それを、人は愛と呼ぶ

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表題作2055

アオイ
アンドロイドに否定的な恋人
弥凪(ヤナギ)
アオイの恋人

同時収録作品2072

サガミ
記憶データを消す掃除屋
スルガ
記憶データを消す掃除屋

同時収録作品2075

ミカ
元レジスタンス活動家
トート
汎用ロボット

その他の収録作品

  • 2076(描き下ろし)
  • あとがき

あらすじ

アオイと弥凪(やなぎ)は仲睦まじい恋人同士。
ある日、弥凪そっくりのアンドロイド“ヤナギ”が届く。
アンドロイドなんて悪趣味だというアオイ。
しかし弥凪は、病気療養で遠くへ行く自分の代わりに、アンドロイドを置いていきたいと言うのだ。
「抱き心地を確かめてみる?」と誘うが、アオイは乗り気ではない。
やがて目覚めた“ヤナギ”は、アオイにそっと口付け――。
西暦2055年。
アンドロイドと人類が共生する切なく愛おしい世界で、弥凪が選んだ“永遠の愛”の形とは。

そして、時は流れ2072年――。
アンドロイドは更なる進化を遂げ、AIが人間を管理する世界が訪れていた。

「2055年」「2072年」「2075年」
愛する人の“幸せ”のため、彼らは進化を続ける。
圧倒的スケールで描く、心震えるSFラブロマンス。

作品情報

作品名
2055
著者
三月えみ 
媒体
漫画(コミック)
出版社
オーバーラップ
レーベル
リキューレコミックス
発売日
電子発売日
ISBN
9784824014719
4.6

(116)

(95)

萌々

(12)

(6)

中立

(0)

趣味じゃない

(3)

レビュー数
22
得点
541
評価数
116
平均
4.6 / 5
神率
81.9%

レビュー投稿数22

2026年マイベスト!

1月ですが、発売前からこれは発売されたらその年のマイベストと決まっていた作品です(笑)

ストーリーテラー三月えみ先生の圧巻の今作品。

できればネタバレなしで読んでいただきたい!

2055、2072、2075とオムニバス形式で進む3つの物語ですがコアな部分で全部繋がっています。


2055
愛する人を亡くしたらきっと誰しも思うであろうことが、AIによって実現可能になった近未来。

弥凪は病気療養のため愛するアオイのもとを去るため、自分の代わりに、自分そっくりのアンドロイドを置いていく。

しかしニセモノはやはり本物ではなくて。

そしてアオイが実は、、、!
これにはビックリしました。


2072
AIによって人間が管理され支配される世界。

2055時代のアンドロイドはオールドタイプと呼ばれるようになり、ニューオーダーが台頭する。

人間の意識体を導入するニューオーダー、しかし生き物らしい感情や揺らぎをもつようになるとノイズと呼ばれコントロールされる

人間によって求められ生み出されたのに都合よく消されたりアップデートされたりの矛盾が切ない

AIが人間を管理する世界へ舵をきられるのも致し方ないと思わされる2072

それでもみんなが共存できる社会を模索して、描き下ろしから有償小冊子へと繋がる
2075、2076
弥凪(そして葵たち)からスルガたちへと繋がった想いに涙腺崩壊しました。

吹き出しの細やかな心理描写もコミックスで気づきましたし、アンドロイドたちの洋服の線の本数もあとがきで気づきました!

そして
2055の弥凪の[心が痛い]→2075のスルガの[頭が痛い]

これもすごい素晴らしい表現で震えました!
心停止か脳死かどちらが死なのかという問題にも繋がるような、
(スルガを生き返らせるために頭部を…という事情があるので、記憶や感情が載るのは「心」ではなく「頭」になっているところが)
人の感情の出所(でどころ)とは、記憶のありかとは、、と、深く考えさせられました。

インタビューも拝読し、愛がテーマということで、
亡くなった人を生き返らせたいと思うのも愛、追いかけて死を選ぶのも愛、
遺されたアンドロイドと共存する道を選ぶのも愛で、
そしてデータが消えても、体がなくなっても意識は海の底にあり、時には奇跡を起こす、それも愛と呼べるのではないでしょうか。

10

高まるエンタメ度と深いメッセージ性…!語りたくなる読み応えが堪らない❤︎

えみ先生のストーリーテラーぶりに
ファンの方も多いと思います。

去年リリースされた『金色のいつか』では、
スピンオフでありながら、骨太な社会派人間ドラマが繰り広げられ、救済モノであるのを予感させつつも先の読めない展開で続刊が待たれる話題作でした。(書き下ろし小冊子がほんとニクい演出!)

