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表題作神の飼育―真白き神の恋―

敷島、輝土国の新宗主、32歳
桐羽、「神」として囚われている天人

あらすじ

天の浮き島に住む長命な天人の桐羽は、 人間に騙され「神」として地上に囚われた。 神は国の宗主と「契り」を結びその身を明け渡さなければならず、 歴代の宗主に慰み者にされてきた。 今また代替わりすることになるが、 新しい宗主に起ったのは桐羽が最も敬遠する男――― 軍の最高統括者である敷島だった。 傲岸で冷徹な敷島は冷ややかな視線で桐羽を無下に扱う。 そしてあることで別の男との不義を疑われた桐羽は、 触手を操るおぞましい淫具で苛まれることになり――。

作品情報

作品名
神の飼育―真白き神の恋―
著者
沙野風結子 
イラスト
座裏屋蘭丸 
媒体
小説
出版社
海王社
レーベル
ガッシュ文庫
シリーズ
神の飼育―真白き神の恋―
発売日
ISBN
9784796411226
4.3

(65)

(36)

萌々

(17)

(8)

中立

(4)

趣味じゃない

(0)

レビュー数
9
得点
276
評価数
65
平均
4.3 / 5
神率
55.4%

レビュー投稿数9

大変萌えを感じるストーリーでした!

沙野先生は「処女執事」のみ既読で、とても好きな作品です。本作は座裏屋先生の挿絵もあって気になっていた作品。ようやく読みました。
前知識少なめの方が楽しめると思います。ネタバレレビューは読後読まれるのをおすすめします。なるべくネタバレ控えめでレビューします。

あらすじの通り、触手もののファンタジーです。三連作の一作目です(一冊で完結しています)。
受け視点と攻め視点が頻繁に入れ替わるので、人物の心情を把握しやすいです。

あらすじを読んで、敷島が桐羽に下心のある腹黒い人物かと思っていたのですが、真剣に国のことを考えている真っ当で気概のある人物だったので、ちょっと意外でした。

触手ものの小説は初めてです。触手の淫猥な動きを文章で表現するのがすごいですね。大変エロいです。

初めは二人ともお互いを嫌悪している様子なのですが、お話が進むに連れ、実はどちらも複雑な心情がありつつも、心の奥底では相手を求めていることが、徐々に明らかになってきます。その辺大変萌えを感じました。
中盤はなかなか進展しない二人の関係が焦ったくて切ないです。
まだ結ばれる前、桐羽が敷島の結婚を想像して真っ青になり、敷島がすぐ気づいて心配して運ぶシーンは、二人の想いが感じ取れて、すごく萌えました。

二人が巡行の最後に、桐羽の生まれ故郷近くの山に登るシーンがすごく好きです。月夜の二人がとてもロマンチックです。桐羽が逃げずに敷島の元に戻り、その手を敷島が握る…大変萌えます!またその後の濡れ場もとても官能的で素敵です。

後半は怒涛の展開で、先が気になって一気に読み進みました。最後までどうなるかわからない、ドキドキハラハラする展開でした。

正直触手責めはそんなに好まないんですが、触手じゃなくて敷島のものがほしいと、二人が強く求めあうシーンはすごくよかったです。

後半は特に切ない展開が続くので、最後のエピローグでは救われた気持ちになり、涙しました。素敵な結末でした。

初めは挿絵に惹かれたのですが、焦ったくて切ない恋がとても素敵な作品でした。座裏屋先生の挿絵も美しく、世界観にマッチしていました。
沙野先生の他の作品も、もっと読んでみたいと思います。

2

まるでけだものだ

銀の長髪受け、恋愛より大義の攻め(@あとがき)、触手、座裏屋先生の挿絵と好きな要素目白押しだったはずが、合わさると思わぬ弊害が。

表紙と「飼育」というタイトルからおどろおどろしい雰囲気の触手かと思っていましたが、桐羽も敷島も基本は初心なかわいこちゃんでした。初心というか硬派な敷島が触手をけしかけるなんて下卑た真似をしているのがどうもしっくりこず。高潔な人物好きの自分には2人とも徹底されている感がなかったのが惜しかった。触手がイチオシポイントの作品なのに、触手がない方が好きだったなと思ってしまったのは残念。

