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幸せになりたいオメガ、騎士に嫁ぐ

shiawase ni naritai omega kishi ni totsugu

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表題作幸せになりたいオメガ、騎士に嫁ぐ

ガォルグ・ダンカーソン、木こり、25歳、α
ランティ・アグナム、宿屋の下働き、17歳、Ω

その他の収録作品

  • 幸せになりたいオメガ、騎士と初めての番休暇
  • あとがき

あらすじ

幸せを求める宿屋の下働きでΩのランティ。ある時、同僚が見窄らしい男を助けたら、後に騎士だとわかり玉の輿にのり、次は自分が騎士に見初められるのだと意気込む。
ある日、身なりは質素だが筋骨隆々な美丈夫・ガォルグを、身分を隠した騎士だと勘違いし、猛アプローチする。しかし結婚後にガォルグが正真正銘、木こりだと判明。だが前向きなランティは、「Ωでも幸せになれる」ことを証明するため、ガォルグと力を合わせて商売を始める。頑張り屋なランティに惹かれるガォルグだったが、何やら秘密があるようで…?

――これは努力家で真面目なΩが、勘違いから木こりと結婚して、幸せになるまでの物語。

作品情報

作品名
幸せになりたいオメガ、騎士に嫁ぐ
著者
伊達きよ 
イラスト
本間アキラ 
媒体
小説
出版社
KADOKAWA
レーベル
Ruby collection
発売日
電子発売日
ISBN
9784041137413
4.6

(99)

(76)

萌々

(13)

(6)

中立

(3)

趣味じゃない

(1)

レビュー数
15
得点
453
評価数
99
平均
4.6 / 5
神率
76.8%

レビュー投稿数15

読者のほうが背を押してもらえる応援歌のようなお話。

幸せになりたい宿屋の下働きのオメガ、ランティと身なりは質素だけれど騎士のような風貌のガォルクの夫夫BL。


ランティの思い込みで、ガォルクは絶対に騎士だと思い込み、強い押しで結婚したけれど、実は彼は木こりだったという勘違い。

けれど、ランティはひどく前向きでした。


どうしたら快適に過ごせるのだろうか、や、どうしたらもっとお金が稼げるのだろうか、などなどよく考え、自ら出向いてあれこれ調査し、少しずつ人生においての幸福度を自らの手で高めていくのです。


最終的に判明するガォルクの正体に驚きつつも、ハピエン至上主義的BLとしては最高の結末だったように思います。


そして作中のガォルクではないですが、ランティが頑張っているのだから自分も頑張ろう。

前向きモードスイッチを押してくれる、そんな元気なお話でした。


ちなみにえちは、本編終了後のSSでようやく致しておりました。

0

この主人公を嫌いになる人なんていない!!

作者様買いです!

一応オメガバBL作品ではあるのですが、エロとかそういう要素は薄めで身体的特徴や境遇としてオメガバの設定が生きているタイプの作品です。

特筆すべきは間違いなくランティの主人公然とした応援したくなる人柄だと思います!!
元々結構不遇な状況で生きてきてさらにとんでもない勘違いからの大暴走で物語は始まりますが、本当にへこたれない。明るくて元気で勤勉で親しみやすくて、でもオメガの境遇や現実にはままならないこともあることを理解した上で諦めずに上を向ける。楽観的で思い込みが激しい側面もありますが、起こったことを誰かのせいにして否定的なことを言ったりしない。置かれた環境でなんとか幸せになろうとする逞しさ。本当にランを嫌いになる人なんてただ嫉妬しているだけだと確信をもって言えるくらいいい子だし、この子が幸せになれない世界なんて破綻していると断言できます。
主人公の人柄性格にこんなに元気をもらったのは初めてです!萌えというよりも元気チャージをしたい時に読む一冊になりました!

