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表題作ステノグラフィカ

西口諫生
バツイチの政治部記者、44歳
名波碧
国会速記者、26歳

その他の収録作品

  • アフターグラフィカ
  • ナイトグラフィカ(あとがき)

あらすじ

国会でひっそりと働く碧。がさつで忙しない新聞記者・西口とふとしたことから言葉を交わすようになり、少しずつその素顔に触れて…?

(出版社より)

作品情報

作品名
ステノグラフィカ
著者
一穂ミチ 
イラスト
青石ももこ 
媒体
小説
出版社
幻冬舎コミックス
レーベル
幻冬舎ルチル文庫
シリーズ
is in you
発売日
ISBN
9784344825710
4.2

(266)

(151)

萌々

(68)

(28)

中立

(6)

趣味じゃない

(13)

レビュー数
39
得点
1117
評価数
266
平均
4.2 / 5
神率
56.8%

レビュー投稿数39

カップルとしてはとても好き

シリーズ作品だが単体で読んでも問題ないと思う。前作で出番があった西口は、名前がやたらと出てくるモブのような印象だったので。速記者の碧はこの作品で初登場。仕事も性格も興味深いキャラで引き込まれた。

碧は発言だけを見れば浮世離れしているような、独特の雰囲気を持っている印象。その実、料理も裁縫も得意で、地に足のついた生活をしている。落ち着いた振る舞いに説得力を持たせる背景も描写されており、するするっと入ってきた。

西口は良くも悪くも四十代のオジサン。人間性に魅力を感じるのは確かだが、時代ゆえに確立された価値観に諦めを感じる。ついでにシリーズ三人目の離婚済みメインキャラ。離婚理由はただの自滅で情けなく、人間だなあと思う。

ストーリーはちょっとしたチート要素を含んでいて面白かった。謎のタイミングで挟み込まれるボランティア活動にも、ちゃんと意味があった。描かれる全てに意味がある、という認識が当てはまらないBLに不満を持っていたので、そうでないBL作品に出会えると嬉しい。

碧と西口の間にある障害は、一つの誤解。なのでそれさえ消えてしまえば、あとはすんなり。ここにきて碧の強引さが見られてとても良かった。一度腹をくくれば一直線。

カップルとしてはめちゃくちゃ好きだし、シリーズの中でも読みやすく、魅力的なキャラを描く筆力に脱帽する。ただ読み返しを躊躇するのも正直なところ。女性と働く難しさを語る男性、それを描きたがる女性BL作家、この構図が苦手。

ハッキリ言うと、BLの枠内という前提があるから、ノンケ男性が同性に恋する展開に納得できる内容。BLの枠外に出せば、同性に性欲を覚えるノンケ男性の描写に説得力など皆無。軸がそんな作品で現実的な何を語ったところで、と冷める。

強い思想や主張は感じないので、気にせず読める気はする。二人のBLストーリーだけを追うならとても好き。

0

碧と西口、2人とも大好きです

一穂先生買いです。最高でした。
ずっと余韻に浸っていられるくらい、よかったです。
こうして心を揺さぶられる作品に出会えることは、幸せだなと思いながら読みました。

読ませるストーリー展開はもちろん、碧と、西口の2人がとても好きだったというのがこの最高の評価に繋がっています。

最初は西口の、男らしさや、情に深く、照れ、優しさ、子供のようにやんちゃな部分、有能な奥様へ嫉妬したりと甘えや弱さがある部分と冷静な部分を併せ持つ性格がとても自分の好みで、どハマりしたのですが、最後まで読むと、碧くんのこともとても好きになっていました。


誰に対しても、自分のスタンスを崩さず、しっかり自分を待っているところ。食事やお弁当の丁寧さ、敬語を崩さず、松田など人間関係をきちんと構築して可愛がられる人間性、直向きで真面目。かと言って、自分の気持ちに対しても正直で、素直に向き合っているところ。
西口に対してもきちんとダメなことはダメと叱り飛ばすのも好き。
本音を話す時口が悪くなる西口の本音を汲み取る碧、そして芯がぶれない碧が、西口をしっかり支えていく様子が好きです。


