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なんというか、もう、衝撃でした…
切なくて悲しくて苦しくて、読後途中から泣けてしまって、ページをめくる手が止まらなくなり、読後はしばらく茫然自失状態に。
安西リカ先生の、ここまでシリアスな物語を読むのは初めてでした。
本当に、心の震えが止まらない作品。
ネタバレをできるだけせずに、簡単に内容をまとめるなら。
攻めの前に、10年前に愛した人と同じ顔をした人が突然現れる。
その人には人に軽々しく言えない、重いものを背負っていてー
と、本の紹介に書いてあるあらすじどおり、なのですが。
もう後半、切なさの嵐に胸が締め付けられて仕方ありませんでした…
受けの透が過去経験したこと、そして現在進行形で抱えているものの重さが、読みながらドンとのし掛かってくるように感じました。
猫の軍手の可愛さや、好きな人の誕生日を一緒に祝えることの喜び。
そんななんでもない物・コトが、実はこの二人にとってはとんでもなく大きな意味を持ち、かけがえのないものなんだなあ…
心のどこかがキュッと痛みつつも、二人の幸せなこれからを願ってそっと見守りたい、と思わずにはいられない、素晴らしいラストでした。
何を言うにもネタバレに触れちゃいそうなので色々語れないのは寂しいが、一途な愛のお話を読みたかったらめちゃくちゃ勧めたい、と思う作品でした。
テーマは重いかもしれないが、それゆえしっかり愛がちゃんと描かれていて、それでいて物語の舌触りはなんとも爽やか。
30代男性が猫の肉球風手袋はめて「にゃあ」と言う場面が出てくるから、いくらなんでもちょっと…と思いそうだが、最後まで読んだ時にはまさかその姿に泣かされるとは思わなかった。
ものすごくちゃんと惹かれ合った2人だったんだな、と本当に愛の大きさに泣いちゃいます。
よかった、出会えてよかった。もう一度最初から読み返すと、本当の本当に、新聞購読の勧誘の場面はものすごく味のあるものに変わる。
泣いちゃいました。愛だね〜!
すごかった。すごかったよ。BLだけどBLはこの作品の特徴の一部で、その他にも要素がありすぎる、サスペンス要素とか……
でもほかの方もおっしゃる通り、根底にはでけえ恋情愛情があるので、安心してBLできます。
安西リカ先生の作品は、「好きで、好きで」シリーズ二冊を読了したところで、リアル感ある心理描写がうまいなーと思っておりました。しかもそちらは(切なさもあるけど)基本ほんわか幸せ系でしたので、こちらもせいぜい不憫な受け様が攻め様に救われ……的な感じかと思っていたのですが……いやー驚かされましたね……。引き込まれちゃってすごかった。
まず驚かされたのが、序盤の導入から、説明らしく説明しないのに状況を読者に飲ませるのがうますぎるというところですよ。
いっちばん最初の記憶の断片みたいな部分、あれがあって百合原さんの日常、滝本さんとの再会、とストーリーが進んでいくわけなんですが、読者がいい感じに一歩先を想像できるくらいにそれぞれの事情がちりばめてあって、どんどん読んでしまうのです。最初、とりあえずで読んでみただけだったのに引き込まれる引き込まれる……
序盤は、百合原さんと滝本さんが親交を深めつつ、滝本さんの視点からは三希さんの思い出、百合原さんの視点からは過去の事情が読者に明かされるわけです。
愛を知らなかった滝本さんが三希さんに出会って人を愛する幸せを知っていく、でもある時を境に三希さんは滝本さんの前から一切消えてしまう。三希さんを想起させる百合原さんにだんだん惹かれていって、ホントに好きになってしまって。
そんな間に各々の回想から滝本さんがかつて激しく愛した”三希さん”が百合原さんと同一人物だと、二人が知るところになるのです。
そのころには百合原さんと相思相愛になっているから、なんだかんだ二人はうまくいく方向に転がるのですが……(そんな簡単にまとめられる展開じゃないし各々の葛藤とかすごいことになってはいるのですが)
私としては、二人の恋愛劇の傍ら、三希さんの心中を想像してしまって大変に心情が振り回されておりました。最後の最後(しかも事件の最中)しか、三希さん目線のシーンはないのだけども。
