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表題作夜の帳、儚き柔肌

蘇武貴晃 超男前で名家の御曹司
忍 男娼

同時収録作品愛で痴れる蜜の劣情

綺蝶 男娼
蜻蛉 男娼

その他の収録作品

  • あとがき

あらすじ

捨て子だった忍は、男の遊廓・花降楼の楼主に拾われ、色子として働くようになるが、おとなしい顔立ちと性格のため、客がつかず、いつも肩身の狭い思いをしていた。
そんなある日、名家の御曹司で花街の憧れの的・蘇武貴晃とふとしたことから知り合い、一夜をともにしてしまう。
二度と逢うこともないと諦める忍だが、彼はその後も忍の許へ通うようになった。
贅沢な贈り物をされ、濃密な愛撫に溶かされるうち、次第に彼に惹かれていくが…!?綺蝶&蜻蛉の番外編を収めた花降楼シリーズ第三弾。

作品情報

作品名
夜の帳、儚き柔肌
著者
鈴木あみ 
イラスト
樹要 
媒体
小説
出版社
白泉社
レーベル
花丸文庫
シリーズ
君も知らない邪恋の果てに
発売日
ISBN
9784592874492
3.9

(50)

(20)

萌々

(9)

(19)

中立

(1)

趣味じゃない

(1)

レビュー数
14
得点
194
評価数
50
平均
3.9 / 5
神率
40%

レビュー投稿数14

忍が健気でホロリ

CDを聴きたくて先に原作を…と思って読みました。有名なシリーズと知りつつ他の作品は未読です。

遊郭モノはあまり読まないので、基本設定の部分で色々と新鮮でした。舞台が現代だと分かってまずびっくり(笑)。カタカナ表記できる(そのほうが自然な)語でも敢えて漢字にしてみたり、時代劇と現代劇のイイトコ取りでちょっと中途半端な印象を受けましたが、全体的にはドラマティックでなかなか面白かったです。受の忍は表紙イラストもモノクロイラストも、ついでにいえば思考回路もほぼ女の子。…これBLじゃなきゃダメなのかな?(・∀・) とか考えたらきっと負けですね。

かつて実在した陰間茶屋をベースに、吉原遊郭独自の仕来りをミックスしたような設定のお話です。とはいえ吉原には陰間茶屋はなかったはずだし、陰間茶屋では一人称も女性のそれだったようなので(色子たちの一人称が「俺」だったのもびっくり)、細かいことは考えずに読むのが吉ですネ。

さて、シリーズ第三弾の本作は男前の御曹司×健気な地味っ子というカップルです。最初は出来心で手を出した忍に絆されていく蘇武の様子にニヤニヤ。嫉妬で乱暴にしてしまうくだりが特に好きでした。一方の忍は最初から最後までとにかく健気で思わずホロリとしましたが…蘇武を完全に良い人だと思っていそうでちょっぴり心配です。蘇武は、忍には誠実かもしれないけれど、かなり強引で根はちょっと傲慢なヤツだと思うんですよね。まあ、忍を幸せにしてくれるならいいです。はい。

さ、CD聴くぞ~。

1

純度100%の健気受け

花降楼シリーズ第三弾。
今回の受け、忍はこれぞ健気受け!といった感じのキャラクターです。

忍は四歳の頃に捨てられて以来、花降楼で育てられてきました。
なので吉原の外の世界をほとんど覚えておらず、それゆえの純粋さみたいなものを持っています。
ちょっと浮世離れするほど健気過ぎて、読んでいて時代設定が現代なのを忘れてしまいそうになるくらいです。

忍は育ててくれた花降楼への恩や、自分の居場所はここしかないという気持ちから一生懸命お仕事を頑張っているのですが、残念ながらあまり色子の仕事に向いているとは言えません。
もしかすると、もっと気楽に遊べるようなお店だったらもう少し売れていたのかも知れないのですが、花降楼という華やかで客も大金を使って遊ぶようなお店では、なんとも地味で目立たずに埋もれてしまっているのです。

そうするとさらに自信を失ってしまい、客がつかないとお金がないので栄養状態も悪く、自分磨きも出来ず…そんな中に現れたのが、蘇武。

蘇武は大金持ちの御曹司で遊び慣れているのですが、だからこそ若いのにもうすでに遊び疲れているような所があり、あまり人のことを信じられなくなっているんですね。
なので、そこに現れた一生懸命で不器用で裏表のない忍に惹かれていくのは、とても自然なことのように感じました。

あと、当て馬的に登場する原。
被虐趣味で、忍に投げつける言葉もひどいものなんですが、その奥にある忍への愛情とかがきちんと分かるように書かれているのが花降楼シリーズのいいところだなと思います。

忍は純粋すぎて相手の言葉の裏側とかをあまり想像できないタイプなので、原についても忍目線で見たときは「あれ?もしかして原も原なりに忍への愛情を持っているのかな?」と疑問に思う程度なのですが、あとで蘇武目線の話として、それに対する答えをちゃんと書いていてくれるんですよね。
なんというか、文章を読み慣れていない人にも親切な設計なのではと思います。

ちょこちょこ出てくる同僚の椿と忍のやり取りも、私は結構好きです。
上で書いたように忍はあまり言葉の裏側を察することが出来ないタイプで、逆に椿はツンデレで回りくどい言動をしてしまうタイプ。
そのすれ違い方がなんだか可愛くって面白いのです。


同時収録では第二弾のカップル、綺蝶と蜻蛉の小話が載っています。
まだ犬猿の仲と言われていた頃の二人ですが、どこかほのぼのとした空気の流れる短編でした。

2

健気過ぎてもう・・・!

