蒼穹のローレライ

soukyu no Lorelei

蒼穹のローレライ
  • NOT BL
  • E-BOOK ONLY
  • R18
  • 神80
  • 萌×22
  • 萌3
  • 中立1
  • しゅみじゃない5

108

レビュー数
10
得点
418
評価数
91件
平均
4.7 / 5
神率
87.9%
著者
 
イラスト
 
媒体
小説
出版社
蒼竜社
シリーズ
Holly Novels(小説・蒼竜社)
発売日
価格
¥860(税抜)  ¥929(税込)
ISBN
9784883864416

あらすじ

「敵機を墜として俺も死ぬ」
浅群のその願いを、三上の整備魂は許せなかった―――。
要保護の軍神・浅群塁と、整備に燃える三上の青春の日々。


戦後十八年目のある日、三上徹雄のもとを病死した旧友・城戸勝平の息子が訪れた。
彼は城戸が亡くなる直前に、三上へ一通の封筒を預かったという。
封を開けると、中には戦死した零戦パイロット・浅群塁に関する内容がしたためられていた……。

―――時は太平洋戦争中期。
ラバウルに向かう途中、三上が乗っていた一式陸攻は敵の攻撃に遭い、不思議な音を響かせて戦う一機の零戦に助けられる。
着任後、命の恩人を捜していた三上は、「ローレライ」という二つ名を持つ、声の出ない、碧い目の搭乗員に出会う。
彼こそが三上たちを救ってくれた、零戦乗りの浅群塁一飛だった。

表題作蒼穹のローレライ

三上徹雄・整備員・24歳
浅群塁・零戦搭乗員・21歳

その他の収録作品

  • 幽き星に栄誉あれ

評価・レビューする

レビュー投稿数10

「聞け。ローレライの声を。――恋しいと鳴く魔物の歌を。」

冒頭おあらすじから、生きているのぞみはないのだろうとわかってはいましたが、読んでいるうちに、もしかして……と期待してしまいました。
傷付き、頑なな塁にまっすぐ向き合い、ぶつかり、信念を貫き、生かそうとした三上。
彼に救われ、癒され、生きたいと思いながらも死んでいった塁。
生きたいと思いながら死んでいくことの怖さ、苦しさ、つらさ、寂しさ、悲しさ、色々な想いが溢れて涙が止まりませんでした。
塁を桟橋で待ち続ける三上の姿にも、胸を打たれました。
戦後18年目、ようやく塁の本心を知ることができてよかったという思いと、叶わなかったことへの悲しみで、ただただ涙するしかありませんでした。
塁の最期の願いは叶わなかったけれど、三上が塁の最期の言葉を聞けて、彼のために初めて泣けてよかったと思います。
三上が、塁に出会えてよかった、塁は確かにいたと、そう言い切ってくれたことが本当に嬉しく、切ない。
二人が確かに一緒に生きて、塁が最期にそう願ってくれたことが嬉しく、切ない。
きっとこの時代、この場所でしか出会えなかった二人が、一緒に戦後を生きられなかったことは悲しいけれど、塁が最期にいい人続き生だったと思えたことは、幸せだったと思います。同じように三上にとっても、塁と出会えなかったら、きっと寂しい人生になったと思えること
塁に出会えてよかったと思えることは、幸せということでしょう。
二人が今生で過ごした時はわずかでしたが、幸せだと二人が思えたことがなにより切なく、麗しいと思うとともに、今度は平和な世で結ばれてほしいと思います。

3

塁が男前過ぎる

まだ「プルメリアのころ。」を読んでいないのですが、1945シリーズの中では今のところ一番印象深いです。
これまでのシリーズでは、死にそうになるけど結局生き残り幸せになったカップルばかりでした。
前もってこちらのレビューを読んでたので、結末は想像できていたとはいえ、生きている可能性もゼロではないと思っていました。でも、最後まで読んで理解してしまいました。彼はあのときに…。
裕福な家庭に生まれながら、決して幸せとは言い難い少年期を過ごした塁。
理解してくれた人もいるにはいたみたいですが、三上と出会うまではどれほど孤独だっただろう、と思います。
殊勲を挙げ、栄誉の為に死ぬつもりだった彼が最期に守りたかったのは、自分自身の名誉でも家族の名誉でもなかったんですね。
“三上のために生きのびてやることはできない”と考えた彼でしたが、あの6文字が全てを物語っているのだと思います。一緒に筍を掘ったり、駄菓子屋でクジを引いたり、渓流で釣りをしたり、たったそれだけの願いが叶わないであろうことを塁は知っていたのかなぁ。
生まれ変わってもまた出会い、今度こそ三上と幸せになってほしいです。ちゅうか、続きそんな番外編を期待してます!