今作は、そんなえみ先生が単話読切としてリリースされた話から、その後に連作され三部作のオムニバス形式で一冊にまとめられた近未来SFモノの作品。
「本人たちのAI搭載のアンドロイドだけが現世に残される」という話を描いたのがはじまりとなったAIシリーズです。(あとがきから)

タイトルにもなっている第一部「2055」は、↑のとおりなんですが、
全ての人間のパーソナルデータがAIによって管理され、そのバックアップデータから蘇らせたい人のアンドロイドを作るのが可能、許可されている社会が舞台になります。

続く第二部、第三部では20年後、3年後と時が流れていきAI技術も進化していくんですが、AIとの関わり方が変わり、最後の第三部ではとうとう人間とアンドロイドが心を通わせるという話が語られます。

近未来SFということですが、実際に現実世界でのAIの話から妄想して作品を描かれたそうで、BLでありながら、メッセージ性を多分に感じてしまうのは私だけでしょうか。
手◯治虫先生の鉄◯ア◯ムとか思い出されてしまったんですけど。あの作品も子ども向けですが、社会派マンガ的な意味を感じる名作ですよね。
ヤバい、こんな作家様に巡り会えた幸せに改めて震えてます。

亡くした恋人を想うひとりの
報われなかった切ない想いが、
同じように誰かを想う人へ受け継がれ
時には助け手として出現しながら派生していく
ように第二部、第三部と展開していきます。

主人公が変わることで時の流れと共に壮大なスケールに感じますし、同じ場所に居合わせた人たちを別の角度から焦点を当てて語ることで繋がりが見えドラマを深い味わいとさせています。
オムニバス形式で見事に成功されているわけですけど、このボリュームで一冊にまとまっていても物足りなさを感じないんですよね。
改めて、えみ先生のストーリーテラーぶりに舌を巻いてしまいます。

もちろん、オリジナルの設定故に理解を進めながらにはなるんですが、面白い…!が先に立って読む手が止まらなかったです。ぜひ堪能していただきたいです。

BLって、と個人的に思っているのは
かけがえのないものの存在に気付くこと
それは誰かの存在、また己でもあり
共にいる今この瞬間全てが連続していることであるかもしれない。
そして誰かを想い、心を通わせることで
救われたり、心を強められる尊さが
テーマとしてすごくあると感じているんですけど、
この作品でも見事にそのことを描かれていて、正に圧巻といったところ。

AIという身近になってきても尚、関わり方というよりかは、使う側である自分に向き合えていないような不安定な現実感を少し思い出したりもして。本当に色々な感想を持ちました。

いまボーダーレスといいますか、ジャンル関係なくBLが描かれ、BL作品のジャンルでもその多様さは止まる事がなく読者としては嬉しいばかりですが、この作品もBLから派生して進化し続けてるような作品作りをされている作家様の読み応えのある作品として是非、楽しんでほしいと思います。

今回も小冊子も本当に良かったですー!物語のエッセンスというのか、ここを読んでやっと本を閉じられる気すらします。
なんですけど、あとがきで披露された裏設定も面白すぎて気になる…是非続編を検討いただきたいですー!

追記
FFさんから、もしかして手塚治虫先生の「アトムの最後」を意識されて描かれてる?と感想を言われてる方がいらして、なんでも2055という数字がラストに出てくるとのこと。
早速、読ませていただいたんですけど、そこでは人間とアンドロイドの恋が手塚先生らしい、人間の業を感じさせる悲劇的な恋として描かれていて、復活したアトムが遭遇したその世界は機械が人間を支配する2055年の地球というお話でした。

