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表題作貴公子司書の溺愛ライブラリー

都築瑛斗,29歳,「Cafe Biblio」館長
星名愁,24歳,本好きで司書を夢見るフリーター

その他の収録作品

  • あとがき

あらすじ

司書を夢見るフリーターの星名愁は、区立図書館で素敵な男性・都築に出会う。都築は民間の図書館の館長だという。彼に誘われて見学に行くと、そこは、美形司書たちが女性客を接待する執事カフェのようなユニークな図書館だった。都築から司書として採用したいと言われた愁だが、ホスト的な接客が要求される華やかな仕事を、地味で内気な自分が出来るはずがないと戸惑ってしまい……?

作品情報

作品名
貴公子司書の溺愛ライブラリー
著者
伊勢原ささら 
イラスト
カワイチハル 
媒体
小説
出版社
幻冬舎コミックス
レーベル
幻冬舎ルチル文庫
発売日
ISBN
9784344843820
2.9

(44)

(7)

萌々

(10)

(14)

中立

(1)

趣味じゃない

(12)

レビュー数
8
得点
118
評価数
44
平均
2.9 / 5
神率
15.9%

レビュー投稿数8

貴公子に導かれる司書志望男子

主人公の成長と幸せに萌2で!

本が大好きで図書館に行くことだけが楽しみの主人公愁。司書になりたいのに求人がなく今は中華料理店の洗い場でフリーターしながら、区立図書館に通っていて。

母が再婚し新しい家庭に馴染めず実家を離れ家族とも疎遠で。友人もおらず懐も厳しくて。

そんな愁を見つけてくれたのは貴公子のような都築。
モデルさんのようなイケメンが優しく、君なら出来ると励まし自信を持たせて期待してくれて。
どこの王子様とシンデレラ?なお話ですね。

愁が司書として働けてアドバイザーとして成長してやり甲斐や生きがいを感じて。ちゃんと人と話をできるようになって。それをあたたかく見守って指導してくれる都築。
メガネを外して髪型を整えたら、あら可愛い!はお約束ですね。

雇ってくれた館長都築の為に、そして自分の為に頑張る愁。良かったね!母目線ですよこっちは。

ちょっと引っかかるのが都築が愁を理想の人って言い方かな。理想通りの愁がいたのか、愁を好きになって気付いたら理想の男の子だったのか。

都築に想いを募らせる愁に切なくも、都築もきっと愁を…な描写もあり。
告白されてその日のうちに!早くなあい?全て未経験の愁にこれからは僕が全てを教えてあげるよって。

寂しそうにうずくまってた愁のことをずっと見つめていた都築。館の司書にもってこいの素質を持った愁をゆっくりあたたかくスカウトして。

王道シンデレラストーリーなのかな?
愁が前向きに努力してどんどん自信を持ち、やりたいことが叶っていくのが良かったです。

1

本っていいなぁって思える。

コミュ障ぎみの地味っ子を、王子様が見初めて変身させちゃう!という少女漫画を彷彿とさせるシンデレラストーリーです。(なんせ「貴公子」だもん)
タイトルの「溺愛」通りベタ甘いんだけど、糖分補給要員として最適な一冊だったかというと微妙……。

というのも、受けが自己評価が低く、せっかく憧れていた図書館司書の誘いにも「俺なんか…」とウジウジしてる部分が結構長いので、イラァ……となってしまいまして。

司書になりたいフリーターの愁(受け)が、「うちで働いてみないか?」とスカウトされたのは、月額5000円もする民間図書館。
館長の都築(攻め)を筆頭にイケメン揃いの司書による細やかなサービスが売りで、図書館というよりもアルコール抜きのホストクラブっぽいというか……。

本の虫とはいえコミュ障で地味な愁が、あんなキラキラスポット、無理!と思うのは仕方ないと思うんです。
都築もそこは理解してて、うちの図書館の良さを知ってほしいという好意で無料の仮カードをもらうんですね。
で、通ううちにすっかりお気に入りスポットとなるんだけど、いつまでたっても覚悟が決まらずウジウジしつつも、せっせと無料カードを使って図書館を利用する姿に、結構厚かましいな……と。
(だからズバッと指摘した美作くん、ナイス!と思った。)

でもね、本が大好きで本のことになると生き生きとする愁はなんかいいんです。
そしてようやく覚悟をしてからの愁の頑張り具合や成長過程も好感が持てました。

貴公子然とした都築は完璧なスパダリかと思いきや、プライベートは男女問わず食い散らかしてきた男。
過去の噂を耳にし、自分の事も遊びなのでは?と不安がる愁に対して「信じてくれ」という言葉の次に
「この世界の何億という人の中でたった一人誰かを欲しいと思う不思議は、まさしく宇宙の成り立ちを論ずるのと同等に深遠なテーマだね。」
という、えっ?もう一度言ってくださいみたいな小難しい言い回しで、愛を語っちゃう都築に対して、妙に胡散くさー……!!っと思っちゃったんですよね……。