3

こぼした涙の数よりも

表紙にひとめぼれして、読みたい!と思い始めてからいくばくか。
設定だけで泣いてしまい読む勇気がなくいくばくか。
ようやく読み終わり。
読み終わってからしばらく冷却期間を置いてた。

結末は、レビューで知っていたので
余計に涙がこぼれて仕方なかったのですが
なんだろうな。読み終えてみるとさほど胸にしこりが残っていないのです。
すべてはこの攻の性格があってこそと思うのです。

お話の舞台はラバウル。
出会いからの関係はあまりいいものではない。
言葉をうまく発声することができない受と、
唯一その言葉を理解できる攻。
上司の策略でペアを組まされてしまう二人。
いつしか存在に惚れ、生き方に惚れ。
人が人に惹かれていく様を見るほどに面白いなと思う。
何度外しても期待に器具をつけてしまう。
それを何度でも黙って取り外す。
その繰り返しを、最初と中場、最後で意味合いを変えてくるのが
すごく泣けた。
どれだけ手柄を立てて、派手に散る。
それだけが目的だったものが、最後に残した言葉。
最後に思った気持ち。
見送る側の気持ちがわかったかという攻の言葉。
あの続き世でまた口説き落とさないとという攻の言葉。
今世だけが二人のすべてではない。
前だけを見てる姿がすごく好きでした。

読後、もやっとしなかったのは
多分「先」が見えたから。
ふたりはこれで最後じゃないと思えたから。
来世また二人が一つになる日が来るといい。
妙に幸せな気持ちになれる作品でした。

4

恋しい

あらすじで結末は大体把握して、頭では理解していました。

でももしかしたら、もしかしたら本当は違う結末なんじゃないか。淡い期待を持って読んだのも事実です。




涙が出ます。暫く立ち直れそうにありません。

強くあろうとした、脆く儚い人 浅群塁。
彼を理解し、助け、愛した三上徹雄。

ひとりぼっちの塁にとって、三上は本当に太陽のような存在だったのかもしれません。

大変な汚名を着せられ、自分が戦地で勝って汚名を注ごうとする塁。死にに来たと、敵を墜として自分も死ぬのだと。
しかし、三上と出会い、人の温もりを知り、愛を知り、三上を守るために死ねないと決意する塁...。

そんな塁の最期は可哀想ととったらいいのか、良かったといったらいいのか...!何故三上の「死んで欲しくない」思いが漸く通じたと思ったのに...!敵に突撃するわけでもなく、撃たれるわけでもなく真っ青な海の上で塁は散っていきました。
最後の電報にある言葉を遺し。
この言葉を電信したこと、私はほんとに悔しくて。最後になんてことを...!と思ったのですが、読み進めるうちにそんな思いも少し軽続きくなりました。三上はその「ある言葉」に悲しみの他に希望も見出したからです。

表現力がなくてごめんなさい

3

おさめどころ

高評価を得る作品には二つのパターンが
あると評者は愚考します。
文句なくBLとしての傑作であるから
高評価であると言うのがおおむねの常道。
そして今一つは、BLと言い切ってしまうには
色々含みがあるのだけど、BLの文法を
使わないと落とし所が見つからない快作。
この作品は、評者にとっては後者にあたります。

では仮に、この作品がBLの展開を軸にして
構成されていたとしたら評者はためらわず
前者の箱に収めるのかと問われれば…その時は
きっと黙殺と言う手段をとるでしょう。

時に読者を選んでしまう厄介な作品ですが、
その内包するものの発露は誠であるかと。

5

相手を想う気持ちに落涙

尾上さんの書かれる1945シリーズはいつもランキングでも上位に上がり評価の高い作品ですが、個人的にどうしてもツボに入らず、4作目にあたるこの作品も手に取るのをためらっていたのです。が、腐姐さま方のレビューを拝見し読んでみたくなり購入。

いや、よかった。すごく良かった。このシリーズで初めて泣きました。レビューしてくださった腐姐さま方、ありがとうございました。さて、内容はすでに書いてくださっているので感想を。ごめんなさい、激しくネタバレしてます。



