電子限定描き下ろし漫画付き
それを、人は愛と呼ぶ
とても面白かった。
近未来SF。
AIの発達により、人間の過去のアーカイブを入れてその人本人と見紛う程の高性能アンドロイドを作れるようになった世界。当然のように死者をアンドロイドとして蘇らせる商売が横行。主人公達はどちらかが死んでもニセモノは作らないでと約束し合うんだけど、受けは喪失に耐えられず攻めのアンドロイドを作ってしまう。結局本人ではない攻めに耐えられず病んでしまうんだけど、自分勝手に作ってしまったアンドロイドの攻めを一人残すこともできず彼のために受けのアンドロイドを用意して姿を消す展開がちょっと世にも奇妙な物語的でSFぽさも強くて好き。最後のアンドロイド同士の会話も切なくて好き。
そして物語は更に未来へと続く。人間が作ったAIが更に高性能なAI(ニューオーダー)を作り世界を管理し始める。人間はオリジンと呼ばれ絶滅危惧種のようにAIに管理保護され安寧の暮らし。世界観がめちゃくちゃ面白い。旧AIと新AIの目的というか構造の違いのようなものの対比が面白かった。ニューオーダーには感情がないので悪意もなく、本当に人間を幸せにするために活動しているんだけど、人間とは違う埋まらない溝があるのが怖い。人間の感情、人間らしさに寄り添おうとはしているけどちょっと的外れなところとか。そして反AIのレジスタンスの青年が、この世界でAIと共存し生きる目的を見つける展開もめちゃ良かった。ただニューオーダーに感情を持たせるのってめちゃ怖いね…とも思ってしまう。今の状況ってニューオーダーが悪意を持ったら終わりなので。
三月えみ先生の新作ですね
SF小説は大好きで中高時代めちゃくちゃ読んでました
また、表紙が綺麗で攻めっぽい子が受けちゃん?を優しく見つめる瞳に惹かれて購入しました
全然予備知識無しに読んだんですが、思ってたのと違ってとても壮大で奥の深いお話でした
当初人間✕アンドロイドのお話だとおもったんです
しかしオリジンとオールドタイプとさらに上をいくニュータイプたちの三者三様の物語でした
2055では弥凪がアオイに自分そっくりの分身を作ったのか理解に苦しんだのですが
なんと!アオイもアンドロイドだったなんて…
最後の弥凪の行動は痛いほどわかりました
いくら本人の意識を搭載したAIだからって
いくら本人の姿をしていたからって
違うんだろうな
かえって孤独を募らせていったんだろうなと…
2人の分身だけを残して、携帯のなかで在りし日のふたりが寄り添う姿に胸がしめつけられて、なんとも言えない気持ちになりました
それからさらに時は流れて2072です
最初ヤナギがオールドAIだと思っていたのですが、違ったんですね
事故で頭部をふっとばされてしまったスルガが、ヤナギはスルガの復活を願った。頭だけスルガの意識を残したAIで
スルガを蘇らせる代わりに実験体として
クーデターの危険性を持つ部分を消すニュータイプ?のスルガとして蘇るのが条件だった
おそらくサガミとスルガの過ごした古い記憶もそのさい消えてしまったみたいな?
であってますでしょうか?
このお話はちょっと難しいので混乱しました(汗)
つまり純粋なオリジン(人間)はサガミなんですね
2人が抱きしめ合ってるとき、スルガが頭部以外にも少し記憶を残してることがわかったっていうシーンがとてもキュンときました
アオイも登場します
ヤナギのデータも見つかったけど、また2人でくらせると…しかしアオイはそれを拒否
します
アオイにとっても偽物のヤナギと暮らすのは悲しいことだったんでしょうねちゃんと人間だった時の意識は残っていたんだなぁと思いました
そしてまた少し時間が経過して
2075年クーデターに加わった青年ミカのお話です矯正施設で、管理AIのリールと暮らしています
人間の姿も可愛いかったけどリール型がなんかペットみたいでめちゃ可愛かったです
健気なんですよね〜一生懸命ミカに尽くそうとするとこがなんとも人らしいです
料理が最悪だったり、落ち込んだり、よしよししたりとほんとかわいい
1家に1台ほしいです
リール型より人間型の方が有能で便利なんだけど、みんな同じ姿なんですよね
壊されてしまったトートは、人間型に生まれ変わるのですが、元があのリール型だったと思うと愛しさ2倍です
このお話の中で、ロボットなのに一番が人間らしいのは彼なんじゃないでしょうか?
