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表題作遠回りする恋心

平岡喬介、錬が思いを寄せる温和で社交的な同級生
小山田錬、性癖を隠してキャラを作る経済学部二年

その他の収録作品

  • 空回りする恋心
  • メガネ(真生るいすコミック)
  • あとがき

あらすじ

錬は大学で出来た親友の喬介に、ひそかに片思いをしている。
一緒にいる天国と地獄を味わううち、なんだかバランスが取れなくなって……?

作品情報

作品名
遠回りする恋心
著者
月村奎 
イラスト
真生るいす 
媒体
小説
出版社
新書館
レーベル
ディアプラス文庫
発売日
ISBN
9784403524073
3.7

(120)

(30)

萌々

(47)

(28)

中立

(7)

趣味じゃない

(8)

レビュー数
20
得点
429
評価数
120
平均
3.7 / 5
神率
25%

レビュー投稿数20

当て馬が魅力的すぎる。

主人公の錬(受)は、自分と同じテニスサークルに所属する喬介(攻)に恋をしている大学生。
親友として傍にいたけど、自分の気持ちを抑えるのにも限界がやってきてーー…という物語でした。

錬という人間の根幹にあるのは、ゲイであることに対する嫌悪感や罪悪感。
決してゲイバレしたくないという気持ちから、錬は本来の自分を押し隠し、がさつで横柄なキャラを演じています。

また、強い嫌悪感や罪悪感は、自慰時の女装癖へと繋がっていました。
女の子になりたいわけじゃないけど、女の子のふりをすることで、男性を求める罪悪感を少しでも和らげたい…ということなんですよね。
女装した自分の姿を「グロい」と笑う錬が痛々しい。
個人的にワケあり女装癖持ちの受け様が大好きなので、ガシッと胸を掴まれちゃいました。
自己評価の低い受け様は月村先生作品ではあるあるですが、ここまで自分自身を「嫌悪」しているのは珍しいかも…という印象。


そんな錬の秘密を知るのが、ふたりが通う大学の事務員・矢崎です。
矢崎はシニカルでいまいち掴みどころのない性格をしていますが、錬にとっては自分の女装癖を受け入れてくれる唯一の存在となります。
恋愛相手ではないからこそ、矢崎の前では肩の力を抜くことができ、素のままの自分を晒せるのでした。

もうね、ほんと矢崎が魅力的なんですよ。
すぐふざけるおちゃらけキャラだけど、本当に錬が落ちてる時は静かに受けとめてくれて。
これ、もし矢崎が錬に本気だったら辛すぎて無理でした。
なんで矢崎を選ばないんだ(悶)!ってなっちゃう。
でも、矢崎が錬に抱いている思いは純粋な恋じゃなくて…
そこには矢崎の過去に関係する複雑な思いがありました。
このなんとも表現し難いふたりの関係性がとてもよかったです。

わたしの中で錬と矢崎の関係性は、欠けた心を持ち寄り、ただ寄りそい合っているイメージでした。
寄り添うことはできるけど、欠けた部分を埋めてあげることは出来ない。
しかも錬と矢崎は、自分の欠けた部分を埋めてくれる人が誰かを知っている。
そんな感じがしました。

あの夜ゲイバーで出会ったのが矢崎で本当によかったと思う。
限界ぎりぎりだった錬の避難所になってくれた矢崎にも必ず幸せになって欲しいです。
それが新しい恋に落ちることなのか、はたまた過去を思い続けることなのかは分からないけれど。


本編は矢崎の存在感が大きくて、そちらにかなり気を取られたのですが、続編の「空回りする恋心」では喬介の独占欲にきゅんとしました。
女装することへの葛藤、ひいてはノンケと付き合うことへの不安もきちんと描かれていて最高のお付き合い編でした。

1

サブキャラ矢崎さんのお話を超読みたい

月村先生の過去作品追いかけ中で、こちらは2016年発売。サブキャラが好きで好きで堪らなかったのですがあまり得意ではない要素があったので萌にしました。雑誌掲載分170Pほど+後日談50P+真生先生のコミック2P+あとがき。少しでも女装ネタが不得意な方は、ちょっと考えた方がよいかも。

同じテニスサークルの喬介のことが好きな錬(れん)。中学から自分の性志向を認識していて実家では辛かったため、大学入学と同時に一人暮らしを始めていて、喬介と仲良くなった後は部屋に入り浸る関係に。色々煮詰まって、喬介に思いがバレそうな気がしてきたので、ある日思い切ってゲイバーに出かけていき・・と続きます。

