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表題作是(11)

和記,人形師
真鉄,力一の紙さま

その他の収録作品

  • 第五十五話 波紋
  • 第五十六話 はなむけ
  • 第五十七話 誰も止めるはかなわない
  • 第五十八話 落命
  • 第五十九話 是
  • 最終話 日日是好日(描き下ろし)

あらすじ

自らが惚れ込んだ男・力一(りきいち)と、彼に懐いてゆく紙様(かみさま)・真鉄(まがね)。 真鉄を抱きながらも脳裏に浮かぶふたりの姿に、和記(わき)の胸は疼く。 そんなとき、滝に流れ着いた傷を負った兄弟が、和記の愛する桃源郷に変化をもたらす……。和記の叫ぶ願いとは!? 超人気シリーズ『是-ZE-』いよいよ完結!! キャラクター勢揃いの描き下ろし番外篇も収録!!

(出版社より)

作品情報

作品名
是(11)
著者
志水ゆき 
媒体
漫画(コミック)
出版社
新書館
レーベル
Dear+コミックス
シリーズ
発売日
ISBN
9784403663178
4.3

(113)

(70)

萌々

(23)

(12)

中立

(6)

趣味じゃない

(2)

レビュー数
22
得点
484
評価数
113
平均
4.3 / 5
神率
61.9%

レビュー投稿数22

日々是「是」也

和記編の完結と共にとうとう「是」もラストを迎えました。
あとがきで作者さんが書かれていますが、和記編はBL要素は大変に薄いものでしたが、それまで10巻で綴られていた紙様の言霊師にとっての価値というか、その存在の有り様全てが、和記の抱える全てだったのかな?
と考えると、ひねて拗ねて人でなしのような愛に憎しみを感じさせるような和記が一歩足を踏み出す話しは、三刀家の歴史を解き明かす為にも必要な、締めくくりにふさわしいフィナーレだったのかも。

過去、和記に唯一安らぎを愛を与えてくれた狼の骨が混じった紙様として生まれた真鉄を、和記は愛しているのだと思いました。
でも真鉄は力一の紙様で、無邪気で欲のない純粋な心で力一を慕っている。
それに、和記は嫉妬しているかとも思ったのです。
でも何か違うぞ!と、、、
和記には真鉄と同じように、力一だけ。
和記も真鉄と同じなのかも?と、、、力一が全てだから、自分の愛する真鉄を含めて力一なのだろうか?と、、、
ひねた人物だけに、何となく察するだけで、これが正解なんだよという自信と確証はありません。
でも力一が希望であり夢であり、彼がいるから生きたい、生きている目標があったのだと。
しかし、力一の死によってその希望は失われ、でも力一の言葉によって生かされている。
だから彼は拗ねて生きているんだと思えたのです。

紙様が生みだされたことで三刀一族の生活は変わっていったのですが、そのエピソードとして、守夜と氷見の以前の言霊師の件が出てきたのが興味深かったです。
そしてなにより、一族以外の人間が現れ、力一の妹と娘と結ばれたことにより生まれた、それが彰伊と琴葉だったというルーツも知ることが出来ました。
しかし、その外から来た人物が彼等のそれなりの平和を、そして力一の命を奪ったことになったとは。
妹の宇多が亡くなるシーン、力一が亡くなるシーンで、たまらず涙が・・・

ラスト、真鉄の再生は一体どうだったのか?はっきりさせてありません。
でも、自分にはそれはどっちでもいい事だと思うのです。
過去の記憶を持ったままだろうが、そうでなかろうが。
だって、雷蔵と紺、玄間と氷見、彰伊と阿沙利で、どんな結果が出ようがそこに信頼と愛があれば、ということを和記はもう見たんですもんね!
しかし、見たところどうも犬くさい?www(狼の骨残ってたんだろうか?)

