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表題作月に笑う 下

大学生 加納路彦
経済ヤクザのボディーガード 山田信二

あらすじ

組を移った信二と、大学に進学した路彦。それぞれの新たな生活が東京で始まったが、二人の関係は穏やかに続いていた。組に疑似家族を求める信二は、組長の息子・惣一につくことになって以来、洗練された惣一に傾倒していく。しかし、組の仕事に路彦が偶然にも関わりつつあると知り…!? 失ったものを取り戻すんじゃなく、お前が心底欲しかった――上下巻合わせて380ページ超書き下ろしで2冊同時発売!
(出版社より)

作品情報

作品名
月に笑う 下
著者
木原音瀬 
イラスト
梨とりこ 
媒体
小説
出版社
リブレ
レーベル
ビーボーイノベルズ
シリーズ
月に笑う
発売日
ISBN
9784862637000
4.2

(142)

(85)

萌々

(28)

(20)

中立

(3)

趣味じゃない

(6)

レビュー数
31
得点
600
評価数
142
平均
4.2 / 5
神率
59.9%

レビュー投稿数31

読んでいて震えました

木原音瀬だいすきっ子によるレビューですので偏りがあります。
ご注意くださいね(´・ω・`)

上巻に続き、読んでいて吸い込まれるような作風でした。
木原作品のなかでは読み終わりが「痛い」部類に入らない内容です。
ただ読んでいての「痛い」はありました。
いじめにあい、弱弱しい男の子だった路彦。
そんな彼をおちょくっていた端くれヤクザの信二。

強気だった信二が大人になっていくにつれてたくましくなっていく路彦に「助けて」と叫ぶシーンでは思わず号泣しました。
ふたりのここぞというときの台詞、震えますね。
信二、路彦にとって、絶対といえるのがお互いの存在。

そんな自分じゃない、彼のためだったら自分なんてどうなってもいい。
落ちていくように、堕ちていくように恋をする。
もう、恋をしてしまっている。
そんな内容に、是非涙してください。

個人的に梨とりこさんの挿絵も美しくてたまりませんでした←

10

ハッピーエンドが待っている

東京に出てきた信二が、いよいよ惣一の元につくようになるところから下巻は始まります。
上巻のラストの方で、惣一の冷酷さを目の当たりにしていたはずの信二ですが、惣一の下で働くうちにだんだん傾倒していくようになるのですが、、、
ここで、惣一を、BL的お約束な、完璧でカッコイイ頭脳派ヤクザにしないところがコノハラ流。
惣一は、全く人の心がわからない性格と、なかなか痛い性癖の持ち主。
偶然惣一の仕事に関わることになってしまった路彦を、惣一から遠ざけようとする信二。
しかし、惣一は信二の願いを聞かないばかりか、ほとんど嫉妬のように、路彦を仕事に引き込みます。
信二の心は、良太の事と路彦の事で、惣一から完全に離れるのですが、惣一はそれが許せず、壮大な、駄々っ子報復戦が始まります。
この追跡劇のハラハラ感と結末の不条理さは、「痛い方のコノハラ」要素満載です。

二人は、主に信二の方の理由で、始めから「かきっこ」という擬似SEXしかしてこなかったのですが、逃避行の最中にようやく完全に結ばれます。
黒紋付きの大振り袖という花嫁衣装と蝋燭の影。
極限状態でのたがの外れた際限ないSEX。
直後に訪れる別れ。