2人の人間性は、ストーリーの中の周囲の人との関わりを通して読者に伝わりますが、そうした描写も秀逸で、素晴らしかったです。

「ノーマルヒルのジャンプ台みたいなまつ毛」
これには笑いました。

本当に素敵な作品をありがとうございました。

0

嫁にきてほしい受けNo.1

新聞社シリーズ、この作品から拝読しました。
後にis in youとoff you goも読み→
こちらに戻り
佐伯と静を再度確認しました。

2人の職業を興味深く読ませていただきました。
速記者の碧と新聞記事の西口の接点が
議事堂の食堂、というところが面白い。
一穂先生の作品は食事で人柄をあらわすのが
とても美味しそうでお上手で、お腹鳴ります。
碧の作るごはんはとてもそれを表現していると思いました。
祖父母から譲り受けたであろう食事、お弁当。
折り目正しい真面目な気質。
可愛い、賢い、健気な碧です。
碧が西口にどんどん恋する気持ちが
純真すぎて本当に好きになってしまいました。
碧は西口の誤解を解かぬまま既婚者と偽りますが
この嘘がなければ西口は前半で
即プロポーズしているのではないか⋯?と
思うくらいに碧は西口のドストライク。
いや、それではお話が終わってしまいますw

酒の席で碧に「立派な速記者だ」と手を握り
照れる西口可愛すぎます。
その直後、碧の祖父のピンチに動く
新聞記者らしい俊敏さがかっこいい。
碧は西口の元妻に助けてもらい
西口は碧の知人の松田に助けられる。
直接ではなく、仲介を手繰ることで
色々な事情や人物が明るみになる展開は
さすが一穂先生..と敬服です。

碧は自分のことを黒子、存在が薄いと言いますが
皆、心内を碧につい吐露してしまう魅力がかかれています。
ひかえめで聞き上手な碧ですが最初の出会いから、
西口にはハッキリと物申せるのがとても萌えます。
西口が軽口を叩いたり、大げさな表現をすると
丁寧にしっかり叱るのが本当に好き..。
18歳差しっかり女房爆誕。
そして碧に負けないくらいの純心さをみせる西口。
恋に有頂天になって降りれない西口の気持ち、わかりすぎます。ほんと、大事にしてください。

※「long hello」で一穂先生が西口のことを「仕事はできるがところどころちっせえ男、案外支持されてて驚きました」と書いてあって大爆笑。
碧のことは「しっとり和風美人、家庭的」と。
ホント先生の作るカップルは最高です。

1

人間だもの...

この作品を読み終わったいま、BLの世界に足を踏み出してよかったと心の底から思いました。


碧、西口、すみれ、沙知子、松田...
色んな人がいて、それぞれの人生があって。
他人の人生に踏み込み合い、それを喜ばしく思うこともあれば、そうは思わないこともあって。

自分を構成する要素が自分をどうしようもなく苦しめることもある。
煩わしくて仕方がない、それでも大切な大切なアイデンティティ。
認めてあげられるのは自分だけだけど、それもまた他者との関わりの中で得られるものだったり。


一穂ミチ先生の文章は、本当にこちらの心を掴んで離してくれませんね...
何度も読み返す宝物になりそうです。

0

個性が良い

そんなみんなして男性同士で…とか思わなくもなくもないのだけれど、どちらかと言うとちょっと気になる脇役だった人のこと(この人の恋愛てどんなかな)てのを見せてくれるような感じで面白い

そしてシリーズを読み進めると香港での佐伯のこと、印象が変わってくる
佐伯みたいな博識な、嫌味で悪気があって口の悪い人、どの距離だったら面白く関われるんだろう

西口、仕事をたくさん見せてくれて面白かった
前妻や慕われる部下などもみんな同じ西口を見ているって感じがした
誰も言わない弱みをズケズケ言う佐伯とかひどかったけど、あれを新しい友人と同席させちゃうんだから、器大きいと思うけどな

子供を医者に育てた祖父母から丁寧に家事を仕込まれたってところ変わってるような気がするけれど、子供が勝手に医者になったってことなのかな
碧の作るご飯、本でも出しなさいよってくらい見事なんだよね
俳句も教え込まれていない、進学を強要されもしない、生活を教えて好きにさせたらとても密やかに育ったって不思議
西口が凄く好きになっちゃってるのが可愛くて
明日からまた愛妻弁当なんて、そんなに意識してってなったわ

二人共が意識してて関わったらドンドン好きになって、結果くっついて
良いお話だった

0

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