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初恋王子の甘くない新婚生活

hatsukoi ouji no amakunai shinkonseikatsu

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表題作初恋王子の甘くない新婚生活

フレデリック・ディンズデール,31歳,ディンズデール地方領主
フィンレイ・フォルド,18歳,市井育ちの平凡な第12王子

その他の収録作品

  • あとがき

あらすじ

町育ちの平凡な第十二王子フィンレイに、十歳以上も年上の地方領主フレデリックとの縁談が舞い込む。美貌と威厳を兼ね備えた彼に、実はフィンレイは子供の頃から憧れていた。喜んで嫁いだけれどフレデリックの態度はよそよそしく、夢見た初夜の営みもなくて、自分が望まれていないことを知る。だがそっけないフレデリックもかっこいいし、彼の幼い甥たちは可愛い。せめて役に立ちたくて、領地の勉強や甥の世話を頑張ってみたが失敗続きで……。

作品情報

作品名
初恋王子の甘くない新婚生活
著者
名倉和希 
イラスト
尾賀トモ 
媒体
小説
出版社
心交社
レーベル
ショコラ文庫
シリーズ
初恋王子の甘くない新婚生活
発売日
電子発売日
ISBN
9784778129743
4

(89)

(32)

萌々

(36)

(18)

中立

(1)

趣味じゃない

(2)

レビュー数
18
得点
359
評価数
89
平均
4 / 5
神率
36%

レビュー投稿数18

受けの男気と格好良さ、ピカイチです・:*+.

作者様買いです。

絆され攻めと一途受け。

いつもは名倉先生の書かれる「受けのことが好きすぎて様子のおかしくなる攻め(笑)」が大好きなのですが、今作は受けであるフィンレイのキャラがすごく良かった…!

初っ端から、野鳥狩りをしている場面で驚きました。
狩りが好きで得意な受け様って、けっこう珍しい気がします(攻めにはいそうだけど)。
しかも狩りができるだけじゃなくて、解体・組み立てまでできちゃうんです。
ワイルド! (゚∇゚ノノ"

以下、内容を軽く。↓

母親と共に街暮らしをしていた、第12王子のフィンレイ。
彼は10歳の時、行事のために赴いた王宮で年上地方領主フレデリックに一目惚れします。フィンレイの初恋(*´艸`*)

そして18歳になったある日、突然兄である王太子から王宮に呼び出され、結婚を命じられます。結婚相手はなんと一目惚れしたあの人、フレデリック!
驚きながらも弾む心を抑えきれずに嫁いでゆくのですが。

フィンレイが王太子の差し金で間諜として来たと思い込んでいるフレデリックは、フィンレイに対し冷たく接します。
大好きな人に冷たくされる悲しみを抱えながらも、フィンレイは一生懸命に領主と領地のために尽くしていきー

と続くお話。

序盤は、大好きな人に、邪険に思われ悲しむフィンレイの姿が痛ましくて可哀想で( ; ; )

でも、ただ落ち込むだけではないのが、このフィンレイのすごいところ!
健気に一途にフレデリックのことを思い、本を借りて領地のことを勉強しようとしたり、フレデリックが引き取った甥っ子たちと遊んだり、懸命にコミュニケーションを取ろうとするんですね。

なかなか懐いてくれなかった9歳のライアンが、思いがけず銃の手入れに興味を持ってくれ、フィンレイとの関係が変わり始めるところでは思わず「よかったねえ」と声が。

お下がりの衣装も喜んで着て、懸命に領地のことを勉強し、子供たちとも仲良くなろうとコミュニケーションを取る。フレデリックの方が一回り以上も(13歳差!)年上なのに、涙ぐましい努力をするフィンレイの方が精神的に大人に見えたりしました。

そんなフィンレイの姿を目の当たりにして、徐々に認識を変え、フィンレイを信頼し愛するようになっていく攻め様に、ニヤニヤが止まりませんでしたよ〜( ̄∀ ̄)

「嫁いできてくれて、ありがとう」のシーンでの二人の口づけのイラストを見た時は、不覚にも涙が…

そしてそして…!終盤のフレデリックの危機に駆けつけた時のフィンレイの格好良さといったら!!もう映画を見ているようにドキドキしちゃいました。
このシーンがあったからこその「神」評価といっても過言ではないかも。

普通なら危機に陥るのは受けで、それを颯爽と助けにくる攻めーという構図だと思うんですよ。
それがね、馬に乗って猟銃構えて、攻め様の危機を間一髪、救う受け様。
格好良すぎるよ…!

