【SS付】【イラスト付】【電子限定著者直筆サイン&コメント入り】
小説
今回は第二工場長代理と営業部次長のお話です。
工場長が倒れた事で発生した納期遅れ対応で
出向した受様が工場の就業改善を図る顛末を収録。
受様の勤める電源装置メーカーは
都内の本社ビルの他に2つの工場を抱える中小企業です。
受様は営業畑で40を過ぎて次長となり
売り上げノルマはなくなるものの無茶な納期短縮や
予期せぬトラブル対応で多忙な日々を送っています。
そんなある日
特殊製品を製造する第ニ工場長が倒れます。
工程が切迫しないか危ぶむ受様に
営業部長はどうにするだと楽観的でしたが
工場と本社のオンライン会議で
工場長代理として会議を仕切ったのは
製造部所属で工場最年少の入社6年目社員の攻様で
開口一番で注残の確認をはじめ
納品できない機器の納期調整を口にし
客の都合を叫ぶ営業部員を工場の都合も考えて欲しいと
一刀両断します Σ( ̄。 ̄ノ)ノ
会議を終えた営業部員達は
若い攻様が昨今の働き方革命を唱えて
暴走しているのでは!?と言い出し
部長には工場の様子見を兼ねて
攻様の根性を叩き直せと受様を送り出しますが
工場の実態は営業部の想定とは全く違う事態で!?
本社向けに工場代理となった攻様と
工場と営業の緩衝材の役目を担わされた受様の
本格お仕事モノになります♪
なんと第ニ工場では
営業部の無理な受注もできないと言わずに受付けて
サビ残と休日出勤が恒常化していたのです。
工場長とともに現場を回す生産管理部員からは
工場長が退勤表を改竄していて
若いうちから仕事だけが生きがいの古株工員達は
働き方改革なんてしゃらくせいと
工場長に同調していたのです Σ( ̄。 ̄ノ)ノ
工場の実態に受様は呆然としますが
これでは若手社員が長続きしないはずと
様々な意味で頭が痛くなる受様を救ってくれたのは
好印象で気配りできる若者だった攻様でした。
本社の対応が思ったよりも迅速だったと喜ばれ
受様はちょっと複雑な心境になりますが
工場の現状を知った営業部長は納期調整とともに
人員対策もしてくれます。
受様は工場に逗留されて工場の改善を図りますが
神中途採用者が働きだすと新たな問題が発覚し
工場長が復帰するとまた新たな受注を押し込んできたり
と問題はなかなか減りません。
それらの事情に受様は丁寧に対していくのですが
若い攻様の柔軟な嗜好に接した事で
受様が苦手としてきた"正しい怒り"を表明することで
事態を好転されていく様子がとても面白かったです。
仕事とは経験の積み重ねであり
苦手な事=出来ない事としてしまいがちですが
自分の為ではなく誰かのためになら
出来ないという選択肢は減っていくのかな。
受様を見習わないといけないと思わせられる
素敵なお仕事モノでした ヾ(≧▽≦)ノ
海野先生作品で最近よく見る地味なオジ受け。
新作はほぼチェックしているのですが、今回は豆腐というこれまた地味な題材で読むのを迷いました。
温和だけど自己肯定感が低めで自信のないオジさんが、若者のフレッシュな視点で開眼させられて、恋愛として惹かれていく展開。
う~ん、最近この展開よく見るなぁ…という印象。
個人的嗜好の問題ですが、たまにならオジ受け読むし楽しむけど、主食にはならない。ちょっと似たようなCP設定、展開が多く飽きてきているのが本音です。
そして今回の主人公の受けですが、
「自分だけが要領悪い」「周りはみんな揺るぎない自信を持って生きてる」
会社で役職付くほど営業やって色々な人と関わってきた割に、こんな偏った思い込みをずっと抱えて、自己肯定感がとても低いのが気になりました。
あまりに自己評価が低く褒め言葉も受け取れない様子を見ていると、正直だいぶイジイジしてるように感じてしまいました。
