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表題作普通<ベータ>の恋人

保住道隆,大手化学メーカー勤務のリーマン
八束有,オメガの企業家

同時収録作品普通<ベータ>の恋人

嘉納統也,投資団体の代表
八束有,オメガの企業家

その他の収録作品

  • 五月の庭
  • あとがき
  • ダブルデート

あらすじ

オメガの有はベータの恋人・道隆と同棲中。満たされた毎日を送っていたある日、かつて一度だけ関係を持ったアルファ・嘉納と再会する。彼がそばにいると強烈に身体が疼くのを感じ……!?

作品情報

作品名
普通<ベータ>の恋人
著者
安西リカ 
イラスト
市川けい 
媒体
小説
出版社
新書館
レーベル
ディアプラス文庫
発売日
電子発売日
ISBN
9784403525582
4.3

(96)

(54)

萌々

(29)

(10)

中立

(1)

趣味じゃない

(2)

レビュー数
17
得点
417
評価数
96
平均
4.3 / 5
神率
56.3%

レビュー投稿数17

選んだのは相性ではなく、愛

やー…安西先生のオメガバースもの、こちらで読むのは3作目なんですが…本当にどれも心に響く。。

そしてこの作品、ベータの恋人道隆も素敵な人なんだけど、当て馬アルファの嘉納!!もう、嘉納の魅力にやられました。

道隆の目の前で有をかっ攫うという大胆不敵、アルファらしい傲岸不遜っぷりを見せるも、その後の車中で愛を乞う姿、セリフがたまらなくて……本当に胸がときめいた。。
道隆、ごめん、って思いました。←

ただ個人的には、嘉納とギャルソンのくだりは…物語としてとても面白いけど、そこはくっ付けずに余韻を残しておいてもらいたかったかなあ、と。道隆×有のあれこれをもっと見たかった、という欲が。

それでも!
作中の嘉納のセリフにあったように「相性ではなく、愛を選んだ」2人の葛藤とその愛の深さに、じんと胸を打たれ、読後しばらく余韻に浸れるお話でした・:*+.

0

大好きです……!!オメガバースものの傑作だと思います(T_T)

ホントこの作品大好きで何度も読み返しています。安西リカ先生といえば同級生、にオメガバース設定が加わってめちゃめちゃエモいお話です。一般的にオメガバースはオメガの主人公がアルファと運命の番になるお話が多いのですが、このお話のオメガ主人公・有の恋人は、ベータ。相性がよく社会的なステータスが高いアルファより普通に同級生の恋人と共に人生を歩みたいと願う、有の人としての在り方がすごく好きです。誰も悪い人がいないので読後感がいいところも大好きです!

0

身体と心の葛藤



オメガの有(受け)の学生の頃からの恋人道隆(攻め)はベータです。
そのため発情抑制剤は手放せません。
それでも、道隆に恋しいてい有は満足しています。
そんなある日、昔一度だけ関係を持ったことがあるアルファの嘉納と再会します。
あの時相性が良すぎて怖くなったくらいの相手なので、心に反して身体が反応してしまいます。タイミング悪く道隆に仕事の繁忙期と重なり相談できません。自分の体が信用できない有は怖くなるのです。


オメガバースでは大体がアルファとオメガの話が多かったのですが、作品数が多くなるにつれ、オメガとベータ、アルファとベータの話や三角関係の話が増えてきました。
どちらかと言うと変則的な組み合わせの方がバース性による切なさや葛藤が多い気がします。

3人それぞれの葛藤が切なくてツラい。
ただ、私の性癖がアルファはオメガと、ベータはベータでくっついて欲しいので、読むのが苦痛になってしまいました。
嘉納が後悔していたように、読んでるこちらも出会った時にちゃんとしてればと思ってしまいました。

話の内容は神だと思います。良かっただけに自分の好みでないと思ってしまって評価を下げてしまいました。

1

パートナーを選ぶとき、価値観をどこにおくか? 