0

逞しいオメガ、自分で幸せを掴み取る

冬眠シリーズが面白かったので作家買いです。

友達のオメガがシンデレラのように騎士と結婚して、自分も騎士と結婚して幸せを掴みたい!と、道端で出会った騎士(と勝手に思い込んだ)と結婚までほぼ強引にもっていったものの、結婚相手の彼はまさかの木こり!?わかった時は泣いて落ち込んだものの、木こりとの結婚でも幸せになるんだ!と新生活の中で奮闘する物語です。

主人公のオメガ・ランティは猪突猛進!思い込んだら一直線の元気で逞しいオメガ。自分だって騎士と結婚する!と意気込んでいる冒頭はなんだこの子…と思ったものの、すぐに「あ、この子好き」となりました。笑 考え方が逞しくて切り替えが早い!置かれた環境の中で少しでも幸せに暮らす為に工夫していく様子は爽快に感じました。
騎士と勘違いされた木こりで歳上でアルファのガォルグ。ランティの勢いにタジタジになる朴訥な彼ですが、騎士じゃなかったと嘆くランティを無口に怒らずにうんうんと聞いてあげる彼に、なんて良い人なんだと安心感を覚えました。仕事に誠実で、ランティのやる事を無闇に制限しないおおらかさと優しさがある、めちゃくちゃ良い人です。
読者からは互いに愛情は感じるのに、どこかズレてて、お似合いの2人でした。

前半はガォルグの仕事を、ランティが勢いよく良い方向に方向転換させていくお話。後半はランティとガォルグのフウフとしての話とガォルグの秘密についてのお話。恋愛面はモダモダ焦ったくて可愛いです!
なんというかランティが、ブルドーザーで勢いよく突っ走りながら幸せに向かって道を耕して、ガォルグが後ろで支えながらどーんと座っているイメージのお話でした。笑
元気になりたい人にオススメです!

0

応援したくなる受け

「人生はままならない」がとんでもないかわいらしさだったので、他作品も読んでみたい!と飛び込んでみたのですが…

ものすっっっ…ごく!面白かったです!!
こうも萌えのツボをピンポイントでぐぐっと押してくれるなんて、本当に気持ちが良くて仕方がないです。
伊達きよ先生。さらに既刊を追いかけたくなりました。

ランティのような、自立心があって、幸せに対して良い意味で貪欲で、努力を努力と思わず惜しまない賢く逞しい頑張り屋な受けが大好きです。
そこに恋愛感情への鈍さと無自覚なかわいさがぽたぽたと良いエッセンスとして加わっているのだから、これはもう愛さずにはいられませんし、全力で応援したくなっちゃいますよね!
なんだろうなあ。ランティが幸せを掴むまでの過程はもちろん、ガォルグとの出逢いから本当の意味で結婚相手となるまでの流れが読んでいて非常に心地が良かったのです。

激しい思い込みからのガォルグとの超スピード婚後に、どでかい誤解が判明して結婚したかった理由と現状では愛がない気持ちをバカ正直に言ってしまうランティ。
言わずに黙っていても良かったと思うんですよ。でも彼はそれが出来ないんですね。
言われたガォルグもかなり失礼なことを言われているというのに、すんなりと受け入れてしまったのは、きっとランティのそんな正直さが好ましかったからなんじゃないかな。
どうにも憎めないランティと、思わぬところで嫁を娶ることになったガォルグの始まりは突飛なもの。
そこから少しずつ2人で暮らすための足場を力を合わせて作り上げながら、自然となかったはずの恋や愛情がふわ〜っと育っていくのがたまらなく素敵で…!
あれほど自分の幸せを一心に追いかけていたランティが、いつの間にかガォルグの幸せも自分のことと同じくらいの比重で願っているんです。
恋を知らずにいた人が、いつからか分からないけれど気が付いたら恋をしていた・愛するようになっていたお話って、何度読んでも本当に良いものですね。
寡黙で大柄なガォルグが、ランティが作る料理を毎日楽しみにしていたり、ランティに物作りを頼まれるとちょっとうれしそうだったり、「ラン、ラン」と名前を呼ぶ姿もすごくかわいらしくて萌え転がってしまった。
なんて愛情深い攻めなのか…と思いながら、絶妙に萌えるさじ加減で思い込みすれ違う2人の図を終始楽しく追いかけられる1冊かなと。

前向きで明るい雰囲気の中に、ほのぼのとしたときめきと背中を押してあげたくなるような焦ったさが詰め込まれた作品です。
身体から始まらない、愛情と思いやりと心が伴った心地良いオメガバース作品だと思います。
読了後の気分はもちろん最高!かわいくて笑顔になれる素敵なお伽話でした!

1

安定の伊達きよ先生節!

