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パブリックスクール ―ツバメと監督生たち―

public school tsubame to kantokuseitachi

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表題作パブリックスクール ―ツバメと監督生たち―

スタン・ストーク,17歳,ウェリントン寮の監督生・桂人の恋人
桂人・ヴァンフィール,17歳,ウェリントン寮の監督生・スタンの恋人

その他の収録作品

  • あとがき

あらすじ

名門パブリックスクールの監督生として
最上級生となった桂人。
寮の運営や大学受験の準備と、忙しないけれど充実した毎日を送っている。
唯一の気掛かりは、想いを伝え合ってから、恋人のスタンが一度も「愛してる」と言ってくれないこと。
自分との将来をスタンはどう考えているんだろう──。
そんな不安を抱えていた矢先、初めての寮代表会議が開催された。そこで顔を合わせた他寮代表のアーサーは、どうやらスタンの顔なじみらしい。
けれどそれ以来、なぜかスタンの様子がおかしくて…!?

大人気「パブリックスクール」シリーズ第6巻! !
「ツバメと殉教者」のスタン&桂人、書き下ろし続編が大ボリュームで登場!!
デビュー10周年記念、4冊連続刊行の最後を飾る待望の最新刊! !

作品情報

作品名
パブリックスクール ―ツバメと監督生たち―
著者
樋口美沙緒 
イラスト
yoco 
媒体
小説
出版社
徳間書店
レーベル
キャラ文庫
シリーズ
パブリックスクール-檻の中の王-
発売日
ISBN
9784199009891
4.5

(160)

(119)

萌々

(29)

(4)

中立

(2)

趣味じゃない

(6)

レビュー数
22
得点
725
評価数
160
平均
4.5 / 5
神率
74.4%

レビュー投稿数22

No Title

もうべっしょべしょに泣きながら読んだ……乗り越える為にスタンが向き合うべきものはやはり母との問題なわけですが…。 スタンの弱さが私は好きだけどねぇ桂人の胸中を思うと泣けてたまらない瞬間がいくつもあった… 桂人が寮のことにしてもスタンにしても覚悟を決めて発言する時はいつでもかっこよくて美しかった。そして彼の言葉には魂を揺さぶる強さがあるよなぁ。いったいどんな大人になってどんな仕事につくのか彼のこれからも気になりました

0

ラブは少なめ

前作で結ばれた二人がどうやって付き合っていくのか、楽しみでページを捲っていきましたが、なるほど今回はこういう話か……となりました。

内容は文句なしに面白かった。
でもそれはBLとしての面白さではなく、人がどうやって成長していくかということから目を離せないという意味での面白さだった。

スタンが過去のトラウマでどれほど傷ついているかもわかる。
桂人がどれだけ愛が深くて、優しいかもわかる。
でもいくらスタンが今のままの自分じゃダメだとか、ダメな自分を桂人に見られたくないからと言って、言っていいことと悪いことがあるし、あんなに酷いことを言ったのに「いつか完璧な自分になれたらまた桂人と一緒になりたかった」的なことを言っていたのには少なからずショックを受けました。
でもまぁ彼も17歳。言ったそばから後悔はしていたのでしょう。

とはいえ、内容のほぼ9割はもやもや、ジリジリという感情にさせられて、できればもっとスタンと桂人、二人の話が読みたかったし、今回は桂人の愛が深く大きかったからスタンと最後大団円でしたが、言ってしまえばあんなに自分勝手に桂人から離れようとしたスタンには一度痛い目を見て欲しかった、というかスカッとした気分にさせて欲しかった。

でもそもそもずっとスタンは一冊を通してずっと痛い目を見ていたといえば見ていたと思うので、桂人に一度でも拒絶されてしまったらもう二度と立ち直れなかったのでしょうから、それは仕方がないのかなとも思います。

シリーズ通してどれも神評価したくなるほどの面白さですが、今回は物足りなさを感じたので萌×2です。
ぐるぐるした場面ばかりが多く、その割に爽快感がないような。
とはいえ大好きなシリーズなので、次回作がまた出ればいいなと心から思います。
パブリックスクールシリーズで、新たなCPも読んでみたいです。

0

ボリューミーで、感動で泣ける

2作前のツバメと殉教者のスタン桂人CPの2作目のお話。前作でも親からの虐待に心に傷を負った2人の相互救済に泣けましたが、今作はそれを上回りました。

前作で相互救済したかに思えたものの、スタンは自分を虐待した母を許せず、そんな母が自死したときに喜んだ自分を許せないでいた。その贖罪から、スタンは"それなりの幸せ"があればいいと思っていた。そんな中、スタンの双子の兄アルバートは母親が死ぬ前のスタンを取り戻してほしいと母親の死後きちんと練習をしていなかったバイオリンを再開することを勧める。バイオリンを再開することに難色を示すものの、周囲からの策略で桂人を巻き込む形で再びバイオリンを手にするスタン。そしてバイオリンを再開するためには必要だと桂人に別れを告げる。

しかしいくら3年のブランクを埋めるための猛練習をしても、技術を高めるだけでは音楽に感情が乗らない演奏になってしまう。桂人はスタンが母親の死を乗り越えないとスタンの持つ感情豊かな演奏はできないと気付き、嫌われる覚悟で母親の死と向き合うよう強く迫り…というのが話の本筋ではありますが、それと並行して(というか絡み合って)本来の自身の寮ではないブルーネル寮で過ごさねばならなくなる桂人。

メンベラーズに見出され、ウェリントン寮で寮の運営の才覚を発揮した桂人は内部分裂をしているブルーネル寮の問題点をいち早く見つけ、ブルーネル寮が再び結束するための一石を投じる。