攻め受け以外の登場人物は
矢崎さん(カプの通う大学の事務員)、その他テニスサークルの仲間少々。矢崎さんが好き。この人のスピンオフが絶対あるのではと思ったんですけどね・・見つけられない。こんな悲しい、でも良い人をそのままにしておくのは嫌だなあ(涙)

**内容に触れる感想

受けは超超超小心者で、びびりのあまり逆ギレするタイプ。「可愛い子がタイプ」という喬介のことを好きになってしまって、可愛い子になれるかなと女装を試したりする一途な方。一緒にいられるのは嬉しいけれど気持ちがバレたら大変、大学にいる間くらい親友でいたいと、がちがちに緊張しまくっている方。だから疲れちゃって、知り合った矢崎さんは、一緒にいてとても楽だし、性癖は最初からバレてるし、ちょっかいかけてきてくれるので・・とフラッとしてしまうのは、すっごく良く分かります。

攻めはほんわり包容力大な大型犬イメージで、錬もタカをくくっていたら、めっちゃ錬の想いがバレバレだったというお話なのですが。

なんといっても個人的一押しキャラは、矢崎さん(ネコ)。
攻め受けが両想いだろと予想していて、そのふらつく錬を受け止めてあげる矢崎さんが、すごく愛おしかったです。ネコなのに「こんな可愛い子ならタチ出来る」とか言ってくれて、優しく優しく錬のそのままを受け入れてくれて。「錬、こっちにしとけ!!!」と何回思ったことかあ。時が止まっている悲しい想いがあるけれど、それに巻き込むことなく、そっと錬の想いを応援してくれているように感じて、矢崎さんには感謝しかないです。彼がいつか幸せになるお話を読みたくてしょうがないんですけど、今探してみても、なさそうなんですよね・・・うう。

大学生メインカプの可愛い恋話より、サブキャラがめちゃくちゃ気になった一冊でした。

1

攻めより当て馬の存在感が大

受けの錬の自己否定、自虐が過ぎて攻撃的になってしまう言動が痛々しかったです。

ゲイである自分を認められず、女装に走るという拗らせっぷり。
ゲイばれを防ぐために細心の注意を払って「ちょっとガサツで平凡なノンケ」を演じる日々。
そして親友・喬介への想いを必死に隠すあまりホモファビアめいた発言も時にする。

そのような態度を取ってしまう自分を嫌悪し、絶望しているんですね。

そんな錬が痛々しいと思っていたので「結構前から両思いだって確信してた」という喬介の告白にムカッときてしまいました……。
だったら、もっと早くに告白してこいや!と。(それだともはや「遠回りする」恋心ではないんだけど)
とくに「好意に気づいてカマをかけたのにかわされた」とボヤいたところになんかモヤっと。

ド直球で体当たりしてこんかい!と。
そんで逃げられたとしても必死で追いかけろ!と。
(注:私の好みはワンコです)

錬は心にもないことを吐いてまで必死に演技して哀れだな…と思ってたくらいなので、気づいてるならもっと早くに救ってほしかったというか……。

攻めよりも当て馬の矢崎の存在感が大きくて、彼に全部持っていかれた感が強いです。

シニカルでひょうひょうとした矢崎という避難所があったからこそ、錬はなんとか小康状態が保たれたんだろうなぁって。
だって相手が自制心のある矢崎じゃなかったら、いつ喰われてもおかしくなかったと思うの。

ほんと矢崎さまさまだと思う。

自分の心を持て余して愚痴をこぼした錬に対して
「今はわからなくても、きっと何年か経ったら、今のその気持ちを懐かしく愛おしく思い出すよ」と諭すところで、思わず泣いてしまった……。

矢崎……。

そんな矢崎に幸あれとみんな願ってるはずなのに、救済スピンオフは数年経った今も出ていないようですね……。

でも私の妄想の中で、矢崎は一途で実直な大学生(童貞)に惚れられて、幸せになってます。
大学職員の矢崎に一目惚れしたのは新入生の攻め。
年下ということもあり矢崎は全然相手にしないのだけど、あしらってもあしらってもめげずにひたむきに思いを伝えてくるワンコ。
そんなワンコの誠実な愛によって、過去の思い出がようやく昇華できた矢崎は幸せになるのです!