「百合原透」の人生の、大変な部分のほとんどを背負って来て、滝本さんが惹かれた”輝き”も、ぜんぶきっと百合原さんを守って生きていくためのもので。
大好きな人もできたけど、存在理由に成り代わるほどの”なさねばならないこと”があるから、滝本さんには何も言えなくて。
百合原さんへ新聞配達の話をメモしているところとか、滝本さんに住みたい場所を伝えているところとかは、復讐を終えた後、自分は消えて百合原さんと滝本さんが出会って幸せになることを望んだのか、はたまた三希さんが滝本さんと会えるきっかけを作ってほしかったのか。想像しかできませんが、なんにせよ自分の望みは二の次だったんだよなあと思うと胸がツーンと来るのです。前者だったら(というか前者だと私は思ってるけど)ほんとにやりきれない。
滝本さんともね、後味悪くわかれてしまっていますしね……。
滝本さんと百合原さんがうまくいったのち、三希さんが意識を取り戻しても滝本さんと会うためではないのがまた、つらいところですよね。
復讐に取りつかれて(というかそれが至上命題がなんだろうな)、再び事件を起こすけども、最後は滝本さんに助けられて大事にされていたことも知れて、よかったねになるわけです。
しかし、意識としての彼はもう消滅してしまいます。
なんとなく、百合原さんの奥の方に息づいているのかなというのが、最後の方から推測できるところです。
お疲れ様です、三希さん。
……うん、やはり私は、二人を通してみる三希さんに心打たれておりますね。
(私が”生きるために飄々とタフにふるまう受け”というものが大好きだからなんですけど笑)
そんな三希さんを百合原さんごと愛している滝本さんも、三希さんと生きてきた百合原さんもすごく好きなキャラクターです。
強い展開がたくさんのストーリ、楽しませていただきました。
いやー、想像しかできないのもいいですが、SSとかで滝本さんと三希さんの日常(三希さん目線)とかもチラッと読んでみたかったなというのが正直な感想ですね……
きっと葛藤して滝本さんの猛アタックにうろたえているだろう三希さん、見たかったよう……笑
これからは滝本さんと百合原さんで、穏やかに幸せに、生きていってほしいものです。
最後まで読むと良さが分かる作品で、ストーリー構成や展開は間違いなく「神」です。・・・が、半分くらい読んでもBL要素がほぼなく、最後まで読んでも謎が残りました。「面白いけどBL的な萌要素としてはそこまでないかも」と思い、総合評価として「神」はつけませんでした。とはいえ、ストーリーもしっかりしているし、何より最後の方はかなり泣けるのでおすすめです。男同士のラブストーリーが軸になっている作品ではないかな、と思っただけなので、ストーリー重視でちょっとBLを求めている方にはマッチするはずです。
ここからは私の感想ですが、最後まで読んでも、遼一は透が好きなのか?については釈然としませんでした。三希はほぼ透といえど、やっぱり人格は別だし、三希はあのラストで幸せになれたのか?透は遼一と上手くやっていけるのか?と色々気になってしまいましたね。でも、最後のシーンで三希は消えたのではなく、透の中に統合されたんだと思える箇所があります。そこはすごく良いのですが、だとしたらやっぱり遼一は三希が好きだったんじゃないかと思うのです。あまりにも三希の印象が強いので、もう少し透との描写があればよかったのになぁと思ってしまいました。でも、内容はとても良かったです。
わりと早いうちに謎が明らかになり、逆に攻め視点で当時の回想に入ります。
性格の悪い攻めの現在の主人公の扱い方が読んでて不安で心配で。振り回さないであげて〜!と。
回想に入り過去にそんな事があったのか…。
途中でまた交代したりでだんだん読むのが辛くなり飛ばし読みしてしまいました。
どちらも救われて欲しい、しかし恨みと怒りは消えない。どちらも愛してくれる攻めに安心しますが、やっぱり向こうのほうが好きなのでは?な気もしてモヤモヤ。
ていうかいつの間に攻めは主人公を好きに?こんなに良い人に?
最後も記憶が一つになったのかどうなのか。
きちんと読んで心を揺り動かされるのが怖くて、今の自分に受け入れられるか自信がなくて読み飛ばしながら読んで。
せっかくの名作なのにもったいないことしたな。記憶を消して元気な時に読み直したいくらいです。