同僚Ωがみすぼらしい身なりの人を助けたらαの騎士で玉の輿婚を果たしたことから自分も!と人助けをしたら騎士じゃなくて木こりだった…という、設定からして伊達きよ先生らしいお話です。が!ただの勘違いだけど幸せになりましたとさ~で終わらないのが伊達きよ先生。騎士じゃなくて木こりにガッカリするでもなく、目には見えない「幸せ」を掴むために努力を惜しまない逞しいΩのランティ。

一方の攻め、木こりのαガォルグはめちゃめちゃどタイプの武骨で寡黙な溺愛攻めさんでした♡食事は口に入ってお腹を満たせばいいと思っていたガォルグがランティにしっかり胃袋を掴まれる描写とか控えめに言って最高でした。そんなガォルグにも何やら語っていない過去があって…という内容です。

既に上にも書いた通り、ランティがとにかく幸せを掴み取るために全くへこたれずに努力を惜しまない姿、ガォルグに対する献身的な姿勢、言葉や表情には表さないのにランティを溺愛しているガォルグ、どこからどう見ても両思いなのに当の本人たちは自分の片思いだと思っていて。両片思いのお話って、読んでて飽きることもあるんですけど、伊達きよ先生の手にかかればどうしてこうも面白く、読む手を止めることが出来なくなるんでしょう?

そして2人が両思いになったところでこのお話が終わってしまうので、両思いになってからの2人が見たい!そしてせっかくオメガバースなんだし、2人のわちゃわちゃ子育て編も読みたい!!と欲が尽きません。これは編集部にリクエスト案件です…!

3

幸せを掴むぞーヽ(`▽´)/

前向きで逞しい受け様で、とっても応援し甲斐のあるステキなお話でした(≧∇≦)

受け様はオメガのランティ。
幸せになりたい、と騎士に嫁ぐことを目指して、騎士様センサーに引っかかった逞しい大柄なアルファにロックオン。
そのアルファこそ、攻め様であるガォルグ。

ガォルグが騎士だと思い込んだランティ。
押せ押せで押し切って結婚にこぎつけけみれば、ガォルグは実は木こりでした。

冒頭のここら辺まで読んだだけで、ランティは私の知ってるオメガとはチガウ…と愉快で仕方ない(*^^*)
なんて素直で逞しく、諦めない子なんでしょう。
ガォルグが木こりだと判明した時は、大ショック受けてわんわん泣いてたけど、それすら悲壮感のない。
元気に素直に泣いてうめいていて、笑いが漏れる。
ガォルグからしたら、これまたショックだったでしょうけどさ。

我に返ったらきちんと謝って、ガォルグにいい嫁を貰ったと思ってもらおう、ここで幸せになろう、と頑張るランティが、やはりとてもいい子(*´∀`*)

もちろん、ガォルグも寡黙で実直で、ランティの事を大事にしてくれていて、とってもいい男♡

そんな勘違いから始まった2人が、少しづつ心を通わせていって、好きを育ていく。
相手は自分のこと、そういう好きじゃない、と思い込んでの、ジレジレモダモダを経て、本当の夫婦へ。
さぁって時のランティの「棒を穴に挿れる」には固まりますね。
可愛い顔して、なんてことを( *´艸`)
まさかここに来てまで笑わせて貰うとは。


2人で特大の幸せを掴むまで、とっても楽しく読ませて頂きました。

2

心温まるオメガバ

伊達きよ先生が大好きなので期待して買いましたが想像以上に大好きな作品となりました!
攻めも受けもとにかく愛しいです。受けの行動力が見ていて気持ちいいです。
オメガの受けがひどい目にあう場面もありますが、そこへかけつける攻めのかっこよさ、最高でした。
受けが仲良しのオメガに言われた言葉通りになっちゃってるのが可愛くてたまりません。
発情期の衝動を必死に抑える攻め、推せますⵈ!
攻めが背中を押された言葉、私もとても大好きな言葉です。
素敵な2人の両片思いを見届ける読者目線、とってもおいしかったです!