3

高評価が多くて読んだのですが

喬介の好意は最初からはっきりとしていたように思えたんですが、錬の卑屈にも思える程の自信の無さがややこしくしたように感じます。

私には錬の矢崎へのなつき方がちょっと唐突過ぎたように感じたし、矢崎の人を食ったような態度も好きになれませんでした。

喬介の戸惑いや怒りは当たり前だし、あれでよく錬に愛想を尽かさなかったと感心しました。
矢崎との間をあれだけ書くならば、喬介が錬のどこを気に入っていつから好きになって行ったのかをじっくり書いて欲しかったです。

2

遠回りというよりぐるぐる回る恋心

錬のぐるぐる回る恋心が可笑しくて切なかった。
がさつでぶっきらぼう設定を一生懸命に演じる錬が痛々しくて「もうやめちゃいなよ喬介を好きなこと」と言ってしまいたくなりました。
好きな人のそばでドキドキジタバタする様子が乙女っぽくて『設定』とは真逆のなのに頑張って無理していたけれどあまりの不自然さにバテバテです。

当て馬的な役回りの矢崎さんいい人だ。
意地悪かったりしても本当は優しくて人の痛みがわかる人です。
限界だった錬の逃げ場になって壊れそうな心を救ってくれました。
どんなことも受け入れ認めてくれる人がいれば大丈夫だと思いました。

そして、手に入れたら失う恐怖が付きまとうのも恋愛というもの。

好きすぎるが故の妄想と考えすぎが可笑しいような哀しいような…で泣き笑いでした。

2

典型的な月村テンプレ

月村本の積ん読消化中。
これも典型的な月村テンプレ、あきれかえるほどいつもの月村作品。
達観している攻め、訳知り顔のオブザーバーな当て馬がやや目新しいか?
ネガティブな受けの自虐ぶりが度を超していて、後ろ向きで悲観的になるにも限度があるのでは? しかも常に斜め上にネガティブ暴走するので、自分から望めば手に入る幸せを踏みつけて、こなごなにしているような? ここまで後ろ向きだと、つきあわされる周囲があわれ。

イラストは好きなマンガ家さんだったけど、あまり合っていなかったような?
表紙のカラーイラストはきれいでしたが、モノクロは独特のラフさがなくなって、すっきりしたけど無個性になってしまったような?

3

遠回りで空回り

イケメンで優しい非の打ち所がないような攻めの喬介と、ガサツ(に見せてるだけ)でツンデレな錬の両片想い話です。
とはいっても喬介は錬が自分の事を好きだって分かってたから、両片想いとは言わないのかな。
ホント、タイトルがぴったりです。

それにしても錬は強気なところあるけど健気でした。
想いが通じた後に喬介から女物の洋服を贈られ、空回りしてスネ毛剃ったり髪伸ばしたり…。
喬介は矢崎への対抗心から贈っただけなのに、この空回りっぷり(笑)
勘違いという事が分かりこれからは本心を言う事にした、という錬の言葉にキュンときました(〃ω〃)

当て馬(?)の矢崎の過去が悲しすぎだし良いキャラだったので、矢崎の救済スピンオフが読みたいです。

3

これを求めていました!!!

月村先生の作品は作者買いしています。
とはいえ、このところちょっと個人的に求めている萌えツボとちょっとずれてしまっていて、楽しく読みはするものの、神萌え・・・とはならず正直物足りなかったんです。
でも、久しぶりに求めているものが来ました!!!!!
受け様・攻め様が親友同士、(受け様的に)不毛片想いと思ってぐるぐるしてしまう、受け様が意地っ張りで強がりでコンプレックスの塊、攻め様の人間性と包容力の高さがもう神レベル(まさに王子様)、攻め様の受け様への嫉妬心に執着心に欲情っぷりが素敵、恋と自分自身に悩みドツボにはまる受け様に手を差し伸べてくれる人の登場・・・と、私が勝手に個人的に月村先生作品に求めていたシチュエーションにキャラ設定を久しぶりに見る事ができて、とてもドキドキわくわく、そして更にはぐるぐる悩む受け様の気持ちがリンクして久しぶりにホロリ涙も・・・
でも、決して重かったり暗かったり悲しかったりはしなくて、とにかく心癒される素敵なお話でした。読後感もすっきりです!!!途中も嫌だな・・・と思うようなことが一つもなかったです。

ただひたすら、攻め様と当て馬の矢崎が本当に人としても素敵で・・・
私自身は完全に受け様のような性格なだけに、彼らのようにできた人間て本当にただただ憧れときめきます。
読み終わってしまうのが勿体ないような素敵なお話でした。

