払いや満願成就で有名で
除霊師等の伝承がある事等受様の知らない事を厚く語り
攻様と話すと普通に楽しいと言われた受様は
その後の攻様の誘いに贖えなくなっていくのです。

受様と攻様の交流が深まる事で
受様は自分が置かれた状況を客観視するようになり
攻様の呪いを解呪してしまうのですが

それによって禰宜との関係も変わっていき
攻様に更なる呪いが襲いかかってハラハラMAX!!

受様が新たな生き方を見つけ攻様の隣を居場所とするまで
たいへん楽しく読ませて頂きました。

受様への禰宜の複雑な思いと宮司が封じた思いは
同じだったのかがとても気になりますが
宮司の末路がその答えなのでしょうね。

1

怖さ度

栗城先生買い。現代日本和風ファンタジーで、怖いの苦手な私でもするっと読めたので、怖さ度は低いのでは。二人の恋話云々よりかはお話の方が気になったのと、いつまでも覚えているかどうか自信なかったので萌にしました。本編280Pほど。終わり方が良き♡

神社の宮司を伯父に持つ愁(しゅう)。シュマという、普通の人の目には見えないまっ黒な大きなものをパートナーとして持つため「いとし子」と呼ばれ、神社で特別な儀式を行っています。ある日、神社に取材にやってきた青年と知り合い・・・と続きます。

攻め受け以外の登場人?物は
シュマ(呪いを食う、真っ黒の大きなもの、意思疎通不可)、陵(受けの5歳上、従兄、禰宜)、伯父(宮司)、その他依頼者少々。陵がなあ。

++攻め受けについて

攻めは呪い持ち(えげつない)。本人に一切責がないのに呪われ、しょっちゅう手ひどい目に遭っているのに、慣れているからか、メンタル強強。へこたれない。呪いを受けてもしなやかにやんわり受け止めているという感じです。(躱すのではなく受け止めているんです!)好奇心旺盛な研究者さんで、調べて調べて、興味ある受けにも人懐っこく接近あるのみ!という様子でお近づきに。

受けは幼い頃養子に貰われ、今があるのは神社のおかげ、自分の全てを神社に捧げるって感じに刷り込まれています、ああえげつない・・・全ては特別な儀式での玉ぐし料のためですかねえ・・・今時、デリバリーピザ食べたことないって聞くと、「おわぁ・・・」って思います。寄り道なんか一切していない真っ白、まっすぐさん。ただ淡々としているように感じられたのと、シュマがいるからか、庇護欲そそられるとは感じませんでした。攻めは受けの頭をよしよししてますけどね。

攻め受けともめちゃ惚れるって感じは無かったんですけど、お話がドキドッキだったので、最後まで楽しめた一冊でした。陵さんがもうちょっと違っていたら、まったく違う人生になったんだろうになあ・・・って残念です。

2

ちょっぴりオカルト風味。

作家買い。
栗城先生の新刊はファンタジーもの。ファンタジー、というとちょっと語弊があるかな?「人ならざる者」が登場する、ちょっぴりホラー要素が加わったお話です。とはいえ、すごく怖い、というお話ではなく、夏にぴったりなマイルドなオカルト、といった体の一冊かと思われます。

ネタバレ含んでいます。ご注意ください。





神社で、神職見習いとして働く愁という20歳の青年が主人公。
彼は子どもの時に施設から引き取られた青年。神社の宮司であり現当主の叔父の遠縁で、呪いをいったん自分の身に受け、それをとある方法で解呪する能力を持つ「いとし子」と呼ばれている。

要は、叔父は(というか、このオッサンと愁の間に血の繋がりはない)愁の能力を使い、大金を得ているのだった。解呪には負担が大きいが、愁には「いとし子」としての責務を全うしなくてはならない理由があった。

そんなある日、民族を学んでいるという乾という名の青年が研究のために神社へと赴いてくる。そんな乾は、身体に大きな呪いを張り付けていてー?

というお話。

愁、という男の子は紛うことなき薄幸青年ですが、それは彼が「いとし子」だから。で、読み進めていくうちに読み手の頭の中に浮かぶ「?」がたくさん登場してきます。

例えば、「いとし子」ってなんやねん、とか、解呪をするために必須な「アレ」の存在や、なぜ愁が「いとし子」なのか、叔父の息子(血の繋がりはないが愁からすると従兄弟にあたる)の陵が急に愁に冷たく当たるようになったのはなぜなのかー、などなど。それを、乾とともに解き明かしていく展開なのです。これ、すごくお上手だな、と思うのは、視点はあくまで愁。なので、乾の得ている知識とか情報は文面に手札として出てこない。なので、読者をミスリードしつつ進む展開になっていて、読みごたえがあるのです。

民俗学を学ぶ乾は、自分が呪われていることをうっすらと感じつつ、でもそれを科学的に証明したいと思う好奇心がある、というか研究熱心な男性。が、愁はとある理由から乾が呪われていることを教えることも、彼についている呪いを払うことも、できない。

が、そこから一歩踏み出す勇気を愁は乾とのやり取りの中で育てていく。子どもの時から植え付けられてきた価値観を手放すのは、きっと誰もが怖い。それを、乾という男性に出会ったことで得ていく愁の成長っぷりがまぶしかった。

登場人物はそう多くはありません。
ありませんが、複雑な感情、人間関係、などから物語に奥行きがありめっちゃ面白い。そこに、薄幸青年の愁という男の子の存在が加わることで、ストーリーは面白いし、BL的な萌えはあるし、キャラはみんなイケてるし、物語りがどう進むのか気になってページをめくる手が止められない。

終盤の、「いとし子」の存在について乾が陵に問いただすシーンなんて、読み手の「まったくその通り!」という感情をさらりと言い表していて、めっちゃすっきりしました。

とはいえ、なのです。
陵という青年の心情も、これまためっちゃ良い。
愁に辛辣に当たりながらも、それでも…、という彼の心の奥底に隠した愁への想いが彼の行動の端々から読み取れて、不器用な男だなあ…、とちょっとしんみりしてしまった。

愁と乾は早々に両片思い、っていうんですかね。お互いに憎からず思っていることが読み取れますが、その展開が早いのでむしろ陵の想いに寄り添ってしまった。この辺りは読み手の好みによると思います。陵派か、乾派か。

陵にも、幸せになってほしいな。
栗城先生、ぜひとも陵メインのスピンオフを書いていただきたいです。

7

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