何だかめちゃくちゃな文章で上手く説明できなかったですが、このSFBLとてもとても素晴らしい作品だということは、確かです
一番好きなカップルはやはり
葵と弥凪ですね!2人が向こうの世界で出会えますようにと願わずにはいられません
手塚治虫の「火の鳥」をロマンチックにしたようなお話で 、本当に大好きです!
2072、2075、2055と電子の単話を読んでいた時には少し理解しづらい部分もありましたが、今回単行本になって続けて読んで色々繋がりました。
また書き下ろしの「2076」も読んで更にこの物語のエモみが最大限に爆上がりしました。
サガミとスルガのことが最後まで気に掛かっていたから…
人が人であることにおいて大事なものは何か、ということや、平和な世界であり続けるには、それは人間らしさとは共存できないものなのか…などということについて考えさせられます。
後書きを読むと、この物語の世界観はまだ見えてない部分がありそうですし、「僕の断片を探してくれた人」についての物語も見てみたい!
また先生がいつかこの続きを描いてくださることを期待しています!!
本作は3組のカップルの物語が描かれたSFオムニバス作品です。
一つ一つの物語は独立しているのだけれど、
どれも少しずつ繋がっていて、
読み終えてみるとこの3作品で1つの物語なんだなと思えました。
作中では人間とアンドロイド、ニューオーダー(新型AI)が描かれています。
はじめは誰がどちら(人間かAIか)はわからずに読んでいたのだけれど、
読み終えてから見返してみると表情が違うなぁ、と改めて感心でした。
喜びや怒り、悲しみが感情豊かな人類と涙を流すことのできない
無機質なアンドロイドたち。
あとがきでは“ふきだし”でも感情のある者とない者で書き分けてる
とのことでしたが、表情も全く違っていて、その描き分けに注目して
もう1周してみても面白いなぁと思えました。
『2055』
【アオイ×弥凪、アオイ×ヤナギ】
恋人同士のアオイと弥凪ですが、
弥凪が病気の療養のために遠くへ行ってしまうことになり、
アオイを独りにしないために弥凪の人格を模倣した
アンドロイドの“ヤナギ”を置いていくことに。
自分の代わりに恋人に自分によく似たアンドロイドを用意するなんて、
理解し難いと思ったものの、読み進めていくと弥凪の行動に納得でした。
弥凪は“葵”の元へ行けたのだろうか…。
最愛だった弥凪のことを忘れ、幸せそうにヤナギに微笑みかけるアオイに
胸が締め付けられる…。
『2072』
【サガミ×スルガ】
『2055』から時間は流れ、時は2072年。
かつての人類はオリジン呼ばれ、
その数が減少したのに代わり台頭してきたニューオーダー(AI)に
管理されて生きていました。
前時代に人間が作り出した旧型アンドロイドたちは経年と共に
不具合を出すために記憶を抜き出して回収され、廃棄。
そんな彼らの記憶を抜き出す仕事に従事するオリジンのサガミとスルガ。
ある日、相方のサガミから告白されたスルガですが、
同性同士で愛し合うという気持ちがわからない彼は
旧型アンドロイドの記憶にその答えを見出そうとし…。
1話目でも途中まではすっかり騙されていましたが、
この2話目でも後半まで全く疑いもなく読んでいたら、
またやられてしまいました。
スルガの傍で彼を見守り、「好き」を伝えたサガミの気持ちを思うと
切なさに胸が張り裂けそうでした。
「俺はスルガがなんであろうと好きだから」
この一言に全てが詰まっていました。
“アオイ”との交流を通じて、ようやく全てを思い出したスルガ。
長い空白を経て、もう一度恋人同士になった二人。
それまで無感情にも見えたサガミが涙を流しながらスルガを抱くシーンは
もらい泣きせずにいられません。
けれど、束の間の幸せの後、再びサガミに告げられた残酷な現実。
やっぱり、AIに心はないのだろうか。
記憶の中の“スルガ”に別れを告げるようにスルガとの思い出を振り返り、
そっと目をつむるサガミが辛すぎる…。
どうか、サガミとスルガに救いがあって欲しい…。
【ミカ×トート】
こちらは2072年から3年後の2075年のお話。
かつてレジスタンスに属していた人間の青年・ミカと
リール型ニューオーダーのトートの物語。