10

当て馬さんがただの当て馬で終わらない印象深さ

真生るいすさんの表紙が素敵で、月村さんの作品にひじょーにマッチしています。
もともと挿絵が真生さんだったので購入しようとは思っていましたが、賛否両論あるようですが前作の『Release』が個人的にはかなり良かったので新刊も…という気持ちになりました。

**********************
受けの錬は、無表情なクールビューティー系。
もともとゲイですが、それをひた隠しにしているためにわざと男らしく振る舞う、実はコミュニケーションをとるのが苦手な20歳の大学生。

攻めは錬の大学の友人、喬介。
大柄で柔和、体格に反してソフトな社交派です。
錬と同じテニスサークルへ所属し、一人暮らしの部屋の合鍵を交換しているような気の置けない間柄。
**********************

月村さんらしいツンデレ受け。
そして小心者ゆえの逆ギレも(苦笑
ただ珍しいのは、受けが女装をしながら(性別女子になりたいというわけではない)抱かれたいと思っているということです。
そしてそんな自分の性癖に嫌悪を抱き、罪悪感にまみれています。

なんというかかなり完璧なんですよね、攻めの喬介は。
両片想いのお話なのですが、そんな喬介が一応外見はしっかり男の錬に惹かれたのがあまり良くわからない。
女子にもモテモテですしね。
ただ、『好きな相手がたまたま同性だった』というBLの設定で良くあるものがスルリと違和感なく感じられたのは、喬介の性格、性質の描かれ方がうまいからなのかもしれません。
大きな山や谷がドラマティックにあるわけではないのに、くぐっとくるのも流石でした。

あとがきに当て馬の矢崎を救済して欲しいとの声があったと書かれていましたが、わたしも一票!
こういういけずな大人良いですね〜。
『50番目のファーストラブ』の攻めを思い出しました。
月村さんの書かれるこういう大人の男性好きなんですが、ただ彼は残念ながらネコ派なのだそうで。
タチなら読みたいな〜。
30代の受けは苦手ジャンルなので…
しかし不覚にもメインの二人ではなく、矢崎と錬のやりとりに泣いてしまいました。
錬が女装して思わず自分の不安を吐露してしまう、それを矢崎が大人の男として受け止めてやる。
そんなシーンにひじょうにくるものがありました。

1

甘酸っぱい

自分がゲイであることを悟られまいと、好きな喬介の前でちょっと口の悪い友人を演じる錬。
親友という近い距離がだんだん自分を追い詰めていってしまう錬の葛藤が切なかったです。
自分の気持ちを知られたら気持ち悪がられるという思い込みから
喬介が錬に向ける視線や気持ちに気づけず本当にぐるぐる遠回りした恋でした(^^)

甘酸っぱく可愛いお話で好きでしたが、個人的には錬の女装のくだりはなくてもよかったかな~と思います。

あと学生課の矢崎さんは、悩む錬の良き相談相手になり、
喬介の嫉妬心をあおる存在にもなりと、
二人をいい具合に刺激してくれて素敵なキャラでした。

2

萌要素の宝庫です( ´艸`)

勝手ながら月村奎先生の作品と言うと暗く地味なイメージがあり(すみません>_<)、ながらく未読でした。
ただ評価がすごく高いので気になり読んでみたところ、がっつりハマりました。
何でもっと早く読まなかったのか後悔しつつ、既刊を片っ端から読んでます!

さて、ネガティブな受けと包容力攻めという黄金カップリングです。
最近は女装物がやたらと多い気がしますが、嫌いではないけれど萌えもしないという微妙なジャンルでした。
しかし、この作品ではものすごく萌えました(//∇//)
女装が随所で上手く使われているせいだと思います。
特に攻めが受けは女装好きだと思い女性用の服をプレゼントするくだりですね。
受けは、もともとノンケの攻めなので女装していない素の自分は好かれないと思い、少しでもひかれないようにと涙ぐましい努力をします。
お約束の誤解や思い込みによるすれ違いですが、ものすごく切なくてキュンキュンします。
こんな感じでちょこちょこ女装が入ってくるので不自然さがなく、話の中で上手いスパイスになってます。

そして、なんといってもHが萌えます!!
初体験の受けがいっぱいいっぱいになるのもカワイイし、色々されるうちに訳が分からなくなり無意識に攻めを煽る事を言ってしまうのに非常に萌えます!
攻めも上手く受けを言いくるめていいようにしちゃうんですが、途中から煽られて余裕が無くなるのがいいです( ´艸`)

ご本人が金太郎飴作家とおっしゃる通り毎度この健気受けと包容力攻めのお約束のパターンなのですが、逆に言うとバツグンの安定感なのです!!
読む作品がほぼほぼツボにハマり、自分の萌要素はこのパターンだったんだと初めて気付きました(^_^)ゞ
やっぱり食わず嫌いは損しちゃいますね。
私と同じようになんとなくのイメージで月村作品を避けていた方にも、ぜひチャレンジしてもらいたいです!!