ラブシーンでの恥じらう姿とのギャップにも、もうめっためたに激萌えしました。

かっこ良く活躍する受け様を見たい方、ここに!ここにフィンレイがいますよ〜!( ̄∀ ̄)と叫びたい✨
もちろん、絆され攻めが好きな方にもぜひぜひ読んでいただきたい一作でした◎

1

受けが男前

問題提起的な事案が少ない代わりに感情描写が豊かで、元々しっかりとした人物像の受けのフィンレイの心の揺れがとても分かりやすく、読み手の心を揺さぶる様に描かれているなと思いました。
勿論攻めのフレデリックの感情の変化も同様です。

フレデリックは民にも慕われている有能な領主だけど、兎に角フィンレイが出来過ぎなほど人間的に素晴らしく、受けにしておくのが勿体ない!
フレデリックに嫁がずあのまま母親の実家で過ごして大人になって、気立てのいいどこぞの娘さんと結婚したとしても幸せな家庭を築いていたんだろうなと思うのに、そんなフィンレイにずっと恋心を抱かれて、嫁いできてからも一生懸命夫のために動いて、笑って泣いてしてくれるとか堪りませんね。

猟銃は最後にああ使う為にあったんだなと納得しましたが、個人的な感想で申し訳ないですが狩った後の動物の描写で苦手な部分がありました。そこだけが唯一マイナスな気分になりましたが、続編も出ているようなので読んでみたい位には楽しかったです。

1

やっぱりこっちが好き〜

こちらの作品の続編も読みましたが、やっぱり甘くない〜の方に戻ってしまいます。だって、続編の穏やかでない〜があまりにもフィンレイが可哀想で可哀想で…。


甘くない新婚生活は、フレデリックとフィンレイの結婚から物語が始まります。この結婚生活はタイトル通り甘くない。夫のフレデリックがフィンレイの兄と確執があってフィンレイを冷遇するんです。フィンレイにとってフレデリックは初恋の相手でウキウキしていたのに、それを知ったフィンレイの落ち込みようはこっちまで泣けてきました。

しかしフィンレイは王子とは言え市井育ちで、庶民に近い生活をしてきています。生活も明るくハツラツとしていて前向きで、それでいて健気。ハッキリ言って好感度高い嫁なのです^ ^
そんな性格のフィンレイなので、使用人たちやフレデリックの子どもたち(義理です)と仲良くなって、ついにはフレデリックとも心を通わせていきます。

フィンレイを毛嫌いしていたフレデリックも、フィンレイの人柄を知るうちにどんどん好きになっていくんですよーーー!この過程がニヤニヤ。フレデリックがフィンレイにハマっていく様がとても楽しいです。


フィンレイの兄がフレデリックに嫁がせたのは、フレデリックを陥れるためで、その片棒をフィンレイに担がそうとするんですが、フィンレイは兄と夫との間に挟まれて心身共に衰弱していきます。マジでクソな兄です。王都にいるときはフィンレイと全く関わりも無かったのに!(怒)
でも、フレデリックがフィンレイを兄の陰謀から守ってくれて嬉しいハッピーエンドです♪

フレデリックはフィンレイにメロメロ溺愛です。子どもたちもフィンレイにすごく懐いていて、完全に幸せ家族。この展開を待っていたので嬉しいです^ ^

フィンレイの頑張りを応援したくなる、そんな作品でした。フィンレイは見た目も性格もかわいいんです。最初こそ読むのが辛かったですが、フレデリックがフィンレイに惹かれていくにつれて、読むのが楽しくなっていきました。もっとラブラブとイチャイチャを見たかったです。物足りなかった!

元気なれる作品です。めっちゃおススメです^ ^

0

心理描写が巧みで泣かされます

BLにここまで感情移入して泣くことがあるか…? っていうくらい泣きました。
もちろん悲しいお話ではないのでご安心を。とっても甘々で、温かいお話です。

受けのフィンレイがとにかく健気で逞しい。
中扉のカラーイラストがドレスを着た受けっぽかったため、このご時世にBL作品で受けがドレスを着るのか〜とも思いました。

しかし、ここで引き返すなかれ。これはフレデリックの亡き母が残したドレスを、時間と予算が無いために仕立て直した急拵えのものなんです。それを不満ひとつ漏らさず、幸せそうに着るフィンレイ。
そういう経緯があるイラストで、彼の良いところが一枚に詰められた素晴らしい挿絵です。

私がぼろぼろ泣けたのは、フィンレイがとある事情で愛する人と家族の間で板挟みになってしまったところです。悩み苦しむ姿はとてもリアルで、痩せて指輪が緩くなってしまうシーンには胸が痛みました。
それでも立ち向かうフィンレイの強さ、そして彼の苦悩ごと包み込んでくれたフレデリックの優しさを感じて、たまらなくなりました。溢れたのは辛い涙ではなく、温かい涙です。