地味なテーマ。挿絵も地味目。
愛の価値観をどこにおくか? 本能の引力か、精神的な安らぎか?
Ωxαと、Ωxβの比較のような粗筋。

若い間は、今世の世間でも、Ωxαのように本能で求め合うけど、
老いて枯れたら、子孫を残す本能より、精神的な結びつきのほうが安らぐ

・・でも二人は未だ若い、どうなるんだろう?と思って、購読。
BLだけど、この件の答えは夫々だし、答えの出ないなぞかけだと思う。

この物語の賢明な4人は、子孫に拘らない生き方を選択。

---

●交際8年、同居して6年、二人は大学の同級生。
保住道隆:β、
大手化学メーカー、営業戦略課勤務。平凡で穏やかな人。

八束 有:Ω、
個人企業経営者 童顔だけど、行動はふてぶてしい。
20才に、嘉納からマッチングクラブで名刺を受けたことを忘れていた。
その後、道隆と恋に落ちる。

--
●添えのキャラ SS[ダブルデート]に登場。
嘉納統也:α 投資団体代表
Ωの有の初体験の相手。一度だけ関係、恋にはヘタレなα。
子供は要らない、パートナーが欲しいだけ。

伊吹: β。加納が使うレストランのギャルソン。美形。
初恋の人に似ている加納に片思い。

3

”相性”より愛(*^^*)

じんわり沁みる上、萌もたっぷりなお話でした(≧∇≦)

受け様は、オメガの有。
同棲しているパートナーの攻め様は、ベータの道隆。

ごく普通に恋をして恋人となり、同棲生活もすっかり落ち着いている2人。

昔、有は体質確認の為に1度だけ発情期にアルファと寝たことがある。
その時の相性のいいアルファ嘉納と再会し、仕事上で支援を受けることに。

気持ちを裏切って、体はアルファの嘉納を求める。
それでも、道隆がいい、恋人である道隆だけがいい、という有が良かった。

また、目の前で知らないアルファに有をかっさらわれそうになった時の、道隆が言ったセリフも萌えた((≧艸≦))
道隆の実直で強い想いがいいわ~
でもって、攻め様の焦燥とかが大好きなので、更によ萌え増し増し。
嘉納もフェアでいい人だったし、嘉納の後悔にもムフフでした(*´∀`*)

書き下ろしは道隆視点。
嘉納とギャルソンの伊吹の恋を応援するお話で、ほっこりでした。


作中にある「日常はささいなことの積み重ねだ。それが人生になっていく」
この有の思いに、めっちゃ共感して大好きです。
安西先生の紡ぐ、そんな当たり前な普通の恋人達のお話が大好きだなぁ、と今回もしみじみ思ったのでした(*´∀`*)

3

運命を超える恋愛

オメガバースのお話なんですが、「運命論」で終わらないのがいいなと思えるお話でした。私はオメガバースのお話は大好きなんです。自分の意思を超える運命に翻弄されるのもいいなと思えるんですが、これは運命を超える自分の意思としての恋愛でした。矛盾するようですが、そこがとても良かった。

有は希少と言われる男性Ω。自分の性衝動を知っておきたいという理由でマッチングを利用してαと関係を持ったことがある。そのあとに同じ大学の同級生である道隆と恋人になり、大学卒業のタイミングで同居を始め、交際8年目になる。

仕事で偶然出会ったのが1度だけ関係を持ったことのあるαの嘉納で…。体の相性はとてもいい2人。嘉納に会う度に強制的にヒートになる有。でも心が求めるのはαの嘉納ではなく長年共に暮らしてきた道隆で…。

オメガバースってやっぱりどうしても特殊設定だし、フィクションになってしまうのだけど、有の選択は全く現実的で読んでる人がみんな納得出来てしまう理由だったのがものすごく胸を打たれました。オメガバース設定が苦手な方にも読みやすいのではないかと思います。

そして作中にもう1CP誕生するのか…という流れになるのですが、そちらも運命に抗おうとするα×βで、こちらはまだまだ時間がかかりそうなので是非、スピンオフとしてもう1冊お願いしたいです(*^^*)

