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表題作龍と竜

石神龍一郎,36歳,市ノ瀬組幹部
乙部竜城,20歳,カフェバイト店員

あらすじ

「いきがるな。もっと俺に甘えろよ」両親を亡くし、幼い弟と二人暮らしの乙部竜城は生活のために掛け持ちでバイトをしている。
昼のバイト先・カフェで知り合った常連客が市ノ瀬組幹部・石神龍一郎と知ったのは、夜のバイト先のホストクラブ。
トラブルに巻き込まれ怪我をした竜城を自宅まで送ってくれたのがきっかけで、石神は何かと理由をつけてはアパートにやってきた。
人に頼るまいと肩肘を張っていたはずの竜城だがその優しい一面に心を奪われて…。


作品情報

作品名
龍と竜
著者
綺月陣 
イラスト
亜樹良のりかず 
媒体
小説
出版社
海王社
レーベル
ガッシュ文庫
シリーズ
龍と竜
発売日
ISBN
9784877245320
3.7

(55)

(16)

萌々

(22)

(10)

中立

(3)

趣味じゃない

(4)

レビュー数
16
得点
201
評価数
55
平均
3.7 / 5
神率
29.1%

レビュー投稿数16

No Title

作家さん&絵師さん読みです。
痛さ1割(んー、2割かな)、ちょっと笑えてほっこりする893もの。
ドラマCDを何度も聴いていたので内容はわかっていたのですが、文章で読むと細やかな心情も把握できて理解が深まります。
颯太が龍に心を開きどんどん子どもらしさを取り戻していく様子、自分の子どもに縁が無かった龍の子どもに対するスタンス(子育て中の私にはかなり参考になる!)、若いのに全部背負って頑張りすぎてしまう竜城。
龍の弟分たちも魅力的なのでこの先の展開が楽しみです。

0

かわいい

龍と竜どちらも可愛かった。

竜の弟の颯太くんの描写が上手くて、周りを警戒してた子どもが心を開いていく様が良かったですし、やはりこちらも可愛かったです。

イザコザについてはやや物足りない印象でした。
子どもが危険な目に合う状況にハラハラはしましたが、敵の策略がチープなのであまり盛り上がれませんでした。

極道が絡んでいたことでややこしくなってしまいましたが、龍と竜の関係は純愛と言うか、家族愛の面が強く、魅力的な作品でした。

0

人生の岐路のその先へ

 作家買いなんですが、厳密には綺月陣先生の「背徳のマリア」に登場した黒崎和巳がこのシリーズにも登場しているとのことだったので、和巳見たさに全作品を購入しました。
 そんな購入動機だったにもかかわらず、本作に和巳が出ていないことに気付いたのは感想を書く時になってからのことでした。
 それほど夢中になれたおもしろいお話です。

 まず、竜城がバイトしているカフェの場面です。冒頭だけで登場人物全員のことが好きになり、一気に物語に引き込まれました。
 特に石神が印象的で、極道なのにマイカップ持参や禁煙といった環境活動に取り組み、時と場所を考えずに弟分を叱りつけたりするけどカタギに優しく甘党。このギャップにやられる人は多いでしょう。私もその一人なので、竜城が好感を持つのもよく分かりました。
 どんな客でも分け隔てなく接する竜城は苦労人で、母の死後、異父弟で四歳の颯太を養うために大学を中退してカフェのバイトで生計を立てていましたが、それだけでは限界を感じて高給取りのホストになります。
 お金はいくらあっても困らないし、短期間でその日暮らしから脱するにはホストはうってつけの職業かもしれません。しかし、スーツは貸与ではなく立て替えという形で初っ端から借金を背負わされてしまい、やっぱりな展開になってしまいました。いつだって上手い話には裏があるのです。
 そんな危なっかしい竜城ですが、彼の些細な変化に気付くのが石神です。寝不足の竜城をすぐに見破り心配していました。ここの二人のやり取りに萌えました。
 先輩の技術を目で盗んで実践する。本来であれば仕事ができる人間と一目置かれる行為が仇となり、竜城は宮前に因縁をつけられてしまいましたが、この痛々しい出来事がきっかけで竜城と石神の距離がどんどん縮まっていくことになります。