まず表紙が良いよねえ…。
今まではそれぞれCPで表紙に描かれているのに、「蒼穹の~」だけは一人。しかも今までの幸せそうな二人の表情とは異なり、何かを耐えているような、見ようによっては寂しそうな彼。なんでなんだろう。とそこでまず心を鷲掴みにされました。

「ローレライ」という異名を持つゼロ戦乗りの塁。
単一国民でかつ島国の日本において、当時、青い瞳を持つ彼がどれだけの奇異の目で見られたのか。彼の孤独感も、両親の彼に対する複雑な気持ちも、手に取るようにわかり切なくなった。
そんな境遇を自身の手で切り開こうとするも、さらな続きる悲劇が彼に襲い掛かる。そんな彼がたどりついた結論が「敵をたくさん撃墜して名誉の戦死をすること」。若干21歳の彼がそこまで追い詰められて、可哀想で泣けた。

声が出しづらい塁の声を唯一聞き取れる整備士の三上。
死に急ぐ塁を気に掛けるうちにどんどん彼に惹かれていく。正義感に溢れ、塁を常に気に掛ける彼が非常にカッコよかった。

「碧のかたみ」「彩雲の城」は、ともに戦闘機に乗り常に一緒にいる二人だったのに対し、「蒼穹の~」ではどんな危機の時にも一緒にいることはない。そんな二人が、お互いを信じ、自分のできることに心血を注ぐことで相手を守りたいと願う。その二人の、互いを想う気持ちと絆に激しく萌えてしまった。

「名誉の戦死」をすることだけに心血を注いできた塁が、三上と出会い、彼に愛され愛し、彼を守るために戦う姿に思わず落涙。最後の塁の心情を読んだときは号泣してしまった。

そして塁の戦死を信じられず桟橋で塁を待つ三上にも。いつか帰ってくるんじゃないか、塁は最後まで自分を信じてはくれなかったのだろうか、自分のもとに帰ってきてくれると信じていたのに、と前に進めなかった三上の気持ちもすごく切なかった。

通信長の城戸さんも良かった。二人のよき理解者であり、それゆえに塁の最後の言葉を三上に伝えることができなかった彼の男気にも泣いた。

今までの1945シリーズは何となくしっくりこないところもあってどうにも感情移入できなかったのですが、「蒼穹の~」は引っ掛かりがなく伏線を上手に回収していくストーリー展開にぐっと引き込まれました。

「死にネタ」ということもあって、読み手を選ぶ作品かも知れません。が、この儚さがより一層のリアリティを醸し出し、かつ戦争の非道さをくっきりと表現しているのだとも思います。思うのだけれど。
初回特典ペーパーに『12月発売予定「プルメリアのころ」の連動企画』の記載があるのだけれど、その作品の中で、「実は塁は生きてました」という展開にならないかな、とも期待しつつ…。

読んでよかった。文句なく、神評価です。

13

切なくも優しい涙が溢れる

1945シリーズ、4作目にして零戦乗りが主人公。
そして、シリーズ中最も深く心に沁みる物語だった。

キュッと口を結んだ碧眼のまだ若い青年が一人の表紙。
この美しい表紙の彼は、何故一人なのか……

          :

神様のいたずらか、純粋に日本人なのに青い瞳で生まれた浅群塁。
それだけでも大きなハンデキャップを背負った人生だったのに
17歳の時に一家を襲った酷く陰惨な事件が、彼の生き方を決め……

舞台は、昭和19年戦局も大詰めのラバウル、
家の汚名を濯ぐ為に手柄を立てて死ぬことだけを考えている塁と、
整備魂にかけて彼を生かそうとする整備員・三上徹雄。

冒頭の戦後18年のシーンから、どのように終わるか予測がついてしまい
すでに泣きそうになりながらページをめくり続け、
最後は分かっていてもやはり涙が溢れて読み終えた。

          :

声がうまく出ない塁は、鬼神のような零戦乗り。
誰もかも扱いかねていた塁の言葉を、何故か一人聞き取れる三上は
反発されながらも何度もまっすぐに塁に向いあう。
死ぬことしか考えていなかった彼続きは、
三上の真摯で柔らかな思いに包まれて次第に変わっていく。
自分には一生縁がないと思っていた「契り」を
三上と交わしたいと思うシーンが好き……

2作目3作目と違い、共に空に飛び立ってはいけない二人の
一人大空に向かう孤独と、待つことしかできない切なさ。
互いが自分のできることで相手を守ろうとする思いが
胸に強く訴えかける。
そして、最後のラブレター……、何もかにも失った塁が生きた証に
とめどなく涙が溢れる。