3

魅力的なふたり

幸せになりたいΩランティは、同僚が騎士に見初められたことから、自分もこれぞ!と思って街で出会ったαガォルグを口説いて嫁入りしたところ、ガォルグは騎士でなく木こりで…という始まりでした。

ランティは、世慣れている部分と無知な部分がある魅力的なキャラです。すごく可愛いですが、守られたがり屋でなく、自分の足で立って決める、そのぶん自分のことは自分が責任を取るというカッコイイΩでした。

騎士という単語はずっとつきまといますが、相手におんぶにだっこではなく、それがガォルグ、引いては自分の幸せになるからという変化も好ましかったです。

一番面白かったのは、んなわけないない!
お気に入りのイラストはガォルグがイケメン満載な、ランティ抱っこシーンでした。

とにかく二人とも、労を惜しまずキビキビよく働きます。こちらまで元気になるお話でした。

2

こういう受け大好きです!

伊達きよ先生の作品はどれも好きなのですが、今作はその中でも上位に入るくらい好みでした。

まずオメガバにありがちな差別はあるけれども、オメガのランティが下を向いていなくて逞しいところに好感が持てました。
素直で悪いと思ったらちゃんと謝れるし、勉強家で努力の人なんです。苦労を苦労とも思わないで自分の幸せの為に頑張れるところが素晴らしかったです。読んでてスカッとしました。

そしてガォルグの無口で愛想が無いながらも、ここぞというところで頼りになる格好良さに痺れました。命に関わることには怒るけれど基本的にランティの話をウンウンと聞いていて、ランティのしたい事を応援してるところにガォルグの愛情を感じました。

始まりが始まりだったので両片思い状態が続くのですが決して湿っぽくならなくて、どう決着つくのかワクワクするのがこのお話の凄いところでした。

タイトルからガォルグの秘密は何となく気が付くと思いますが、その秘密が明らかになる過程も凄く盛り上がりました。

2人はアルファとオメガですが簡単に身体の関係は持ちません。最後の最後に気持ちが通じ合って本当の夫婦となってからやっと結ばれるので、その点も凄く好みのお話でした。
オメガバ苦手な人にこそ読んで欲しい作品です。

6

幸せのための結婚でしたが

今回は祖父の山を継いだ木こりと宿屋の下働きのお話です。

受様が勘違いで結婚した攻様と幸せになるまでの本編と
攻視点の本編後日談を収録。

この世界の人間は男女の性別とは別に
アルファ、ベータ、オメガという第二の性があります。

アルファは人口の1割にも満たないにも関わらず
アルファは国の中枢で世界を回しています。

ベータは人口の9割近くを占めるアルファの手足であり
稀に優秀な者も生まれるもアルファには敵いません。

そしてオメガはアルファの子を産むだけの存在とまで
言われる脆弱な性とされています。

それは発情期を迎えるために身体能力が格段に落ちるためで
国は一応第二の性差別をなくす試みと支援もしていますが
定期的な休みが必要なオメガは簡単な仕事にしかつけません。

受様は第二の性がオメガと判明した6つの年に宿屋に売られ
学校に行くことも許されず、下働きをしています。

宿屋にもう1人いたオメガは
浮浪者のような姿で怪我を負っていた騎士を助け
彼に求婚されて彼の元に嫁ぎました。

受様は買い出しの帰り道で
何か探す様子の体躯のいい男が目に留まります。
彼が今回の攻様です♪

攻様の外衣はぼろで身なりは良くありませんが
彼の筋肉は長年の鍛錬を思わせ
有名な鍛冶職人の店を探していた事から
彼も友人が助けたような騎士なのでは!? との思い
声を掛けます。

受様は攻様を宿屋の自室に泊まらせ
言葉巧みに攻様に「受様を嫁にしたい」と言わせて
攻様に身請けされて嫁となります。

ところが辿り着いた攻様の家は
人里から離れも離れた山の中のおんぼろ小屋で
攻様は山持ちではあるものの木こりだったのです!!

攻様自身は自分を騎士だと名乗った事はなく
完全に受様の勘違いと思い込みですが
騎士の攻様と幸せになる気満々だった受様は
泣き出してしまいます。

果たして受様は木こりの攻様と幸せになれるのか!?

