kurinn
もう小冊子のタイトルの付け方からして上手すぎます。
そして表紙と裏表紙が本誌と対になってる憎い演出に脱帽しました。
こちらの小冊子は矢代の元に預けられる前の、闇金で働いていた時の百目鬼のお話でした。
そして後半は交番勤務時代の警察官の百目鬼のお話です。矢代とのニアミスの演出がとても憎らしいです。
それから2つのお話の間に挟まる形で、百目鬼のお巡りさんコスプレの話があるんです。禁欲的な百目鬼の姿が堪りませんでした。
それにしてもあんな事を矢代が言っていたんですね。確かに百目鬼のなら観たいと思ってしまいました。
小冊子といえば、本編で食い足りなかったエロがねっとり…を期待してしまう事が多いわけですが、こちらの「遠火」という小冊子にはエロはありません。
残念…という向きもあったでしょう。
かくいう私もあらら、と思ったものですが、それよりもこの「囀る〜」の1巻冒頭、はじめから百目鬼が「綺麗だと思ってました」なんて言ってる事にかすかな違和感があった。
そこを補うような、1巻の「その前」のエピソードとなっています。
まず金融の事務所でアルバイトだった百目鬼。
そこに不渡りのケツ持ちに来たのが矢代と七原。
そのことでその金融会社がヤクザ絡みと知った百目鬼は「辞めなければ」と考えるのだけど、ふと見てしまった矢代の顔/佇まいに目を奪われて…
もうそこから百目鬼は精神的に矢代の下僕になっていたのかな…
なんでも頭のいう事を聞きます、というまでになる「何か」というものは特に無いのだから。
それはもうどこにも行けない、どこにも戻れない、という自身の閉塞感があったゆえ、なのかもしれない。
ラストはまだ警察官だった百目鬼のエピソード。
これは…蛇足だったかも?警察官の時にも何度か見て知っていた、という事なのでしょうか。設定通り金融ローンの事務所で初めて会った、で良かったような。
短いページ数ながら本編では描かれていなかったシーンが納められていて、読むことで物語の奥行きや流れをより感じられました。
まず、小冊子の表紙と裏表紙に心掴まれます。
4巻表紙・裏表紙と本作を見比べると一層際立つドラマ性。
真っ直ぐ矢代を見つめる百目鬼と視線を逸らしている矢代。
そしてページを捲ると、
「初めて見たとき、綺麗な男(ひと)だと思った」
という、百目鬼のモノローグと共に描かれた煙草を咥え紫煙を燻らせている矢代の姿。
百目鬼が矢代のことを「綺麗だ」と思うコマは“百目鬼フィルター”が掛かっているのかいつも本当に矢代が美しくて「あぁ、百目鬼の目には矢代がこんな風に映っているんだなぁ」と読み手にもよく分かる作りになっていると思います。
これは心惹かれて恋に落ちちゃうよね、と思わずにはいられません(笑)
最終ページは、百目鬼が警官時代に矢代と偶然からほんの一瞬引き合ったワンシーン。
警官の百目鬼を「かーわいー」とひやかし、やはり煙草を咥えて紫煙を燻らし手を振る矢代。
その下のコマで、帽子を深く被り直して表情は分からないけれど(照れている?)百目鬼の姿。
この最初と最後の「綺麗な矢代」を見るにつけ、二人がいつ、どこで、何をしているときに出逢ったとしても変わることなく惹かれ合ったのではないかという暗示を強く感じさせます。
個人的に「運命」という言葉は時に残酷でご都合主義にも思えるのですが、この二人に関してはそうした巡り合わせの力が大きく働いているように感じてしまいます。
幸、不幸。運命の力がどちらに傾くのかは神(ヨネダさん)のみぞ知る、ですが一読者として二人が並びゆく未来を祈るのみ。
ちなみに。
「淫乱ネコ」のネコの意味を知らなかった百目鬼が私からしても「かーわいー」です!
元・警察官、現・ヤクザ:百目鬼力(どうめきちから)×ドMのヤクザ:矢代です。
え~・・・。本編は全然趣味ではなかったので、レビューをしようか悩んだのですが、一応、所持をしているということで・・・
百目鬼がヤクザになる前の話となっておりました。
そいうえば、百目鬼ってなんでヤクザになったんだろう?とぼんやりと思ってましたが、まさかのスカウトとかww
でもそこで断ればよかったのに、なんで全うなバイトを辞めたのかというと、百目鬼がまだ警察だった頃・・・実は見かけていたというBLではめっちゃくちゃありがちな話でした。
暴力事件がなかったら、きっとSPになっていたのかと思うと、そっちのが萌えそうだったなって思っちゃいました。ホント、すみません・・・
有償特典って数多く出ますが、その中でも一番好きなのは小冊子。ってことでテンション上がりっぱなしで購入しました。内容はすでに書いてくださっているので感想を。
『囀る~』の表紙って、いつもブラックを基調にしたモノトーン調のものが多かったですが、4巻ではちょっと明るめ。内容はシリアスなのに。いや、百目鬼が超カッコいいので全然OKなんですが。
で、この小冊子はやっぱりモノトーン。
本編の表紙を違うアングルからとらえた絵柄。なにこれ。なんとも意味深で、すんごい素敵なんですけど。
内容は過去の百目鬼の回想と心情を綴ったもの。
なんですが、ヨネダさんらしくはっきり言葉としてはしゃべらせていない。読み手にゆだねる構成でした。
過去の事件。
組に入ることになったきっかけ。
そしてお巡りさん時代。
全てがつながり、百目鬼が矢代さんに心を奪われた様がたった16ページという短さの中で端的に描かれていました。
そして『遠火』というタイトル。
二人の距離はまだまだ離れているという意味なのか。
はたまた遠くで煌めく「火」のように手の届かない存在だ、という意味なのか。
最後のページの前髪をあげ、ストライプのシャツを着て、お巡りさんの百目鬼にひらひらと手を振る矢代さんがカッコよくて悶絶しました。
表紙に始まり、内容、最後のページまでと、最高にカッコよくて萌え必至の、大変満足度の高い小冊子でした。