ファンタジー作品は設定の咀嚼に時間がかかるものもありますが、こちらはかなり軽くて読みやすいです。

安騎が「身重になるわけには〜」というシーンがあるのだけど、安騎は男性ですよね。身重の使い方を間違ってそうな。

0

三国物語 「輝土国」編

輝土・ガラ・ノイエ 三国物語のうち、「輝土国」編は、天人と人間の愛 

天人の桐羽は、 輝土国創始者に騙され「神」として地上に囚われた。
足に重力増加の足枷を装着され、飛べない。
ガラスの建物に幽閉され、代々の宗主と「契り」を結ぶ儀式と称して、愛人役を強要されてきた。

桐羽を嫌う、新しい宗主、敷島に、前宗主の息子との不義を疑われた桐羽は、 触手を操る淫具で苛まれる。
だけど・・・この後、前宗主の息子の短慮な行動により、輝土国が攻め滅ぼされる窮地に陥る。
桐羽が間に入り、輝土国の窮地を助け、敷島と想いを深める桐羽。
敷島は初代宗主の記憶を持っていて、初代が果たせなかった「神の死」=桐羽を解放することを果たす。
山に登り、足枷を外して桐羽を天界に戻す。この場面が、凄く切なくて綺麗。
寿命が違う天人と人間の恋、いつか訪れる死に別れ。
でもまた生まれ変わって、必ず桐羽を探して愛し合いたいと語る敷島。
そのために、部屋の窓を開けておく、という場面が凄く沁みました。

あとがきに「星の林を渡る船」は万葉集からヒントを得たとありましたが、
万葉集要素と、ラピュタの龍の素が合体したような設定だった。
淫具で蹂躙される場面が無いほうが、読み物として楽しめた気がする。ちょっとしつこい。
でも著者的には、触手の場面が楽しかったみたい。

1

三部作だと?!読みます!

座裏屋先生の表紙に惹かれて読みました。
あの表紙のウネウネが、触手拷問椅子だったとは!

作者の沙野先生のあとがきによると、
こちらは3部作で全部挿絵が違う絵師さんで
全部に触手拷問椅子が出てくるですと?!

読んでみたいし、挿絵見たい!


すぐに引き込まれて、ぎゅーーーんと切なくなりながら、この先どうなるの?とドキドキしながら読みました。
天人の桐羽は、神として囚われ、歴代の国の宗主に身体をいいようにされている。

神様ではなくただ長命で空を飛べる能力があるだけの天人。(充分すごい能力)
見た目も、色白で神秘的でいつまでも歳を取らない美しさで、初代、2代目、3代目、4代目とみんなが桐羽の魅力に執着してしまってる。
飛んで逃げられないように足枷をしたり、行動できる範囲を制限したり。
部屋の入り口に内側から鍵を出来る様にして、逢瀬時に外から邪魔されないようにしたり。

次期宗主の春日は、幼い頃から桐羽が可愛がってた青年。
憧れの桐羽がもうすぐ自分のモノにってタイミングで、先代の遺言で先代の弟、敷島が宗主代理になる事に。
で、敷島めちゃくちゃ感じ悪い。
お互い嫌い同士でどうBL展開になるの?と思ってたら、嫌な奴ほど、あれ?実は違う?イイ奴?ってなっていく感じ。気になり出したら止まらないもう恋しちゃってます。

ストーリー説明難しくて書ききれないので
ここからは箇条書きで、感想を。

父よ、息子が見てるかも知れんような場所で桐羽抱くなよ。
普通の人間より寿命が長いと、好きな人と一緒にいられる時間が限られていて切ないな。
反発し合う仲って、その後惹かれあったりするよねー。
なんだ言いながら同じ寝台で後ろから腰抱きで毎晩寝るって、愛やん?
今まで歴代宗主に抱かれてきたってのが、NTR感あっていい。
敷島の桐羽への捻れた感情、これがまたイイな。
で、結局なんで触手拷問椅子使ってんのか分からなかった。読者サービスって意外に。
拷問なん?お楽しみタイムやん?椅子に拘束されて2人の繋がったところにも触手蠢いてるなんて、エロが過ぎる!(好きです)


最後どう話は落ちるの?と思ったら良い読後感でした。
他の2国の話気になるので手に入れて読もうと思います。

2

のめり込みました

いや~~、ゾクゾクしました!
触手萌えはなかったんですけど、沙野先生に調理されると
どんなプレイも美味しくいただけるみたいです。
座裏屋先生のイラストによって、さらに美麗な官能表現が際立つ、まさに夢の競演のような作品でした。