繰り返しますが、基本は甘々なので安心して読んでもらって大丈夫です。

何度も改稿を重ねたというのも納得の名作です。

1

この頼れる殿下を妻なんてよして

“廊下を歩いて行く後ろ姿をなんとなく眺めていたら、フィンレイはしだいに踊るような足取りになり、階段にさしかかると手すりにひょいと跨がった。スーッと滑って姿が見えなくなる。”


名倉さんのお話は甘く読みやすく、大好きになり最近何作か読んでいるのですが、このお話もご多分に漏れず。健気受けの切なさだったりツン攻めが徐々に絆されていく様子が凄く丁寧で、絵の浮かぶ美しいシーンも多く萌えました。
でも私がBLで受け付けられないのが、男なのに結婚して片方を「妻」「奥方」「嫁」と言うことです。現代ベースでふざけて言うのはまだしも、同性婚が一応認められている世界観ではもっと違う名称設定があってほしいと思うのは、それこそ固定観念なのでしょうか。このお話では領主とそれを支える役という立ち位置もありますが、同性同士だからこそ出来ることや補えることがあるのだからフェンレイが妻妻言ったり(フレデリックがだーい好きなのは分かりますが)、式でのドレスやマグロだったりが辟易しました。普段は女の子っぽい受けも大丈夫なのですが、今回「王/様と私」みたいで、個人的に男らしさがもっと欲しかったです。

ただこの名称問題と嫁嫁しいフェンレイが苦手なだけで、二人が心を寄せて行く描写は今まで読んだ名倉さんの作品の中で一番素晴らしかったです。スパイだと疑いフェンレイに冷たい処置を取るフレデリックが、徐々に彼を見直して好ましく感じていくのが、些細な言葉選びや「驚かせよう」という行動から見えてくる書き方がすごく好きでした。そしてフェンレイの気持ちを理解し労り包み込もうとするのに癒されるし、フェンレイの辛さが解放されてホッとします。
大好きな人と結婚出来てワクワクしていたフェンレイが、実は疎まれていると知って悲しくなるのは辛く切ないのですが、元々の快活さで子供や従者と楽しげに接し、土地と役目の為に書物を取る様は、心強く健気で絆されない人はいません。
挿絵はフェンレイが現代の平凡男子みたいで残念でした。

1

キュンキュンが止まらない

なんだこれなんだこれなんだこれええぇぇ!!!

どこのページ開いてもキュンキュンが止まらないし、萌の供給が過多!!少女漫画でもこんなキュンキュンさせられる話、なかなか無いと思う。
溺愛攻・フレデリックと健気受・フィンレイの恋の行方を応援しまくりたい一冊!

以下、ネタバレ含。
最初はフレデリックと仲の悪い第一王子からの差金で、フィンレイ(第十二王子)が嫁いできたと疑ってかかるフレデリック。
でも、フィンレイのほうは10歳の時から、国の行事で見かけたフレデリックに憧れを抱いている。だから、嫁ぐことができて嬉しいの極み!

でも、フレデリックはフィンレイが間者だと疑っているし、この二人いったいどうなっちゃうのかってページを捲る手が止まりませんでした!

半分くらいのところで、誤解が解けて、ラブラブになっていくのがほんともうキュンキュンする!
誤解が解けてからは、フレデリックにめちゃくちゃ溺愛属性がつきます。必見です。
お互いを大事に慈しみあって、敬愛していく関係にお顔がニッコリしちゃって、最後まで一気に読み進めました。

8

何度も読みたくなる

内容は他の方が書かれているので感想を。

主人公の王子がめっちゃいい!
前向きな健気いいですね~。しかも聡くて自分の立場を理解し頑張る可愛い子。
そりゃ最初はつれない攻め様も絆されるよなと。わりとすぐに溺愛になるのもよし。わかるよ、ニコニコ笑顔可愛いもんね。

攻め様がはじめ冷たい態度なのは理由があるのですが、認識を改めきちんと主人公に謝罪するんですね。それがまた良かった。そのときのやり取りがキュンとしました。

お子さまとの関わりもあざとすぎず良かったです。健気な年下受けに年上攻めが陥落してメロメロになるお話が好きな方は是非。

5

大好きな作品

名倉先生の作品は温かくて好きで、この作品も何度も読み返してる。拒否からの溺愛って話の流れにキュンキュンする。フレデリックに相手にされなくても自分らしく頑張るフィンレイが可愛いし、いざって時には猟銃を持ってフレデリックを守るのがかっこよすぎる。フレデリックを守るために身を引こうとする所も健気過ぎる。そりゃフレデリックも好きになるよ!
フィンレイはフレデリックが初恋で何もかも初体験。その初々しさも萌える。読んでて幸せになる作品
( 〃˘╰╯˘p♡q

