SS付き電子限定版
2014年刊。
さくっと言っちゃうと初恋の同級生と再会後、間もなく拗れたけれども誤解を解いて上手く行った流れの話。
そりゃ、小学生のクラス内でいじめを律する宮沢みたいな子はヒーローみたいに格好いいよなー。
小学校の頃の思い出って甘酸っぱいものね…
晴樹が26歳になってもカレシが見つからないのは理想が高いからじゃなく、いつまでも初恋の委員長・宮沢にこだわっているから。
そんな二人が偶然勤め先の製パン会社の商品企画課で再会するも、大人になってからの宮沢の四角四面な性格は周囲に反感を買ってしまうものだった。
部署内の和に無頓着な宮沢だが、実は家庭の事情を隠しているのも一因にある。
しかし、たとえ堅物だろうと行動と考え方がぶれていないのだ。
むしろ、晴樹のほうが宮沢を上手く庇ってあげてほしいのにと、板挟み状態になっているのに少しもやっとした。
宮沢って晴樹の前ではちゃんと自身の気持ちを出しているし、中学校卒業前にきちんと告白しているのに晴樹が気付かなかったせいで気の毒な事に…(-_-;)
チェリーでバージンな晴樹にとっては、まさかの両想いに浸る間もなく押し倒されて煽られまくってトントン拍子に上手くいきすぎではある。
でも宮沢みたいな直球の子って好きよ(笑)
背景の仕事描写もいい塩梅で、そんな初恋同士の二人の成長が伺えて良かった。
それよりもちょっとっっ!?
脇役の晴樹の友人・ワタルの好みど真ん中って…
宮沢と春樹は予定調和的に上手くいったのはいいけれど、こっちの好みにぶったまげたわ(;´Д`)
残念ながら、登場人物の誰にも共感できませんでした。
攻めはタイトルに「やりすぎ」とあるように、本当に極端なんですね。
清廉潔白な委員長だった子供時代の攻めは、まさにヒーローって感じで確かにかっこいい。
子供時代そんな攻めに助けられ守られていた受けは、成長しても「優等生タイプ」が理想で、攻めを忘れられない。
そんなある日、職場で再会するのだけど、大人になった彼はとっても厄介な存在になっていて……。
正論かざして周囲と衝突し、融通も効かないので職場の雰囲気も悪くなる始末。
言ってることは間違いじゃないんだけど、言い方ってもんがあるでしょうよ…みたいな。
母親の危篤の報が入ったのに、「規則だから」と早退せず、仕事を続けようとする攻め。
みかねた受けに説得され早退することになるんだけど、その理由を「プライベート」としか言わないので、嫌味な上司にチクチクされるんです。
そこでみかねた受けが、攻めの代わりに理由を説得する……というくだり。
この一連のやりとりによって、委員長の言う事は正しいと思っていたけど、彼だって間違うことがある、自分だって臆せず「対等」に意見を言っていいのだ!と受けは目が醒めるんですね。
攻めのフォロー役ができることに受けは喜びを見出したみたいだけど、自分だったら絶対に絶対にごめんだ!!!としか思えなかったです。
苦労するのが目に見えてるもん。
正論かざして周囲と衝突する夫のフォローなんて、気が狂いそう。
おまけに他の男との仲を勘違いして、受けを問い詰めていくくだりがモラハラ男っぽくて腹ただしい。
そして受け。
製パン会社の製品企画課に勤務してるのに、惣菜パンはカレーパンとウインナーロールしか思い浮かばないって、どこの素人ですか……。
近郊で人気のあるパン屋すら知らないし……。
あまりにも不勉強すぎると思いました。
当て馬含めて、脇キャラもせこい男ばかり。
コンビニでお釣りを多くもらって喜んでたり、仕事を妥協して小狡さを見せる奴らばかりなんですね。
そんな奴らは嫌だけど、だからといって攻めのほうがマシとも思えない。
セコくもなく、融通も効くフツーの男はいないんですか?と思ってしまった……。
おまけに下には嫌味言いまくり、上には媚びへつらっていた嫌われ課長が、まさかのメス調教みたいなオチに至っては、ゾッとしてしまいました……。
よく小説家や漫画家達が「キャラが勝手に動いてくれた」と言うことがありますが、この作品は逆にキャラクタを作為的に動かしすぎてやいないかな、と感じました。