20代の若者が、視野が狭くてそういう悩みを持っているならまだ若さゆえと思える気がするのですが…。
ただ、お仕事面は工場と本社の関係や、受けの奮闘っぷり、徐々に周囲が和やかに活気が出てくる変化が面白く、読み応えがありました。
また、後半になると余裕そうに見えていた若者も必死だったり、受けの恋愛面の頑張りが見えてきたりと新しい側面が見えて楽しめました。
なので評価を一つ上げて萌とさせていただきたいと思います。
それから、挿絵の逆月先生、表紙は世界観がよく現れてて素敵なのに、挿絵はどうした?と言いたくなりました。受けがすごく若々しい。可愛く若々しすぎませんか…。逆月先生の挿絵好きなのですが、個人的に今回はイメージと合わず残念でした。
先生買い。安定の海野先生のお仕事ものでした。攻め受けセットでウチの会社に来てほしい♡と思うものでしたが、めっちゃ惚れるという部分はあまり無いように思ったので萌にしました。皆さんお仕事頑張りましょうね、と思う本編270Pほど+あとがき。
中小メーカーで営業の次長を務めている渋谷。主な担当は第一工場の方だが、ある日くせもの技術者の多い第二工場の工場長が体調不良に。オンライン会議で工場長代理として出てきたのはいかつい顔をした若い深見で・・と続きます。
攻め受け以外の登場人物は
第二工場の面々、中途採用者、本社営業部の皆さん。皆さんリアルで、あーいるいるこういう人って思います。
++攻め受けについて
攻めはくせものだらけの工場のじいちゃんたちに歯を食いしばってくっついて、なんとかものにしようと頑張った方。ガタイ良くてちょっと怖い見た目な感じです。だけど懐いたらしっぽブンブン丸なワンコと感じました。
受けは40歳!自分をおじさんと自覚しているんですけど、周りからはそんな風に全く見えない美麗系。腰低いし、みんなが疲れてそうなら黒飴配って回っちゃう方。こういう人大事。職場の潤滑油。
そんな二人が第二工場のトラブル対応しつつ恋愛感情も育てていくという感じのお話でした。海野先生あるあるかと思いますが、恋愛話よりお仕事話に、シンクロしちゃいますねえ。。。
工場と営業っていう立場の違いのお話としてもとてもリアリティがあって面白かった!本社と工場って全然違うんですよね…。ビジネスパーソンとして刺さるエピソードもたくさんありました。慶一のようになんとか自分が我慢してやり過ごしてしまえばと思うことって中間管理職であったら幾度となくある場面で、その先に影響を受ける人たちの事が頭から抜けていないかと考えさせられることがたくさん。深見くんはそのあたりをあの若さと頭の柔らかさで慶一にいい影響を与えてくれましたよね。2人の恋の攻防戦?も慶一がぐるぐる悩んでしまうあたりが大人だからこその反応だし、そこは若さで押せてしまうのも深見くんならではだし。ついに気持ちを認める瞬間好きだったなぁ。
面白かったです。
作品タイトルにもあるように、登場人物みんなが小さなアップデートを重ねていく物語。
主人公ふたりだけでなく、この作品に登場する様々な人物が、それぞれの価値観をアップデートしていきます。
骨の髄まで染み込んだ価値観や性格って、それが他者や自分にとってマイナスであろうと、なかなかアップデートするのも簡単ではないですよね。
それでも言葉を尽くし、正面から向き合った先に、新しい景色があるのだと思います。
それにしても、慶一さんが卑屈すぎる笑
過去の出来事も語られていましたが、その出来事の結果として現在まで自分を卑下ばかりして生きてきたのだとしたら、よほど周りの人間に恵まれなかったのでは?と思います。
アラフォーにして深見と出逢うまで、自己肯定感を高めてくれるような人と出逢えなかったのでしょうか......
惚れた弱みとはならず、慶一の良いところも悪いところもしっかり伝えてくれた深見が個人的にMVPでした。