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心を半分残したままでいる(3)

kokoro wo hanbun nokoshitamamadeiru

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表題作心を半分残したままでいる(3)

中上衛、カフェマスター、26
静良井真文、記憶障害を持つ青年、28

同時収録作品心を半分残したままでいる(3)

久遠光彬、カフェチェーン社長、35
静良井真文、記憶障害を持つ青年、28

その他の収録作品

  • カナリー
  • あとがき

あらすじ

日記の内容について久遠を問い詰めた静良井は、すべてをリセットしようとした彼に池に突き落とされた。それから数週間、静良井は車椅子生活ながらも、久遠の元で穏やかに暮らしていた。そこへ、ひどい別れ方をして以来静良井のことを気にかけていたらしい中上が様子を伺いに現れる。日記の恋人「M」が誰であったかを知らないまま、再び顔を合わせた二人だが……? ひたむきな愛が胸を打つ、感動の完結篇!!

作品情報

作品名
心を半分残したままでいる(3)
著者
砂原糖子 
イラスト
葛西リカコ 
媒体
小説
出版社
新書館
レーベル
ディアプラス文庫
シリーズ
心を半分残したままでいる
発売日
ISBN
9784403524585
4.5

(188)

(140)

萌々

(25)

(12)

中立

(2)

趣味じゃない

(9)

レビュー数
24
得点
838
評価数
188
平均
4.5 / 5
神率
74.5%

レビュー投稿数24

辿り着く場所。

久しぶりに読み返してます。
どうなるのかとハラハラドキドキの最終巻。
読み終えた時、心からよかったと思い、この2人の幸せを願わずにはいられませんでした。


記憶障害を患い、数年おきに自分を忘れてしまい、まっさらになってしまう真文。
幼なじみとして、恋人として過ごし、真文が自分を忘れてしまっても、傍らに居続けてきた衛。
真文が失踪した後は、探し続け、待ち続けてきた。

2人の気持ちを思うと、たまらなく切なくて苦しいです。
夜の公園でのシーン。
初めてあかす、悲鳴のようや衛の本音や弱音。
衛の慟哭が苦しいのですが、その激情がきゅんであり、めっちゃ萌えた( *´꒳`*)
とっても好きなシーンです。

そして、そ知らぬ顔して真文を送り出してくれた久遠に感謝でした。
彼の傷に寄り添える相手が出来ることを願います。


2人が同棲を始めて、真文が「忘れたくない」と涙をこぼすシーンも好きです。
そりゃそうですよね。
大事なものができる度に願わずにはいられないでしょう。
そんな真文に新しい約束をする衛。
きっと、喫茶カナリーがあそこにある限り、衛がオリジナルブレンドコーヒーを入れ続ける限り、真文が帰る場所はあり続けるのでしょうね。

真文の病気が完治した訳ではないけれど、未来が明るく感じる、幸せで美しいラストでした。
いつか喫茶カナリーへ行ってみたい。
衛の手引きコーヒーを真文にサーブしてもらって味わってみたいな、としみじみしました⃞⃛୭ᐝ

1

心に沁み入る神作品としか言えない。。

電子で番外編集まで読み、ちょうど昨日からコミコミさんの文庫フェアが始まっていたため3冊まとめてカートに入れ、注文しました。
紙でも保管し、何度でも読み返したい本です。。
絶対に泣いてしまうと分かっているけど、読み返さずにはいられない作品。
読んだら絶対に誰かと語り合いたくなってしまう…

なんだか色々言いたいことはあるような気がするのですけれど、心が揺さぶられすぎてうまく言えないため、箇条書きします。

・久遠は久遠で幸せになってくれ…
→ひと昔前の自分だったら久遠のことは絶対許せなかったんじゃないか、と思うのですが。今は久遠の気持ちも痛いほどよく分かってしまう…どうしても一緒にいたくてついてしまった、大きな嘘。それを覆い隠そうとすればするほど、嘘が積み重なっていって…静良井を騙した久遠の罪は重いけれど、だからといって単純に憎むことはできない。。ひとり残された久遠がどこかで誰かと新たに出会い、救われてくれたらいいなと思わずにはいられませんでした。