5

気持ち悪い

最近立て続けに、女装ネタを読んで、胸焼けしてます。

元々、受けさんが、女々しいのが苦手なので、月村さんの本をあまり読まないようにしていたのに、どこの本屋を見ても評価が良くて思わず、購入してしまいました!

ここでも、神が多いので好きな人は多いのでしよう!
だけど、私は、ダメでした。
攻めさんが、ハッキリしないのも、受けさんが、女々しいのも、当て馬的な人の恋人が死んじゃってるという悲しいエピソードもなにもかも、気持ち悪くて吐き気がしました。

5

しっぽ逆立てたぐるぐるかわいい子猫ちゃん。

 雑誌掲載時から好きだなー、と思っていて、単行本になるのを楽しみにしていました。

受け様の錬君は、ゲイで一番近い友人である喬介が好きだとばれたくなくて、がちがちに鎧をかぶってます。
ちょいちょいキレて、その度にけっこうな罵詈雑言だったり、必要以上な否定をかましていて、私からしたらいやいやそこまで言わんでも、と思うシーンもあったのですが、喬介から見れば、追い詰められてしっぽ逆立ててる子猫ちゃんくらいに見えてたんでしょうね。愛だわー。

 私は攻め様が受け様にふりまわされてる姿が大好きなので、当て馬(と言ったら失礼なくらいいい人でしたが)の矢崎さんと錬くんが急接近してて、やきもきしていたであろう喬介の心中を察するとにまにましてしまいした。
更に矢崎さんに買ってもらった女装での身一つで帰ってきた錬君を見た時の喬介の心中やいかに、と妄想したら、もっとやきもち焼いて、がっつりいっちゃえー、とにやにやが止まりません。
案の定、喬介、がっつりいっちゃってました。ふほほほ。

 書き下ろし、喬介視点を期待していたのですが、そのまま錬君視点でした。
女装が好きなんだと勘違いしたままの喬介にかわいい女性用の服をプレゼントされて、こんなかわいい服が似合う子が好きなんだ、とやはり勘違いした錬君がぐるぐる悩んでてかわいかったです。

7

当て馬さんの印象が良い意味で強烈

大学生の錬(受け)はゲイで、親友の喬介(攻め)のことが好き。
バレないように必死で親友を演じてきたけれど、そろそろ限界でボロが出そうになってしまう。距離を置いて、自分の中のモヤモヤを何とかできないかとゲイバーに行きます。そこで大学職員の矢崎と出会う。同じ嗜好の矢崎には恋愛も関係ないじ、取り繕わなくていいため、すごく楽で自分らしくいられ安らぎます。急速に距離を縮める矢崎と錬を見て、喬介は気になって。

錬は喬介に対して性的に見てしまう罪悪感をごまかすため女装をしてみたり、何とか卒業まで親友でい続けられるようがんばってます。
上手くやっていってるつもりだったようですが、喬介にはだだ漏れだったんですよね。
動揺するとキレて、気持ち悪いだのかなりキツいことを言ってしまっていて、よく嫌われないなと思ってましたが、虚勢だってバレてたからだったんですね。
錬視点しかないので、喬介の気持ちは最後の方までわかりません。まさかの両思いだったとは。
矢崎はいつも飄々としていてすぐにからかってくるし内心がよくわかりません。いい人なのかそうでないのかも。でも、深く傷ついていることだけは昔話で想像できるし、お気楽そうに見えるのは彼なりの鎧。どうやったって死んだ人には敵わない。新しい恋をしようにも、普通に別れたよりも折り合いをつけるのは難しいと思います。その中で、錬に昔の自分を投影し、罪悪感と嫌悪感で固まってしまっている錬の話を聞いてあげたのは錬にとっては凄く救われたとは思いますが、彼にとってはどうだったんでしょうか?昔の自分を思い出して想いを昇華できて新しい恋をすることができるようになったのだとしたら良いのですが。
錬は結果的に利用したことになって申し訳ないと思っていて、そう思っていることを矢崎はわかっていると思います。だから、上手くいった後でも2人をからかったりして、錬に気にすることはないよといってあげてるのではないかなと思ったりするのですが、考えすぎかな。
普通、当て馬さんに思うところってあんまりないんですが(ゲス野郎死ねとは思いますが)、今回は上手くいった2人は普通に良かったと思うのですが、それよりも矢崎の印象の方が強烈でした。昔の恋を忘れさせてくれる情熱的な恋人ができることを切に願います。