3

健気過ぎて涙

いやーホロリとしちまいました。

フィンレイが望まれて嫁いできた訳ではない事を知っても健気に前向きに頑張る姿になんとも苦しくなってしまいまして。

周りの人達がフィンレイを認める様になってきて、少しずつフレデリックも歩み寄り二人の距離が近くなっていきます。
そしてフレデリックが自分の間違いに気づいた辺りからもうウルウルしてきて、そこからの2人の会話でフィンレイが悲しみを吐露したところでホロリと落ちました。

にしてもあの刺客はなんでそこまで王太子に入れ込んでるの?謎だった。

3

無邪気って最強のカードだと思う

『天然』ではなくて『無邪気』。
最強だと思うのですね。
このお話のフィンレイがまさしくそれで、本当に良い子なんですよ。
おまけに、普通に賢いのです。王族と言っても母は平民で第12王子の所為か人権意識も健全ですしね。
もう、何をやってもフィンレイは可愛い。
密かに憧れていたフレデリックの所に思いもよらぬお輿入れすることになったのを聞いて唖然としているのが可愛い。
望まれて呼ばれたわけではないことを知り、がっかりしつつも出来ることを探して努力するのも可愛い。
周りの人たちの心をあっという間に掴んじゃうのも良く解るの。
だって何一つ邪気がないのですよ!

お話の後半はうって変わって、フレデリックと王太子(フィンレイの長兄)の対立をめぐる陰謀が書かれます。
前半に主人公の魅力が最大限ふりまかれていますから、このパートの印象が『少年少女世界の文学』チックに感じちゃったんですよね。これがまた良い!いや、BLなんだけど。確かにちゃんと恋愛しているんだけれど。でも、牧歌的なんですよ。
名倉さんのお話ですから『溺愛暴走故の抱き潰し』的なお楽しみも用意していただいておりましたが、それを読んだ後もちっともアダルト気分にならなかったんですよね、良い意味で。
これって『神々しいまでの無邪気』がもたらした読後感だと思うのです。

6

王子がかわいい!

「甘くない」とタイトルで釘刺されているので、ちょびっとだけ覚悟しながら読みましたが、ふつーに甘いと感じました。

というのも、受けが朗らかで、健やかで、いつも前向きなんです。
こんないい子を嫌いになれるはずがないというキャラなんで、攻めも早々に陥落するだろうとわかるので読んでて安心感がある。

健気キャラなんだけど、湿度高めなウジッとした感じがないところが良かった。
キャラ属性に「やんちゃ」が入ってるとおり、気さくで活発な少年らしさがあってかわいいんです。
誰も見ていない階段の手すりを滑り降りたり、木登りが得意だったり、工夫たちとも仲良くしゃべったり。
王子様とはいえ、母親が平民で市井育ちということもあり、気取った感がゼロ。
さぞかしちっちゃい頃は、祖父の商売の様子や工夫達が働く姿を、黒いお目目をキラキラさせて見ていたんだろうなぁ……という想像が容易にできる子。

受けを王太子の差し金だと思ってる攻めは、最初のほうこそ懐疑心でいっぱいなんだけど、どんどん心惹かれて、しまいには鼻の下が伸びまくりのデレッデレになってる(笑)

さらっと読めて楽しい一冊でした。
ちょいオマケして萌萌。

4

受けが可愛くてかっこよくて好き

精力旺盛な国王が気まぐれに手を出した平民の娘であった母との間に生まれた、庶民的な育ちの第12王子のフィンレイは、ある日突然、思いがけず初恋の人に嫁ぐことになる。
心の底から喜んでいたけれど、実は望まれた結婚ではなかった…
そんな、ちょっぴりせつない結婚から始まるお話。

個人的に、名倉先生の作品が大好きで。
特に、受けをでろでろに溺愛する攻めの図が好きなんです。
攻めが残念すぎて可愛いなあ、みたいな。
今作はと言うと、攻めの溺愛さは控えめなのですよね。
そもそも、結婚自体が王太子という因縁めいた相手によって仕組まれたものでしたし、決して望んでいたわけではない結婚ですから、そんな相手があてがって来たフィンレイへのフレデリックの印象は溺愛どころか警戒心でいっぱい。
両視点で描かれているだけに、フィンレイのフレデリックへの恋する気持ちを知っている読者としてはすごくせつないんです。

ただですね、こちらの作品はなんと言っても受けが良い。
久しぶりにこんなに爽やかで気の良い性格の受けに出会えた気がします。
小柄で可愛らしいのにかっこいい。こんな王子好きになっちゃうに決まってる。
たとえ望まれていなかったとしても、この土地のことをもっと知りたいと勉強をし始めたり、フレデリックが引き取り育てている亡き姉と弟の遺児3人とも何気なく自然に交流を試みたり、公務にも喜んで参加してみたり。
本当に明るく前向きで、打算がなく自然体。
フレデリックが好き!と、喜怒哀楽がスポンと表に出るような、嘘がつけないとても良い子です。
良い意味で王子らしくないのが良かった。
これは街の人たちにも子供たちにも好かれるのが分かる。

