ボタンを押すと即立ち読みできます!
短編集、Kindle unlimitedにて。初めて読みこの作風にハマりました。出会えてよかったー!
BLというよりもゲイに悩む作品(表題作、東陽、保育園の)がいくつかあり、短くも印象的でどれも落とし所もよく、程良い毒気がツボでした。
「青春ディストリクト」
文化祭の衣装をカッターで切り、先生の茶髪にインクを流す成田。まっ黒な目で見つめ一見不気味に見える彼がふとこぼす「なぜ誰も疑問に思わないんだろう」や暑い時の気怠い表情、涙は人間のいくつもの側面が描かれていて素晴らしい短編。そこで自分の気持ちの変化に気づく主人公も、「こいつのことが好きだなんて…!><」っていうベタな感情表現でなくて繊細だった。自分もこんな風に人の多面性を見つけ受け入れ、感じたいと思った。
「この気持ちは恋に似ている」はいくらでも読みたいくらい最高でした。真面目キャラの最強雨宮を絶対のす、とストーカーと化している不良照井のギラギラの表情が凄く良い。二人の体の動きやコマもカッコいい。程良いコメディ感がありつつ、照井の鞄に入っている本(本当につまんなそう)のセンスも抜群に味わい深い。
高校を刑務所呼ばわりする二人の話もバカっぽくて凄く良い。良いなぁー。
◆優しくしないで泣いちゃうから(表題作)
自分のストーカー行為に罪悪感も持たず、相手の栄に何度気持ち悪がられても咎められてもやめない千種。もはや彼の中ではそうやって栄に罵られることが、自分に関心を持ってくれているという肯定感、安堵に繋がっているようですね。ストーカーってこういう思考回路の人が多かったりするのかな。でも、栄に優しくされた途端、興味が失せてしまう千種は単なる性癖でしか栄を見ていなかったのかもしれませんね。
◆青春ディストリクト
影があって思い切った行動で周囲を驚かせる成井に惹かれていく東陽。でも、成井がゲイだと知った瞬間、彼は拒絶してしまう。周囲と壁を感じている理由が2人の間では違っていて、東陽は成井が持っていた理由を受け入れられなかったんですね。仲良くなっても結局この程度のもの。友情の儚さ、脆さを感じました。
◆この気持ちは恋に似ている〜この気持ちは愛なのかもしれない
これが一番のお気に入りです。ヤンキーと優等生のカップリングはたくさんありますが、黒髪眼鏡ガリ勉風のキャラの方が、実はヤンキーより強いというのは珍しいかも。舎弟もいる強いヤンキー・照の口に靴を突っ込み、冷ややかに見下ろすクールな雨宮に痺れました。何度負けても突っかかってくる照に、楽しさを見出す雨宮。この2人の続きをもっと読みたいなぁと思いました。
この作家さん初めて読んだけど、かなり個性的な作風。短編集で、テイストもバラエティーに富んでいるため、評価はバラバラ。
「優しくしないでないちゃうから」
正直なんでこんな怖いの表題作に持ってくるのよー、無理ー、と思ったんだけど、あっと驚くようなオチがあって、お話としてはよくできてる…のかな。でもそのオチで判明する主人公の性癖、人間性は好きじゃない。
「花村君とミーコちゃん」
ゲイの主人公が姪を預かってお世話する話。ほのぼのしているけど幼稚園の先生とBLになるのか?ってとこで終わるので、なんか消化不良。
「青春ディストリクト」
勝手に相手に夢見てたくせに、それが思っていたのと違って勝手に失望しちゃう男の子。取り返しのつかない青春と友情の一ページ、っていう感じの痛い話。本当は主人公も相手に恋してたんだとは思うけど、その後のフォローがないまま終わってるので後味はアイタタ…なまんま。
「農業高校ロック青春4号室」「マジックポーションの白昼夢」
これは明るくておバカで楽しい話!
