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風俗店マネージャー百田×真面目すぎる警察ロンちゃん。
痛い、辛い、切ないが多い木原作品としては、甘すぎるほど甘く、ハードルは低めです。
終わってみれば愛が溢れた優しいお話でした。
百田の過去とロンちゃんとの始まりが相当にクズ。
そんな百田がロンちゃんのために更生し、ロンちゃんのために浅慮で暴走し、ヒヤヒヤさせられます。
本当に浅慮過ぎて頭を抱えたくなるのですが、彼の人柄や優しさが溢れていていつのまにかみんなが百田を好きになる。(本人はロンちゃんに夢中、そこがいい)
ロンちゃんも、真面目過ぎて人間味がなかったお巡りさんが、百田と出会って人間的になっていく。正反対の二人が素敵な相乗効果で見事な割れ鍋に綴じ蓋!
百田が作中何度もロンちゃんとの出会いに感謝しているけど、本当にこの二人が出会えてよかった。
百田の過去に涙し、ロンちゃんの愛に涙し、本編後のロンちゃんや甚呉さん目線の短編でほっこり。
ヤマシタトモコ先生のイラストがイメージ通り。小汚くてカタギじゃなさそうな百田、真面目で精神の清楚さが見た目に出ているロンちゃん、素晴らしかったです。
また何度も読み返したい神作品です。
読後も百田が完全なる善ではないということは忘れたくないなと思う。人間は変われる、を強く信じていますけれど、百田に人生狂わされた人絶対いるだろうに。そういう人に殺されたって同情したくないなと思ってしまう。曲がらない小指のくだりを胸に刻む。
創作物の登場人物としての百田はとても好きです。涙脆くて情が深くて頭は弱いロンちゃん至上主義。
持ち金全部でクスリを買ったり、老人を襲ったり、そういう男が風俗嬢達に「愛想よくて、優しくて、話好き」って思われて頼りにされていることは良いなとは思う。すごく強運の男だよな〜死んでておかしくない場面だらけ。ロンちゃんも社会的に死んでもおかしくないところがちょこちょこ… 百田に性病がなくてよかったな。
木村(ヤクザ)もそうだけど、浅はかな登場人物が多い。
そこまでのネタバレはありませんが一応付けました。
木原さんの作品の中で沢山登場する、愛すべき底辺人間の中でも特に優しい部類の百田が主人公です。ヒリつく様な心理描写は控えめかと(かなり麻痺してるかもしれません)。
3度も薬で捕まり、家族も無くし、後々恋人になるロンちゃんとの出会いは最悪だし、顔も頭も悪いしゲイ。けれど見捨てず助けてくれた唯一の人ロンちゃん(浜渦論)の為に生きると決意し、それでもバカなことをして、泣いて、、というお話です。
百田は学生時代の行動はかなり荒暮れていたようですが、このお話の範囲ではクズ行動よりも論の前でグズグズしたり、悪い事をせず生きたい、役に立ちたいという思いを常に持っているので余り胸糞悪い展開もない…かと思います。それでも違う方向に突っ走っちゃって、読んでいるこちらも冷や汗を握りました。自分が底辺で頭悪くてetcとかなり自覚もあります。とにかく自分の否をこれでもかと自覚し、大好きな論には気弱さと確固たる愛を持って生きていく優しいお話でした。
また、論の弟、眞迩(まに)!他の漫画だったら白けそうな名前なのに登場から好きでした。浜渦家の名付けセンス好きです。歳の離れた論の意外な一面を、百田の話や関係性で知るのですが、論が受けた百田の影響がとても分かりやすく現れていました。そして論の警察なカッコよさも見せてくれます。
論視点のお話で、論も普通の警察人間ではなく欠陥人間だと気付くのですが、その視点でも百田が人としてちゃんと役に立っているのが知れて良かったですし、論から相談を受ける同僚のリアクションもまた逐一面白い!
論の気持ちを聞いて思わず両手を合わせた百田のセリフが上記タイトルです。頭が悪くて、でも憎めない愛おしいキャラ百田の素敵なシーンだと思いました。論から「大事な話がある」と前置きされ、遂に別れ話か…と早とちりして大号泣する百田も面白くて可愛くて愛おしくて大好きでした。
凄い!最初から両想い!ラブラブだ!!!