そんな、計算めいたものがないフィンレイを見て、次第にフレデリックの中でのフィンレイへの印象と気持ちが変化していく様子の気持ち良さったら!
フィンレイはもともとフレデリックのことが好きでたまらないですし、あとはフレデリックの気持ちが寄り添っていくだけなんですよ。
このね、どでかい愛を持って手を広げている状態の受けのもとに、年上の攻めが少しずつ大きくなる好意を持って、ちょっとずつちょっとずつ近寄っていくのがむず痒くてたまらないんです。
逆のパターンは多い気がしますが、このパターンはあまり数多くはないのではないかな?
花祭りの衣装を着たフィンレイを見て「似合っている」と思っていたり、共に公務をこなすのを「楽しい」と思っていたり、「贈り物をしたい」と思ったり「喜ばせたい」と思ったり…
いやあ、もう可愛くて仕方がないのが隠せていないじゃないですか…好きじゃないか…
め、めちゃめちゃ萌えた…
感情不器用な大人って、読んでいてむずむずしますね。
尾賀先生による、花祭りの衣装を着た2人のイラストもとっても素敵でした。

今までの誤解と非礼を正直に詫びるフレデリックも、自身の一途な想いを真っ直ぐに伝えるフィンレイも好感度が高かったです。
そこからどんどん甘く親密になる2人のやり取りが良いんだなあ。
フレデリック、甘々じゃないか。
ハラハラする一波乱もあったりもしますが、そこは夫婦でしっかりと解決しますし、後味も悪くないです。
ハラハラ部分での受けがまたかっこいいんだな。

猟銃の扱いが上手い受けというのが、意外性もあって好きでした。
それから、フレデリックの甥・ライアンが無理をしている様子を見抜き、子供らしさを自然と引き出していくフィンレイがすごく良い。
親代わりとしての至らなさを反省するフレデリックをさり気なく包み込んだり、もっと会話をしましょうと持ちかけたり、ちょっとした優しい言動や行動が素朴なのですけれど、その素朴さに皆が惹かれていくというか。
うん、今作は受けのフィンレイが大好きになりましたね。
子供たちも脇を固めるキャラクターも魅力的ですよ。
お子様登場ものが得意ではない方でも読めると思います。

いつもより攻めの変態度は少ないですが、その分受けの男前度と好感度が高いです。
序盤はほんの少しせつないものの、中盤からはほのぼのと甘さが。
ラストはたっぷりの甘さが待っています。
一風変わった新婚生活ものでした。

4

これからはあまーい甘い新婚生活。

先生買いです。
先生の書かれる、受け様を好きすぎて残念になる攻め様の姿が大好きなんです。


 受け様のフィンレイは、市井育ちの12番目の王子。
そのフィンレイの初恋の相手で、一地方領主のフレデリックが攻め様です。

 長兄である皇太子から、フレデリックの家へ嫁ぐよう言われ、しかもフレデリックからの申し出だと聞いて喜びが隠せないフィンレイ。

一方、王家からの結婚指示を受け、困惑するフレデリック。
亡くなった姉や弟の息子を引き取って育てているので、後継者問題がない自分に、嫌がらせとして皇太子の息のかかった王子を送り込んでくるものだと思い込んでいるんで、しょっぱなのフレデリックの対応はしょっぱい。

 一目会いたくて、城の中を探検したあげくフレデリックの部屋を見つけたフィンレイ。
そのフィンレイを見つけて「見取り図でもお持ちですか?」と嫌みを言ったフレデリックに「そんな便利なものがあるなら下さい」と詰め寄るフィンレイ。
毒気を抜かれるってこの事ですよね。
まるで警戒心のない素直で純粋なフィンレイが、かわいいわ〜

 挙式後に、自分への対応で望まれていなかった結婚だったことは理解したフィンレイだけど、現状を打開しようと、自分でできる努力をする姿は健気でありいい子なんだなぁ。

 小躍りしながら、階段の手すりを滑っていくシーンは、笑っちゃいました。
フレデリックが大好きで大好き、というフィンレイの気持ちがダダ漏れで、かわいいんですよね。
かわいいだけじゃなく、健やかで明るく、どんどんフィンレイに惹かれていくフレデリック。
自分からフィンレイの部屋へ訪ねて行く所はとっても好きです。

いつか必要になるから、と香油を箱買いしてる執事のギルモア、ナイスでした(笑)