矢崎のことばかりで変なレビューになってしまいましたが、主役の2人にはSSの方でも相手を思いやるばかりにすれ違いが起こってしまっていました。これからは思ったことは正直に言うという誓いを破ることなく幸せになって欲しいです。そして、錬は罪悪感やら嫌悪感やらで、凝り固まってるあまりツンデレが酷いので、喬介に愛されてること実感して、もう少しツンを少なくデレを多めにしてほしいな。

5

思いはぐ~るぐる

自分の性癖をひた隠しにし、わざとぶっきらぼうに振る舞い大学生活を過ごす錬。
新入生のときに先輩にからまれ、颯爽と登場し助けてくれた喬介に一目惚れをするものの、自分の気持ちを押し殺し『友達』の距離を保とうとする。
しかし思いは徐々に膨れ上がり、誤魔化しがきかなくなってきた錬は知られて喬介に嫌われるのを怖がり、喬介から離れようとするけれど…。

ぐるぐるうじうじとネガティブな錬くん。
友達の距離を壊したくないからこそ、踏み出すことが怖い。
そんなジレジレ錬くんの良き(?)理解者の矢崎さんがとぉってもいい仕事をしてくれています。
むしろ喬介よりも矢崎さんにしなよ!と思ってしまうぐらい、いい感じに緩くて大人な方です。

錬のぐるぐるや虚勢は結局み~んな喬介にバレていたのですが…ならもっと早く錬くんを落とさんかい!と喬介に言ってやりたい気もするが、喬介は喬介で案外ビビっていたのかも。
ビビりながらも錬の自分に対する余裕の無さを感じ取っていた喬介は、まぁ結局はあぐらをかいていたワケで。
急に離れ出した錬に焦ったのかもしれませんね。

思いあってからもぐるぐるしてる二人。
言葉が足りないよ~。とハラハラ。
遠回りしたけれど、ようやく意思の疎通ができてよかったよかった。

これからもどんどん二人で色んなプレイを楽しんでください!
そして矢崎さんに愛の手を!

3

主役の大学生二人より、脇の大人が魅力的!

入学早々助けてくれた同級生の喬介に、一目惚れをした錬。
彼は強気で男っぽいキャラを演じながら、
実は自分の性癖に罪悪感を持ち、心の中ではいつもビクビクしている。
親友のポジションを得て彼と親しくできる幸せを味わいながら
いつも「自分の想いがバレたら……」と、怯え卑屈にグルグルしている。

ノンケに片思いするネガティブな受けの切ない話というのは、
月村さんの十八番だと思うが、今回はやや違う味付け。

ストレートに健気なのではなく、ちょっとやり過ぎくらい強がって
自分を守っている、ツンデレ風味。
中身は乙女なのに、がさつな野郎を必要以上に演じている。


ぐるぐるが高じて、決して女になりたい訳でも女装趣味でもないのに
女物を身につけて自慰をし、そして更に罪悪感を募らせている。

そんな錬が、もう喬介を諦めよう離れようと思う経緯の中で
ゲイバーで出会った年上の人・矢崎さん。
この彼の存在をきっかけに、結局喬介の想いも確かめられ
めでたしめでたし……


なんだけれど、なんだろうなぁ……
鷹揚で穏やか、と言えばポジティブなんだけれど、
受けがこんなに苦しい思いをしているのに、当て馬が出てくるまで
動かなかった喬介は、私はあまり好みじゃないかな。
そして、いったん気持ちが通じたら
嫉妬深くて変態かかっているっていうのも、どうなの?
まぁ、それでも錬にとっては唯一無二のテニスの王子様なんだから
仕方ないんだけれどね〜

安定の月村クオリティで面白く読みましたが、
主人公二人にあまり思い入れられなかったせいか、
胸がキュンとして強く惹きつけられて……とはならずに読了。

過去に傷を抱える当て馬の矢崎さんがいい味。
主人公2人よりずっと彼が気になったのにで、
彼が幸せになるスピンオフを期待します!