愛をやたら饒舌に語る人って胡散臭くないですか?
好きだから伝えたい事が沢山あるのに、何から伝えればいいのかわからず結局シンプルな言葉しか言えない……みたいなほうが断然萌えるので。

特に都築は、「男女問わず気に入った子は必ずゲットして、本気になられる前にスマートにさよならするのが上手い」という友人談もあるので、あぁ、こうやって言葉巧みに口説きまくってきたんだろうなぁ…みたいなのが透けて見えてしまった。

民間図書館の設定はありえないと一蹴することも可能なんだけど、若い子の活字離れという現実があって、イケメン狙いでも動機は不純でもいいからとにかく本を手にする機会を増やして、本好きになるきっかけになれれば……みたいな夢のアイデアみたいなもんだと思うんですよね。
そういう「夢の図書館」みたいな発想や、本を生き生きと語る愁の姿を通じて作家さんの本に対する溢れんばかりの愛が伝わってきて、何よりもそこが一番いいなと思いました。
(ただしあの制服は、陳腐なコスプレみたいでいただけない……
美男子こそ力の入った格好ではなく、Tシャツにエプロンみたいな素っ気ない格好をしていてほしいので……。)

2

貴公子然としたスパダリ図書館長×司書になりたいシンデレラボーイ

最初は「こんなんじゃ駄目だ」って分かっているのにウジウジ考えているだけで行動に移さない受けにイラっとしてしまったけれど。この自己評価の低さとかが家庭環境が劣悪で…なにかトラウマで…とか人生人格に影響を及ぼすくらい大きくて納得できる理由があれば私の感情が波立たなかった気がする…
でもこの苛立ちは現状に満足していないけれど生温いところに浸かって、たいして行動に移さない自分の同族嫌悪な気がするので、共感は割とできてしまう。
しかしこうは言いつつもだからこそ受けの成長と、努力が身を結ぶ瞬間は読んでいて一緒に嬉しくなれた。

まぁ欲を言えばもっと健気であって欲しかったかな〜と少し思ってしまう。例えば、受けがお店でなんの実績もないうちから攻めはそのダイヤの原石であることを見込んで早くひとり立ち出来るように優しく丁寧に仕込んでくれていて。攻めは仕事が本当に忙しいのにその見込まれている大事な仕事を私的な感情優先で遅らせようしてしまうところを…
攻めの仕事を手助けできるように手を煩わせないように早くひとり立ちして、1番できる人材になって引き抜いてもらえるように頑張る…とかだったらもっと健気に思えて切ない感情も際立ったように感じた。後々成長はするのだけど

黒髪美人のスタッフが私のいいたいことをズバッと受けに言ってくれててモヤモヤしてた溜飲がちょっと下がったりした(笑)

攻めは本当にスパダリが具現化した存在。受けのウジウジを包み込んで尚且つ1歩ずつ踏み出すのをゆっくり待てる余裕もあって、さらに会話のスキルも高い。相手の言葉を待って引き出すのも上手い。さらに相手をその気にさせていい気持ちにさせるのも上手くてその巧みな話術真似したい〜

「あのお客様たちは、もしかしたら今日会社で何か嫌なことがあったのかもしれない。だから帰りにここに寄って、リラックスしたいと思ったのかもしれない。美味しいお茶と1冊の本が、ああしてお客様の心を癒せるんだ。」という攻めの言葉にすごいジーンときた。実際会社帰りに1人になって癒されたいって思うことはかなりあるから本当にこのような図書館カフェみたいな所に癒されに行きたいなと思った。

誰かに「君しかいないな。君は僕の想いを完全に共有できる、この世でたった一人の人だ」というスパダリな攻めのこの素敵な台詞を心から言ってもらいたいと思った!

あとアドバイザー司書の仲間のクール眼鏡さん、ワイルド美形さんと、黒髪美人のちょっとツンなお人形さん…たちが気になって!とってもいいキャラしていたので彼らの恋模様が気になったな〜✨

貴方のために魅力的な自分でいたい…と頑張る受けは向上心もあってとても好ましいのでこのまま2人はもっと成熟して公私共に良いパートナーになれるなと感じた。

作者様の作品は『嫌われ魔物〜』のほうがどちらかというと好みだが…これは完全に個人の好みによるものなので甘いシンデレラストーリーがお好きであれば本作はオススメ^^

1

攻めさんがとても興味深い


2回読みましたけど、この作品は再読した時がもっと面白かったです。
再読してると見えるものが増えるというか。この作品は最初から最後まで星名君の視点なので、都築さんのことを自分勝手に色々想像するのがとても楽しかったです。作品の都築さんは本当にスパダリそのものですね。ただ、私が想像で作り上げた都築さんにタグをつけるなら『執着』そして『腹黒』を選びたいです(笑)

