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パブリックスクールを離れて8年後――恋人同士になったエドと礼の関係に立ちはだかる「立場」の重さが印象的でした!
各章の感想です。
■八年目のクリスマス
8年越しに結ばれた恋人、礼と過ごすクリスマスを楽しみにしているエドがとにかく可愛い。
生きている理由も仕事をする理由もすべてが礼に繋がっているのが愛すぎました。
エドが礼を好きになったきっかけも書かれていてとても納得感があり、エド視点で語られる出会った当時の礼の姿も新鮮でした。
楽しみにしていたクリスマスを一緒に過ごせなくなってしまう展開も切なく、会えない時間が多い中で想い続けてきたエドの気持ちが強く伝わってきました。
■つる薔薇の感傷
ジョナス視点から見るエドと礼の関係がとてもよかったです。
礼を守るためにジョナスに助けを求めるエドの姿にも胸を打たれました。
8年という時間の重みと愛の深さを感じるお話でした。
■八年後の王と小鳥
仕事でイギリスに渡ることになった礼。
エドと一緒にいる日常を見られるだけで幸せ…と思ったのも束の間、礼を待ち受けていた現実はとても重かったです。
エドがどれだけ守ろうとしても、貴族社会の中で礼が簡単に受け入れられるわけではない。
使用人の噂話や親族の態度など、礼の置かれた立場の厳しさが印象的でした。
エドに頼めばできることでもそれを仕事で使いたくない礼。
「ここは日本じゃない」という言葉の重さも強く心に残っています。
エドは「俺を選んで他を捨てろ」と言い切れる覚悟がある。
それでも礼は、なぜ何もかも捨てなければ一緒に生きられないのかと悩む。
立場の違いがあるからこそ簡単には一緒にいられない。
それでも礼に自分を選んでほしいと願うエドの告白が本当に切実で胸に響きました。
芸術家デミアンの存在も印象的でした。
血統の違いによって貴族社会に受け入れられなかった過去を持つ彼の言葉は重く、「この国で暮らしたお前の慣れの果てが俺だ」という台詞が強く残っています。
覚悟を決めた礼が本音で向き合ったことでデミアンとの距離が少し縮まるところも好きでした。
そして相変わらず礼がモテモテなのも楽しく、エドがハラハラするのも納得です(笑)
ロードリーの視点も印象的で、この章は礼にとっての試練の物語だったと思います。
ラストでいつも通りラブラブな2人が見られて安心しました。
■王と小鳥のバレンタイン
前の章がかなりしんどかった分、砂糖菓子のように甘いエドとのバレンタインは完全にご褒美回でした!
ゆるふわハッピーなお話も大好きだけれど、
こういった、厳しい、苦しい、一筋縄ではいかない愛というのも良いものです。
読むのにすごく体力がいるけれど。
やっと、やっと恋人になれたとひと息つけたと思ったら、そのあとの試練がこれまた大きかったです。
いつまでもつきまとう赤い血と青い血のへだたり。
エドの対応も理解に苦しみました。
が、その先の、エドが全てを、本当に全てをさらけ出すシーンがものすごく胸にささりました。
大変な将来が容易に想像できますが、
今の礼ならやっていける気がします。
数日前に1作目を読んでから、次の巻を…と求める手が止まらなくなり、こちらの3作目を手に取りました。
1・2作目では泣くことはなかったんですが、社会人となった二人にあまりにも大きく立ちはだかる「身分差・格差」というものが描かれたこちら、読みながら苦しくて涙が止まらず、朝から酷い顔になってしまった。。
「血統や権力や金ごと、俺を愛してくれ」と涙ながらに告げるエドの描写に胸が詰まり、イギリスという国に今もきっと厳然と存在する格差構造に思いを馳せずにはいられませんでした。
「愛があれば全て乗り越えられるわけじゃない」ということを、自分自身なんとなく分かったような気になっていたけれど。。
全く、それこそ全然理解し感じることなんて出来ていなかったんだな、と。
礼が受ける嘲りや誹り、信頼し仲の良い仕事仲間から語られる「白鳥とアヒル」の例え話、そしてチャールズからの仕打ち・暴力に、呆然としてしまった…
この巻で、礼が身につけた(というより、身につけざるを得なかった)強さと覚悟の大きさを思うと、体が震えてきます。
どんなに努力しても理解し合えず、覆せないものがある。
愛と引き換えに、失わなければいけないものもある…
傷ついた心はエドには決して癒すことはできず、自分自身で救うしかない。
2作目までは主に、礼の目を通して見るエドの覚悟をより強く感じたけれど。
この3作目では、徹底的に排除されようとする弱者側であるレイがもがき苦しみ、覚悟を決める姿に、共感…というのもおこがましく、感動、というのもちょっと違うような、不思議な感覚を覚えました。
そして貴族というものを憎みながら、その呪縛から離れられない画家・新キャラのデミアンにとてもシンパシーを感じてしまいました。
礼をぎこちなくケンウッド・ハウスに誘うデミアン、可愛い。
二人でダイド・エリザベス・ベルの姿絵を観に行き、どんなことを感じ、どんなことを話すのかな。
そして二人で出かけると知ったエドは、気が気じゃないだろうな。
立ちはだかる巨大な壁は消えることはなくとも、礼自身の強さと周囲の人々によって、礼はきっと戦っていけるのだろうな、そんな希望の持てるラスト、圧巻の一冊でした。
日本で開催される展覧会の準備のためにロンドンに渡る礼。待ち受けていたのはエドの愛情だけでなく「イングランド」の洗礼。 エドの覚悟、貴族社会、血統、日本とは違う背景、相変わらずエドの親戚たちからの扱いは変わらない…。今回はこのエドの覚悟を礼が初めて実感し、そして自分の甘さを痛感するターンでしたねぇ。 礼は人の善意を信じたいタイプだから受け入れるのはキツかったろうなギルとか、ジョナスといい友人がいて良かった。エドだけでなく彼らがいることは礼にとっても大きな支えだろうな。ロードリー好きだわ