 フレデリックや息子達、使用人達からも受け入れられ、幸せに過ごしていたフィンレイの元へ王都の皇太子から、間謀になるよう手紙がくる。

解決するために王都へ向かったフレデリックを助けに行ったフィンレイはかっこよかった〜。

 最後にやっと香油の出番が来ました( ☆∀☆)
これからはバンバン使っちゃいますよ、ギルモア、早めのチェックをね。

 作品中では、残念な姿を見せてくれなかったフレデリックだけど、なんてったって、家族にも領民にも公認カップルなんですもの、これからは溺愛しまくりで、暴走していくであろう姿が目に浮かびました(´∇`)


4

歳の差カップル

フィンレイは王子だけど市井育ちで全然王子らしくない王子。でも一途で賢くて愛情深くてとてもバランスの取れた良い子なんです。

そんなフィンレイを誰もが好きになる。私はフレデリックに歓迎されて無いと分かっても、一生懸命に頑張るフィンレイを応援してました。

子供たちとそして使用人たちを味方につけて、とうとう頑なだったフレデリックの心まで掴んでしまったフィンレイ。そしてフレデリックは今までの仕打ちを謝って、フィンレイの居室を自室の隣に移したのです。

フィンレイにとってフレデリックは10歳からずっと想い続けて来た初恋の人です。もちろん他に恋愛経験も無く純真無垢。13歳歳上のフレデリックが可愛く思わない筈が無いんです。

初めはキスからと徐々に関係を深めて行くフレデリックがとても辛抱強いのです。水遊びで濡れて肌が透けて見えると、他の男に見せなく無いと抱き抱えて浴室に連れて行くほど嫉妬深くなるほどでした。

もうそろそろと執事が香油を用意した頃に、兄の王太子の陰謀を知ったフィンレイがやつれて行きます。自分で何もかもを抱え込んで離婚を言い出したフィンレイにフレデリックは王太子に怒り、王太子への反撃を決意するのです。

まずは自分の腹心を王都に行かせて、王太子のフレデリックに対する態度を苦々しく思っている貴族や大臣たちに、現状を訴える手紙を渡します。やがて大臣から王の耳に入り、貴族と王族間では噂が流れました。そしてとうとう王からフレデリックに直接話を聞きたいと呼び出しがあったのです。

心配ながらもフレデリックの乗る馬車を見送った夜に、フィンレイの祖父に頼まれて諜報活動をしていた男と領地の灌漑工事をしていた男が、フレデリックの危機を知らせて来たのです。

フィンレイは猟銃を背負って馬でフレデリックの馬車を追いかけます。
そしてフレデリックを撃とうとしていた暗殺者を、馬を走らせながら鎧に立ち上がって猟銃で撃つという凄技で撃退したのでした。

亡くなった護衛兵の家族に慰労金、負傷した護衛兵と御者に見舞い金を出したり、直接見舞ったりと、後始末に追われたフレデリックが王都に到着するのに半月以上遅れました。

途中で暗殺者は毒殺されてしまいましたが、王太子がフィンレイに宛てた手紙だけで充分でした。

王は次期国王たる王太子が勝手な私怨の為に理不尽な攻撃を仕掛けた事、実の弟を道具のように使おうとした事が許せずに激怒しました。

王太子は位の剥奪と王都から遠い地に一生幽閉される事になったのです。フレデリックも王太子派の貴族や大臣から恨みを買わないようにと、1年間の謹慎になりました。

20日後にやっと帰郷したフレデリックはとフィンレイはようやく結ばれるのです。この時にフレデリックはフィンレイを抱き潰してしまったらしく、フィンレイの怒りを買ってしまったようです。
その後はフィンレイの怒りを買わないように、デロデロに甘やかしていました。
フレデリックは毎日何度もフィンレイに恋するようです。

ストーリー的に甘さは少ないですが、最後の最後にドロドロな砂糖水みたいな溺愛攻めが読めますよ❤︎

6

甘さ控えめ、健気さ多め

まさに、タイトル通りの内容。
名倉先生の作品にしては、甘さ控えめだと思います。

初恋のフレデリックと政略結婚した第12王子のフィンレイ。
憧れのフレデリックの元に嫁いでウキウキのフィンレイでしたが、フレデリックには疎まれていてーー…!