[ 寂しいそうな横顔が気になる → 視線さえもらえない相手を見つめる → ずっと見つめ続ける → 見つめながら話をかけるチャンスを狙う → お喋りできた当日さっそく名刺を差し出しながら口説き始める ]

作品の中で具体的なのは『お喋りできた当日』ところなんですけど、都築さんの台詞に頼ってその前を想像するだけでもなんだかニヤニヤが止まらなくて。ドキドキしながら星名君を観察してる都築さんの様子が目に浮かぶようでした。
『かわいい執着』のまま想像が終わらず、『腹黒』を感じたのが星名君がバイト遅刻する寸前だった時。都築さん、これ本当に偶然なんですか?本当に偶然の偶然で、たまたま近くにいたんですか?ただ神のタイミング?私はなんだか信じがたいな……(笑)
そしてこれはあくまで私の想像ですが都築さんの性格は、もちろんスパダリの優しさもあるに違いないですけどロールプレーの時にやんちゃで俺様なところも都築さんの自然な一部じゃないのかな。でもこれを披露したとき星名君にウケるどころか泣かせてしまいましたね。そして「これはダメだった」と感じた瞬間臆病な都築さんは素早くスパダリに戻る。

都築さんは時々「理想の恋人」って言ってる。これなんというか。凄く意味深いな感じがします。やっと巡り会えた「理想の恋人」は外側から見ても『我儘な人』より断然『頼りになる人』が必要そうにみえる。これを都築さんが分からないわけがない。だから都築さんは「理想の恋人」を絶対失いたくないため、必死で自分の中で一番優しくてやわらかい部分だけ見せる努力をし続けるのじゃないかなって。

あとでもう一回読みたいです。
その時は都築さんと完全に一体化できる気がしますので。

そして私的には美作はちょっと残念だった。美作は最初から星名君にけっこう強めな態度をとるんで、じゃあこうなったらいっそ最後まで、この作品のたっだ一人の『嫌なヤツ』そして『恋のライバル』になって緊張感を盛り上げる役目を貫くことを期待しましたけど『じつはコイツもいいヤツだった』になりまして。
また美作と会える機会ができるなら、ヘタレワンコ攻めの匂いがする荒川さんに惑わされる受けさんとかどうかなって想像してみました(笑)

攻め目線で想像と妄想を繰り返しながら充実な時間を過ごしました。
とても楽しかったです!

*

メモまでしてたのにレビューで書くの忘れてしまいましてそっと補充しておきたいです。

都築さんは腹黒じゃないかと思った決定的な場面というか、『本当に腹黒かもしれない』って思ったシーンがあります。
都築さんは時々ご自慢の『いつも笑顔』が出来ず、微笑が崩れる瞬間があります。顔から一気に表情がなくなる。これが一番出てくるシーンが星名君がパスファインダーのことで都築さんじゃなくて楡崎に相談したときです。これを後で知った都築さんが『ほんの一瞬』隠せなかった気持ちというか。星名君を目の前にして、一瞬だったとはいえ星名君が大好きな笑顔ができない都築さんだなんて。これ結構印象的に残りました。そして星名君が慌てて『言い訳』するんですね。これを言い換えればその時、星名君は都築さんの顔を見て『何も言わずにはいられない』って感じ取ったんでしょうかね(笑)
物語を読んでいると、ここでは都築さんの考えることなど文に出てきてもいいのではないかと思える場面がありました。けど、作品では都築さんの心を読める描写は一切出てきません。 これくらいならたぶん、先生は『都築さんの解釈は皆さんにお任せします』というお考えでしょうか。なんとなくそんな気がします。

*

タイトルが指すのは星名君ではなく都築さんのことですね。だからこの物語は星名君の成長と恋のお話だと読んでもいいですけど、都築さんが「理想の恋人」のため徹底的に(もしかして色々堪えながら)『溺愛』するお話だとも思いました。


4

何か足りない

平凡な男子がイケメン男性に見初められ、磨かれて行く、現代のシンデレラかマイフェアレディかって感じのお話。

とても軽いので、楽しく読めたが、展開が間延びというか、なんか物足りなさを感じた。
大きな事件もなく、普通に話が続く感じで、少し退屈だった。

「嫌われ魔物の大好きなひと」がとても良かったので、「Life is Beautiful」と今回のこの作品を読んでみたが、うーん、ちょっと心理描写が深くなく、まだまだこれからの作家さんかなという印象。

BL初心者さんには入門的にはいいかもしれない。

「嫌われ魔物の大好きなひと」のような、切なく、最初から最後まで目が離せない、そういう作品を再び期待したい。

1

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