透明な切なさが漂うシリアスなトーンの物語の中、
シリーズ既刊の登場人物がチラッと出てくるのが和む。
恒、厚谷、秋山……、伝聞だが衛藤新多も登場。

戦争の時代を扱った作品としてはオーソドックスな展開で、
今までの途中でちょっと色合いが変わるような面がなかったことで
物語に統一感が保たれ、心を掴まれる作品となっていたと思う。
結末はハッピーエンドではないにもかかわらず
個人的にはむしろシリーズ中一番BLらしいと感じた
読後、切なくも優しい余韻が長く続く作品でした。

シリーズ中初めて迷いなく「神」をつけます。


16

BL予測変換が無効な話

※激しいネタバレ有り。読む予定の方は注意※


1945シリーズ4作目。
今回は初の整備員×零戦乗り。
私は床と天井でも萌える腐り方してますが、これが実際に雲の上と地上とで離ればなれになると何とまぁ切なくて、有り体に言えば泣きすぎて呼吸困難起こしました。

毎回毎回しつこいほど泣かされてるシリーズなんですが、作者のここで泣かせるぞエヘン! みたいな意図が見えないので好きです。
物語冒頭は終戦後18年も経ってから、突然元整備員の三上のところに上官の息子が訪ねてくる、というところから過去に遡っていきます。

三上と零戦乗りの塁の出会い、整備員の矜持と搭乗員の信念。埋まらない溝と平行線を引く価値観。
まるでいたちごっこのような二人のやりとりは、読んでる方が可笑しくなるくらいにお互い譲らないんですが、その譲らない想いが終盤になって涙腺を直撃してくる伏線になってます。
うまく声の出せない塁と、その声を唯一聴くことの出来る三上のコンビは、二人だけの関係を構築していくには最適でした。
また三上の、整備員としての気配りが性格にもそのまま出ていて、剥き出しの刃のような塁にそっと続き布を宛がって包み込むような優しさが沁みます。
悲惨を極めた塁の過去を、そっと解すように抱きしめ、本当は寂しくて仕方がなかった塁が三上に惹かれていく様はとても自然で心があたたまる。

が、そんなふたりの絆を断ち切るかのごとく、徐々に悪化していく戦況。物資も乏しくなり次々と襲撃を受ける基地。そんな中で必死に互いを守り合おうとする二人ですが、声が出ないという弊害もあってか、塁の想いは三上には簡単に通じませんでした。
死にたがりの塁に対して「いってらっしゃい」の一言にこめる三上の言葉の重みに、何とも言えない胸の痛みを覚えます。
今までの話はペアだったので良くも悪くも運命共同体という感じだったのですが、待つことへの辛さというのをここにきて初めて知った。

そして最後まで塁を守ろうと必死に搭乗する零戦を整備した三上と、三上は絶対に死なせまいという決意を持って、震えるほどに孤独な空に向かった塁……。
そこからはもう、ずびずびと鼻をかみ、鼻の下は真っ赤、瞼はぼわぼわに腫れ上がり、ゴミ箱はティッシュの山で大変なことに。ケチって鼻セ○ブ使わなかったのを後悔しました。
そして塁が最後に発した「○○○○○○(最大のネタバレなので避けます)」に、仕舞いには呼吸困難ひきおこし、ひんひん嘔吐いてもんどりうつことに……。

結末としてはそれぞれ受け止め方が異なるとは思いますが、私はごく自然な終わりで良かったと思っています。
そして初回封入ペーパーを読み、はじめてそこで三上の気持ちに区切りが付いたようにも感じました。
この作品でも両者生き残って……というストーリーだと、流石にご都合すぎて非常に白々しくなってしまうというのもあったのですが、今までが今までだけに、そんなこと言いながらどうせ生きてるんでしょ~と期待していた部分も正直有ります。
読み終わってみて、どうして表紙が塁ひとりなのか、すとんと落ちてきました。
そしてタイトルを思い返し、またむせび泣く。

塁から預かったままの懐中時計には、三上のばらした時計の部品も入っていて、それはまるで二人が一つの魂となって時を刻んでいるようで、非常に美しかったです。
初読はもどかしくてざざーっと読んでしまったので、じっくり再読しようにも、冒頭文からすでに滂沱の涙で先に進めないという非常事態。
【あのとき、できなかったから~】の文章で嘔吐いて咳き込むほど涙が噴き出してどうしようもなくなる。

