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表題作タイラント

曽我部平等(タイラ) 義兄 ハッカー
曽我部存(アリ) 義弟 冒険者

その他の収録作品

  • 予習編
  • i've never left you
  • カバー下:人物紹介、あとがき

あらすじ

同い年の義兄弟、平等(タイラ)と存(アリ)。
幼い頃からアリは「死ぬような危険」を求めて
周囲を困らせるが、タイラだけはアリの衝動を理解する。
そしてタイラにとってアリが全てになった――。
タイラは追跡者(トレーサー)、アリは冒険家として
それぞれ生活するも会えばセックスして
お互いを感じあう。
いつまでも心地良い、
つかず離れずの関係は続くかと思われたが…。

作品情報

作品名
タイラント
著者
未散ソノオ 
媒体
漫画(コミック)
出版社
芳文社
レーベル
花音コミックス
発売日
ISBN
9784832290167
3.9

(88)

(35)

萌々

(25)

(19)

中立

(5)

趣味じゃない

(4)

レビュー数
21
得点
337
評価数
88
平均
3.9 / 5
神率
39.8%

レビュー投稿数21

義兄弟の異質なラブストーリー

『死にそうになることによって生きてる』

そんな風に、義兄に形容される【アリ】と、そんな彼の衝動を赦してずっと監視して(見守って)いる【タイラ】の話。

めちゃくちゃ業が深いです。一般的な感性では彼らの関係性を理解するのは難しい・・・。

アリは、見方によっては異常者、見方によっては天才。彼をどのように定義するかは、見る者による。幸いなことに、物語の中では『エクストリームスポーツプレイヤー』として活躍している。支えてくれるマネージャーの【フリー】もいる。

一方のタイラは、一見マトモだけど本当は全然そんなことはなくて。アリへの愛?執着?で雁字搦めになっている。

平凡な感性ではこれに萌えるのはなかなか難しかったですが、セックスするときに『アリちゃん』、『おにいちゃん』と呼び合うのがツボだったので萌にします。

1

なんかすごい二人だぁ…

いやぁぶっ飛んでました!設定からキャラ造形から全てが。身近にこういう人いるいるっていう共感はゼロなのに、キャラの性質的なところがすごく良く伝わってくる不思議な描写力。絵に魅せられるシーンは少なくても、とても惹かれる作風でした。
メインカプは義兄弟のタイラとアリ。本能のままに生きるアリと、そのままのアリでいさせるためだけに生きているようなタイラ。アリのためなら一流ハッカーになれるしCIAにも目を付けられちゃう。こういう、とことんまで突き抜けた設定大好きです。
転機はタイラの誘拐事件から。アリはずっと二人一緒に過ごすために生き方を変えようとします。放浪癖のあるキャラなんかに共通するパターン化した流れではあったんですが、この展開のオチがBのLで!ちょっと笑っちゃいました。え?痴話げんか?無意識??なんなのこの子たち!?っていう。
振り回されたフリーの心労に共感しまくりです笑。
なんかすごいものを見たなあっていう感想。これが二人の形だ!っていう主張強めで分かりやすいと思います。面白かったです。

1

危なっかしくて熱い兄弟

 これはまた今までに出会ったことのないキャラ! 義弟であるアリの、生きていることを実感するために一歩間違えれば死に至る行動を衝動的にしたくなるという性質が斬新で、とても興味深かったです。創作では初めて見たけれど、なんだかいそうですよねこういう人。ある意味リスカのような自傷行為とも似ているのかもしれませんが、別に日常で追い詰められてなくても本能的にやってしまうという点では、似て非なる行動なのかも。

 彼が生きようが死のうが問わない代わりに、彼が孤独を感じないよう、そして自分から興味を失わないよう常に監視する義兄・タイラ。アリからタイラに向かう気持ちが恋なのは分かりますが、タイラからアリに向かう気持ちは、はっきり愛と呼べるものなのか、私には確信が持てませんでした。アリ以上に、相手に捨てられたくない気持ちが強いタイラ。親を慕う子にも近い執着心の方が近い気がしました。ただ、これからも互いの気持ちをもっと晒し合うことによって、義兄弟であっても恋人のように愛し合える日が来ることもあるかもしれません。2人が共に心地良く安心できる関係性を見つけられればいいなと思います。