紛争を続けていた隣あう3国が、神制度という和平協定を結ぶことで、戦争を回避しているという設定(結構わかりづらかったです…)。その3国のうちのひとつ、輝土では、天界から連れてきた美しい天人(受)を”神君”という存在に置き、治世に利用するのですが、先代の宗主が亡くなったとき、その弟である敷島(攻)が制度そのものへの変革を掲げて先代の嫡男を差し置き宗主になるという、クーデターのような不穏なムードから物語がはじまります。
武人で黒のイメージの敷島が最初は悪?のように見えたのですが、そこから徐々にそのシステム(神制度という和平協定)がもたらしていた弊害、その歴史の犠牲になっていたことが明らかになっていく展開に、読み進めるのをやめられませんでした。
敷島(攻)の黒と、神君(桐羽・受)の白というイメージの対比がいいんですよね。最初は相反する二人が徐々に志を同じくしていく過程も面白いです。

ちなみに、ファンタジーですが、ファンタジー好きじゃない方でも楽しめると思います。(かくいう私がそう。)お仕置きの触手プレイが芸術的にエロいです。
3国で神触手シリーズになってるんですね。いろんな先生の絵で触手を楽しみたいという沙野先生の粋な計らいらしいので!、読み終えてすぐ残りの2作品をポチっとしました。(ワクワク)

1

宿命の強さに身震い…

この小説を読みだして、有名な「羽衣伝説」をモチーフにした作品と油断していると、意外なトラップが仕掛けられていました。沙野先生の人気作「処女執事」と同じく、ある時点で読者は思違いをしていた事に気付かされます。その時点で壮大な愛に身震いしました。それ以降物語の見方が変わってきて、あれこれ思いを巡らせました。読者によって色々な解釈や想像の出来る余地のある奥深い作品でした。

タイトルは「神の飼育」で沙野先生の作品らしく、またまた手に取りにくいタイトルですが、サブタイトルが暗示する通り、中身は今時珍しい程の純愛ものでキュンキュンしましたw
寿命の短い人間と遥か長い時を生きる天人との成就するのが困難な恋。天人視点の桐羽側の心情も切ないですが、人間側の苦悩も計り知れないものがあります。敷島しかり高角しかり…。
二人が採った別の愛の形の選択。どれが正しくも悪くもなく。二人の想いはどちらも深いものの桐羽にはなかなか伝わらなくて…。天人である桐羽が一番本能で動くタイプに感じました。愛があっても、日々本当の心情を逐一相手に報告する訳でもないので、想いのかけ違いが起こる。。愛って目に見えものでないため難しいなーと実感しました。

この物語で印象的だったのは、「宿命」の強さです。 桐羽にとっては苦しかった高角の選択の結果、巡り巡って敷島に出逢えた所がね…。しかも同じ血を引き継ぐ故、敷島も同じ様に桐羽を愛し、同じ苦しみを味わう因果が待っていて。敷島の選択は桐羽にとって満足のいくものの様ですが、敷島が亡くなった後、また因果は巡りえるのか…。色々想像してしまいます。どうしても変えられない「宿命」を考えると、とても切なくなります。

モチーフにされた「羽衣伝説」も各地で結末が違う様で、天女と人間が結ばれて子供を生んで育てる様な結末もあり驚きました。これって非現実的でありながら、現実的なエンドかも。。
沙野先生の描いた「羽衣伝説」は愛に溢れて切なくロマンチックな展開で良かったです。
イラストも素敵でした。あとがきで「裏の主役は…」と書かれていたので、「当然高角だよねー。そこがロマンチックなんだよw」と思っていると「触手です」と沙野先生らしい回答に吹き出しました。話の内容はシリアスで文章も美しいので、余計にあとがきのギャップが面白かったです。
神シリーズ三部作の一作目がこの作品だったので、当然二作目以降の期待値も上がりますし、贅沢な話です。

4

まさしく『昇天』していましたよ

切なく麗しく格調高いお話なのに、今回もエロシーンでチャレンジをかましてくれる佐野さん。
ご本人があとがきで書いている様に『触手』がメインなのですが、私が感心しちゃったのは天人である桐羽が『感じると浮く』というくだり。一歩間違うとギャグになっちゃう様な話なのですがとてもロマンティック、かつ、震えがくるほど美しい!「このシーンを読めただけでも価値があったーっ」と夜空に向かって叫びたい様な気分です。