5

バースか心か

オメガの恋人がベータって意外で面白い。

大学時代から付き合っている有と道隆、対等で信頼し合っていて清々しい。ただオメガである有への気遣いに、道隆の苦悩が表れてて切ない。

ある日、有は一度だけ寝たアルファ嘉納と再会。バースの関係上仕方ない所もあるけど、仕事の窮地を救われ、あれこれと構う嘉納に曖昧な態度しかとれない有に苛立つ。後ろめたさにぎこちなくなり、態度が変化していく有を見てる道隆は辛いだろうと涙。

有が攫われて、有同様に諦めたけど、それでも探しにきた道隆に拍手。有も心を大事にしてくれて良かった。
道隆の不安を2人で乗り越えられたのが良かったな。Hする2人も可愛くて、ときめいた。

書き下ろしの「五月の庭」は道隆視点で更に彼の好感度up。有が大好きなんだなぁ。また一歩関係が進んで嬉しい。嘉納と伊吹も展望が明るくて良い。

読後感爽やかで幸せで楽しかった。

4

本能よりも、大好きな人

「いつか知らないアルファが八束を攫っていくかもしれないけど、だからって今ここで諦められない。」
このセリフが大好きです。このお話がぎゅっと詰まった道隆のセリフだと思います。

オメガの有と、ベータの道隆は、大学生からの恋人同士。オメガの発情期の煩わしさは、ベータの恋人では取り除く事はできない。それでも長い間2人は付き合ってきた。
オメガの有は、抑制剤を飲みながら、学生時代の仲間たちと会社を起こし代表取締役社長として日々会社を存続させる為に努力している。
道隆は別の会社に勤めていて、そんな有を支えて応援している。そんな中、有の会社への投資を考えるとして出会った人が、以前マッチングして一夜を明かしたアルファの嘉納だった。嘉納の存在が2人の間に波紋を呼ぶ事になり…。


アルファとオメガ。どうしても本能として惹かれあってしまう。それでも、「本能を揺さぶる匂いより、道隆の匂いが好き」という有に胸がぎゅっと揺さぶられました。めちゃくちゃ好きなお話です。

アルファの嘉納さんも、恋人がいるのは知っていてもそれでも、と有を求める姿が切なかった。すごく良い人なんです。その後の出会いで本当に幸せになってほしい…!

優しい気持ちになりたい時にぴったりなお話だと思います!

4

バースを超える愛

安西先生はありふれた男女の恋愛をそのままボーイズラブに落とし込むのが本当に巧みで、攻め受けの心情がすとんと落ちてくるのでとても読みやすいですよね。
だからこそ本作では元彼との逢瀬を繰り返してジレジレしている彼女のような受けに大分モヤモヤさせられたのですが、最後は本能を振り払って、何が何でも自分の心が選んだ恋人を求める、という展開がとても良かったです。
オメガバースというよりBLの基本を踏襲するお話という印象を受けました。
攻めも受けも基本はウジウジしないキャラなのが良かったな。
「俺は気持ちよく別れたりはしない、ちゃんと俺を振ってから行け」「道隆に助けられたい」いいですね…。
表題作のラスト、二人の未来は揺るがないのだと確信した受けがバイタルアプリをアンインストールしたのが良かった。台詞だけではなく行動で二人の想いの強さや信頼が表現されているようなシーンが多々あって、しみじみ感動しました。

作中の世界観がちょっと先の未来ふうSFなのも面白かったです。
不器用な嘉納さんと美貌のギャルソンメインのお話をぜひ読みたい…!