ある事情で他者との交流を退けている攻様と
幸せになるための努力を惜しまない受様の
オメガバースになります♪

受様は勘違いで攻様に嫁に貰われるも
攻様は山の木の伐採で生計を立てる木こりでした。

散々泣いて吹っ切った受様は騎士との再婚ではなく
攻様という木こりの妻としての幸せになると頑張るのが
とっても良かったです。

自分は絶対に幸せになるのだという強い想いと
それを諦めない強さ、受様の頑張りをみた攻様が
受様に見合うように生きようと行動を変えていくのも
すごく良かったです。

攻様が木こりをしていたのには訳があって
それが受様の未来を変えていくのですが
攻様が本来の生き方を取り戻すまでハラハラ&ドキドキ
とても楽しく読ませて頂きました (^-^)/

本作はオメガの青年と騎士との玉の輿婚から始まりますが
最初は受様が騎士との結婚を目指すきっかけとしての
ふり的な小話かと思っていたら伏線の1つだったのも
上手いなぁって思いました。

5

良いなあ

先生買い。幸せを自分の手でつかもうとするのは良いなあと思ったので、神にしました。オメガバですが、健気な可哀想なオメガではなく、頑張るオメガという印象のお話、本編330Pほど+後日談20P弱+あとがき。

オメガであるため6歳で宿屋の下働きとして売られたランティ。同僚のアレクがケガをした騎士を助け、その騎士と結婚(玉の輿)となったため、自分も!と息巻いています。ある日、ガタイのいい男が困っている様子だったので声をかけたところ・・・と続きます。

攻め受け以外の主な登場人物は
アレク(受けの元同僚)、ザッカンリー(元騎士、剣術道場の主)ぐらいかな。

++攻め受けについて

攻めは寡黙でめっちゃ力持ちな木こりさん!良いですねえ、絶対嘘つかなさそうだし、浮気しなさそうだし、贅沢しないだろうし、最高最良物件と感じるんです。こういう方を旦那さんにしたいよう。めちゃくちゃ大切にしているんですよね、ランティのことを。本当に素敵。

キャラクターとして面白いのは受けかな。
おっちょこちょい早とちりで勝手な思い込みで、突撃&結婚してください!って頼み込んじゃうのですが、実は攻めは木こり。騎士さんに嫁ぎたかったあああああああああと最初めちゃ失礼なことをいいつつ大号泣。最初なんやこいつ、と思ったんですけど、そのあとすっごく頑張るんですよ。本当に良い子頑張り屋さんです。木こりさんとして住んでいる山中のボロ家を少しずつキレイに片づけ、キノコ山菜などを活用して食環境を豊かにし、売っている木をもっと高く売れるようにあれこれ考え・・・。このあたりの頑張るエピソードは読んでいてワクワクしました。

二人の掛け違っている思いも可愛いし、ランティ、ガォルグのキャラも好きだし、お話の読後感は良いし、読んで良かった!楽しかった!と思った一冊でした。ほんと楽しい!

7

受けのタフネスに拍手

とても面白かった。
物語の始まり方から笑っちゃう。
心優しいΩがみすぼらしい怪我人を助けたら騎士様で玉の輿婚しましたという童話のような出来事がすぐ隣で起きたΩが主人公。

自分も玉の輿婚したい、どこかに騎士が落ちてないものか…と思っているところに只者じゃなさそうな屈強攻めが現れる。そこから勘違いが重なり貧しい木こりに嫁いじゃうんだけど、そこからの受けのタフネスとハングリー精神が凄い。攻めに求婚した理由はがめついけれど、勘違いした自分が悪いことも自覚して反省しているし、何より騎士と結婚することはただの手段の一つで本当の目的は「幸せになること」だとわかっているところが良い。

そして辺鄙な山奥で「僕はここで幸になってみせます!」と決意を新たにする。

幸せになるために努力を惜しまない勤勉で粘り強い受けがとても好き。そんな受けの性格を逞しく図太い、そして「本当にしつこい」「お前ほど執念深い奴は初めて見た」などと評されているのも笑った。

そうやって“自分が”幸せになるために貪欲だった受けが攻めにも同じように幸せでいて欲しい、攻めの幸せが自分の幸せにも繋がっていると思い始める心境の変化も良かった。あと攻めを一番強くてかっこいい男だと思っているし、最初に玉の輿婚した同僚の旦那(騎士)よりもイケメンだと思っている受けも良かった。自分の夫のことを自慢げに話すお嫁さんが可愛い。

攻めは無骨で無口な山男なんだけど、受けとの新生活をソワソワ楽しそうにしているのが微笑ましい。酔った攻めが受けの名前を連呼して甘々になっている姿も可愛かった。受けに好かれたくて頑張っている姿も健気。