主人公の性格があまり好きになれない。作中、周りの評価は概ね良いし、本人も自分で悪い性格とは全くおもっていないでしょうけど、なんだかなあ、という価値観を持っているキャラクターでした(ああでも、作中で「面倒くさい」と友人に指摘されてましたね。同意見です。)。
自分で勝手に思い込んで持ち上げて、勝手に幻滅して落とす。これをされる当て馬的人物が数人出てくるのですが、そのキャラクター描写が冒頭に上げた「作為的では」と疑問を持つものでした。
主人公が当て馬的キャラクターに好感を持つ前半。翻って幻滅する後半。相手は全く別人のように感じます。主人公の想い人を持ち上げるために、無理やり当て馬を落としているような…。
ある人物を持ち上げる為に、他者を落としてその場をつなぐタイプの人っていますよね。私は嫌いな方法なのですが、そういう文章の書き方をしているのです。キャラクターもそうですが、作者の描き方に好感が持てませんでした。
メインカプの二人だけでゴチャゴチャしてくれる分には全く問題ありませんが、周りのキャラクターに対する配慮があんまりなかったな。流れは嫌いじゃないんですけど。
告白もしないで中学の卒業以来疎遠になっていた初恋の相手との再会愛。
主人公の晴樹は大手製パン会社の地方支社勤務。ある日本社からエリートが転勤してくるのだが、それが初恋の宮沢だった。
いじめから守ってくれた、強くていつも正しい「委員長」宮沢。でも、性格は子供の時と変わらず規則通りすぎる融通の利かなさで、職場で浮いてしまう…
結論から言うと、宮沢も晴樹の事が好きだった両片想いで、自分の出した暗号でのメッセージに晴樹が返事をくれなかった事で傷付き怒っていた…わけですが、晴樹の話も聞かず誤解したままでキスして、弄って、フェラまでして、その上晴樹を侮辱して。俺様なヤローだなぁ。
まあ、晴樹の「初恋忘れられない病」もわからなくはないけど…
晴樹のゲイ友達ワタルの暴露で話し合う機会を得て、やっとお互いの誤解を解き、好き合っていた事を確認する二人。続いてのHシーンはなかなかに甘くって、前半のすれ違いはまあ帳消しになったかな…
「委員長に異議あり!」
恋人になった宮沢と晴樹。宮沢のHはしつこくてスケベなんです〜。
今編では晴樹がちょっと傾いちゃう?大人の優しさを漂わせる男性、松岡が登場。
またも宮沢が誤解&ヤキモチで、二人の間に微妙な空気が漂う。
新作の惣菜パンの開発を通して松岡のイヤな面を感じ、やっぱり委員長が、と思う晴樹。そんな時宮沢のお母さんの病気が悪化して…
部署内の誤解も解け、晴樹とも仲直り。晴樹の呼び方も委員長から「隆昭」に変わりました。ワタル曰く『呼び名ってのは関係そのものだかんな。』
同感です。
ヒーローだった委員長から、お互い必要としあう恋人へ。宮沢も体に聞くんじゃなくてちゃんと晴樹の話を聞いてくださいね。
前編だけだったら、満足出来ずもやもやしてたかもなんですが、
書き下ろしである後編により、すっきり読み終えることが出来ました。
主人公の晴樹。
最初は本当に好きでした。一途で、今時珍しい堅さを持った社会人で恋人が居たことも、恋愛面での経験もゼロで‥なんて純粋すぎて、ワタルではないですが心配になる気持ちがわかります。
お相手の委員長こと宮沢くん。
ルールに厳しく曲がったことを一切嫌うめっーちゃ真面目な優等生。
もっと緩くてもいいんじゃない?と、こちらは最初の頃は苦手なタイプでした。
でも読み進めていると、委員長は真っ直ぐでストレートで押すとこは押して、実はスケベで、なんて。魅力的な素敵な人だったんだ、と好きになっていけたのですが、一方晴樹に関しては、委員長とワタルによって付き合えたり、課長とのことも揉めずに済んだり、とハッキリ意思表示もなく行動にも移さないので、イライラする場面が多々ありました。
なので、このままストーリーが終われば微妙な作品だなあ‥と思ってたのですが、書き下ろしでまあなんとか満足出来ました。
晴樹が最後の最後にだけど、やっと行動してくれた!と、親心の様に読んでいた気分です笑。
でもなにより、ワタルと課長にもってかれましたー。
ええー!2人の今後が、主人公2人よりも気になる!と思ってはいるのですが、小太り嫌味課長のお話を読む勇気は、まだ私にはありません(^ω^;)