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表題作美しいこと(文庫版)

寛末基文
33歳,松岡を助けた同会社社員
松岡洋介
28歳,週末女装をする会社員

その他の収録作品

  • 解説:宮木あや子

あらすじ

週に一度女装して街に出て、男達の視線を浴びるのを趣味にしているサラリーマン・松岡。しかし女装時にナンパされてさんざんな目に遭う。その場を救ってくれたのが、同じ会社の冴えない先輩・寛末だった。不器用でトロいと悪評の寛末と女と誤解されたまま逢瀬を重ねてしまう松岡。ついには恋の告白を受ける。もう会わない方がいいと決心する松岡だったが……。

(本作は蒼竜社ノベルス『美しいこと・上』と『美しいこと・下』より本編「美しいこと」で構成いたしました)

表紙イラスト/mieze

作品情報

作品名
美しいこと(文庫版)
著者
木原音瀬 
媒体
小説
出版社
講談社
レーベル
講談社文庫【非BL】
シリーズ
美しいこと
発売日
ISBN
9784062774826
3.9

(73)

(39)

萌々

(13)

(9)

中立

(3)

趣味じゃない

(9)

レビュー数
18
得点
277
評価数
73
平均
3.9 / 5
神率
53.4%

レビュー投稿数18

心理描写が見事で、素晴らしい

BL作品を読む時に、楽しい読後感の作品を多く読む傾向にあり、木原先生の作品は読みたいけど、自分の気持ちが保てる状態にしてからと思い、なかなか読めずにいました。
初の先生の作品、とても良かったです。
序盤は寛末の人となりを理解する大事なパート。切なさと、若干の苦しさと、ヒリヒリ感がリアルで、人物の掘り下げが見事で、圧倒されました。
人の気持ちは誰にも予想できなくて、少しずつ惹かれていく気持ちが苦しくて、距離が縮まっていく様が切ない。

でも男同士の恋愛、しかもストレート同士の恋愛の現実を叩きつけられたようで、苦しかった。
今までそこは避けてきたわけではないけど、でもこうして目の当たりにして、とにかくずっと苦しかった。


後半、追われる立場から追う立場に逆転した松岡。
焦燥感、不安感、迷い、悲しみ、負の感情ばかりが溢れる松岡の気持ちが手に取るようにわかる。
最後の松岡の言葉がとても良かった。
続きがあるようなので、幸せな2人も読みたいと思います。

0

攻めが良すぎる

ずるい攻めが好きです。意図的に受けを振り回すいつも余裕がある垢抜けたズルい攻め様…は苦手で、非垢抜け無意識振り回しナチュラル自分勝手攻めが好きです。なのでこの作品に出てくる攻めが刺さりすぎました…
そういう攻めに傷つきながらもなんとかしがみついて、そばにいてしまう受けも好きです。松岡のような、作品さえ違ったらハイスペスパダリ攻め様をやれていたのでは?ってぐらいかっこいいデキる男が非垢抜け攻めに出会ったせいで「健気受け」という可愛らしいいきものになってしまう構図がとても良かったです…終わり方も最高でした。

0

言うことなしです……

木原音瀬先生の作品はほんっとに良いですね!!!
大好きです!!!!

私がBLに求めているのはとにかく男同士の心の傷つけあいです。深く抉りあい苦しみあっているのを見るのが好きです。
これはそんな私には最高の作品でした。まさに傷つけ傷つきずっと苦しんでいるふたり。中途半端な優しさの残酷さの描き方が素晴らしく本当に苦しくて息をするのも忘れるほど、呻き声を上げながら一気読みしました。

嘘から始まるBLは傷つけ合うことが多くて好きでしたが、ここまで完璧なものを見させられると今まで好きだった他のBLはなんだったのかと…全部捨てるか?とすら思いました。凄すぎて恐ろしいです。