0

なぜか多幸感に包まれる作品

1巻では足りないです!
未散先生、続きを描いてください。お願いですから。

多幸感の理由は「死をも超越した兄弟の絆」。
恐ろしいことをするほど発せられる、ドーパミンやアドレナリン。
それらをコントロールできない。
危ないことジャンキーの弟のために、「どんな骨でも拾ってあげる」とまじめに言い切る異常な兄。

もちろん弟が望めばセックスもする。それもとても気持ちよさそうに。

この強く強く強い、兄弟の絆にうらやましく感じ、2人の幸福感が作品から伝わってくるのでしょうか。

それにしても、エージョンととは何か、なぜ2人はセックスするようになったのか。
裏側ももっと描いて欲しい作品です。

0

発想がすごい!いちゃいちゃが好き(でも深い)

まず、このお話の発想がすごい。

アリは子どもの頃から危険なことをして自分を殺そうとする衝動を抑えられず(陰鬱さがないのがいい!)

タイラはアリに危険なことをやめさせるのではなく、世界のどこで死んでもアリを追跡できるよう開発&監視者に。
子どもの頃にCIAにスカウトされるなんて、すこすぎw

お互いかけがえのない存在での、いちゃいちゃっぷりに萌え。
特に、アリのタイラへの甘えっぷりが好き。
タイラがアリちゃんと言って甘やかせるのも。
それも、愛ゆえの執着やったんやね。
と言ったら、陳腐になってしまうけど。

アリをサポートするフリーが常識人で、フリーを通して、2人のことを何とか理解できる感じ。

あとがきの「タイラもアリもお互い以外じゃがいもなので 誰の言うことも聞かない」に笑ったw
だから、タイラント=暴君に納得。

未散先生作品らしく、ストレスなくドキドキ進む。
いつものごとく、いいセリフ多し。
先生作品にしてはエロも多めかな。

本筋というか肝は、2人の関係が変わっていくとこですけど。
タイラにいつでも見守られているから自由にできているアリと、そんなアリを変えてしまうとアリでなくなるから見守ることに専念していたタイラ。

それがあることから2人の気持ちの底の部分が露わになり、関係性が少し変化する。
でも愛は変わらず。

お話の発想、キャラ設定、構成等、どの作品でもいつも新鮮な驚きと、さりげないながら含蓄のある人生や人間についてのまなざしが、さすが未散先生!と魅了される。

1

常軌を逸した発想のふたりが最高

死にたがりの弟アリと、アリがいつ死んでも大丈夫なよう、常に弟を監視する兄タイラ。
最高すぎました。
ふたりとも発想が常軌を逸しすぎているけど、お互い大好きラブラブなのが一貫しているのがほっこりします。
あとタイラが「アリの関心が自分から離れないように無意識に行動してた」って健気可愛い……!
最後「一緒に死にたい」って台詞……初めてアリがいつ死んでも良い、じゃなくてタイラと生きたい、に変われたんじゃないかと思えてとても感動しました。

0

読むのにエネルギーを要します

未散先生大好きです

この作品は、あらすじでリアリティがちょっと薄かったのでなかなか手が伸びませんでしたが今回読みました

個人的に控えめに言っても、神作品です
独特の世界観と、シンプルなキャラ設定から深みのある心情描写
賢いのにそんなこと悩んでたの?みたいなところが、小気味好い作品でした

タイラとアリが、義理の兄弟にこだわる理由が繊細でけど確固たるもので、2人にしかわからない、というか2人が分かってれば良いというのが2人の絆の強さを物語ってました

あとがきに、2人が亡き後、フリーが田舎のバーとかで思い出話をしてる感じというのがすごくしっくりきました

この本では、2人は死なないけど、2人にとって死はいつも隣り合わせなんだなと、心が掴まれるような息苦しさを感じながら読み進めました

タイラが、アリは不自由な生活をしていると常に言うのですが、他人からは自由に見える彼の不自由さを理解できる愛の深さを痛感するお話でした

2

衝動と愛情

なかなか厄介な性癖?質な弟と彼を必死で守る兄の義理の兄弟ものです。

大好きなのに、愛してるのに、弟の死の衝動から弟を守る為に生きてきた兄。でも弟も兄が大好きで愛してるし全幅の信頼を寄せているからどんな危険にも挑戦し続ける。死んでも兄に欠片を拾ってもらえるから。どこにいても見守ってくれてるから。