ここであらすじを書くだけでも話の主軸が2つあり、かなりのボリュームの今作(厚さは今までで一番だと思います!)。やはり今回の見どころはスタンが母の死を乗り越えられるのか、乗り越えるとしたらどのように乗り越えるのか、そしてスタンと桂人の未来はどうなるのか。一番泣いて感動したところは見どころに関するところなのであえてここでは言いませんが、自分が作り上げた居場所があれば、未知の場所でも真実を知ることも怖くないということ。いろんな表現で樋口先生が何度も何度も説いて下さっていて、心が洗われるようでした。

そして桂人をあえて内部崩壊しているブルーネル寮に送り込んだのはやはりメンベラーズでした。前作に引き続き、メンベラーズ、恐ろしい子。

1

愛情深い、紆余曲折ありながらも最後は感動できる作品


【ツバメと殉教者】の続きものです
今巻もとても良かったな、んも〜泣きました。やはり樋口先生は『愛とは何なのか』を追求されるような作風の先生ですねこの【ツバメと監督生たち】も各々の家族や友情、恋人との関係性や自分自身がどうありたいかを、生温いところで有耶無耶にせず自分にも他人にも向き合う事で一歩大人になるようなこれぞ2作品目!といえるクォリティでした。
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サブタイトルに監督生たちとあるように主人公の桂人が他寮の監督生達にも影響を強く与える存在になっていて、ウェストン寮だけじゃなく、異動で行くことになったブルーネル寮まで状態を立て直した桂人は今まで以上に男前でカッコよかったなぁそれもこれも、桂人の真っ直ぐな愛情が周りに影響を与えていて、でも桂人がそうなれるきっかけを作ったのがスタンだということがいいよね、
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読み返したくなる作品であり、カップルです。

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愛情深い、紆余曲折ありながらも最後は感動できるBL小説をお探しの方はオススメです。

1

ぜひ続編を!

樋口先生の作品の中で一番好きな作品です。けど本当に何度読み返しても辛い…。ツバメシリーズの前巻を読んだところで、桂人は救われたけどスタンは?あんな経験をしたのなら、あれだけで救われるとは思えない…と正直思っていたので、今回丁寧にスタンの心の傷について描いてくれてとても良かったです。

今回は桂人とスタンの差異がよく書かれているなと個人的には思ったのですが、何度も読むうちに、桂人とスタンって、やっぱりちょっと似てるかも?と思いました。スタンの、臆病さゆえの言葉足らずな言動によって桂人を傷付けているのは勿論ですが、桂人も桂人で自己肯定感の低さからスタンからの愛を低く見積もって傷ついたりしてるんですよね。スタンより桂人の方が健やかな強さを持ってはいるけど、どちらも自分の評価が低くて、自分に向けられる愛の程度を上手く把握できない、不器用な、似てないようで似ている二人だなと思いました。また、おそらく前回の話で(違っていたらごめんなさい)スタンが成長するアルビーや桂人に対して、焦りや自分だけ置いて行かれたような気持ちを抱いていたように、桂人もアルビーに対して今回似たような気持ちになっている記述があったりと、細かなところで2人の似ているところが書かれているなと何度も読み返してから気付きました。

何度読み返しても、スタンが音楽に取り憑かれたように練習している描写が本当に辛くて。桂人を置いて、スタンは音楽の国に行ってしまうのだろうか。音楽といった、魂が呼ぶものにはどんな人も勝てないのだろうかと考えると、本当に苦しくて仕方ありませんでした。凡人の私には才能ある音楽家の見えている世界がまるでわからないし、音楽に没頭する姿を見ると、美しいと思う反面、神様がその人をどこか遠くへ連れていってしまうような、そんな危機感と寂しさを抱いてしまいます。これは以前から思っていたことなのですが、今回この小説を読んで、まさかこの複雑な思いに対する回答が得られるとは思いもしませんでした。桂人の見つけた、ステージを下りた先にも、人生は続いているという答えに、私自身も勝手に救われました。スタンが音楽の中に桂人を感じたように、ステージの下での人生が、ステージ上での演奏に関わることもある。音楽とは単に孤独で閉ざされた世界のことではなく、多くの人と繋がることが出来る素晴らしいものだと、読んでいて気付くことが出来ました。また、桂人にとって音楽とヴァイオリンは競うものではなく、桂人が愛するスタンそのものという考えも本当に素敵で、この考えに辿り着けるのは桂人の強さだなーと改めて思いました。本当に桂人は凄い。強い。美しい。

スタン、桂人に「それなりの幸せ」って言った時はおい!!なんだその言い方!!と思いましたが、それは桂人の存在がその程度っていうよりも、スタンの中でヴァイオリンが、スタンが自分らしく生きるために必要不可欠なもので、ただ単にその部分が欠落してる状態ってことなのかな〜と思いました。一口齧られた林檎みたいに、一部分だけ足りない状態というか。うまく言えないけど。桂人もヴァイオリンも、どちらもスタンには必要不可欠な存在だと思います。2人が別れたら、桂人はなんだかんだ生きていけそうだけど、スタンはボロボロになるんじゃないかな。

今回、スタンは大きな山を越えたけど、桂人もスタンも、彼らが抱えた傷が完璧になくなるなんてことはなくて、この先人生の思いがけないところでも、彼らの抱えた傷が影を落とすこともあるかと思います。けど、精一杯傷と向き合って、互いに愛して欲しいと縋りつけるようになった2人なら、乗り越えていけるんじゃないかと思います。本当にこの話の先の二人が見たい!続編が来る日を楽しみに待っています。小説charaに載せられた後日談もいつか読めるようになりますように…。

2

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