シリーズ自体がもう好みが分かれすぎているので、今更嫌悪感があるのに手を伸ばす方は少ないとは思いますが、絶対的なハッピーエンドじゃないと、という方は避けた方が賢明かもしれません。
戦争物に抵抗なく、身が引きちぎられるほど痛い話どんと来いな方には、ぜひともオススメしたいです。

16

薄雲

ココナッツさま

こんばんは、コメントいただき有難うございます!
いやぁ、これは多分結構危ないので、避けた方がいいかも(笑)
人によってはふんだんに敷き詰められた地雷の上を全力疾走するような感じなので。
あらすじネタバレ善し悪しですが、これは本当に親切なパターンかもしれませんね……(^^;

私は読む傾向に波があるので、5年くらい前まではあまあま、それ以前はコメディ、現在は痛せつない系に飢えてる感じです。次は何がくるだろう、と自分でも不明です。

ココナッツ

薄雲さま

>身が引きちぎられるほど痛い話どんと来いな方
うむ……どんと来ない…のだorz

薄雲さま、こんにちは。レビューお疲れ様です。
歳のせいにしますが、やっぱり痛いけど読みたい〜っていう若い時のガッツが無くなったなあと思います。
ですのでレビューを拝見しただけでグリグリきて、すっかり読んだ気になっております。
ふううう。
でも親切ですよね。
しっかりあらすじにそのことを明記して下さっているのですから。
これは尾上さんのご意向なのでしょうかね。

恋しい気持ち

尾上与一先生の待望の新刊、発売が本当に楽しみでした。
ネタバレがありますので、お気を付けください。


あらすじで塁の戦死が分かっていたので、覚悟して読みました。
もしかして?と淡い期待を抱かずにはいられませんでしたが、やはりあらすじ通りの最期です。

塁の最期の言葉に胸が締め付けられますが、それでもずっと名誉の戦死だけを望み続けていた塁が、三上と出会ったことで、三上のもとに帰りたい、もう一度三上に会いたい、会えなくなるのが怖いと思えたことに安堵しました。
憎しみや恨み、屈辱だけを抱えて、短い一生を終えるのではなく、誰かを想って恋しいと思えるようになれて安心しました。
どうしようもなく悲しいですが、それでも塁が「いい人生だった」と最期に思えたことに、よかったねと穏やかな気持ちで答えたいです。

封入特典ペーパー「月と懐中時計」を読むと、
塁が恋しいと想う三上の気持ちが痛いくらい伝わってきます。
三上の「俺は元気です」の言葉に塁の笑顔が見えるようです。

作中には、1945シリーズのメンバーもちらほら登場します。
微笑ましかったり、ああ、あの時のことね…と続き思ったり
お馴染みの顔ぶれにホッとします。

悲しいだけじゃなく、温かい想いを感じ
恋をして良かったと思えるお話です。
たくさんの人に読んで頂きたいです。








10

リアルすぎた

注意!!話の核になる部分のネタバレあります。
予備知識程度では済まないので、それでも良い方のみお読みください!



1945シリーズと名付けられたこのシリーズ。同人誌「プルメリアのころ」を含め全て読んできました。戦争関連のお話に昔から惹きつけられ、尾上先生の書くこのシリーズがとても好きです。

ただ・・・。蒼穹のローレライはハッピーエンドではなかった。塁が死んでしまった。実は死んでいないんじゃないか、どこかで生きてるんじゃないか、この最後の最後に再会するんでしょ?とドキドキしながら期待していたら本当に死んでいたなんて・・・。

戦争はただでさえ幸せなものではない、ましてや同性同士の恋愛なのだから最後は二人で幸せに暮らしてほしかった。
塁は壮絶な人生を送ってきていたけれど、三上と出会い心を開いていく様子は苦しくもあり愛おしく、キャラとしてとても愛着を持てる人物でした。
だからこそ塁の死はこのシリーズにはふさわしくないと思います。ここまでリアルにしなくても・・・と辛くなってしまいました。

大好きなシリーズだからこそ辛辣になってしまいましたが、初めて尾上先生の本続きに触れる方は覚悟が必要です。
私自身、死ネタはそこまで地雷ではなかったのですが今回は塁に惹かれなかったら中立かしゅみじゃない評価になってしまっていたかもしれないほどショックでした。

10

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