ラストの全員集合は、知りたかった櫻花さんの兄弟のことがわかってちょっと得した気分v
エロがなかったから、エロ双子の初陽のサービスショットと、いつものバカップル玄間の「取り込み中」でちょっとおまけ(笑)
いつか、力一が紙様として再び和記と出会えるその日が来るのだろうか?それに希望をたくしたくなるような良い終わりでした。

ラストでスケジュールも大変だったとは思うのですが、絵の雑な部分がちょっと目立ったのが若干残念な部分ありました。
しかし全体をとおしても、とても素晴らしいシリーズでした。
夢をありがとう、といいましょうか。

22

シリーズ総まとめ

最終巻。
ここに来て出てきたタイトルの『是』という言葉にちょっと鳥肌がたった。
本当に力一は罪作りなお人だなあ。
人でなし、和気の抱えていた複雑な想い。読者の想像に任せるラストが素敵でした。個人的には記憶はなくしているけれど、昔と変わっていないとかが一番萌えるかもしれない。

和気編はシリーズ総まとめだと思っています。
和気と真鉄の関係も愛ではあるけど恋ではない。
むしろこの流れだと、彼が本当に好きだったのは……とか色々考えてしまった。
恋とか愛とか名前もつかない執着とか。
そういう曖昧な部分が印象的な最終巻。「BL」ってくくっちゃうと少しもの足りないような気もするけれど、これがいいと思うのです。

最後のキャラクター大集合書き下ろしは幸せでした。櫻花姉弟にびっくりした。真鉄は文句なしにかわいいし、雷蔵にぎゅってした紺もかわいい。いつの間にこんなに可愛くなったんだ!!また一巻から読み返そう。

15

8巻から11巻まで泣いたぜ~。

一巻から和記の存在が一人だけ独特であった理由やあさりが紙様の中で仲間を
大事にする気持ちそして1巻で彰伊とケンカしていた理由なのがばばばばーとつながります。

そして11巻で和記のへなちょこぶりがよくわかります(笑)
へなちょこってよりもともと性格まがってんだよねうんうん

俗物を喰い荒しまくった和記にゆいつなついた犬。
その犬が自分をかばいしぬことで和記も命を断とうとします。
人間と犬だけどそこには何かがあった・・・・。

力一と出会いが和記をかえ力一の死で和記は心の扉を閉めます。

10巻では氷見やあさりに八つ当たり・・・・。なんでこんなに??ってくらい
和記でしたが11巻ですべてのはじまりがときあかされます。

力一と和記がであったことで生まれた命おとした命がある。
それを踏み越えて人間と紙様との間に愛が産まれるんだなぁとうるうるしちゃいました。

ラストの写真撮影は本当に通過点でしかない人生のほんのささいな出来事だけど
雷蔵や紺くん、ほかのみんなが幸せに命をまっとうするといいなぁと思いました。

がしかし・・・。どいつもこいつも子は産まない予定よね。
どこかで続いてほしいとか思ってしまいました。

私的には、やっぱり近衛×琴葉と彰伊×あさり押しです。うんっ

8

逸品

「是 ZE」シリーズの完結篇、たまたま聴いたドラマCD「是 ZE」ファイナル、とても感動したのでコミックも購入しました。

和記と力一との出会いから、真鉄、紙様(かみ)たちの誕生話〜私個人的にはBLなのですが、力一と宇多の関係性、宇多の薄幸な人生に涙が止まりませんでした。力一が、宇多の幸せを願い、どんな気持ちで手放したか…

運命か宿命か…どんなに努力しても頑張ってもカルマ、不運からは逃れられない。「ただ、愛しただけ」なのに。「兄様、私が愚かだとあきれますか?…」

宇多の最期、すべてのカルマを背負うと誓い、我が子(彰伊)の幸せを願う…宇多の母としての強さと慈愛に涙が止まりませんでした。なぜ、美しい宇多がこのような最期を迎えなければならなかったのかと…宇多は穂積の命乞いまでしていた…そして、力一は宇多のために自身を犠牲にしてまで彰伊を守り抜いた。

