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ヘタレ攻めが読みたくて、ちるちる詳細検索で「ヘタレ」にチェックを入れてヒットしたのがこちら。
これは発売当時に買ったものの、芸人シリーズを発売順から読んでからこの本を読もうと積んだきりだった。
(2021年に過去の芸人シリーズが電子化されたけど、2020年当時は「何でやねん」くらいしか電子化されていなかったんですよね。)
で、すっかり忘れてたこちらをとりあえずヘタレ攻め目的で読み始めたけど……。
全然ヘタレじゃないじゃん……。
あとがきでも「できるだけヘタレないように、ヘタレないように、と気を付けて書いた」とあったし……。
久我さん作品でのヘタレ攻めといえば「あの日の君と、今日の僕」の渋川がどヘタレで、あそこまではいかないとしても、私にはヘタレ成分が感じられないんだけど……。
どヘタレ読みすぎて、感覚麻痺しちゃってるのかなぁ……。
とりあえずヘタレのことは忘れて、純粋に物語として楽しむことにしようと、気を取り直して再読。
良いところ
・受けの祐がはっきりとした男前受けで良き。
負けん気が強くて、最初こそ攻めの町を芸人のくせに文化人気取りのチャラい奴とライバル視してたけど、一緒に過ごすうちに町がお笑いに対する鋭い視点を持っていることを知り、感性が似ていて息が合うことに気づいて……というところが良い。
セックスに対しても潔くて、無駄に恥じらったりしないところも男の子って感じで良い。
・攻めの町は、祐にメロメロでなにかと祐を見ては、
「うわ、眩しい、かわいい、好き」
だの
「畜生、カワイイ、好き」
だの思ってて、溺愛することで脳内忙しい様子が良い。
ーー
追記:レビュー後に、「君が笑えば世界も笑う」も購読。
そのうえで、もう一度こちらをババっと読んでみたら、確かにオレンジグミがちょいちょい出てきて、相変わらずほんわか癒しキャラの都留と、都留が都留が、の滝本でより楽しめた。
既存シリーズは未読でも問題なく読めるけど、やっぱり既読のほうが楽しめるんだなぁ。
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自分用覚え書き
芸人シリーズ
・何でやねん!・ バンテージ 既読
・月も星もない・パイロットランプ 未購入
・それは言わない約束だろう 未購入
・恋で花実は咲くのです 積んでる
・思い込んだら命がけ 未購入
・恋するソラマメ 積んでる
・君が笑えば世界も笑う オレンジグミ 未購入→読んだ
・もっとずっときっと笑って オレンジグミ 未購入→読んだ
・片恋の病・表面張力 既読
全部電子化済み。
受けの堂松くんが兎に角渋くてカッコイイんですよ。
かなりの売れっ子芸人なのですが、感覚が庶民(の関西人)。東京の一等地の高級マンションなんてありえへん、反面、後輩芸人にお祝い事があれば気前よく家電を贈る。しかも鼻にかけない。当たり前にやる。
かなり目上の先輩たちから可愛がられ、地元からも愛される。
実力派の売れっ子だけあって頭の回転が早いし、何より仕事に対する姿勢がかっこいい。
告白も男前。
その相手の町くんは、こちらもかなりの売れっ子芸能人。クレバーでセンスがよくて仕事ができる上に見た目もいい(ちなみに東京の一等地の高級マンションに住んでいる)。
どちらもイケ様な結構珍しいCP。
かなりイケてるカレシ×ドえらいイケてる旦那様、みたいな二人。
堂松くん視点の本編タイトル『愛だ恋だと騒ぐなよ』
町くん視点の書き下ろしタイトル『愛しているし恋してる』
すばらしい。
蛇足かも知れませんが、久我先生のブログにあるSSはぜひ合わせて読んでいただきたい。
後輩芸人視点のお話なのですが、二人のいる世界がどれだけ華やかなものかがはっきりわかるし、天才肌で孤独ではないけれど孤高の町くんが堂松くんのことを尊敬してるし親愛してるし、心を許している現在がどれだけ幸せかがわかって胸が熱くなります。
東京のピン芸人×関西のピン芸人。
受けの祐の方は最初、俳優も小説家もこなしてしかもイケメン、という町をよく思っていない。ところが町は、最初からフレンドリー。読者としては好意ダダ漏れなその態度にニヤリとし、あいつなんやねん、とイライラしてる祐にもニヤリ。
それでもだんだんと町の良さに気づく祐。ちょっと嫉妬なんかもあり、とうとう町の方から告白された時に、「そうか、このイライラや嫉妬は恋か!」と、自分の気持ちに気づくという展開(笑)
更にここからがすごくて、祐はノンケなのに「やっとくか」って自分から言ってキスしちゃう。町も町で、そんな祐にムードないとか文句を言いながらも、結局は最後まで抱いてしまう。
芸人同士なので、その辺のやりとりがなんか可笑しくて、ニマニマしながら読んじゃった。二人が男同士という問題など、あまりにも軽々と飛び越えてしまうので、ゲイとかノンケなどということは、大したことじゃないのかもと思ってしまう。その代わり片想いの胸キュンとか切なさもないので、そういうのを求めるとちょっと物足りないかな。
悩みや葛藤などとは無縁の、ひたすらに明るいお話だった。
「愛しているし恋してる」
攻め視点のお話。受けから見るとスマートで余裕綽々に見える町も、祐のこととなると、嫉妬したりヘタレ化したり忙しい。二人とも人気者なので、恋のライバルとか現れそうなものだけど、そういうのも一切なし。
積極的な受けが、攻めに跨がって乳首を責めたりしてるのが可愛くて萌えた!