5

それぞれ

アルファばきばき!オメガひんひん!みたいなお話ではありません笑

ただ普通のカップルが普通の恋愛をして普通に長年同棲して普通にお互いを愛していて。
なのに時々ちくりちくりと胸を刺す展開があって少しハラハラするんですよね。
安西先生×オメガバースはこんな感じになるんだと思いブレないポリシーを感じましたw

※ここからばりばりネタバレになるのですがこの文章が本当に好きです。

道隆は逃げ道を用意してくれない。
溢れるほど与えてくれない。満たしてくれない。楽をさせない。待ってくれない。それなのに道隆がいい。欲しいのは庇護者ではなく伴走者だ。
ダメな時は怒ってくれる、弱音を吐くのも励ますのもお互い様、どこまでも2人で歩いていける相手だ。

理性を蕩かすアルファの匂いより道隆の匂いが好きだ。1日働いてきた普通の男の匂い。道隆の匂いがいい。

これを読んだとき今までのオメガバースの遺伝子レベルで好きぃ!の価値観が変わりました。

本能を、確かに積み上げてきた愛が上回った瞬間に少し涙が少し出ました。

また先生のオメガバースが読んでみたいです。

11

凄く良作でお勧めです

雑誌掲載時から凄く好きだった作品だったので、発売されると知り直ぐに予約してました。

凄く印象深い内容で忘れ難かったので、書き下ろしがあるだろうからどのような決着を見せるのかとても楽しみでした。

最近ではバースに左右されないカップルが増えてますが、こちらはあらすじにある通りにオメガの有がベータの道隆と幸せに同棲して暮らしてるんですが、過去に一度だけ関係を持ったアルファの嘉納と再会してしまうんです。

心は道隆にある筈なのに否応無しに反応してしまう身体、道隆に話そうと思っていたのにタイミングを逃してしまってと、2人の小さなすれ違いの数々にハラハラしてしまいます。

嘉納が有の会社に協力的で有が嘉納が側にいるのに緊張しなくなって来た辺りで、嘉納が有に対する執着を隠さなくなってくるんです。

雑誌掲載時もそうですがこのまま有は嘉納に連れ去られて番になってしまうのか?とか、ヒートに左右されない道隆との満ち足りたセックスに安心感を覚えてたのを思い出して!とか、道隆が劣勢になる度に応援する自分がいました。

有がヒートになっても鎮めてやることが出来ないし、子どもも持つことが出来ないベータである道隆…彼の苦しみを思うと切なくなって、終盤の嘉納に連れ去られる有を追い掛ける道隆の姿が忘れられませんでした。

なので表題作の結末には感動しかなくて、反対に嘉納のこれからと彼に思いを寄せる美しきギャルソンのその後が気になっていたのです。

その嘉納とギャルソンのその後が書いてあったのが、道隆視点の書き下ろし「五月の庭」でした。嘉納への蟠りを捨てて、有と意気投合した美しきギャルソンの伊吹の恋を応援する2人の仲の良さがとても微笑ましいんです。
ここでは嘉納がプライベートでは孤独で、人の感情の機微にとても鈍い事が書かれています。

伊吹が最後の最後に勇気を振り絞ったことが巡り巡って有の親への挨拶に繋がっていて、道隆と有が関係を一歩踏み出すきっかけになるのでした。

そしてあとがき後の書き下ろしSSの「ダブルデート」では、挨拶した後の有の両親の変化と凄く気になってた嘉納と伊吹のその後が書いてありました。

表題作「普通<ベータ>の恋人」だけでは、アルファとオメガの関係性にモヤついたかもしれません。でも書き下ろしの「五月の庭」と「ダブルデート」があることで、読後感が良くバースに左右されない愛のお話になってました。