フレデリックや子ども達から距離を置かれ、ショックを受けるフィンレイ。
ただ、前向きで健気で強いフィンレイは、へこたれないし立ち止まらない。
持ち前の天真爛漫さを活かして子ども達と打ち解けていく姿が微笑ましい^^

お得意の溺愛攻めというよりは、今回は溺愛受けの印象が強く、庶民派王子・フィンレイの可愛さとカッコよさが際立つ作品です。
健気で献身的なフィンレイの大きな愛に触れ、夫として親として、自身を見つめ直すフレデリックの心の変化も見どころ。

フレデリックに嫉妬と劣等感を抱く王太子から命を狙われたフレデリック。
フレデリックを助けるべく猟銃片手に駆けつけるフィンレイに、わくわくが止まりませんでした。

ラストは安定のハッピーエンドです♡
欲を言えば、もっとラブラブな二人を堪能したかった。
初Hで1日かけてフィンレイを抱き潰したフレデリックは、実はかなりムッツリですね。
そして、ドロドロの寝具を使用人に替えてもらう下り……なぜか萌えてしまった私も相当な変態です;

3

応援したくなる王子の新婚生活

途中まではタイトルと帯の通りでした。

第12王子のフィンレイ18才が10才の時に一目惚れして憧れてきたフレデリックに嫁ぐ花嫁もの?です。

しかしこれは王太子の差し金で…。

望まれていなかったフィンレイ。王太子からはフレデリックからぜひ嫁に欲しいと聞いていたのに。
フレデリックや使用人達は警戒心マックスで、孤独に過ごすフィンレイが不憫で。

でもフィンレイはとっても良い子なので前向きに頑張ります。
領土の勉強やフレデリックの甥っ子と仲良くなったり、領主の行事に積極的に参加したり。

そうするうちにフレデリックも使用人達もフィンレイの人となりを知り、打ち解けて過ごせるように…。
甥っ子達とも交流が増え慕われ。

そして何よりフレデリック!
いつの間にか徐々にフィンレイに惹かれていき、フィンレイの反応や態度や言葉や姿に可愛くて愛しさが湧いて。

花祭りの時のフィンレイの衣装がとっても似合ってる時のフレデリックのモノローグがツンデレか!でしたね。

そして愛を深めながら平和に時は過ぎ…王太子からの手紙の2通目から段々不穏になっていき。

とにかく主人公のフィンレイがとっても良い子なのです!めげずに近づこうと努力して、嫁いだからにはと骨を埋めるつもりで勉強したり甥っ子の保護者として努めたり。とっても応援したくなる主人公でした。

そしてフレデリック、警戒もわりと早いうちに解けてすっかりデレデレに。

フレデリックの危機にもフィンレイが活躍して、可愛いだけじゃなくて頼りになるお嫁さんですね。

初めての夫婦の営みも良かったです。
王都から到着して早々に。そうですよね、いつ命を落とすかわからないのだから欲しいもの、やりたいこと、大事なことは出来るときにするべきだよね。

長時間お疲れ様でしたな営みでした。
何度も執事が心配して様子を見に来ていたなんて!さすがです。

最後にはすっかりかかあ天下?フィンレイのご機嫌を伺うフレデリックでした。

とてもハラハラドキドキなお話でしたが、何と言いましょうか名倉さんの王道な気がして。
似たような設定、境遇、展開が過去作にもあったような…という気持ちが邪魔をしてしまい。

ただ攻めの変態度は低めです。

5

王子様粘り勝ち

先生買い。そんなに笑わなかったのと、攻め受けともめっちゃ際立ったキャラというものを感じなかったので、萌にしました。もっと変人になってくれても良かったんだけどショコラ文庫さんだから、控えめにされたのかなと思った本編240P+あとがき。

10歳の時の国の行事で、初めてフレデリックを見かけたフィンレイ。見た目平凡、頭も強烈良い訳ではなく、母が貴族ではないため王位継承権を持たない、立場のよわーい12番目の王子で、国の行事に出ても肩身が狭いのですが、フレデリック見たさに出席し続けること6年。何の間違いか、豊かな領地を持つフレデリックに嫁ぐことになり・・と続きます。

攻め受け以外の登場人物は
ウィルフ(王太子、フィンレイの兄)、ギルモア、ローリー、マーティン(攻めの屋敷の執事、家政婦長、攻めの補佐役)、ライアン、ジェイ、キース(攻めの甥っ子)ぐらいかな。ギルモア、ナイスフォローです。

++攻め受けについて

攻めは最初スパダリ、後半、にやけたスパダリ という印象です。思ったほど変人化しなかったので、個人的には少し物足りなかったでした。最初は犬猿の仲である王太子から送り込まれたスパイだと思って、受けとは距離を置いていることはとっても納得だし、途中から気付いて、受けに歩み寄っていくところも良かったです。
受け、本当に辛抱強く粘り勝ちました。

受けはとても気配りの出来る良い子なんだと感じました。お子様ぽいところも十分残していて、攻めの引き取っている甥っ子たちと、きっと犬っころみたいにじゃれあって遊んでるんだと思うんですよね。子供達には良いお母さんって位置づけの人になってくれて、とても良かったと思うんです!情操教育大事!
ただ、攻めのピンチに泣いちゃうところだけ、今回ちょっと得意じゃなかったかな。泣くんじゃなくて「王太子と刺し違えます!」ぐらいな決意表明するような子だと、より好きだったかも。

攻めはあまり変人じゃなかったし、受けは良い子だったので、強烈な印象が残らず、さらっと読んでしまったお話でした。一番最後の攻めのセリフ「湯あみのお手伝いをしたいと申しております」はクスっと笑えて、とっても好きだったんですけど。

5

ダメだっ! この王子、可愛すぎる・・・!

