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2008年発表の短編集。
「迷う男」
「Punch↑」のスピンオフで、牧志青の元カレ・御園生のターン。
視点は、今回一緒に組んで仕事をすることになったインテリアデザイナーの滝川。
滝川の憧れの建築家・御園生はとんでもない方向音痴で、滝川は振り回される。しかもオンチなのは方向だけじゃなくて…
ノンケの滝川がいつの間にか完全に翻弄され、御園生ワールドの中で方向も感情も完全に制御不能となっていく物語です。
これはもう鹿乃しうこ先生の力技というか…こういう御園生みたいな人を造形するのって難しいと思うんです。なのに滝川が御園生から離れられなくなる事態がアリ、と思える!面白〜い!
「Heaven」
霊魂BL「ルームメイト」「雨宮くん〜3years after〜」の続編。
あれから数年、またアノ部屋に寮生が。これが伊利に似ていて雨宮の好みにピタリ。
しかし襲おうとすると別の霊に邪魔されて…
…と始まります。
霊は寮生・健太の兄で、死んで守護霊になった幹央。そして幹央は雨宮のクラスメイトでもあった。
弟に手を出そうとする雨宮と、守ろうとする兄の霊魂同士のおもしろバトル。だけじゃなくて、実は…というお話。切なさもあって良い!
この後は、先生が語る「麗人」の凄さについて。あれ?違う?
…や、リブレから特別に牧とコータンが出張出演してくれてこちらの滝川x御園生コンビとスワッピング…って違う違う!牧と御園生は険悪になったけれど、滝川とコータンは和やかにお買い物したりご飯したりの平和モード。
この辺、先生のサービス精神にありがとうございます!ですね。
①迷う男
受ちゃん(さん?)がとにかくぶっ飛んでます。あらゆるものが音痴というか、、行動がまるで予測できない。これはちゃんと付き合い始めても攻くん苦労するだろうなあ。振り回す系受は嫌いじゃないですが、大の大人がここまで、だと、個人的にはちょっと『オオゥ・・・』となってしまいます笑。
②Heaven
複数の意味でヘヴン・・・!新入生がユーレーにいたずらされちゃう話かと思ったら、、意外なCPでした。寺の息子のおかげで急展開です。こんな強引な話の進め方があるのか!と感心?しました。
◆迷う男(表題作)
受けの御園生のとんちんかんぶりに好みが分かれそうですが、私はそれなりに楽しんで読めました。方向音痴なだけでなく、攻めの滝川に真っ直ぐ迫られても、その想いを明後日の方向へ跳ね返らせてしまうような鈍感さ。ちょっとくどいかなと一瞬思ったりもしましたが、あくまで茶目っ気あるキャラクターとして描かれているので、そこまで苛々はしませんでした。ただ、滝川が御園生に絆されるのが早過ぎたような気も。体の関係先行なので、もう少し惚れ合うまでの過程も読んでみたかったかな。
◆Heaven
幽霊×人間かと思いきや、まさかの幽霊×幽霊だったので驚くと同時に、斬新でいいなぁと思いました。現世に未練のある者同士、同情などから慰め合うわけではなく、ちゃんとお互いへの想いがあった上で抱き合ってくれるので、幽霊同士でもストーリーとエロさは共に満足感がありました。今まで攻め側だった方が受けに回るという展開も良かったですね。
当初、「Punch↑」を読む以前にこれを読んでいたかと思うのですが、今思うと。
御園生さんの全ての元凶は牧さんだった…。というお話なんですねー。牧さんもですが、御園生さんも「Punch↑」以前と以降ではキャラがだいぶ違うので、これはスピンオフする必要あったのかなぁ。って、今更ながら思います。変態御園生が、丁度いい相手に出逢ったという話でいいような…。
御園生は道に「迷う男」ではあるものの、何だろう。「揺れる男」なのかな。自身の性癖を「探す男」??
とにかくハタ迷惑なこの男と弾みでエッチしちゃったから、滝川くんはすぐ様恋に落ちる‼︎わぁ。早っ!
ノンケの癖に早々男のモノを咥える事が出来るものかなぁ。滝川くんも素質ありまくりで、読んでる側は若干引きます。それだけ御園生さんが「魅惑の男」なんでしょうけども。
御園生さんが牧さんに憧れて、焦がれて。自分をカッコいい牧さんのオンナとしてしか見てもらえなかった事に不満で。それで牧さんの元を去ってしまった。そのくせ憧れていただけあって、牧さんの仕事そのものに影響を受けまくっている。牧さんは、本当に天才なんだなぁと思うし、カッコいいんだろう。浩太の前では形無しだけれども。
しかも滝川くんは若いけれど、牧さんに似ている‼︎ 寝ぼけた御園生さんが勘違いする程に。
自分の性癖に戸惑っていると言うものの、御園生さんの好みの大前提は牧さんなのだ。
パラレルワールドで、御園生さんと牧さんが付き合っても、それは合ってたんじゃ無いかと思わないでも無い。カッコつけの牧さんがヘンタイ出来ていればね。浩太には申し訳ないけれど、この2人が付き合っていた甘かった「あの頃」もちょっと見てみたい気もしてくるのだ。御園生さんのヘンタイっぷりを見ていると、牧さんのヘンタイなんて可愛いものだと思えてくるから不思議。
後に彼らを軽く上回る渋沢さんが出てくるのはまた別のお話。鹿乃先生の描く世界は濃ゆい。
エチはもちろんのこと濃ゆい。ご開帳エチ、すんごい。
同時収録は未練タラタラ過ぎて幽霊と化した2人が恋を成就する「Heaven」
「Punch↑」の番外編や、他にも短編であったかと思うけど、鹿乃先生は幽霊モノがお好きなようです…。私はちょっと苦手ジャンル。けれど、シュールでコミカルなこの作品はハッピーエンド。
想いの強さは死んでも失くならない、っていう鹿乃先生のロマンティックなところを垣間見た様な気もします。
他、鹿乃先生の想いの丈を描かれたコラムチックな描き下ろしも収められていて楽しい作品集です。
鹿乃先生はワンコを飼っているのに猫描写が細やか。そしてワンコ描写が雑なのは何故なんだろう??と、いつも思います。
相変わらずのシリーズですね!
牧がいかに遊んでいたかが分かります。
シリーズの中でも、滝川×御園生は好きなカップルです。
『迷う男』って、いろんな意味が込められているんですね。
道に迷う方向音痴の御園生と御園生という謎の生命体との関係に迷い込んだ滝川。
そして、自分の性癖や恋愛感情や仕事や…様々なことに迷っている。
でも、それって2人が悩んでいるほど複雑じゃないんですよね。
ただ、お互いが好きで必要としてるってこと。
色々なプレイもあり楽しめましたが、2人の恋の行方の方が気になりました。
それだけストーリーが面白いということです。
Punch↑はまだ続いていますので、いつかまた滝川・御園生CPもフューチャーして欲しいです。