オメガバ作品の形を取ってはいますが、こちらは普通のBLのお話になっていると思いました。オメガバ苦手の方も読んで欲しい良作です。

7

恋とはどこから始まるのか

今回は大手化学メーカーの会社員と
友人達と起業した会社社長のお話です。

受視点で受様がある人物との再会によって
攻様との関係を見つめ直す本編と
攻視点で本編を絡めつつ後日談続編を収録。

この世界で身体的な男女の性差とは別に
アルファ、ベータ、オメガのバース性があります。

アルファとオメガは希少種で
アルファはほぼ遺伝、オメガは偶発で生まれます。

中でも男性オルガはほとんど都市伝説的な存在ですが
受様はそんな男性オメガとして生まれながらも
恋した相手はベータの攻様でした。

大学時代に知り合った2人は就職を期に同居し
受様の私生活は順調そのものでしたが

受様が大学在学中に仲間と立ち上げた会社は
今年で7年目を迎えながらも営業は苦労の連続で
経営も正直なかなか厳しく、資金集めに苦労していました。

そのため受様はテックベンチャーに興味がありそうなファンドに
片っ端からレターを送っていましたが
その中の1つからおもってもみない返事が届きます。

そ子はスタートアップ支援力を入れている投資集団で
受様は間違いか詐欺かもと思いながらもその回視野に向かい
更に思ってもいない再会を果たす事になります。

なんと課の会社の社長は
受様がマッチングアプリで初めて会ったアルファで
初体験の相手だったのです。

アルファ社長の用件は
受様の会社のシステムに興味を持ってというものでしたが
アルファ社長は7年前に1度だけ関係した受様を忘れられず
探していたと言うのです。

偶然ながらも必然めいたこの再会は
受様の未来を変えることになるのか!?

雑誌掲載のタイトル作に続編を書き下ろしての文庫化で
珍しい男性オメガながらもアルファではなく
ベータの攻様と恋をする受様のオメガバースになります♪

本作の受様は
ごく自然に惹かれたベータの攻様と恋人になった事で
アルファ社長との初体験を黒歴史として思うほど
攻様との関係を大切にしていて

一般的なオメガバースに見られる
オメガの発情、オメガとアルファの番関係を
絶対的なモノとして注視していません。

しかしながら受様が再会したアルファ社長は
いかにもアルファらしく受様にアプローチするので
読者としては攻様との恋を選ぶと思っていても
ハラハラ&ドキドキさせられました。

今回、攻視点での続編がついた事で
攻視点の続編が付いた事で本編では見えなかった
攻様の受様への想いやアルファ社長へのライバル心、

そしてアルファ社長の傲岸さの下にある不器用さと
彼に恋していたギャルソンの隠していた本質が読め
全体的に深みが増してより楽しい物語となっていました。

アルファ社長とギャルソン君の恋も
ぜひ読んでみたいです (^-^)/

6

ベータ

先生買い。オメガバだけど王道じゃなくってちょっと近未来なベータとオメガのお話でした。ハグしてもらって安堵している様子が好きだったし、後半のサブカプが好きだったんですが、むっちゃ残るかと言われると?だったので萌よりの萌2にしました。雑誌掲載分150Pほど+その続き90P+あとがき+おまけSS。

都市伝説のような男性オメガであることが出生時に分かった有。20歳の時に一度だけアルファと寝たことはあったけれども、そのあとすぐベータの攻めと恋に落ち、今も順調に同棲中。学生時代の仲間と起業し代表取締役として営業していたある日、その一度だけ寝たアルファに再会し・・・と続きます。

攻め受け以外の登場人物は、
嘉納(受けが一度寝たアルファ、条件だけは超優良物件)、伊吹(攻めがいつも連れていく店のギャルソン)、受けの会社仲間ぐらい。嘉納と伊吹が気になって気になって。

++ 攻め受けについて

攻めさんは学生時代バレーボールに打ち込んでいて実業団か?と考えていたような普通のベータさん。今は体育会系先輩後輩の流れでちゃんと就職しバリバリ働いてます。オメガの受けに何もしてやれないといいながらも、普通に喧嘩して普通に大切にしてあげている、ほんとうにいい恋人だと感じる方。

受けさんは人懐っこく交渉頑張れるタイプの方。学生時代の仲間で立ち上げた会社をなんとかしようと頑張り中。攻めさんにハグしてもらうのが大好きって様子です。

オメガバ属性を除けばごく普通の関係良好なカップルなんだけど、運命の番ではと思われるアルファが出てきて、ほんとに体の相性的には最高なんだけど・・ってお話なんです。

王道オメガバだったら、あらあなただったの的に運命の番と結ばれるって流れだと思うんですけど、そこがそうじゃないってところが、良かったなあ。アルファオメガってのに引っ張られないのが良かった。

その流れで、嘉納(アルファ)と伊吹(ベータ)がいい感じになるところが良かったです。尊大な態度だと思ったけど、実は気が付いてなかっただけなんじゃん的嘉納の、おっかなびっくり恋愛始めましたな様子がツボでして。こちらのお二人のお話が読みたいなあと思いました。二人が良さげだとサポートしようとするメインカプの様子もとっても楽しいし。

続きでないかなあとちょっと期待する一冊でした!