手塚先生は哀しいまでに愚かな人間の業を描きながら人間愛を謳われていたと思うんですけど、三月先生もまた、作中でも何度も語られますが、AIに管理されながら生きる人間にとって「幸せ」に生きるとはどういったことなのかと問いながら、AI時代といわれる現代の私達だからこそ想像できる未来を再構築されて、もしかしたらオマージュされたのかな、と思わずにいられない気持ちになりました。何処までも勝手な解釈ですけど。

オマージュかどうかの真偽はさておき、
いつの時代も人間が作り出すものは不自然なものばかりで結局、それによって救われる事もなく消えていくしかない未来から、
最後は共生する未来が再構築された事、それは愛によって実現するんだっていうプロセスが語られた時、本当に感動で言葉にならなかったです。

長々と書き加えましたが、どこかBLの枠を超えたものを感じてるのは私だけではないと思います。
ぜひ、広く読まれていって欲しいと思います。

9

刻まれた記憶の証 繋がる紡がれる…「想い」と「生」の神秘と痛み

読み切り時代のアンソロ誌「LiQulle pathos」にて「2072」から拝読しました
始まりである「2055」を未読の状態で読んでも心を掴まれてしまい、必ずコミックスになったらお迎えしたい…しなければ…!と思っておりました

2055、、、現在2026年なので、よく考えたら遠そうに見えて実はそうでもない未来なんですよね~。。。このお話しでは2055年から始まって2076年までが描かれています
人生100年時代、、、現実でもこの時代に追い付く事も無きにしも非ず、というのがまた不思議な感覚になってしまいますね(*˘︶˘*)

さて、お話し構成としては元が単話読み切りスタイルだったので序盤は余白と情緒のあるお話しで紡がれます
そしてこの独立してそうな各話が少しずつ重なりを残して、行く行くは1冊を通して繋がって行く、、、という、設定に負けない壮大な世界の広がりと「想い」の奥行きを感じる読み応えとなっています

全部で5話構成
「2055」「2072」「2075」「2075 Chapter2」「2076」

「2055」で世界観を把握すると共に人間の葵と弥凪/アンドロイドのアオイとヤナギの〝胸の痛み〟の意味する所に私の胸の痛みもギュッとします

「2072」では更に世界が進化していきます
人間が〝オリジン〟と呼ばれ保護対象として管理下に置かれる存在
そんなオリジンを管理するのが〝ニューオーダーAI〟(以下ニューオーダー)
AIにはもう1つ存在があり、〝オールドAI〟(以下オールド)と呼ばれ、これはかつて人間が生み出したAIの事で今はニューオーダーにより破棄対象となっています

よりファンタジー設定が進み宇宙観が増しつつ同時に生活も感じます
尚、このお話しでは人間のサガミとスルガを中心に進みます
彼らを中心にしながらも「2055」からしっかり地続きなのでキャラの接点も勿論あります

「2075」サガミとスルガというレジスタンス側の生き残り、ミカと相棒トートのお話し
進化し続ける世界、変わらぬ想い
オリジン、オールド、ニューオーダー
1つの世界に交錯する思惑を持った者が存在する世界で私たちが目撃できるものは果たして…?という物凄いメッセージ性の高さを感じるお話しです

とにかく刺さりますし考えさせられます
なので是非、ゆっくり向き合って感じて欲しいです
以下、何周もし過ぎて感じた事をアレもコレも残しておきたくてまとめ切れなかった感想の垂れ流しです…
纏まっていない事は承知なのですが、この壮大なストーリーから受け取ったものを2400字には詰め込めない…という気持ち…お察し下さると有難し…(∗´ര ̫ ര`∗)


ーーー人を生かす、人を活かすーーー
これは他者からその対象となる〝人〟への想いがあればこそ生まれる言葉

今回の物語で〝生かされた〟者達を生んだのは、生んだ者側の抱く対象者である誰かに対するともすると暴力的でさえもある…それでも正真正銘の「愛」故なのだと思います
与える愛だけでなく受けたい愛、そして共有し続けたかった愛

その重さの怖さ、失う痛みを慮って葵はアオイを拒否したのだろうか、、、
それとも受け入れる強さが葵にはあったから自然に逆らわない事を選びたかったのだろうか、、、
またはどちらも複合的に考えての事なのだろうか