10

前向きなオメガに勇気をもらう

作家様買い。
オメガバースとのことで発売をずっと楽しみにしていました。

玉の輿にのりたいオメガのランティと、木こりのガォルグとのお話です。
オメガバース作品と言えば、オメガが虐げられて悲観的な作品も多いのですが
こちらの作品のオメガのランティは強くたくましい子でした。


きっと騎士に違いない!と勝手に思い込んでガォルグと結婚したランティ。
実際は木こりだと知って、離婚するかと思いきや
そこからのし上がる為いろんなことを考えるんですね。
ランティは、自分が幸せになるために、自分で道を切り開いていくんです。

途中ハラハラする展開があって、どうなるんだろう…って不安になったんですけど
ちゃんと最後はハッピーエンドで幸せな気持ちになりました。
この作品を読んで、自分も頑張ろう!と勇気をもらいました。
出会えてよかった作品です。

8

幸せは与えられるものじゃない。自分で掴むもの。

こういうおとぎ話調の作品、大好きです!
全部が最高でした。

強かなΩが主人公っていうのも変わっていて面白いんですけど、目論みが外れて"ハズレ婚"をしてしまった残念な結婚生活が、大・逆・転の結末を迎えるドラマチックなシンデレラストーリーです。

この作品のおススメポイントは、幸せエンディングが素敵ってだけじゃないんです。
その過程がとにかく素晴らしい!

何が良いかというと、Ωのランティがとにかく前向き。幸せを獲得するためならどんな過酷な状況にあっても這いつくばる精神の持ち主です。
いやね、Ωって弱々しくて可愛らしくて庇護欲掻き立てられる印象なんですけど、ランティは逆。可愛らしい見た目に反してハートが強い。生きる力がものすごく高く、どんな逆境に置かれてもその状況をより良くすることに物凄く一生懸命です。

くよくよしない、ハートの強い主人公は私の大好物。結婚したαの夫が望んでいた騎士ではなく、木こりだと判明したときも残念がるのは一瞬で、気持ちを切り替えて生活基盤を整えていく手腕は見事。勉強もコツコツ頑張る努力家で、仕事の才能と先を見通す能力もある。まさしく理想の嫁です。

そんなランティと結婚した夫のガォルグも、もっさり木こりだったのがみるみる洗練された男になっていきます。ランティの"あげまん"力がすんごいすんごい。
生活も潤い、共に力を合わせて頑張ってきた夫婦の想いが、本物の気持ちになっていくのは当然の流れ。好きから始まらない結婚生活が、いつしか愛情で満たされていくことになります。けど、始まりが始まりだけにここから思いっきり気持ちにすれ違いが起きてしまう。

これがですね……実に焦ったい!!

ここまで気持ちがすれ違うのはまさにミラクル。相談されている第三者も呆れてしまうほどです。最初から自分は恋愛対象外だと思っているから、向けられた好意を全部逆に捉えてしまう2人。なんでこうなるのか…何度もガックリした読者も多いのではないでしょうか。


平行線を辿る2人の関係は、ランティに婚姻を申し込むαの存在によって大きく変わっていきます。それと同時に、木こりのガォルグには隠されていた過去が暴かれることになるのですが…これが本当にドラマチックな展開。まるでおとぎ話の世界です。

私なんか興奮が止まずで、喉の奥がキュッとなって心臓もバクバク鳴ってました。いやー…多幸感とワクワク感に溺れまくりです。
この最高のエンディングはぜひとも読んでその楽しさを味わって欲しい♪( ´▽`)


物語が優しい文章で綴られているのがとても読みやすい上に、ストーリー展開がどんどん盛り上がっていく疾走感が心地良いです。難しい設定もややこしい関係もなくサクサク読めるので、あっという間に読み終えました。
物語はサクサク読めるのに、2人の気持ちが通い合うのはモダモダ。恋の行方にスピード感はありませんが、それだけにクライマックスは、かけた時間の分の重みを感じることが出来ました。


ウブな夫婦が紡ぐ恋物語は、勘違いから始まるニセ恋でしたが、2人で過ごす時間が本物にさせてくれました。これって"運命の番"以上の運命の番関係だと思うんですよね。
自分で幸せを掴み取って、運命を切り開いていく彼らは間違いなく"運命の番"です。

とっても可愛くて読むだけで前向きに元気になれるストーリーです。超絶おススメします!

