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終わってしまった…。
ついに読み終わってしまった…。
読んでいる間、ずっと涙が止まりませんでした。
さっきからずっとこの画面に文字を入力しては消して、また入力しては消してを繰り返しています。
感動が全く言葉になってくれません。
「そばにいる、それだけでいい」と気持ちが通じた『同級生』。
「20歳になったら結婚して」と約束した『卒業生』。
下の名前で呼び始めた『O.B.』。
遠距離でなかなか会えなくてもこっそり指のサイズを測って、約束を忘れずにお互いに指輪を贈り合った20歳の誕生日。
「草壁」「佐条」と呼び合っていた頃から見守り続けて、パチパチと弾ける炭酸のように胸が躍るばかりだった幼い恋が、ひとつずつ壁を乗り越えて、ここまで来たんだなと思うと、感慨もひとしおです。
今回、まさにオールキャストで、今まで2人を支えてきたひとたち、2人と関わったひとたち、どこかでつながりがあるひとたちが一堂に会します。
そこに2人の理解者のあのひとがいないことが寂しいけれど、新しい門出をきっと笑顔で見守ってくれているはず。
大きな出来事が2つあって、すべてがそこに絡んでいるので何か言おうとすると全部ネタバレになってしまうので、この辺りでやめておきます。
本当に大好きな2人。
この2人とであわせてくれた明日美子先生に心から感謝しつつ、続く「ふたりぐらし」も楽しみにしたいと思います。
pixivで既に4回分発表されていましたが、最初からの掲載になるのでしょうか。
いずれにしてもまだ2人を見守れるしあわせに、重ねがさねありがとうございます!
1・2巻まとめて。
blancとは、フランス語で「白」。
フランスの刺しゅう糸の会社DMC社では、白blancの刺しゅう糸は1種類だけしか出していない。他の手芸用品会社は、青みがかったような白やアイボリーに近い白も展開しているのに、「我がDMC社の究極の白はこれだけです」と言っているようで、私はかねてより勝手に清々しく感じている。
「blanc」というタイトルで想起したのは、まずこれであった。閑話休題。
それにしても、紅茶の一滴でも落としたら、どん底まで落ち込みそうな装幀である。ふだんはカバー必須ですな。
タイトルから、まだ20歳になったばかりの「まだ若く白い」彼らが描かれるのかと想像した。が、違った。
2巻を読んで、「その白であったか」と、得心した。
前作「O.B.」を読んで、草壁と佐条の二人は「稀に見る奇蹟の二人なんだな」と思った。外の世界に何もぶつかっていなかったからである。
「O.B.」で、他の2カップルは、外との問題に何かしら悩んでいた。ハラセン・空乃組は、ハラセンが親へカミングアウトをすべきか悩み、空乃はそんなハラセンに寄り添おうと悩む。有坂先生・響組は、もっとすさまじく、響は両親とはほぼ絶縁状態らしい。有坂は自責の念から、娘にカミングアウトしてしまい号泣され泣き叫ばれる。(その後、娘とは和解するが)
「O.B.」の中では、草壁・佐条組だけが、二人だけでのけんかはあれど、お互い二人しかなかった。
「blanc」は、彼らが初めて、外の壁を感じ、悩み、苦しむ物語だ。
佐条が、大学受験模試会場への電車の中で過呼吸のような発作を起こしてしまう癖がついてしまった程、高校受験で家族をがっかりさせることを恐れていた理由は、父親がこういう人だったからなのかもしれない、と思った。
初めて外壁にぶち当たり、自分たちの関係に、外を巻き込み、関わっていく。それは、それでも、揺らぎないものがあったからこそ。
その揺らぎないものが何であるかを、彼らの物語をずっと読んできた私は、だからこそ知っているわけで。そのことに感動と愛しさを覚えた。
ところで、「卒業生 春」で、草壁が佐条のお母さんに贈ったCDが、シュガー・ベイブ(山下達郎らがいたロックバンド)だったことが、わかって感激した。お母さんの世代を考えてのシュガー・ベイブ! それにしてもシュガー・ベイブ! なんと通好みの洒落たセレクト! 思わず「Down Townへくりだそう~♪」と口ずさんじゃったわ。