 石神は竜城に一目惚れだったんですね。竜城がホストにならなければ、石神はずっとカフェへ足繁く通い続けて竜城に接客してもらうだけのプラトニックな関係だったのかと想像すると、それはそれで萌えます。
 自分が惚れられていることも知らず、石神を家に連れ込むなんて竜城はとても大胆です。この辺を石神視点で読めたらさらにおもしろそうですね。
 竜城が家に招待したのはあくまでも石神に借りを返すためという律儀な理由であり、石神に甘えることを拒みますが、それは石神が極道だからという以前に、大人(親)に甘えることを許されずに育ったからでした。
 同じ境遇の颯太も、大人に裏切られるのが怖くて石神に心を開くのを躊躇っているところが意地らしく感じましたが、石神が愛情深く颯太に接したことで徐々に打ち解けていくのが良かったです。竜城のカレーはおいしいから、と遠回しに家に誘うところがめちゃくちゃかわいかったです。
 それから石神がちょくちょく家へ顔を出したり三人でサファリパークへ行ったりするうちに、颯太は石神に懐き、石神も颯太を実の息子のようにかわいがり、優しい母の存在を羨む颯太に母が竜城で自分が父だと言います。
 心から大人を信じられるようになった颯太は、竜城の言うことを聞かずに駄々をこねるようになるのです。この一連の流れで、子供のわがままは例え親を困らせても、それでも自分を愛してくれるという確証があるからこそできる行為なのだと気付かされて感動しました。親子の信頼関係はこういうところで如実に現れるんですね。
 そして問題のお風呂の場面ですが、家族水入らずなほのぼの展開と見せかけて、石神はほんの一瞬だけ竜城のお尻に性的な触り方をします。不審に思われない程度の絶妙な仕草でしたが、石神が初めて見せた劣情にドキッとしました。
 三人で暮らそうと話す石神ですが、お風呂で石神の刺青を目の当たりにしても好意的な反応を見せた四歳の颯太とは違い、竜城は改めて極道の人間と関わっている現実に直面し、今後の付き合いに慎重な態度を見せます。でもカタギの人間であれば至極真っ当な感覚だと思います。竜城だけなら成人しているので自己責任で済みますが、未就学児の颯太のこれからの人生を考えるなら話は別です。唯一親切にしてくれた大人が極道だったらと思うと辛いですね。
 それでも石神はここまで関わってからではもう遅いのだと、竜城に想いを告げて守ると言いますが、竜城は責任感で言っているように感じて石神の庇護下に置かれることに反発心を覚えるのでした。
 とはいえ、竜城は颯太のために夜でも預けられる託児所へ入所手続きしてくれた石神の優しさにどんどん絆されていき、奨が石神に親密に接することに嫉妬までします。とっくに竜城は石神のことを意識していたのです。

 実は奨がクズで鉄はいい人なのでは? と深読みしながら読んでいましたが、両方ともクズでした。
 特に石神に執心する奨は、石神に本気の相手がいると意図的に寝取り現場を見せつけて仲を壊す上に、性行為を見られたと精神的苦痛を訴えて石神に新しい店を用意させるゲス男で、そんな奨に心酔している鉄は竜城に危害を加えることも無関係の颯太を誘拐することも厭いません。
 この二人は半グレなんですかね。いくら一回目は無傷で成功したからといって、極道を舐めすぎです。
 同じ罠にはめられた石神ですが、颯太を巻き込んだことで怒りが頂点に達し二人を痛めつけました。スッキリ。救出後の颯太と石神のやり取りがかわいかったです。

 運悪く家を失くしてしまった竜城たちは石神の元に身を寄せるしかない状況ですが、極道への恨み以上に奨と寝たことが許せない竜城は石神を拒みます。きっと常に二番目の存在だった母を身近で見てきたのも大きいのでしょう。
 それでも石神の真摯な言葉と、隠すことのできない石神への想いが溢れて、竜城はようやく観念したのでした。
 その後すぐに二人は体を繋げますが、やっぱり愛情がある性行為はいいものです。

 シリーズの第一作目でしたが、引き続き続編の~白露~を読みたいと思います。

1

1巻 文章力、表現力がスバラシくて、泣けます

作者の文章力が高くて、読みやすいことに吃驚しました。スイスイ滞らず読み進めます。
子供の描写が上手で、読みながら、颯太の仕草や台詞に何度も涙してしまいました。

色々感じたことを書きたいのですが、読んでもらえばわかるかな、ということで終り。良い作品でした。愛人の子に産まれた二人兄弟が懸命に生きる様子をこの巻では描いています。それに、恋人の龍一郎が関わって、運命が変わっていく。
今回は、龍と竜のシリーズ購入は、大成功。面白くて飽きません。
神評価。

「たっちゃんのカレー、美味しいよ」と、石神に「また来て」と言えなくて、3才の颯太が袖をつかんで伝える切ない場面。子供の描写が上手い・・ブログを見たらお弁当タグがありました。著者はお母さんなんですね。納得。

---シリーズ相関について:2020/9月現在の状況

「背徳のマリア・上下巻」→「龍と竜①〜⑤」→「獣①〜③」→「東西①〜④」

▶「背徳のマリア・上下巻」小説イマージュクラブ投稿作
龍と竜に登場するDr.黒崎(闇医者)、兄は精神病院に幽閉。弟は闇医者、
ライフワークが試験管ベビー育成。

▶龍と竜 ガッシュ文庫 ※関連作として「背徳のマリア」 
龍と竜 小説 2006年
龍と竜~白露~小説2007年
龍と竜~銀の鱗~小説2009年
龍と竜 ~虹の鱗~小説:2011年
龍と竜~啓蟄~小説2012年
龍と竜~清明~小説2019年
龍と竜~蜜月~2020年