真生るいすさんの挿絵は、巻末のマンガを含めてなかなか良い感じで
矢崎さんと二人で☆を稼いで、評価は萌×2に。

5

ツンデレ大学生がぐるぐるする話

自分がゲイであることに悩んでいる大学生の受けが、大学に入って知り合った気のいい男子に惹かれてしまい、切ない恋心をどう隠せばいいの、的なお話です。

受けはゲイで、こっそり女物の服や下着を買って、それを着て攻めのことを思い浮かべながらオナニーしています。そしてそれをすごく恥じていて、自分は変態だ、と日々思い悩んでいます。
攻めは鷹揚で社交的で、受けと授業中やサークル活動でもベッタリ。スキンシップも激しいので、受けは頭を触られたり、飲み物の回し飲みをしたりするたびに心臓がバクバク。

ちなみに受けは、自分がすごく演技が上手いと思っている、という設定。いや、上手くないから…。しょっちゅう赤くなってるし、どもったり、挙動不審になったり、なんでこれで自分を演技派だと思えるのか心底疑問。
そんなこんなで日々テンパっている受けですが、ある晩攻め家に泊まった時、寝ている攻めに出来心でキスしそうになります。攻めが起きてしまったので未遂ですが、キスしようとしていたのがバレているのか気づかれていないのかすら不明。
そして、このままではヤバイと思った受けは、攻めと距離を置くことを決意。バイトを増やすからとサークルにも行かなくなり、ゲイバーに足を運んでみます。

正直、この受けの思っていることとやっていることが理解できず、感情移入できませんでした。ツンデレキャラなのですが、攻めに対する想いを隠すためにキーキー言ってるのが可愛く思えないし、これで演技派だと思ってるのも理解できないし、ゲイバーに行ってみるのも「同じ性癖の人を見たかった」ってのがよくわからない。いっそ寝る相手を探しに、というほうがまだ理解できる気がします。
そしてそこで都合よく、受けに無理やり手を出そうとしない、偶然同じ大学の職員でもあったキャラと知り合う。そのキャラが上手く攻めの嫉妬心を煽り、骨を折ってくれ、受けと攻めが結ばれます。
うーん…ちょっとご都合主義な気がしました。

とは言え、かなりがっつりの片想い&すれ違いで、それは読んでいて楽しかったです。個人的に受けがもうちょっと可愛げのある人だと良かったな。ツンデレはいいけど、ゲイであることを隠したいあまりに、ホモだとか女装だとかいう言葉に過剰反応してゲイフォビアみたいなことを吐き捨てるのはあまり好きになれなかった。
あと攻めはなかなかオトコマエでよかったけど、受けを好きになった理由が少し弱いかな、と思いました。

10

期待以上!

いつもの月村先生お得意、健気幸薄受けちゃんのお話かと思ったら少し違っていて期待以上に面白かったです!
今回の主人公は、少し女装癖のある意地っ張りな可愛い受けちゃんでした。ツンになりきれない可愛い男の子です。
一方の攻め様は、そんな受けちゃんを可愛く思うイケメン君でした。受けの錬が逃げまくるので、お互い両思いなのになかなか結ばれませんでした。大学生の若々しい同級生カップルです。笑
当て馬として出てくるのが矢崎さんです。彼は、今回のお話でかなり印象的な人物でした。過去にあった恋愛から抜け出せない彼が、可哀想で仕方ありませんでした。ただの当て馬じゃないので、是非是非彼を主役にしたスピンオフを書いていただきたいです。そして幸せにしてあげてほしい...涙

物語は一貫して受けの錬視線で進みますが、特典のペーパーの方で少しだけ喬介視線を楽しめます。これを読めば、彼がいかに錬を大事にしてるか、どれだけ可愛いと思ってるかが分かります。攻め目線が大好きな私としては美味しい特典でした。


月村先生お好きな方なら絶対楽しめる作品だと思います。
ぜひ、読んでみてください。(そして先生、矢崎のスピンオフ。期待してます...笑笑)

5

遠回りは恋以外にも必要不可欠かもしれない

真生るいすさんのイラストと月村さんの作品って
あまりピンと来ないイメージがあったのですが
(すみません)
読ませていただいたら予想以上に良かったです!!