男子高校生が友達とバンドやろうぜってなるんだけど、うまくいかず、ドタバタしてるうちに、相手への気持ちに気づく。定番といえば定番っぽい展開なんだけど、キャラが面白くて笑える。泣きながら鼻水垂らしての告白シーンが可愛い。
「マジックポーション~」は、そんなこんなででき上がった二人が旅先の砂漠で遭難しかけ…という、こちらもおバカな話。
「everyday,おじいちゃん 」
近所のおじいちゃんとやんちゃ系高校生が、囲碁をして交流を深める話。若い頃のおじいちゃんは美形男子で、妄想での絡みはあるけど、実際にはなにもなし。これはほのぼの。
「この気持ちは恋に似ている」「この気持ちは愛なのかもしれない」
腕っぷしに自信のあるヤンキーが堅物優等生にある日ボコされてしまい、それ以来何度も勝負を挑み続ける、という話。恋愛的な描写はないけど、ケンカップルっぽくて、これも楽しく読める話。
苦手な話もあったけど、何だかんだで総合的には結構面白く読めた。あと、作者さんの日常エッセイのようなあとがきに笑っちゃった。BL美容院、いいなあ。
「生きてる人間が一番怖いんだよ」とよく聞きますが、恋煩シビトさんの作品を読んでいると納得してしまいそうです。
表題作と「青春ディストリクト」は無防備な状態で突然、他所様の心の闇を手渡されたような衝撃。
しかもそれをさらっと「これくらいふつうのことでしょ?みんなそうでしょ?」というノリで手渡されるから本当に戸惑ってしまう。
そしてこっちが「いや、異常だよ」と答える前に去っていってしまうのです。
怖い、怖さが消化不良。
その点、農業高校の2人の話はほのぼのしていて良かったし、「この気持ちはー」の2人も本当に拳を交えちゃう意味のケンカップルという感じで健全に見えました。
「この気持ちはー」は確実にちょっと病んでいますが。
「図書委員の恋」の花村の話もありました。
本編と「真心シリーズ」と呼ばれる続編では人物描写が表面的すぎて、誰かに肩入れするところまで行かなかったのですが、だんだんこの子にはしあわせになってほしいなと思えてきました。
今、集中して恋煩シビト作品を読んでいるところなのですが、いろいろ読んで思うのは恋煩さんは「萌えるBL」を描こうとはしていないのかもということです。
ひたすら人間の隠したい部分を抉る。抉り出して、出てきたものをみんなに「ほらー」と見せる。見せたら終わり。そこから「これって気持ち悪いよね」とか「こういうのは洗うと綺麗になるんだよ」という後始末はしない。ただ見せるだけ。どう思うかは見た人に任せる。
とりあえず人間って怖い。これがわたしの感想です。
短編集でした。
◯優しくしないでないちゃうから
恋人が浮気症でDVで依存しちゃってる系なのかな〜?と思いきや…。
痛々しいし、病んでる方の視点でストーリーが進んでいるので、健常な自分には「ん?ん?」っと始終わけわかめ(古)な状態でした。
ラストで、あーそういうことか!と気付きました。
2度読み返してみることをお勧めします。2度目はその「恋人」目線で読んでみると、更に狂気な感じで面白かったです。
◯花村君とミーコちゃん
姉の子どもを押し付けられたゲイの弟のお話。
最初、BLとして読んでいたので…こちらも「ん?」と首を傾げてしまいました。
ちるちるで他の方のレビューを読んで、そういう事か〜て納得しました。
◯青春ディストリクト
厨二病みたいな同級生に勝手にシンパシーを感じて勝手に親近感?わく主人公のお話?
青春時代の痛々しさ…未熟さが、いかにも思春期だな〜ていう印象でした。
◯農業高校ロック青春4号室
田舎の農業高校へ通う男子高校生のお話。
何もない田舎、高校三年生で進路を決める時期…、クソ田舎が嫌で東京へ行きたい恋人に駄々をこねる農家のせがれ(おバカ)が可愛らしかった。
◯マジックポーションの白昼夢
「農業高校ロック青春4号室」の攻めと受けが引き続き登場。
前回と打って変わって(テンションや緩さは同じだけど)唐突にファンタジー調。
田舎を飛び出してエジプトへ旅行して遭難しちゃっています(笑)
◯everyday,おじいちゃん
頭緩そうな男子高校生×近所のおじいちゃん※若い頃はすごい美形(笑)
おじいちゃんの若い頃の写真を見て淡い恋心を抱いてしまったDKのお話でした。
ギャグ調です。
◯この気持ちは恋に似ている
◯この気持ちは愛なのかもしれない
ヤンキー高校生と一見優等生風でメチャメチャ喧嘩の強い高校生のお話でした。
始終殴り殴られ…らぶな感じではないですが、お互いの執着がまるで恋のようでした。
電波というか何というか…BL漫画としてのラブやエロ要素は薄口ですが、作者さんの独特な世界観が面白かったです。
BL漫画としては、あとがきの美容室の話の方が萌えましたが(笑)
私の萌えのツボにはイマイチヒットしなかったので、その点「しゅみじゃない」…
男子高校生の騒がしいお話から、痛々しいし病んだお話、コメディー調…短編がいくつか入ってて、色々楽しめたので、そのぶんプラスして「中立」に設定しました。