12

何から何まで、とにかく可愛い。

伊達さんの新刊はオメガバースもの。
伊達さんの描かれるオメガバものかあ、シリアスなのか切ないのか、どっちかな?と思いつつ手に取りました。

ネタばれ含んでいます。ご注意ください。




みすぼらしい、汚い格好の男が道端でうずくまっていた。
誰もが素通りする中、一人の男の子が声をかけ、家に連れてきて手厚い看病をした。オメガのその男の子は、そのバース性から生きづらさを感じてはいたが、それでも困っている人を放っておけなかったのだ。

その男は元気になり、少年のもとを去っていく。
そして、騎士という身分を明かしたうえで、改めてその男の子・アレクにプロポーズをするために戻ってきたー。

というお話の、アレクが主人公。
ではなく、アレクの同僚・ランティが主人公のお話。アレクと同じオメガの男の子。いつか、アレクの様に立派な素敵な騎士と恋をして番になって玉の輿に乗りたい。そんな風に思っている17歳の男の子だ。

ランティはアレクと同じように、小汚い、けれど体格の良いアルファがその辺に行き倒れていないかと物色、もとい探すが、果たしてそこに、ランティのお眼鏡にかなうアルファのガォルグが困った風で立っていてー?

オメガバもので、オメガが主人公でしょ?
薄幸少年じゃないの?
そんな風に思いつつ読み進めましたが、なんともコミカルにスタートする1冊です。

差別はよくない、と言いつつも、それでもオメガへの偏見がはびこる世界で、いつか玉の輿に乗って幸せになりたい!と奮闘するランティですが。アレクと同じように、ガォルクも汚い格好をしてはいるけれど、体格もいいし、アルファだし、自分を幸せにしてくれる騎士さまだ、と思い込むランティはガォルクに猛アタックし番になることに成功するけれど、果たしてガォルクの正体は山小屋にある汚い小屋で一人住まう木こりだったー。

と書いてしまうと、ランティがちょっと強欲な?なんとなくアレな感じがする男の子にように感じてしまうのですが。

ランティはいつでも前向き。自分がこうと思ったら猪突猛進。
そんなランティと、なんとなく世捨て人の様に生きているガォルクとのコンビが最高にバランスがいいのです。まさに割れ鍋に綴じ蓋。幸せになるために、ランティはあきらめない。もう、読んでいてこちらまで元気が出るような、そんなガッツのある男の子なのです。

が、なぜランティは幸せになりたいのか?
そこには彼の過酷な幼少期が関係していて。コミカルな中に、切なさとか差別、偏見に対するメッセージも込められていて、そのバランスが秀逸なのです。

木こりのガォルクですが、実は騎士になりたいんじゃないの?
そんな風に思ったランティは、どうすればいいのか考え、そして速攻で行動に移していきます。が、ガォルクの正体、というか身分、というか、そういったものは読者にはなんとなーく読めちゃうんですよね。

でも、そんな風に一生懸命のランティを見て、諦めずに頑張ろうという思いがガォルクにもよみがえってくる。そんな風に共に過ごしていくうちに、二人はかりそめの番の関係から少しずつ進んでいくけれど。

この二人の恋のやり取りがまた可愛いというか笑えるというか。
まさに「すれ違い」「勘違い」。
王道の流れではあるのですが、ガォルク、そしてランティの二人のキャラ勝ちっていうんですかね。嫌味がないんです。はらはらしつつ、応援する思いがどんどん高まってくる感じ。

この可愛いお話に、本間さんの挿絵がぴったり。
本間さんの絵柄で、ほのぼの感がさらにマシマシです。

オメガバものですが、エロは最後にあるだけ。
ランティが巣作りするシーンがありますが、こんなんされたらガォルクでなくても萌えが滾る。めっちゃ可愛い。

コミカルさとほのぼのと、そして恋心と。
こんなにも上手にミックスできるのは、さすが伊達先生といったところか。序盤から、この物語はどう動いていくんだろう…、と思いつつ読み進めましたがめちゃめちゃ可愛いお話でした。

読後、心がほっこり温かくなる、そんな1冊でした。

13

この作品が収納されている本棚

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