また、久我先生と言えば関西弁エロ。本作は受けのみ関西弁だけど、それでも十分ときめいた。
私も漫才編の方が馴染みが深いので嬉しいです。大御所レベル→バンデージ、安定の中堅→パイロットランプ、若手人気ナンバーワン→オレンジグミ、この成功者達のゲイカップルコンビの話は読んだ方が芸人シリーズをより楽しめます。「何でやねん」と「月も星もない」と「君が笑えば世界も笑う」は全て2冊組でこのグループ達について詳しく書いた主流のシリーズと言えます。
でもお笑いを諦めて別の道に進んだ人の話や裏方になって他のコンビのネタを書くようになった人の話とか主流以外も面白いシリーズ。今回の話も表紙はコンビみたいに見えますが、2人は元芸人のお笑いテレビタレント、東西ライバル関係と言った所です。
東京者の攻めはルックスがいいけど、関西出身の受けはイケメンというより愛嬌のある顔、でも肌はきめ細かいという設定です。標準語×関西弁のえっちシーンが読めるのが最大萌えポイントです。受けの祐は最初は攻めの町に対してライバル心むき出しだったけど相手の良さを知るうちにだんだん恋に落ちていく様子が相変わらずの久我マジックで萌えました。カップルになってからはえっちにも積極的でエロエロですしね。
前編は受け目線で後編は攻め目線で楽しめます。ちょっとスカした感じだった攻めが後編ではヘタレ化します。
おなじみの『芸人シリーズ』ですが、久々の漫才系です。
古の久我さんファンのみなさま!
パイロットランプが出て来るよ!オレンジグミも!
大御所のバンテージや表面張力も町(攻め。東京で活動するマルチタレント的ピン芸人)と祐(受け。大阪でMCとして名を上げ東京進出したピン芸人)の話題に上ります。
もう懐かしくて懐かしくて。
いやー、みんな、漫才冬の時代を生き抜いて頑張っていたのねぇ……久しぶりに『憎からず思っていた遠縁の子』が元気でいるという噂を聞いたおばちゃんの気分ですよ。それだけでもこの本を読んで良かった。
この間の『芸人シリーズ』は落語系の話が多かったのはご存じの通りです。
何故か落語系だと受けさんがしっとりしていらっしゃるのですよ。
たとえ気が強くても『元気な男の子』風の人はいなかったのよね。
今回の祐くんはもう元気で鼻っ柱が強くて、マルチな活動をしている町に激しいライバル意識を持っていて「チャラチャラした東京もんには負けたくない」なーんて思っているんです。
これがねぇ、良いのですよ。
もう『男の子』なんですよ(アラサーなんだけどね)。
「ウッヒョーッ!この感じだよ!芸人シリーズ漫才系だよ!」なんですね。
今までレビューを書かれた皆様が仰るように、この本単独で読んでも楽しめます。楽しめますが、今までのシリーズをずーっと読んできた方は、もっともっと楽しめますよ。『芸人さんたちの物語』として読めるので。
お笑いを追及する彼らが自分たちのセンスをどれだけ大切にしているかとか(町と祐の結びつきって根底にそれがあるからだと思う)は、関連作を読めば読むほど「なるほどねぇ~」となりますから。
このお話を「面白いな」と思った方は是非、他の本も読んでみてください。
ああ、懐かしさを叫んだだけでもう700字を超えてしまった……
いつもの漫才系のお話ではコンビでお笑いを作っていく過程が書かれますが、今回は2人ともピン芸人で『まわし』についてが書かれます。バラエティなどで複数名が話をする時に仕切っていくと言うか、話題を円滑に進めていく技についてですね。
お仕事ものとしてはこれが面白かったですわ。
LOVE方面では、もうストレートど真ん中を投げ続けるお洒落な町と、情に厚く単純そうに見えるけれど結構戦略家、そのくせ人の意見を真っすぐに捉えられる男前な祐、というマッチング。これかなり王道じゃないかなぁ。
祐は寝屋方面でも『淫乱』ではなく『積極的』なんですよ。この辺にも男の子を感じました。
「実にBLっぽいBLを読んだ」という気分です。