性嗜好が普通じゃない事を誰にも知られたくない錬は
大学に入って初めて出来た親友の喬介を好きになってしまいます。
人当たりが良く誰にでも優しくて
テニスサークル内でも喬介を悪く言う人がいない程。
絶対気持ちを知られるわけにはいかないと
錬はつい真逆の言葉をぶつけてしまいますが…。

先日、腐友さんと「月村さんの作品って
わりとネガティブ受けが多いかも??」と話したんですが
錬はネガティブというよりはリアルにいそうな大学生でした。
本音を知られたくないが故に虚勢を張り
逆の言葉を好きな相手にぶつけて自分を守ろうとする姿に
つい心苦しくなりました。
それでも、バーで偶然出会った事務職員の矢崎に
誰にも話せなかった自分の事、喬介の事も話せて
だいぶラクになって心から良かったねって思えました。
矢崎の、自らの経験から繰り出される言葉は
錬にしてみれば“余裕ぶって腹立つ”という気持ちもあったでしょうけど
私は矢崎に肩入れしすぎて
喬介じゃなくて矢崎とうまくいって欲しいとさえ思ってしまいました!!
当て馬にしては良い奴過ぎて…!!
矢崎も、どちらかというとネコらしいので
いっそ百合ップルでもアリじゃないのか!?と…。
喬介から離れようとする錬に実はいくらでもつけこめたのに
そうしなかったのはちゃんと好きだと思ってくれていたから。
ああ…矢崎に幸せになって欲しい…スピンオフおなしゃす……。

でも不思議な事に、やっぱり喬介と両想いになれて
その後の思い違いもありつつハピエンおめでとう!って
喬介もいいヤツだから思えましたし
結構なむっつり具合も好感が持てました☆

イ○ローが、挫折を味わわない成功は
深みが出ないというような事を言っていたようですが
まさにそれだと思うのです。
遠回りでも決して無駄じゃない、
本当の幸せへの過程であるんじゃないかと思います。

…にしても矢崎……!!!!!いい男でした!!!

12

脇役が主役を食っちゃってる気がします☆

作家買いです。月村さんはたま~に当たりはずれがあるので(いや、失礼!)ちょっとドキドキしながら手に取りました。内容は、というと。すみません、ネタバレしてます。




大学生の錬は中学生の時にゲイである自分の性癖を自覚して以来、自身に引け目を感じています。ゲイであることがばれないように必要以上に豪胆な態度をとることで自分を守っています。
そんな彼は、大学生になり出会った喬介にひそかな恋心を抱いていますが、それを喬介に告げることはせず、友達としての立場を貫いています。が、喬介への想いが募るにつれ『友達』として彼のそばにいることがつらくなり。
そんなある日、勇気を出して赴いたゲイバーで一人の男性と出会い…。

というお話。

月村さんというと、健気でネガティブな受けさんというイメージですが、この作品の錬もいい感じのネガティブさんでした(←とてもツボ)。
喬介のことが好きで好きで、でも友達という立場を失うくらいならこのままでいい。
グルグル空回りする錬がめっちゃ可愛いかったです。

喬介もいい男なんです。
ビジュアルもですが、思いやりにあふれた優しいナイスガイでした。

ただ、錬が喬介への想いを持て余し、精神的に助けを求める錬の通う大学の事務職員の矢崎。彼の存在が大きすぎました。
錬がゲイバーで出会った矢崎。
彼となら、ゲイである葛藤を共有できる。
男を好きになってしまう苦しさも理解してもらえる。
恋心を持っていない分、ドキドキすることも切なくなることもない。
錬の、矢崎に感じる安らぎも共感できるのでそこでモダモダする錬の葛藤が非常によかった。

飄々とした矢崎の、切なすぎる過去や、実は思慮深く優しい彼の内面とか。正直、主役の喬介を食っちゃってるなあと思ってしまった。矢崎に割かれているページ数も、喬介に比べてだいぶ多いです。
あとがきで読者から「矢崎を救済してください」という声が大きかったと月村さんも書いていらっしゃいますが、まったく同じことを思いました。ぜひともスピンオフで彼を幸せにしてあげてほしいなと思います。

終盤に挿絵を描いていらっしゃる真生さんの描かれた漫画が「メガネ」というタイトルで見開き1P分掲載されていましたが、こういう趣向はとても楽しいなと思いました。

月村さんの描かれるネガティブ受けがお好きな腐姐さまにはお勧めしたい、月村ワールド満載の作品でした。

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