6

心と心の結びつき

挿絵がけい先生とのことでしたので、あらすじを読まずにポチっと購入しました。

あらすじは他の姐様が書いてくれていらっしゃるので
つたない感想を書かせてもらいます。


私の中ではオメガバースってやっぱりα×Ωの組み合わせがしっくりくるんですけど
今回の二人はβ×Ωなんですね。
そうなると発情期のこともあるし、運命の番のこともあるし辛くないのかな?って思ってたんです。
そして読んでいくとやっぱり色々と辛くて…。

でも、道隆と有が心から繋がっているということをすごく感じました。
道隆がとにかく男前で、ぶっきらぼうではあるのですが
いざという時すっごく頼りがいがあって有のことを大切にしてくれてて
だからこそ有は【性】に流されなかったんじゃないかなぁって思いました。



道隆と有以外のお話も入っているのですが
そちらがどうなるのかもすごく気になりました。
きっと幸せは近いけど、みんな確実に幸せになって欲しい。
そう思えるぐらい優しい人たちが多い世界でした。
(嘉納さんも色々あったけど幸せになって欲しいです。)

0

自分にとっての"番"とは

オメガバースものだけど、アプローチはΩ×βの恋。出会ってしまった「番」とどう向き合うのか、有と道隆の愛が試される切なくて苦しい物語です。


Ωの有とβの道隆は同棲中の恋人同士。そんなとき、有の仕事相手のα・嘉納に出会ったことで状況が変わっていきます。Ωとβカップルに、スパダリαが横恋慕すると言う構図で、何とも胸をザワつかせる、冷や冷や展開です。
嘉納は有の初体験の相手で、初めてのα。その後道隆と出会ったことで、連絡取り合うことなく7年の時間を過ごしてきたけど、再会します。

嘉納は有を自分の番だと認識して、有を口説きに口説きまくるガツガツα。
というのも、嘉納と有のαとΩとしての身体の相性はこの上なく適していて、本能的な部分で惹かれあっています。気持ちはもちろん道隆にあるけど、身体が求めているのは嘉納という、有にとっては苦しい状況です。オメガバースの厄介なところに焦点を当てたこの作品、有の心と身体の不一致の感情には胸が痛くなりました。

君は俺の番だと有を奪いにかかる嘉納は、身体の相性が全てだとばかりに迫る「本能型」。有はその逆ですね。好きな道隆と一緒になりたい気持ちでいっぱいです。
嘉納と有がお互いに発情を誘発し合っている密閉空間の中、嘉納から逃げられるなんてすごいこと。その時点でもう本能に打ち勝っているんですから、どれだけ道隆のことが好きなのか想像に容易いです。


そもそも「運命」とか「番」って何なのかってことなんですよねー…。身体のみの繋がりで形成される関係って土台がないから、脆いし危ないものだと思うんです。
今まで一緒に喜んだり、悩んだり、楽しんだり、喧嘩したりしてきた時間があって。そんな太いパイプが2人の間にあるからこそ、好きの気持ちも強固になるのに、身体の相性のみに依存した細いパイプだと、長い人生を共にしていく間にはボキボキに折れてしまいます。

運命や番っていうものが初めからあってそれに乗っかるんじゃなくて。2人で一緒にずーっと過ごしていって、年を重ねて行った時の幸福感が高ければ、そのとき自分たちは「番」だったねと位置付けられるんだと思います。

オメガバの"じゃない方"カップルだとこう言う考えを持ってしまうんですよね(笑)王道も好きだけど、オメガバース設定の中を生き抜くα×Ω以外の幸せストーリーも結構好きなので、どんどん増えていって欲しいです。