・静良井くんお願いだから雪道を一人で歩かないで…!
→これ本当に転倒すると思いヒヤヒヤしながら読み進めました。中上が迎えに来てくれて心の底から安心しました…!リスクを冒してでも、どうしても一刻も早く会いに行きたかったんだよね。涙涙涙。。

・静良井がこの先何回記憶を失ったとしても、そしてそのことでお互い二人が傷つくことは避けられないとしても、その度に新しく出会い、惹かれ合い恋に落ちるのは変わらない。たとえ糸が切れてしまったとしても、新しい糸はまったくの無から生まれているわけではなく、記憶はなくとも過去までの糸としっかり結ばれていて…
だからこそ、静良井は昔言った台詞を一言一句違わず何度も言うのですよね。
そこに、悲しみや切なさを凌駕する愛と救いがあると感じました。

こんな素敵すぎる作品に出会えて、BL小説を読んでて良かったなあと心から思いました。ああ。。〆がうまくいかない、、

コミコミさんから紙本が届いたら、また1巻から泣きながら読み返すと思います。

1

ちょっと泣けた

感想なのでネタバレしています
未読の方はもったいないので、このレビューは読まずにどうぞ

真文の夢の描写で思いがけず泣いてしまった
思い出す部分に障害が起きているって、そう言えば言っていたもんね
記憶自体はあるんだ
お母さん、よそのお子さん巻き込んで大変な事故起こして本当危なかった、似たような人に会うこともなかっただろうし、理解されてるって思うことのない育児期間の末に亡くなって本当気の毒だったな

いい人なんだか無神経なんだか、佐藤とか茂木みたいな、相手がどんなでもお構いなしなタイプの人がいて、真文が打ち明けることができたのは良かったな
言ってしまっても大丈夫なんだって、そんな経験もしたこともあるんだってだけでも、なんか良かった

久遠は真文を手に入れるって風に関わって、叶わないから諦めた
日記も読んで利用したんだもんね
死んでしまう可能性だってなくはないことをして
でも、真文は久遠の弱みや自分を好きな気持ちを認めて、それならばと一緒にいることにした
衛を自分に巻き込んで傷付けることから開放して次のリセットからは久遠と…次に忘れてしまうまで保ったかな
次まで保たせればその過去がなかったことになって、性の問題を記憶障害の面倒みさせる負い目で誤魔化してやってくんだったのかな

初めから前払いの集合住宅に引っ越していたこと、旅館での以前一緒に来たって話とで久遠のこと怖い人かと思って読んでいたけれど、やっぱり、やっぱりそうだったよね
でも、日記についてはさすがに、信じていたわ

衛はさ、カナリーで待って待って、初めて来たときどんな気持ちだったんだろう
待つって、来ることが分かってなかったら待っていることになるんだろうか
ただとにかく待つのってなんとなく忘れることの正反対なような気がする
同じ場所から動かずに忘れることをしないでいるって感じ
衛はメモリの日記も読まずにいて、同級生のからかいと同じ様になる記憶を植え付けることは絶対にしない
けど、けどさぁ
本当のことなら植えても良かったんじゃないの?
きっとここに来るって思って待っていたんじゃなくて、来ないことは前提で、その上で万が一真文が来たらって淡い期待すら持たないようにしてやっていたんじゃないかと思うんだ
来たとしても、もし連れがいたら話しかけるつもりすらないんだ、ハンカチのときみたいに
子供のときにまともに愛されないって、ひどいことだよね
本当、真文が何度も何度も恋してくれて良かったよ〜

2巻で金色の記憶のことが判明したり、カナリヤの色のこととか、真文は色については思い出しやすいみたいよね
忘れても積もるものが数えていければいいのにね

0

久遠…

「心を半分残したままでいる」3巻です。
こちらで完結となります。

1巻のとても気になる所からの続きになり
どうなっていくんだろう…!と緊張して読み始めました。
あらすじに書かれているので書いちゃうのですが
久遠さん…静良井のこと池に突き落としたの!?と
とてもびっくりしました。
私の中で久遠さんって紳士なイメージがあったので
静良井のことを、ここまでしてまでも手に入れたいのか…と。

池に突き落とされてどうなっちゃうんだろう…って思ってたんですけど
そこからの展開は私が想像してなかった方に向かいました。
とにかく良かった…!!!!!