どうにも救われない愛の物語を二つ読んできて、
いい加減涙腺が限界に達してきたところだったのですが、
こちらは結末からいうとハッピーエンドでした。
人間とAIの種を越えて惹かれ合い、
引き裂かれそうになっても決して手離すまいと縋り、
手に入れた二人だけの愛の形。
AIとしては不完全なことを自覚しながらもミカを愛し抜こうとするトートも、
ニューオーダーを憎みながらもトートの愛に応えようとするミカも
それぞれが不器用で、健気で愛おしくてたまりませんでした。
二人だけではきっとこの結末は迎えられなかったのだと思います。
アオイと弥凪、サガミとスルガの物語があったからこそ、
この2人のハッピーエンドがあるのだと。
そして、描き下ろしで希望が垣間見えたサガミとスルガの物語。
ミカとトートの幸せを願いつつ、傍らで二人を見守る彼らのことが
ずっと気になっていただけにこのラストの演出に救われました。
切なさでしんどくて泣きっぱなしだったけれど、
最後の最後で感動の涙が溢れました。
先生の『拒まない男』が大好きな作品。
収録作『2055』は単話購入で既読でした。単行本も高評価で気になったので購入しました。全247ページ。
『2055』『2072』『2075』それぞれ少しずつ繋がりのあるストーリー。一読して、特に2072と2075は難しいと感じるところもあったのですが、再読しつつ感想を綴ってみます。
本作はネタバレ少なめで読まれることをお勧めしたいです。以下少々ネタバレありますのでご注意ください。(ページ数は目安です)
【2055】(約25ページ)
弥凪とアオイは恋人同士。
病気治療のため遠くへ行く弥凪は、自分の代わりにアオイの側にいてもらうため、アンドロイドの“ヤナギ”を用意するが…。
初めて読んだ時、なんともやるせない、哀しい気持ちになったのを思い出しました…。海に入る弥凪の笑顔が切ない…。
単話を読んだ時は、弥凪はなぜアオイにヤナギを残したのか疑問だったのですが、次の『2072』を読んだら、アオイを一人で残したくないという弥凪の気持ちが理解できた気がします。
【2072】(約85ページ)
かなり作り込まれたストーリーで一読では難しくて再読しました。こちらは特にネタバレ抜きで読まれることをお勧めしたい。
2055のアオイも出てきてストーリーが繋がっています。
アオイのセリフ
「弥凪のために泣く事もできない オレが持てた大切な感情です」
弥凪に置いていかれたアオイの、胸痛む言葉でした…。
そして明らかになるスルガとサガミの過去…。
ラストが本当に切なくて涙なしでは読めません…。サガミの中の色鮮やかなスルガの姿がもう…。何度読んでも泣けました…。
【2075】(約103ページ)
レジスタンス矯正施設にいるミカとロボット(トート)のお話。ロボットが初めは人型でないのに感情を持ち始める様子がとても愛おしいです。手塚治虫先生の漫画を少し思い出しました。
しかし個性を持ったロボットは故障とみなされ強制的に奪われそうになり、ミカはロボットと逃げだし…。また切ないお話かと思ったら、そうではない展開にほっとしました。
と思っていたらchapter2はまた切ない展開に…読ませてくれるなぁ。
キスシーンの雫の描写がとても美しい…。
そしてトートのアップデートの描写…こちらも神秘的で美しかった!
アンドロイドらしからぬ表情豊かなトートがすごく可愛い。希望のあるエンディングに救われました。ミカ、良かったなぁ。
【2076】(描き下ろし)(約17ページ)
ミカとトートのその後メインなんだけど…
ラストのスルガとサガミが…
もう泣けなくなっていたスルガの涙に…
号泣でした!!
スルガ、サガミ、良かった…
特に『2072』と『2075』は一読だけではちょっと難しかったのですが、再読したらなんとなく理解できた気がします。それぞれの愛を描いたストーリーがとても感動的でした。
SFという題材になんとなく気後れして、なかなか読めないでいましたが、読んでよかったです‼︎
そういえば後書きの、2072についてのコマ割りやフキダシについての記載にちょっと驚きました。すごいこだわりですね!気づかなかったなぁw
後書きも読み応えありました♩
シーモア 修正必要箇所なし(濡れ場らしき描写は極々少なめ)