ですが兄が誘拐されて弟は変わります。
兄を置いていくのがダメなんだ、空じゃだめ海だ!って。海だと弟の体に入れたチップが壊れちゃうから兄が日本に戻って新しいチップを開発しなきゃって別れるところから新しい関係が始まりましたね。

刺さるものがあった。でもそれがはっきり見えない。

受け攻めは意外でした。

1

Tyrant 暴君

タイラとアリ(蟻 ant)でタイラント

危険に身を置き続けないと自分らしくいられないアリと、義兄弟であるアリを自分らしくいさせ続ける事に人生を捧げるタイラの話。
日本ベースにしない方がしっくりくる世界観でした。事実2人の設定は血は日本人、国籍はアメリカ人ですけどね。

完成度の非常に高い、美しい物語です。現実味のなさとリアリティのバランスが絶妙。欧米製作の単館映画のよう。
レビューで絵に関しての言及が多いようですが、好きです。ただこれ、空や海、ビルの描写・構図が上手い一般紙の漫画家の方が描いたら、BL漫画の枠組みを超えてさらに恐ろしく美しい作品になるかもしれない。

話の流れ的にどちらかの死が伴うバッドエンドを覚悟しましたが、そうならなくて本当に良かった。メリーバッドエンドですらなく、幸せな幕引きだと思います。

0

こういう話を待っていた!

とても好きな作家さんなのですが、あらすじを読んであまり興味をそそられなかったので、ずっと未読でした。しかし、チルチルさんの兄弟特集?で高評価だったので、読んでみました。
ただぶっ飛んだ設定で、やってばっかりのおかしな兄弟かと思いきや、何と優しい素敵なお話で! 読み進めれば、彼らの感情が少しづつ見えてきて。すっごいお気に入りになりました〜。2人がお互いを呼び合う瞬間、堪らないです。何度も読み返して、2人の台詞とか表情とかを味わいたいですね。

2

フリーが一番不憫

冒頭からいきなりガツガツの、服着ていない率の非常に高い本。
幼くして出会った連れ子同士が、執着して共依存していく破滅系ハッピーエンドストーリー。
お話としては、お互いのことしか見えないって事だけが重要で、諸々細かいところにはつっこまずに読むが上々。
二人の関係は、他人からはわかりにくいし、本人たち自身でもあまりわかってないみたいだけど、何があっても二人はお互いに離れられないってことが描かれているので、読んでいるこっちとしても、二人のことは、寧ろわからなくて当然みたいな感じ。
かなりの分量のエチシーンが描かれているけど、それもエロいというよりは、二人の関係性を見せるためのものの感じが強い。
評価のばらつきは、やっぱり絵によるところが大きいと思うけど、私としてはここまでサクッとしてると逆にストーリーに集中できていいのでプラス評価。

1

捉えにくい人物像

果たして暴君はどっちなんだろう、と読み進めましたが、どっちとかいう話ではありませんでした。
死の衝動に駆られて危険な挑戦ばかりする弟と、そんな弟を見守る(監視する)兄の話。

まず大前提であるアリの衝動を理解できなくて隅から隅まで読んだものの、何かきっかけがあったような記述はなく、ただ幼い頃から危険な遊びが好きだったということのみ。
これって脳の機能の問題だよな、といろいろ調べてみました。
エクストリームスポーツを好むひとは概してドーパミンの量を制御する自己受容体という神経細胞が少ないそうです。危険なことをやり遂げればやり遂げるほどドーパミンが出て気持ち良くなる。だからもっと気持ち良くなりたくて、さらに危険なことに挑戦したくなるそうですが、アリは「やり遂げる」ことが目的ではないんですよね。
やり遂げられなくてもタイラが見ていてくれたらいい。タイラが死体を集めに来てくれたらいい。明らかにエクストリームスポーツをするひととは違う感覚なのです。
ここはもはや理解しないで、受け入れるべき事項なんですね。何かかも解明して理解しようと深読みしたり調べまくってしまう悪い癖が出ました。