天人の桐羽は輝土国の『神』として4代にわたって宗主に支え、その慰み者になって来ました。桐羽が『神制度』を体現する事で100年に渡って輝土国の平和は保たれて来たのです。天人の桐羽は輝土の人たちよりも老化が遅く、その見た目は20代。飛翔する能力がありますが、逃げ出さないための足環がはめられています。囚われの身に理不尽を感じながらも、神の存在がこの国に平和をもたらしている事を自分の存在意義として生きてきました。代替わりにより、新しく宗主となった敷島は軍事最高統括者で『神制度』によるしきたりを小馬鹿にし、桐羽の神としての立場をことごとく軽んじます。敷島は、国境では争いの種が燻っているのにも関わらず、神の存在に寄りかかり現実を見ようとしない現状は国の危機を招くと考え、神制度を終わらせる事を考えています。敷島は桐羽に宗主の宣誓文を読ませ自分の考えを理解する様命じます。桐羽はその考えに同調する部分もありつつ、自分の存在が否定されることに心を乱されます。敷島の命に背く桐羽を淫具で攻め立てる敷島ですが、桐羽をどうしても処分する事が出来ません。また、桐羽も自分を騙し地上に捕らえた宗主、高角と瓜二つの敷島に惹かれていく自分に戸惑います。敷島は桐羽を伴い、輝土国の地方巡行を行うのですが……

エロティックなシーンの素晴らしさは冒頭に書いた通りなのですが、もう一つ、深ーく考えこみ、感心した事があります。この輝土国のあり様、特に『神制度』は寓話ですよね?……えっと、私達がよく知っている国の。違うかな?
もしそうなら、敷島の考えや桐羽に対する態度などに対して、佐野さんの高潔さを感じました。単純に解決する事ではないからこそ、自分の頭で考え、自分が犠牲を払って道を切り開くしかないと私も思います。そういう努力をし続ける桐羽や敷島を始めとする登場人物達が好きです。そして、佐野さんに敬意を表したいと、襟を正して思うのでありました。
いや、単なるあたしの読み違いなのかもしれないんですけれど(笑)

5

触手三部作の1作目 お話を大きく感じます

真白き神の恋 というワードで購入、何も考えずに読み始めたら、触手は苦手なんだけどそれでも途中でやめられなくなったほど引き込まれました。結構壮大なお話な気がします。なんと触手3部作とのこと(各々独立、そして絵師様も違うらしい・・by先生あとがき)。ファンタジー、触手が大丈夫な方、せつなさたっぷりなお話が好きな方には安心してオススメできると思います!!それに加えて、神って平和って何?とちょっと考えちゃう部分もあり。最後らへん、もうちょっとだけゆっくり気持ちを深めたかったなあーーーーと思ったので、神寸前の萌2です。

冒頭からめちゃせつない。輝土(かぐつち)の国、十八代宗主磐見(いわみ)の「霊送り」の儀式を行いながら、桐羽(きりは)は磐見が嬰児だった頃から宗主についた頃まで思い出し・・・桐羽はそうやって100年の間、4人の宗主を見送ってきました。今、霊送りが終わった後は次の宗主春日に寄り添うべく手を伸ばしたところへ、磐見の弟敷島(しきしま)が近よってきて・・・

登場人物は、上に書いた春日(磐見の子)、安騎(あき、敷島の右腕・忠犬)、伝聞形式で初代宗主高角(たかつの)等です。

挿絵情報:座裏屋先生の挿絵を1回しか見たことがないのですが、こんなにいつも美麗なんでしょうか。ガッシュさん、カラー口絵がなくて、今回のは特に残念。表紙で美しさは分かっているけど、桐羽が銀髪、桐の花のようなむらさき色の瞳ということ、着衣のカラーを見たかった・・・・(泣)(まっ白で結局カラーの意味ないかもですが)モノクロは全部で8枚、二人の絡みシーンは3枚、どれもこれも表情がすっごくいい!思いがにじみ出てるーーお話と先生の絵の雰囲気がとてもマッチしていたと思います。1枚、触手全面推しの絵もありますので、触手好きさんにはたまらないかもなあ。