不細工でドクズな攻めこと百田が受けのロンちゃんと出会いとびっきりの幸せをもらいつつドクズ人生から足を洗って歩きはじめているお話。
百田は常にロンちゃん大好きだしそんな百田を同じくらいの気持ちで大事にしてくれているロンちゃんに終始癒されます。
口数多い方ではないしそもそもなかなか会えないけど、素直な気持ちをのせたロンちゃんの言葉は一つ一つ重みがあり本気さだったりひたむきさを感じる。
なんて幸せな両想いなんだ!!
うまくいっている二人なのに、百田はこんなダメダメな自分は本当はロンちゃんにふさわしくない…と悩み、いつか別れを切り出されるのでは?と怯えつつも、ロンちゃんの役に立とうと無茶をします。
まるで自分がプラスを与えられるものがそれしかないように。
過去の汚点にされたとしても一つくらいはいいことあったなと思ってもらえるように。
長続きさせることだけを考えればいいのに、そうもいかないんですよね…。
その時がきたら死んじゃうくらい耐え難いいつかの別れを恐れながら、幸せいっぱいでいる百田を応援したくなりました。
そんな百田に責任をもち続けた結果、真摯に好きにもなってくれたロンちゃんからプロポーズしたのはぶわっときました。
あとヤキモチ焼きがちなところも可愛い!!
ラブラブなんだけど、胸焼けがなくてスラスラ読めました。
良かった!!!
「バラ色の人生」というタイトルの歌は、同名のシャンソンのカバーからオリジナル曲まで、古今東西、多くの歌手に歌われており、愛する人への想いを歌ったものが多いようです。愛は素晴らしいもの。だから愛の歌がたくさんある。でも一方で、ひとは皆が愛を見つけられるわけではないことも知っています。
本作品は、前科者・モモと刑事・ロンちゃんの愛の話だけではなく、愛を得られなかった人、不慮の事故や病気で命を落とした人たちも描くことで、人生の出会いの不思議さや儚さも描いているように感じました。何度読み返しても、読後は甘さと苦さ、切なさが混ざりあった、割り切れない感情が湧いてきます。
自分の放蕩のせいで親を事故死させたと知ったモモ(百田保男)は、自殺を図ろうとしますが、当時新米警官だったロンちゃん(浜渦論)に止められます。責任取れ、とモモが無理やりロンちゃんを抱いたことから、二人の関係が始まります。ロンちゃんが「初めて」を差し出したことを知り、モモは恋してしまいますが、その想いを伝えたのは一年後。さらに一年後、ロンちゃんからも好きだと言われ、なんと二人は両想いになります。
二人の出会いは偶然ですが、ロンちゃんが「自分の言葉に責任をとりたい」と思わなければ、モモが脅してロンちゃんを繋ぎ留めなければ、二人の関係は続かなかったことを考えると、出会いのその後は、まず一歩踏み出すかどうかにかかっているように思えてきます。そして、続けば「縁があった」、続かなければ「縁がなかった」、そんな風に考えるしかない。つくづく出会いは不思議だと思います。
儚さを感じたのは、モモとリナの出会い。
リナは薬物をもらうためヤクザの子飼いの男と関係を持っていました。モモがロンちゃんの役に立つ情報を得ようとヤクザと接触したことから、出会います。薬を早くやめろと諭すモモに、リナは「責任とってよ」と、遠回しに想いを伝えたのですが、モモには伝わらず、リナはその想いがきっかけで殺されてしまいます。
出会いのタイミングは思い通りにならないし、リナがモモの言葉を受け入れていれば、結果は違っていたのでしょう。愛されない悲しさがリナと相手の男を誤らせてしまったのかと思うと、出会いの儚さだけでなく苦さも感じてしまいます。
モモの両親と兄、ロンちゃんのお母さんも事故や病気で亡くなっています。悲しいことですが、これらのことがあったからモモとロンちゃんの出会いがあったのかもしれないと思うと、やはり出会いの不思議さを思わされます。
出会いとは人生の分岐点のようなものかもしれません。
そして、人生に様々な色を添えるものでもあるのでしょう。明るい色だけでなく、暗い色も。モモの店の明るい女の子たちや危ない客。ロンちゃんの頼れる先輩・甚吾、警察社会の殺伐さ。決して薔薇色だけではない世界。
だからこそ、モモとロンちゃんが互いをありのまま大切に想う描写が、胸に温かく、切なく響いてきます。
そんな二人が性格は正反対で、愛されることに自信がないのが同じだったことが、微笑ましくて。
愛する人との小さな幸せ。一つ一つを積み重ねることが、きっと心の中に薔薇の花束を作るのかな。あらためてタイトルを見て、そう思いました。