はっきりと理由や事情が描かれていないことだらけで、読者に分かるのはタイラに関しては「アリを監視するために知識を身につけていくうちに世界トップレベルのハッカー」になって、「何らかの事情であまり外に出たらまずい」(能力を利用したい人に捕まるから?)ということ。
アリに関しては「危険なことのためならどこにでも行く」けど「タイラとの約束で自分に手招きする人のところへは行かない」し、「タイラ以外のひととはセックスしない」。
「アリが呼べばタイラはどこへでも行くけど、帯同することはしない」ということだけ。
すべての理由を説明しない手法がタイラとアリの「周囲は関係ない」という関係のようで、明かされなければ明かされないほど知りたくなりました。まんまと策にはまったかも。

後半で「離れているけど見ている」という2人の不思議な距離感が変わります。
「もう空にはいかない」というアリの決意と「外に出るのは危険だけれど、アリが来てと言うから海に同行する」というタイラの決断の間にある温度差が歯痒い。
ふたりが感情を露わにしたシーンでもタイラはアリが空に行かなくなった理由を勘違いしたままで、お互いのことを全てわかり合っていると思えていた中盤までの2人とは印象が違ってしまうのです。この辺りのおかげで、ずっと人間味のなかったふたりが急に血の通った人間に思えました。
唯一読者にも共有してもらえたアリとタイラのお互いに対する気持ちはすごく単純で純粋です。

タイトルについてはあとがきに理由が書いてありましたが、登場人物の名前を見たときに勝手に「タイラ」と「アリ」(ant)で「タイラント」か!と思っていました。そうじゃなかった。

お互いを語るふたりの言葉がとても綺麗で印象的なので、そこを楽しんでほしい作品です。
わたしのように「どうして?知りたい!」というスタンスで読んでしまうとドツボにはまってしまうのでご注意を。

3

まさにニコイチ

「野良猫に首輪」も超人的なぶっとんだ自由人が登場しましたけど、この作品のキャラもぶっとんでますね〜。

義兄弟ものなんだけど、義弟アリは幼い頃から死と紙一重のようなことばかりやってきた人物。一歩間違えば命を失うような冒険や危険に自らをさらさずにはいられないアリの理解者がタイラ。

しょっぱなからぶっ飛んだエピソードをいくつか。
・南アフリカにいるアリがセックスしたいと言えば、日本からそのためだけに駆けつけるタイラ。
・タイラはアリが世界のどこにいても見守ることができるように、軍事衛星のハッキングスキルを身につけた。
・アリの体内に本人了解のもと、チップを埋め込み軍事衛星で動向を監視してる。

死にそうになることで生きている実感を得ているアリに死んでほしくないと言うのは、星に輝くのをやめろといってるのと等しい。
だから、死んでもいい、いつでもいい、地面に叩きつけられて粉々になっても僕が最後のひとかけらまで探してあげる、とタイラは言ってるんです。
そしてアリも「俺は満足している。タイラが俺を見てるから、いつ死んでも怖くない。」と言う。
すごいわ…。お互いに全肯定していて。他人には判りづらくても当人たちだけが判っていればそれで良しという清さがあります。

途中、アホな私には言わんとしていることが判りづらい箇所があって、とりあえずあまり深く考えずに読み進めていったんだけど、未散ソノオさん作品の中でもエロ多めだと思うし、小難しいことを考えなければ結構な義兄弟イチャコララブとしても読めます。
エロのとき限定でわざわざ「おにいちゃん」と言うのがやたらエロいのです。(全然義兄弟の葛藤はなくて当然のごとくセックスしてるだけに)

で、最後のアリの「いつか一緒に死にたい」にやられました。

1

難解なようでシンプルな愛

わかりやすい愛ともまた違うんですが、
義兄弟というより実兄弟に近いような愛の濃さでした。
アリがアリでいられる為に
己のすべてを義弟に注ぐタイラ。
タイラだけがアリの衝動を理解し常に見守り
アリは死を恐れずいつだって安心して身体を投げ出せる…。

そばにいて日々を暮らし、共に年老いてやがて死をむかえるのが
理想の愛だとばかり私は思っていましたが、
このような愛もあるんだなぁと驚かずにいられませんでした。
他人に理解されないアリのわがままも
「アリのためなら」と叶えてあげるタイラが
実はアリのためだけではなかった、というところにグッときました!!