葵のこの考えに思いを馳せ理解したいと思うと同時に、弥凪が葵との約束を守れずアオイに繋いでしまった想いも否定できない

そしてスルガに呼び戻されたアオイが欠片を探し求め続ける行動を見て、やっぱり弥凪の想いが間違っていたとは思えなくなってしまう

人は生きていれば誰しも喜怒哀楽という4文字だけでは片付けられない「感情」と付き合っていくもの
その感情が生まれた証が記憶

そしてこの記憶を共有した相手が居る事で想いが広がり繋がって行き、存在が自己完結ではなくなる面は大きい
自分自身の細胞に刻まれた記憶だけでなく、その時を共有した側にも刻まれる記憶

それが想いが繋がって行くと言う事
想いが繋がれ続ける限りそこには「生」が在り続け、きっと終わりは来ないのだろうと思いたい
目には決して見えない「感情」の確信を感じる生命の神秘

この「2055」という作品が私の記憶に残り続け、そして多くのBLファンに愛され続ける限り葵と弥凪から始まった愛の物語は生き続けると確信しています

素晴らしいとしか言えない1冊でした
あとがきも一言一句見逃せません!
先生、本当にありがとうございました(ღ˘͈︶˘͈ღ)


修正|修正は不要な絡みです

9

見えない出口の先に光が見える珠玉の1冊

普段そこまでメディア化に関しては特別思う事は無い方なのですが、この作品は是非とも映画化して欲しい
ドラマではなく是非映画化を希望したい

そして多くの受け取り手に届き、色んな感情を感じて欲しい!

とは言え、漫画だからこそ!の魅せ方がこれまた秀逸なのでこの漫画が何よりも1番手に取って欲しいのは間違いないのです
この仕掛けには全く気付かなかったので、あとがきを読んだ後に読み返したのは言う迄もありません

葵と弥凪から始まった「愛」のお話しが時を経て名前や形態を変えて繋がって行きます
出口の見えないような始まりに少し心が痛くなる始まりにこのまま読めるだろうか、と心配になりながらも最後にはミカとトートというCPのお話しに確実な希望の光を感じる読後でした

「愛」という感情の複雑さ
それもノイズなのかも知れない
けれどノイズが全て除去されてしまったら画一された平面だけが残り、何も引っ掛かりがなくなってしまい起伏が生まれない

ノイズも個性
不具合も含めて愛おしく思える瞬間を増やして日々を過ごしていきたいと思います

9

人間とアンドロイドの愛と進化

読み切りを読んでいて、単行本になるのを楽しみにしていた作品。
3つの時代の人間とアンドロイドの愛と進化が描かれています。

「2055年」弥凪は自分のリアルの身体はなくなっても、記憶と心を見た目のアンドロイドであるアオイとヤナギに「永遠の愛」を託します。
「2072年」過去の人間やアンドロイドの記憶を管理するサガミとスルガと管理AIであるIZによってふたたび生き返させられるアオイは、まだ弥凪を求めます。そしてサガミとスルガの真実の愛の行方。
「2075年」ミカとオールドタイプのトート、再生や新しく生まれ変わることに抵抗しながらも人間の愛はなにかと考えます。そしてトートがアップデートによって生まれ変わる時、弥凪や過去の人間たちに「永遠の愛」を託されます。

どの物語でも誰がリアルな人間なのか、アンドロイドなのか、どのタイプのアンドロイドなのか、わかりにくいところもあります。でもみんなそれぞれに自分の考えを持ち、幸せや愛を求めています。その想い・記憶があることこそが「人間」である証のように。
身体が機械なのか生身なのかは重要ではないのかもしれないと感じました。誰の記憶かわからなくても、やっぱり命と愛は繋がっているんだと感じました。そしてこれからも進化し続けていくのでしょう。

最近の人気である軽くてかわいいボーイズたちの恋愛物語ではなく、スケールの大きい世界観の中にがっつり浸れるSFになっています。じっくりと読んで理解しなくてはいけないので、時間に余裕がある時に読むのをおすすめします。読んだ後にもう一度読みたくなります。さらりと読んでしまうのはもったいない!
きっと読んだら自分ならどうだろう?と考えさせられる作品になっています。
楽しかったな!ぜひ同じ時代で他のキャラの物語も読みたいです。

9

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