1

再読も万感の思い

念願の「愛しいこと」電子配信、その前にこちらを再読しました。
初めて読んだ時同様、読み終えると万感の思いで言葉が出て来ず寝ながら少々泣きました。
私にとって木原作品の2つ目で、旅行先で「箱の中」を読み終えた直後本屋に駆け込んだのが思い出深いです。

見た目と内面、恋愛の弱者の交代、愛憎、色んなことを考えさせられ、恋する者の眩しさと辛さにぐるぐる翻弄されます。好きな人とそうでない人への気持ちの温度差が残酷で、でも実際そうだから読んでて辛い。こんなに共感して辛くてでも面白い恋愛小説(そもそも恋愛小説を余り読まない)に出会えたとこに感動します。

寛末は確かに鈍感でどうしようもない男です。でも葉子と付き合ってその先、結婚や家庭のことまで夢見ていた訳だから、江藤葉子が存在せず男だったと言われても、男同士でやりとりしていると分かっている松岡と違い、簡単には片付けられないだろうと同情しました。相手が好きという気持ちだけではない付随した願望や欲があっただろうに。
木原先生は平凡キャラを辛辣に描きつつ愛おしく感じさせるから好きです。
松岡の心情描写もとにかく丁寧で分かりやすい。彼の起点のきく頭の良さと、寛末ののんびり鈍感な(読んでいて結構耳が痛い)ミスマッチで空回りな感じが先を全く予想させません。
そしてマッハで読み切らせる読みやすさと面白さ。

講談社文庫のこの終わり方は賛否両論ありますが、私は初読時「なんだよォ〜〜〜」とは思ったものの余韻があって好きです。うまく行かないけどもしかしたら行くかもね、くらいの希望があって、現実からの離れ具合が好き。
でも松岡には幸せになってほしいからすぐ続きを読む!

4

締め付けられます

友人に勧められ、コミカライズ版から読ませていただきました。
私自身小説のBLは読んだことがなく、初めて読みました。一般的な小説のように堅苦しい感じのように想像していましたが、読みやすい言葉運びでとてもスムーズに読むことができました。

コミカライズ版と大方の流れは同じでしたが、文庫版の方が少し詳しく載っていました。

個人的に同僚の福田が好きではなかったので、その彼女があまりいい女性ではなかったというのが載っており少し嬉しかったです。

この作品を読み思った感想は、リアルだな、ということでした。
私が今まで読んできた作品は、松岡が男と打ち明けられたとしても受け入れてもらえるようなフィクション味が強いもので、それはそれで面白いのですが、現実離れしすぎているので、現実なら寛末のように受け入れることができないんだろうなと思いました。


松岡は女装していたという嘘をついていましたが、嘘だと打ち明け自分とまた一から関係を築いていって欲しいという願いに、寛末さんが受け入れることができなかったのも理解できます。
実際、私自身がストレートなので、偏見は無いですが、同性の方を受け入れるとなると自信はないからです。

そのため、その部分では寛末さんの気持ちは理解できますが、再会して、彼女もいるのに、松岡のことが気になると言って彼女をそっちのけで行動しているのをみると、本当に30代半ばなのかと感じました。本能で動きすぎだとも感じました

だからその後の松岡の

お願いだから 俺が寛末さんを好きだってことを、逆手に取らないで

にとても締め付けられました

どれだけ振り回されても、松岡は寛末が好きなんだと強く思わされる反面、寛末はそうしてまで松岡を引き止めたかったというのが伝わりました
物語が進まないと言われれば終わりですが、別れは最悪で、再会すれば自分が深く傷ついていた間に彼女ができており、忘れようとしても気になるからと近づいてくる寛末に苛立ちを覚えました
相手の気持ちになって考えることはできないのかと

寛末に嫌悪感を抱きながら、健気な松岡の幸せが少しでもいいからみたくなり、愛しいことを読みました
今までは絶版になり、手に入れることはできませんでしたが、電子で愛しいこと、愛することが配信されると決まったので、ぜひ美しいことを読んだ人全員に読んでもらいたいです。

3

この作品が収納されている本棚

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