▶獣シリーズ 小説ピアス誌掲載
①獣ーケダモノー 2016年4月28日
②獣・壊滅 2016年5月28日
③獣・煉獄 2016年6月28日
④獣・夜叉 2019年4月27日
⑤獣・下僕 2020年8月7日



▶『東西シリーズ』 ガッシュ文庫
※[龍竜シリーズ/関東]と[獣シリーズ/関西]コラボ小説
東の清廉、西の逆賊  2018年10月26日
東の満月、西の新月:  2018年4月28日
東の爽碧、西の緋炎 : 2017年4月28日
東の双龍、西の唐獅子 2016年7月28日



---「龍と竜」にはレシピのヒントが沢山出てきます。これはとても美味しそう。
★ジャガイモ抜きのカレー

4

碧雲

追記:
★新しい本が出ていました。ダイジェスト版で良いなら、この本一冊でOKだと思います。
https://bit.ly/30kVOkw

【龍と竜・獣・東西シリーズ~過去ノベルティ再録本~】
「龍と竜」「獣―ケダモノ―」「東の双龍、西の唐獅子」シリーズの番外編


 収録内容 
・「龍と竜~石神龍一郎の憂鬱~」
(「GUSH Premim short stories part.2」2012年4月) 
・「龍と竜シリーズ完結記念プレミアム小冊子」(2013年3月) 
・「龍と竜」(「ガッシュ文庫ときめきwinterフェアSS付きイラストカード」2013年11月) 
・「愛の結晶」(「ガッシュ文庫9周年記念アニバーサリーBOOK」2014年1月) 
・「綺月陣先生デビュー20周年記念小冊子」(2016年12月) 
・「東の純情、西の劣情」(「ガッシュ文庫12周年記念フェアinコミコミスタジオ 小冊子rose」2017年4月) 
・「GBBは竜城が苦手」(書き下ろし) 
・綺月 陣「あとがき」(書き下ろし) 
・亜樹良のりかず「あとがき」(描き下ろし)

碧雲

こんばんわ。コメントありがとうございます。
お役に立てたようで嬉しいです。

このシリーズを連載されているとき、著者は編集者と色々あって筆を折ろか考えながら連載していたようです。
あとがきに、作家と編集者の意見のすれ違いが起きていた件が書かれていました。
シリーズを追って読む新規読者は増えない・・と悲観されて、巻号付けする読者サービスをされなかったのなら、残念です。

堅いtitleですけれど、家族愛と兄弟愛を描いたホームドラマ要素にBL要素のエロスを加味した、面白い作品だと思います。
ではまたどこかで。(^^)/

ほし35

初めまして。このシリーズ、獣の途中まで読んでます。順番教えて頂いてとても嬉しいです。
龍と竜、何度でもリピートできますね。もっと好きな方が増えるといいな。

子供と受けと地球に優しいBLヤクザ

綺月先生は甘いお話のイメージがないのだが、これはあったかくて優しい気持ちになれる作品で、とても好みだった!

とにかくキャラがいい。受けの竜城は幼い弟を育てるため、昼はカフェで、夜はホストで働いているが、殴られたり脅されてもへこたれないところが、女々しくなくていい。
一方、石神はヤクザの幹部。見た目は怖いけど、子供好きで、弟の颯太と過ごす時間は本当のお父さんみたいに接している。
小さい子と屈強な男が団欒している場面は、本当にほのぼのする。石神がなぜ颯太を可愛がるのか、ちゃんと理由があるので、ヤクザと子供、という一見ミスマッチな取り合わせも、違和感を覚えない。竜城とも、一切エロい展開なしで、自然と心が通い合うのがよかった。

終盤はちょっとバイオレンスな展開になって、めちゃくちゃハラハラした~。子供が危険な目に遭う、というのはフィクションと言えど本当に心臓に悪い…。取り乱した竜城が石神を思わず殴ってしまう気持ちも理解できるし、石神が、二人を守る、という言葉の通り、行動で愛情を示して見せるのもカッコいい…!

ナンバーワンホストで石神と肉体関係もあった奨がまた、実に強烈な人。ただのライバルキャラ以上の個性を感じ、印象に残りました。ナンバー2の鉄と言い、一筋縄ではいかない脇役の描きかたも秀逸で、途中、読んでいて本気でイライラした(笑)
それだけに、ラストはホッとしたし、スッキリ。続編もたくさん出ているので読むのが楽しみ。

2

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