誤解から始まった、二人の結婚生活。
いつしか、本当の愛を育んでー・・・と言ったお話になります。

いやもう、めちゃくちゃ可愛いし萌えるし、最高でしたよ!
個人的に溺愛攻めが大好きでして、この場合は最初から最後まで溺愛してて欲しいんですよね。
が、序盤では受けを敵認識していた攻めが、受けの愛らしさや可愛さにどんどんメロメロになって行くと言うのも、またいいものですな!と。
てか、最初から溺愛してるバージョンより、更に萌えますな!と。

や、こうして次々と新たな萌えを開拓出来る。
本当、BLって素晴らしい!

内容です。
町育ちの平凡な第十二王子・フィンレイ。
幼い頃に出会ってから憧れの地方領主・フレデリックとの婚姻が決まるんですね。
この婚姻がフレデリック側からの希望だと聞き、喜びの中、嫁ぐ準備を進めます。

一方その頃ー。
微妙な関係である王太子から、第十二王子との婚姻を命じられたフレデリック。
王太子の回し者であろう第十二王子に、不快感を持ちますが・・・と言うものです。

と、こちら、あらすじからお分かりのように、もう最初が完全にスレ違い状態なんですよ。
まぁそんなワケで、意気揚々と嫁いだものの、よそよそしい態度の夫に自分が望まれてなかった事を知る主人公と、序盤はほんのちょっぴり切ないんですよ。
が、こちら、切ないのは本当にほんのちょっぴりだけ。
や、主人公であるフィンレイがですね、とにかく前向きで明るくて素直で健気でと、めちゃくちゃ可愛いのです!

えーと、フィンレイですが、母親が平民の為、町で育った超庶民派王子なんですよ。
どれほど高慢で身分を鼻にかけたイヤミな王子が嫁いでくる事かと身構えていたら、やって来たのは華奢で愛らしくて気さくなフィンレイ。

フレデリックですけど、頭が固くて若干疑い深いんですよね。
この無邪気な態度も、可愛すぎる言動も、演技では無いのか?みたいな。
こう、彼は領主として領民を守らねばと、王太子の回し者である(はずの)フィンレイに、気を許さないようにかなり身構えているんですよね。
それがそれが、自分を一途に慕うフィンレイの愛らしすぎる言動に、どんどん調子を崩されて行くー。

いや、フィンレイの行動って、完全に予想外なんですよ。
フレデリックにとって。
子供たち(甥っ子です)と遊んでいいと許可を出しただけで、小躍りした挙げ句階段の手すりを滑って降りて行くフィンレイ。
で、それをそっと見ていたフレデリック。
今のは現実にあった事か?と、呆然とする。

自分が見ていた事に気付いてわざと無邪気なふりをしたとは思えない。
どう考えても、王太子の密命を受けた悪意ある王子には見えないー。みたいな。
しつこいですが、どんどん調子を崩されてゆくのが面白いなら、惹かれる心に懸命ブレーキかけようとしてるのにも、ニヤニヤが止まらない。

そもそもさ、自分の何気ない一言に、喜びを全身で表すフィンレイ。
こんな事で、これほど喜ぶのか。と。
もっと喜ばせたい。と。
もうこんな事を思ってる時点で、完全に惚れてるじゃんね!
潤んだ瞳がまるで黒曜石だ・・・とか思ってる時点で、もうメロメロじゃんね!
ああああ、最初からの落差と言うのがあると、こんなにも、こんなにも萌えちゃうのかー!
と、もう鼻血が出んばかりに、読者もと言うか私が、萌え転がっちゃうんですよーーー!!

ちなみに、ここから、フレデリックと微妙な関係にある王太子の企みにより、二人は窮地に陥ります。
ここで、健気すぎる決意をするフィンレイには切なくて悶え、男前すぎる対応をするフレデリックには萌え転がり、更にオチでは興奮しまくりって感じでしょうか。
もうマジで、フィンレイ尊い・・・!
そして、男らしい!
そう、男なら、愛する人の為に身体を張らなくちゃね!

まぁそんな感じで、めっちゃ、めっちゃ良かったです。
フレデリックの甥っ子達も、ちょうどいい塩梅で活躍してくれて、ほのぼのさせてくれました。
ついでに、執事であるギルモアも、すごくいいキャラでした。
まだ身体の関係に進んでいない二人の為に、香油を箱買い。
主が自分でも気付いていない望みを、先回りして叶える。
優秀な執事だなぁ。

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