とにもかくにも愛が深すぎて言葉を失いますね…。
「世の中の人は大変だな。
どうやって気持ちを落ち着ける?
みんなにはタイラがいないんだろ?」というアリの台詞に
それなら大多数の人が気持ちを落ち着けずに生きてるよ…と思ってしまいましたww

アリをサポートしてくれているフリー、
タイラと時々仕事を一緒にするジェン、
常識的な彼らにちょっと同情しそうになりましたが
やっぱり彼らあっての二人なんだと思います。
ホント、お互いにww

景色とか、背景とか……
未散さんの作風はそれだけじゃない素晴らしさが魅力だとわかっていますが
今作は美しい自然の景色など見たかったので(すみません)
萌×2寄りの萌です。

0

これまた不思議な作品です。

死にそうなほど高まる気持ち! 小さいころ義兄弟になって、弟の抑えきれない衝動を唯一認めてくれた兄。 そのために取った兄の行動は相当なもので、今でも弟の一言で振り回されてる(好きで動いてる?)。周りから見れば歪な関係なのかもしれないけど、この2人はこれでいいのだと思わせてくれる雰囲気です。 弟の為といいながらも無意識に自分のことしか考えられないというか、自分から離れていかないように仕向けてるとこに気づいたフリー。 いつまでの2人のそばにいてくれるといいな。 この2人にはまとも(普通)な人間がいないとね…

0

唯一無二

本当にこの方の作品は独創的。
自分の知らない世界を教えてくれるから、毎回知識欲も刺激される。

今回も設定が凄い。
エクストリームスポーツのユー⚫︎ューバーと軍事衛星にもハッキングかけられるトレーサー(追跡者)ですって、、
浮世離れし過ぎてるのに、全然ファンタジーに感じない。その辺にちゃんと存在してる人達みたいなんですよ…なんでだろ?
やはり会話のテンポの良さでしょうか、流れるように自然なんですよ、例え普通の常識とはかけ離れてるセリフでも。
気付くと世界観にどっぷり、もう夢中で読んでしまっています。

壮大なテーマでも絵がいつもの省エネ絵(好きです)な所もニクい!マイペースを貫くその姿勢が格好良すぎです、未散先生。

兄弟(義兄弟)ものは暗いのが多いから、と暫く購入躊躇ってたのがバカみたい、早く読めば良かった。
これからはどんなに苦手そうな内容でも即購入します、改めて作家買い最上位決定。

5

驚くべき物語

いや〜面白かった…!
未散ソノオさんの作品世界にはとにかくオリジナリティを感じる。
その上、絵柄がそう見せるのかな、浮遊感というか重力の無さというか。
で、本作。
私はすごく映像が浮かんで、この作品のショートフィルムみたいのが見たいなぁと感じました。
ていうか、もうはっきりイメージが浮かんじゃって、「コレ」作って誰か!ってくらい印象が強い。
色んな世界の絶景、崖とか滝とか100箇所くらい、がドローン映像でスピーディに出てきて、そこに空からダイビングする男、ウィングスーツでモモンガみたいに飛ぶ男、天空で綱渡りする男、とにかく危険な事をやってる男の映像が時々挟み込まれて、次は宇宙空間で回転する人工衛星、白い部屋のレーダー画像に1点の点滅がサーっと動いてある点で止まり、後ろ向きに座る男性に地球の裏側からのノイズだらけの「ハイ、タイラ」……
タイラはバレエの首藤○○さんかな…アリは日本人じゃムリかな…と妄想は広がりまくってる。
あ、この妄想にはHシーン無いです。が、物語では義兄弟の2人に肉体関係があるのはかなりの重要性があると感じますね。
とにかく危険を求める誰かと、それを丸ごと認めて死んでもいいよ安心して、という誰か。
この関係性の着眼にやられた。

2

すっっっごいすき!!!