********以下 より内容に触れる感想

桐羽は空を飛べる天人ですが、足枷をはめられて長いため、上手く空を飛べなくなっています。また長く平和であったため、囚われていること、自分の意思とは関係なしに宗主と関係を持つことになっていることにも抵抗なくなっています。それを打ち破るのが敷島。お前は神などではないと言い放ち、桐羽の心に、そして平和に慣れた人民の心に変化を呼ぼうとし始めます。桐羽が空を飛ぶ練習を始めるくだりが、目覚めていくくだりが、じんわりじんわり、キました。変化を恐れちゃだめだよな というように私には思えて、そして神否定するのも凄いよなあと思えて。
また永遠を約束するのではなく、「俺は何度でも戻ってきて、部屋の窓の鍵を開けておく」というような緩やかな約束をしてくれる終わり方もすっっっごく好みで良かったです!!!

大国3国(輝土、ノイエ、ガラ)で各々の神を書いていただけるとのこと。先生めちゃくちゃ楽しみにしています!素敵なお話、有難うございましたー 次の絵師様は誰なんだろうなあ♡

2

何もかもが麗しい

沙野さん×座裏屋さん、と聞いたら買わずにいられようか、という事でお買い上げ。沙野さんは作家買いしている作家さまですが、めっちゃ面白かった…。

もう一度言う。
めっちゃ面白かった。

沙野さんの新刊はファンタジーもの。ネタバレ含んでいます。ご注意を。





主人公は輝土国の「神」である桐羽。
ほぼ彼視点でストーリーは展開していきます。
「神」である桐羽は人とは異なる時間軸を生きる天人で、代々の輝土国の宗主と契りを結び、100年という長い年月にわたり国の平和の維持のためにその象徴として存在し続けてきたという過去を持つ。

現宗主の磐見が亡くなったところから物語はスタート。
今までの慣例通り磐見の息子で時期宗主となる春日と契りを結ぼうとしているところに、磐見の弟である敷島から横やりが入り…。

というお話。

桐羽が「神」となった過程。
「神」に奉られた桐羽が過ごしてきた過酷な過去。
そして、敷島との対立。

さすが沙野さんというべきか、そこかしこに撒かれた伏線や謎を回収しつつ少しずつ見えてくる彼らの気持ちとか、謎解きとか、そういった展開がとにかく面白く、ストーリーに引き込まれました。

初めは対立している彼らですが、そんな彼らが少しずつ相手を知り歩み寄っていく過程に激萌え。対立している理由がきちんと存在しているために、そこを乗り越え、寄り添い、恋愛感情を育てていく過程がご都合主義になっておらず話に重みがある。

麗しいビジュアルを持ち、その存在を国のために利用され続けてきた桐羽。
武骨な軍人で、国のために心を砕く敷島。
ストーリーだけではなくキャラも非常にツボに入る男性たちだったのも高ポイントでした。二人とも、中身もかなり豪胆で男前です。

そして、座裏屋さんの絵柄が萌え度を確実に上げています。
とにかく、美しい…。ため息が出る美しさです。
ストーリーに萌えましたが、絵柄にも萌える。何もかもが美しく麗しいのです。

このストーリーは「輝土国」が舞台ですが、神を擁する国は他に二つあります(そのあたりもきちんと描かれています)。
他の二つの国の「神」の話が今後続く三部作になっているようですが、沙野さんの意向により三作品とも絵師さんが違うのだそうです。沙野さんの書かれたあとがきによると、理由は、

いろんな先生の絵で触手を拝みたい!

という沙野さんの希望からのよう。

表紙も座裏屋さんの描かれる触手で飾られていますが、触手…、GJ!な役割を担っています。めっちゃエロいです…。触手が陰の主人公と言っていいでしょう。

終盤、相手のために別れを選ぶ二人ですが、最後はハピエンで本当によかった。
何度でも再会し、何度でも恋をする。
そんな二人に幸あれと願ってやみません。

沙野作品はほぼほぼ読んでいると思いますが、この作品は個人的にベスト3に入る神作品でした。

薄幸受け。
武骨で不器用な執着攻め。
そして触手。

これらに萌えを感じる方にはぜひとも読んでいただきたい、神作品でした。
次回作も楽しみです。

18

この作品が収納されている本棚

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