初っ端からゴメンナサイ。鈴木さんは基本的に合わない作家さんです。初期作から読んでも読んでもほぼハズレ。
このシリーズも、1作目はまだしも前作『愛で痴れる夜の純情』がまったく受け付けなかったので、相変わらず(その時点で出ていた)シリーズを纏め買いしてしまったことを後悔していました。

とりあえず、買ったからには仕方がないと何の期待もせずに読んだんですが・・・
なんだ、この素晴らしい健気受は!

私は、とにかく『健気受』が堪らなく好きです。
でも、こういう『ザ・健気受』の作品って減りましたよね。今はもう絶滅寸前って感じも・・・私は、ホントにこの上なく好きなんだけど!←イヤ、同じ『健気受』枠でも、作家さんによっては好みじゃないタイプの『健気受』も結構いるんですが、それはまた別。

とにかく、この特殊なファンタジー設定のおかげで、現代ものではあり得ないような健気過ぎる忍(受)のキャラクターに嘘臭さを感じません。設定とキャラクター・ストーリーが見事に噛み合って嵌まっています。
そして、蘇部(攻)も健気過ぎる健気にはもうピッタリのいい男でした。


こちらは、鈴木さんで私がいちばん好きな作品です。今までに何十回読み返したかわからない。
これに巡り逢えただけで、個人的ハズレ続きでも投げずに頑張って鈴木さん作品を読んで来てよかったとさえ思っています。
それくらい好き。まさしく『神級お気に入り』なんです。

評価は本編のみです。冒頭にも書きましたが、前巻CPがまったくダメなので、同時収録の『愛で痴れる蜜の劣情』はもう無視で。

イヤもう、基本的に合わない作家の纏め買いは数え切れないくらいやらかしてきましたが(そのたびに後悔するのに我ながら懲りなかったんだよ、これが・・・とてつもなく痛い目に遭って、ようやく過去形になりましたけどね)、鈴木さんは多少なりともよかったと思えた数少ない作家さんのおひとりです。

どれだけハズされても、鈴木さんの新刊を(一応)チェックしていたのは、またこんな当たりがあるかもという幻想が捨てられなかったから。
さすがに、もう限られたシリーズ以外はまず買わないんですけどね。

4

あま~い健気受け


忍の健気さはこの物語の世界観だからこそ
凄くいいと思います。

現代だとこの健気さは受けが悪いかも知れませんが
幼い頃に拾われ、遊郭で育ったからこそ
女の子っぽい容姿に儚さが出て、ぱっとするような
顔立ちではないのに、
御曹司の蘇武の若様と名高い彼が惹かれたのは
その儚さがあったからだと思います。

多分ですが、蘇武の若様は色々な人に手を出してきたけど
儚さの中に強さを持つ忍に惹かれたのかなあ…と思いました。


そして、関係はありませんが忍にツンデレぽく?接した
椿もとても、可愛いかったです。

2

このカップリングでこのお話は・・・神!

名家の御曹司の伊達男・貴晃様×儚げな健気・忍・・王道すぎるカップリングです!!
(・・最近は御曹司×ツンデレに健気は押されてるけど・・うっ(泣)頑張れ、健気!)

この王道中の王道のカップリングのお話は世に溢れていますが、それも一昔前のお話。
そう、健気が受けの全盛期だったのは一昔前なのです・・・。
基本的に受けには何かしらツンデレか意地っぱりがプラスされるのが定番化してしまい、健気さを前面に押し出されるのは「なんか昔のBLっぽくない?」といった風潮に・・・。

「BLも肩身が狭くなったもんだぜ」とか思っていた時に大HIT花降桜シリーズから発表されたこの「夜の帳、儚き柔肌」。
題名から健気さがうかがい知れたので早速レジに並んだのを覚えてます(笑) 

読んでみてやっぱり健気受けにはたまらないお話でしたね・・・。
どのくらい忍が健気かというとですね「貴晃様の将来を思って身を引いちゃうんだけど、生きる気力を無くしてしまって治る病気で本当に死にかけた」ってくらい健気です。

鼻緒がきれたてしまった時に応急処置をしてあげた下駄を大切に履き続けたり、恥ずかしそうに愛の言葉を伝えてきたり、ちょっとでも可愛い自分を見て欲しいから早起きして準備をしたり・・枚挙にいとまがありません。
忍サンは気付かれないようにしてますが、貴晃様の方が何枚も上手なのでバレバレですw
・・でもそれで良かったと思うなぁ。じゃなきゃ貴晃様が興味を持たなかったろうし。

上っ面の言動だけではない、端々から感じ取れる好意の数々にいくら貴晃さまが遊びなれて
いようとも・・・・いや、遊びなれているからこそ「忍の本気」にグラっときちゃったんでしょうねぇ~ww

忍に会いに来るのが半月に一度から一週間に一度、三日に一度・・と離れていられる時間が短くなってしまったのも愛しちゃった証拠だと思います。

が、一番の証拠は段々言葉攻めがねちっこくなっていった所じゃないかな~w

忍さんは男娼といえど、「感情が伴わないと気持ちよくなれない人」なんですね。
(つまり好きになればなるほど乱れに乱れてくれるのですw)
感情さえ伴えば何をされても快感に変換してくれるので、攻め冥利につきる受けさまですw

段々愛情が溢れていくにつれて、今まででは考えられなかった乱れように恥らいながらも快感に身を任せてくれるもんだから・・!!
貴晃さまが恥ずかしがってる忍に色々・・ホント色々言わせて、させて、更に忍は感じいっちゃうんですね!言葉攻めのスパイラルですw御馳走様ですw

この二人のカップルはかなり人気だったようでスピンオフ話も単行本で出ていますし(商業誌では一話分ですが)、作者さまの同人誌にも登場しているみたいですね。
私もゼヒ欲しいです。

6

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