これすっっっごいすきです!!!
気になったキッカケは兄弟って所なんですが、兄弟としての繋がりというよりももっと強い、未散さんも書いている通り正に「ニコイチ」!
一般常識とか倫理観とかに当てはまらない共生、もしくは半身…うっとりですよ。
二人の関係性の深さとか知能(兄)と身体能力(弟)の高さに惚れ惚れしました。やることなすことワールドワイド。
離れられない者同士のあまあまズブズブの行為って官能的で大すきよ。
作画が確かにかなりラフですが、私はその荒い線と空白に魅力とかエロス感じてるぐらいなので全く気になりません 笑
というかコマから出る勢いとかインパクトとかのこの感じは他にはない素晴らしさですよ!

3

めずらしく共依存カプ

未散さんの作品はどれも相互依存愛なとこがいいなぁと思って読んでいるのですけど、今回はめずらしく共依存愛な2人です。
危うい生き方とお互いへの依存の仕方に終始ハラハラさせられるカップルでした。
義兄弟という設定はラストに効いてきます。グッときました。

前作(好きになっちゃうよ。)の作画があまりにひどくて愚痴っちゃったけど、今作はマシかな。
ただし、電子は修正が雑な白丸のボカシです。未散さんのラフなtnk絵にこんな仰々しいボカシ要らんだろ〜涙

タイラ(兄)とアリ(弟)は5歳の時に兄弟になった同い年の2人。
兄が攻めで、かわいい弟をデロデロに甘やかしてます。
依存度は兄の方が強い。弟がいるから生きてる感じ。
弟は死ぬような目に遭うのが好きで、そのドキドキ感に心を囚われて世界中の危ない場所にアタックしている冒険家。
それは簡単に言えば、死にそうになることで自分は生きているんだって実感を得ている規模のデカい自傷行為で、そんな弟を唯一否定しないで安心して生きられるようにと全力で協力しているのが兄。
ハタから見たら頭おかしい以外の何者でもない2人だけど、私はこのアリが結構羨ましいと思いながら読んだ。
アリはアリでいていいんだよっていうお兄ちゃんの全肯定がアリを生かしてるってところがいい。
そして、「弟を肯定する唯一の存在」っていうのが兄タイラにとっては己の存在意義になっていると。
共依存なんだけどどことなく前向きな依存にも思えるあたりが未散作品だなって感じもします。
「いつか一緒に死にたい」って裏返せば「一緒に生きたい」ってことでしょ?最高のプロポーズだよね。
アリのセリフを通して透けて見える未散さん流の思考のアレコレには共感できるものが多かったです。

未散作品を読んでると、未散さんが描きたいのは主役達の関係性で、ストーリーを描くことには全く興味がないんだろうなってのが分かるんだけど、今回のは結構面白い設定なので2人だけの世界に終始して終わるのはちょっと勿体無いって思っちゃったな。
「ベッドサイドロマンスの星」なんて書かれてる未散さんだからこういうBLジャンルでしか許されないようなお話も大いにいいんですが、ストーリー性のあるものも読んでみたいなという欲も次第にムクリムクリと湧いてくるのでした。

【電子】ひかりTVブック版:修正×、カバー下○、裏表紙○
一部の電子書店向け特典ペーパーは付いてなかったです。

2

暴君というよりbroken

親同士の再婚で義兄弟となったふたりの[タイラント tyrant~暴君]というか暴君[broken~壊れた]っぽいお話。
※タイトルの意味はジャケット下に記載があります

わーい!義兄弟もの~!と背徳感目当てで開いたらいきなりSEXしてた。
禁断の愛なんてものは影すらなかった。
盛り上がるアリが「おにいちゃんっっ」て兄にすがりつくのはめっちゃ好みでした。
「おにいちゃん」て呼ばれて艶っぽく微笑むタイラもエロかった~。
奔放な生き方をしている弟が攻かと思いきやコントローラーである兄が攻。
兄攻は久々だったんで嬉しい誤算でした!