4年の時を経て、総ての物語にハッピーエンドが待っている。
月明かりの下で、龍は笑っている。

9

君が僕の最後の砦

後書きで緋襦袢を書きたかったんです、というのにちょっと
笑いました。 そういえばそんなのもあったかくらいの存在感でしたが…
今回もぐいぐい読ませるその疾走感はさすが。
今作品では、二人きりの世界といった閉塞感はなく、
賑やかな脇役勢が彩りを豊かにしている。
特に、女性陣がさりげなく良いと思う。
ペニバンで女にイかされたがる、ちょっと特殊な性癖の
惣一さんに対して、元パートナーの玲香のちょっとした一言
「あいつって変態だったけど、けっこう好きだったんだよね」に
痺れた。 山田には路彦がいた。 だから人殺しと言う
ホントのクズに身を落とさずに済んだ。
惣一にとっても玲香さんはもしかしたら特別な相手だったかも
しれないのに気付けなかった不幸がある。
他に居場所が無いから、誰もいないから…ではなくて、
さらにその先、押し広げた世界の中からただひとりあなたを選ぶ、
というのが良かったと思う。 笑う龍って、現実の持つ
中途半端さや惨めさにつながるイメージだと思うんです。 
痛みを答えられなかった山田のハンパさ、無残さ。
以前のいじめられっこな路彦だったら、山田に出会う前の彼ならカッコワルイって
言っちゃうんじゃないかな。 今は違う。 そんなカッコワルイ
あなただから好きなんだ、背中の龍が綺麗なんだって言える。
そんな路彦の成長が凄く嬉しくなる。
山田を好きだっていう路彦、良い男じゃないですか。
多分出会わないままだったら、路彦は全然違う人間になっていた。
でも、本人も多分今の自分の方が好きなんだと思うんです。
山田がいてくれたから今の自分がある、そんな自分が好きだと
思える路彦が男前で良い! クライマックス、
「僕の人生のそばに来てくれてありがとう」の一言で
涙腺決壊! よくぞ言ってくれた…と喝采したいよ。
山田は山田で愛しいんだ。 
「路彦さえいたら、自分は大丈夫だったのかもしれない。」
絶体絶命のとき、助けて、の一言を言える相手がいる幸せ。
どうしようもない、現実の痛ましさ、中途半端さ、
無残さ、惨めさを全部全部ひっくるめて、肯定する力。
これこそ恋愛の魔法じゃないの? とうっかり感動してしまったよ。
今作品は全体的に痛ましさは少なかった。 木原音瀬も
丸くなったのだろうか。 私は好きです、この作品。

8

悲劇の予感にハラハラドキドキー!!

本来であれば、ヤクザ物は避けてます。
痛かったり死にネタじゃないかと……。バットエンド嫌いです。
しかし今回は木原先生のサイン会につられ、あらすじも見ずに申し込んでしまった…。

色々あって(もう皆さんご存じだしょうから省略)バスで逃げるあたりから、急に緊張感が増しハラハラドキドキ。
初めて”美しいこと”でBLノベルズに出会った時のように、睡眠を削っても続きが気になり止まらなかった!!!
蔵に隠れた時点で警察呼べよっ!!と一人興奮してイライラしました。
木原先生に電話して教えてあげたかったくらい(笑)。

正直、最後の穏やかさに心底安堵しました。
(逆にみんな助かって良かったのに、物足りなさを感じるくらい。どっちじゃい(^^ゞ)

始まりは信二意地悪だし、路彦なんで懐いてんの?って不思議なくらいでした。上では信二死にかけたし…、本当に悲しい世界だな、ヤクザって、って。
でも、木原先生の力でどんどん読ませられました。
信二の「助けて」や「花嫁衣装」で事件性だけでなく、胸キュンもいっぱいでした。

久々に夢中になりました。
やはり木原音瀬さんは神。

7

まさかの攻め受け逆転!
結構びっくりしました。…よく考えたら身長が抜かれて引っ越しやで肉体改造され始めた時点であり得る展開でしたね。
上巻では攻めの加納くんを良くも悪くも導いてきた山田は田舎の人情ヤクザの下っ端でしたが、下巻では舞台が東京に移り大きな組の経済ヤクザ惣一さんの側近につきます。
優秀でスマートなインテリヤクザの惣一さんに心酔した山田は惣一さんに懸命に尽くします。惣一さんも身を呈して自分を守った山田を可愛がり物や食事を与えます。
良好な関係が続いていましたが、徐々にその関係に暗雲が・・。
山田の大切にしている加納がアルバイトとして自分の世界にやってきてしまいます。
詳細は割愛しますが、惣一さんに加納を自分の世界に巻き込みたくないと訴えても聞き入れてもらえず、子分の良太が美人局に失敗し敵対する組織に拉致られた時も見捨てられ、惣一やヤクザ社会に対して抱いていた疑似家族妄想が崩壊し現実に引き戻されます。
山田は惣一の側近をやめたいと申し出、惣一は嫌がらせのようにデブの仕手師を殺すように命じます。
山田は根っからの悪人ではないし、組織に裏切られたような気持ちで仕手師を逃がしてしまいます。そして自らも逃亡することに。
家族だと信じていた組織に裏切られ傷ついた山田が頼れ信頼できるのは加納しかいませんでした。縋るように助けを求めた山田を加納は、気の弱い大学生とは思えないほどの行動力で、まさに命をかけて逃がし守ります。
この時に、二人は結ばれるのですが、極限状態の中での逢瀬。
恋や愛、生と死、信頼、友情、複雑な感情がごったになった生々しいリアルさがありました。
上巻はわりかしほのぼのした展開でしたが、下巻は目を背けたくなるような痛々しい場面が盛りだくさん。
ラストはハッピーエンドですが、木原先生の作品なのでもちろん甘いシーンはちょっぴりです。
でも希望の見えるラストでよかったなぁっとホッとして読み終わりました。
とても素敵な作品だと思います。

7

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