和記が大事に見守り続けた真鉄〜その真鉄も力一を追って…冷酷で人間の感情すら持ち合わせていなかった和記が、初めて人間らしさを取り戻せた特別な存在の男たちとの別れ…

和記の根底にある「虚しさと寂しさ」

どんな形であれ、いつかは誰しも別離が訪れる…生きること、幸せとは何かをこの作品を通して改めて考えさせられました。この世に生を受けたすべてのものは、正と負の感情、虚しさと寂しさの感情をひた隠しにしながら生きているようにも感じました。

力一の「最後の命(めい)」「約束」からまた物語が始まり、紡がれてゆく…

そして、「生きて守れ」生き続けるかぎり、一人ではない…力強い力一の言霊で和記も少しは救われたような気がしました。

ラストの集合写真、とても和みましたし、皆がハッピーエンドで終焉を迎えることができて本当に本当によかった。最後に、作者様、感動と勇気をたくさんいただきました。ありがとうございました。

5

一炊の夢。愛も恋も。希望もすべて、あなたと共に生きていくこと。

最終巻において、遠い前世の物語の様な。和記の回想を交え、彰伊や琴葉の生まれる以前が語られて行きます。彰伊の出生の秘密、その両親の死。
桃源郷だった里に外部から人間を受け入れた事によって、それぞれの運命が変わっていく。
紙様の生みの親であり、その能力ゆえに人ならざるもの、死ぬことすらままならない和記の生きる理由、意味をくれた力一。あとがきに記されたように、真鉄への愛情とは別に、和記は力一を確かに愛していたと思います。
彰伊が生まれる前なので、高々30年程遡っただけなのに。年号すらよくわからない程、時代がかった村での暮らし。そのもっともっと昔から、人の生死をただ見つめて、共に生きるものも無く、不死身ゆえに孤独に生きて来た和記。共に生きると誓った力一が逝った後もその言霊に護られて生きているのだと思います。
生きることの苦しみも愛も。すべてを受け入れてこれを「是」としていくこと。物語を貫くテーマを和記 編で締めくくられたことに感慨深いものを感じます。
読み手側の感じたままで良いと言われる真鉄の前世の記憶ですが、私はどちらでも良いと思っています。これまでの紙様とその主人である繋がりや愛情を見て来たからこそ、和記はこれを「是」として受け入れるのでは無いかと思うのです。そして命を吹き込まれた紙様は自らまた和記を選んでくれることでしょう。でもなー、「奇跡を見せてくれ、力一。」「是だ。」などとやりとりがあるので…。やはり真鉄は前世の記憶そのままに命を吹き返す事でしょう。
最初、この最終巻を読んだ頃は、それまで積み重ねた重みに比べたら幾分軽さを感じて物足りなくも感じていたのですが。(最も読み返すのは4巻ですし。)こうして読み返してみれば、やはりこれでいいのだとも思います。むしろ、最初ピンと来ていなかった、和記の力一への強い愛情が読み返す毎に感じられる様になりました。
雷蔵くんが玄間から教えられたこと、「家や家族も亡くして、この先もっと色々なものを失くしても。最後にはきっと紙様が残る。大事にしてやれって。」というのも効いています。和記はもう寂しくはないのです。それが希望。
フィナーレはカーテンコールの様に、全員揃って。櫻花さまの姉弟はさっぱり分からなくて笑えます。やっとほっこりもしますが、やはり最終巻も前半は号泣必至。特に男を追って里を出た宇多が、兄である力一に心配させまいと、独り寂しく死んで逝くところ。その男、穂積がやり方は無茶苦茶だけれども宇多を守りたいとの想いだけで必死に足掻くところ。核を割られてなお、力一の側にと絶壁から飛ぶ真鉄。(ダメだ、思い出しただけで涙。)それを虚しく止めようとする和記。力一の最期の言霊。表情の薄いまま、当主であることを決意して貴光の自害を押し留める千乃。(この子は年若いのに冷静過ぎる!)涙無くして読めません。
これからもまた、泣きながら何度でも読み返して行くことになるかと思います。

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