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「死ぬような危険」を求める冒険家:アリと彼のそんな衝動を認めて彼の追跡者になった義兄タイラ。
追跡は自由な猫に首輪をつける意味ではなく、自分が見ていることでアリが孤独にならないようにするということですが…見守る方は相当な覚悟が必要(泣)

アリ自身が死んでしまう危険性は勿論だし、好きなら一緒にいたいじゃないですか?
でも一緒にいてもまたアリの衝動は湧きあがる。
傍にいても危険な方向に向く気持ちは抑えつけることはできない。
一緒にいることができないってしんどい。

とある事件がキッカケで離れることに不安を覚えたアリはタイラと一緒にいると言い出し、ふたりは長い時間を過ごします。
半年ぶりに逢ってSEXしてまた離れて~の弾丸みたいな日々を思うと幸せに思えるはずなのにどこか浮かない顔のタイラ。
空洞みたいな瞳をしたタイラの真意が明らかになりますが哀しい。
それまで突飛な職業とか、つかみどころのない性格で感情が読みとれなかったんですが、やっと共感できました~!

長く一緒にいることで自分(タイラ)に興味を失ったアリが最終的にひとりになることを恐れていたタイラ。
献身ってすごい…ここまで尽くせる相手を5才にして見つけたのか。
「バーカ!」の一言でその杞憂を吹き飛ばすアリもすごい~!
それにしても、安心=安全ではない相手を護り続けるってしんどい(2回目)

ふたりの身近にいるフリーとジェンというキャラクターがユーモアたっぷりの掛け合いの中に淡々と疎外感を語ることにいちばん共感してしまいました。
兄弟の間で交わされてるふたつの約束ってなかなか独占的で周囲をよせつけないものがありましたから。

穏やかに笑っているようにみえていても瞳は警戒を緩めていないタイラ。
「死」をたいしたことないって言えてしまう時点で、やっぱどっか壊れてるんじゃ?って思うんですがタイラはアリとの、アリはタイラとの世界だけで完結してて他はいらないからなんですよねぇ。

ふたりの名前がちょっと面白いなぁと興味をひかれれたんですよねぇ。
平等(タイラ)と存(アリ)。
作中のセリフで触れているようにアリは[exist~存在する]っていう意味通りの生き方をしています。

最初、作中の文字を[exit~出口]と読み違えてしまって、この義兄弟に出口はあるのかな?と思って読んでいましたが「最初から家族なのに」と言いきるタイラの潔さに脱帽でした。

3

共依存ヤンデレ義兄弟

親同士の再婚により5歳で義兄弟になった、同い年のカプの話です。
義弟の受けは、幼い頃から危険が大好きで、高い崖から飛び降りたり大怪我をしたりを繰り返していた問題児。成長してからは、危険なことを好んでやる世界的な冒険家になっています。
義兄の攻めは、そんな弟を理解し支え、危険に飛び込んで行く弟を捜すためだけに生きているキャラ。弟の居場所を特定するために軍事衛星までハッキングしてしまう凄腕のハッカー。でも見た目は全然そんな風でなく、地味なしょうゆ顔のキャラです。

典型的な共依存カプです。命の危険を感じないと生きていけない弟の病み度が高いのかなと思ったけれど、兄のほうが病んでる感じでした。兄は弟の死を恐れはしていません。でも弟がいないと生きていけないというか、弟がいない世界では存在できない人っぽい気がします。弟も兄がいないと精神的に立ちゆかないので、どちらも長生きしてほしいな。

エッチは襲い受け、誘い受け気味ですが割と普通。特殊なプレイなどがある訳でもなく、いちゃいちゃエロい萌えるエッチです。死の危険を感じたいから首絞められないとイケないとか、そういうのがなくて個人的にはホッとしました。エッチの時に「アリちゃん」「おにいちゃん」って呼び合ったりするのが妙にエロかった。

タイトルの『タイラント』。言葉の意味のほか、攻めと受けの名前「タイラ」+「アリ」(=蟻=アント) と掛けているのかな、とちょっと思ったりしました。

3

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