中上との関係もきちんと進展するし
私が一番望んでいた形になったものの
やっぱり久遠さんのことを考えると胸は痛くなります。

久遠さん、酷いことをしたことに違いはないのですが
彼も幸せになって欲しいな…。

読み終わった後に、久遠さんのスピンオフがないか調べたんですけど
スピンオフ作品はないんですね…。
いつか、彼のお話も読みたいです。


静良井の記憶障害は今のところ治ることはないのですが、
こんなに色んな事があったのに、最終的には中上の元に静良井が戻ってくるってことは
きっと何回記憶障害が起こっても戻ってくるんじゃないかな…って
勝手に期待させられるんですよね。
静良井の帰る場所は中上の元なんだろうなぁって。

心の霧がはっきりと消えることはないのですが
一日一日、二人の思い出が積み重なっていきますように…と思う作品でした。

0

回想を経て、未来へ

1巻で中上と約7年振りの再会を果たした静良井。とはいえ中上は静良井とは初対面を装い、静良井の日記に残されたMとの足跡を辿る。

2巻では静良井が失った記憶、2人がまだ学生時代の出会いから恋人同士になり、静良井が記憶障害を起こして失踪するまでの回想。

そして3巻。1巻の終わりでMは久遠ではなく中上ではないかと久遠に告げた後、静良井はライター時代(1巻の時)の時分を知る、カナリーの元バイト佐藤と出会う。そこでライター時代の住居、高校時代に中上と出会った時に住んでいた自宅を訪ねる。

自分の過去を自分で辿り、静良井が決断した今後の生活とは…。


やっと自分で自分の過去を手に入れた静良井。それは自分の記憶にあるものでは無く、不完全なものではあるかもしれないけれど、それでも中上の幸せを願わずにはいられなかった。自分の中途半端な記憶では、そしてこの先また再び記憶を無くすことを考えれば、中上の元を去ることを決意した静良井。

静良井は当事者だからもちろん過去のない自分がとても所在なげで辛いだろうけど、中上は幼少期から待つことに対して耐性が強く、でもそれって逆に不安が大きくなって…決して表には出せないけど独占欲とは執着につながるのでは?何もかもを諦め、内に秘めるように過ごす中上の辛さはどれだけのものだったろう…と思うとやりきれませんが、その点についても静良井はちゃんと気付いてあげることが出来て良かったなと思います。

正直、カナリーでの短期バイトの時に静良井が気付いてしまった記憶障害を発症する頻度から、今後も記憶障害を引き起こすことが察せられて、また次のページでは静良井が中上に「君は誰」と言うのでは無いかとずっとヒヤヒヤしながら読んでいました。ですがこの3巻に収録されている「カナリー」を読むと未来に対して絶望では無いなと思えました。

その「カナリー」。ライター静良井のカナリーの紹介文。中上へのラブレターですよね?そしてこれから先、記憶をなくしてもまた帰る場所はここだと宣言文でもある。すごく綺麗に纏まっていて泣けました。そして最後にタイトル回収。ここまでの2人のストーリーを読んでいるだけに鳥肌でした。

まとまりのない感想しか書けないのがもどかしいですが、ここまで3巻を通して中上と静良井の長い、遠回りの旅を見届けることが出来て良かったと思います。記憶をなくしていても体は覚えていて、じゃあ記憶を無くす前の自分と今の自分は別人なのか…?じゃあ自分を形づくる自分はどこにあるのか?面白いけど難しいテーマだなと思います。

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