『blanc』の2巻にして完結編。
いやー。
良かった…。
めっちゃ良かった…。
1巻も良かったですが、2巻もまじ神。
ハンカチ必須です。
心が洗われます。
中村明日美子という作家の才能とセンスにズキューンと撃ち抜かれました。
心して、読んでください。
東京と京都。
バンドマンと大学生。
物理的な距離と立場の違いから、少しずつすれ違い、彼らは別れを決意するけれど―。
という、ドシリアスモードだった1巻。
1巻でも『同級生』シリーズでも登場していた魅力ある登場人物たちによって彼らはサポートされていましたが、一番重要な人物が2巻でも大活躍します。
それは誰か。
以下、ネタバレ表現がありますのでちょっと下げます。
それは佐条くんのお母さんの久美さん。
久美さんのお見舞いに、草壁くんは毎日訪れる。
久美さんに、自分の気持ちを吐露する草壁くんですが、もうね、自分にも彼らと同じくらいの年の子どもがいる母親だからでしょうか。
久美さんに感情移入してしまって仕方なかった。
自分の息子を心配し、草壁くんとの恋を応援する。
息子の恋人であり、ともに歩いていこうとしてくれている草壁くんへの感謝と愛情も忘れていない。
一人の母親として、女性として、そして人間として。
久美さんの懐の大きさに涙が止められませんでした。
久美さんを介し、再び自分の想いに素直になる二人だけれど、でも、また彼らに試練が訪れる。けれどこの試練が、彼らを再び結び付けてくれることになるのがなんとも良い。「彼女」も、それを望んでいたのだと、確信しています。
佐条くんと草壁くん。
彼らの家族が、今巻でしっかり登場します。
彼らは一見正反対のように見えて、けれど子どもの幸せを心から願っている。その思いに、うそ偽りはなく。
『blanc』は、二人の「別れ」をテーマにしてはいますが、そこから二人の成長とか、家族愛とか、友情とか、そういったものまできっちり描き切っているところも素晴らしい。恋愛云々、を遥かに超えた深い愛情が描かれているのです。
で。
1巻と2巻、並べると絵柄が繋がります。
そして、帯も。
blanc。
ring。
そして、この表紙。
そこから導かれるのは「結婚」なわけですが、なんていうのかな、この作品の世界観を紡ぎだすツールというのか小道具というのか、伏線、というのか。
そういったところもきちんと描かれているためかどっぷりと『blanc』の世界に浸れます。
炭酸。
教室。
そして音楽。
彼らを繋いできたものが、今巻でもぎっちりと詰め込まれていて、中村先生のセンスのよさを感じます。
雑誌『OPERA』で、佐条くんと草壁くんの結婚物語「ふたりぐらし」の連載が始まるとの情報も。
嬉しすぎる…!
そちらも楽しみに待っていようと思います。
読めてよかった
こんなのは絵空事かもしれない
この作品に登場する“周りの人達”は誰もがいい人すぎるから
でも
読めてよかった
美しい光が差す場所で
彼らが周りの人達から盛大に祝福されて
彼らが幸せそうに笑い合っている
そんな光景に言葉に言い尽くせない色んな想いがあふれます。
作中に何度も描かれる
2人が手を繋ぐコマが印象的でした。
不安を感じた時に、緊張を和らげたい時に、幸せを感じた時に、すぐ側に「繋げる手」がある。
「同級生」シリーズで描かれているテーマそのものだなぁって
アニメ化された時に綺麗なレモン色のリボンで繋がれた彼らの手のシーンがすごく印象的だったことを思い出しました。
読めてよかった
これに尽きます。
こんな世の中だし長年生きていると、大袈裟かもしれないけど今日も無事に目が覚めてありがとうって思います。
今までのシリーズ作品、そして今回の彼等らしい結婚式に立ち会うことが出来て涙が止まりませんでした。
お母さんが利人に言った言葉に凄く共感出来ました。
そして私は親でもあるので利人の父親の気持ちも光の父親の気持ちも理解出来ます。
真っ白な気持ちのままで読んで欲しい一冊でした。
最後に明日美子先生素敵な作品ありがとうございます。「ふたりぐらし」も楽しみにしております。