後半「五月の庭」では嘉納と伊吹の恋バナがメインでほのぼのテイスト。前半部がめっちゃ神評価で好きな雰囲気だったので、戸惑いました。…正直、コレジャナイヨ感。

1巻まるまる有と道隆がメインのストーリーが読みたかったです。作品自体そんなにページ数も多くないのに、嘉納×伊吹寄りのストーリーに3分の1ほどのページ数持っていかれて不完全燃焼…。最初の盛り上がりもダダ下がりでした。
バーターの2人より、メインの2人のエピソードを入れて欲しかったです。足りない。

例えば、婚約・結婚とか。2人の両親への挨拶など描いてくれたら嬉しかったです。ちょっと触れていただけに、あちゃちゃーでした。
それか、2人の初体験のことを詳しく読みたかったですね(道隆視点だと嬉しい)。


前半のストーリーはすごく良かった。切ないけど優しい物語。本当の愛の尊さや大切さを教えてくれる素敵な作品でした。

前半部…神評価
後半部…萌え2寄りの萌1
全体としては萌2評価にしました。

14

オメガバものではあるが

安西さんの新刊はオメガバもの。
しかも挿絵を市川さんが描かれているという豪華さ。これはもう買うしかないでしょ!と思っていましたが、あらすじを拝見してこれは買わねばならぬ、と決意も新たに発売日を心待ちにしていました。




オメガの有は、会社を自身の手で立ち上げた起業家。
自分は代表取締役だと豪語するものの最近仕事がうまくいかない。けれど有にはほかの何物にも代えがたい存在がいる。

恋人の道隆だ。

優しく、有の好みドンピシャなビジュアル。
仕事がうまくいかない日も道隆を愛し愛され、プライベートは順調そのもの。
最高な恋人だけれど、道隆はベータ。オメガの有とは番にはなれないが、でもそれでも幸せ。

そんな、平凡だけれど幸せな彼の生活は、ある日一変する。
かつて興味本位で身体を重ねたアルファの嘉納と再会してしまったのだ。嘉納は、有を自分の番だという。そしてオメガとしての本能も、嘉納を欲してしまい―?

オメガバースものって最近ではごく普通にお目にかかる設定ですが、さすが安西さん、胸がぎゅーっと痛くなるストーリーなのです。オメガとしての本能か、それとも愛している恋人か。

嘉納という男性はアルファで、有能で、身体の相性もバッチリで。
でも強引だし自分の「有が欲しい」という感情のまま突っ走る。一歩間違えばめちゃめちゃ嫌な当て馬さんなのです。が、彼を「嫌な奴」そのままにしておかないのが安西さんならではか。彼は彼なりの愛情を有に抱いていることがきちんと読み取れるので、余計に有がどちらを選ぶのかが気になる。

そして道隆です。
彼がまた良い男なんだなー。
有を愛し、そして信じている。
ここぞという時はきちんと行動に移す男でめっちゃ良い。

有が道隆、嘉納さん、どちらを選ぶのかはぜひとも手に取って確認していただきたいですが、この萌えストーリーを市川さんの挿絵が飾るという眼福さと言ったらなかった。

これ、続きをぜひとも読んでみたいです。
「彼」にも幸せになって欲しいな。終盤を展開からすると続きがあるのでは…?と期待してしまう。
ということで、続編、あるいはスピンオフを正座してお待ちしております。

オメガバものは運命の番とかアルファ×オメガ、という部分がどうしてもクローズアップされがちですが、きちんと「恋心」というBLではキモになる部分がきっちり描かれていてめちゃめちゃ萌えました。

10

好きすぎるので傑作

んもーーーーーー!!!大好きすぎる!!

もうこれは安西先生にしか描けないオメガバの決定版です(と思います!)。D+掲載時から、イラスト市川先生!?なんとゆー神タッグ、さらに内容もめちゃくちゃよくてご褒美でしかありません。
近未来感あるオメガバですが、描かれていることは、本当にベーシックなBoysたちのLOVE!!結局これに尽きます!

オメガの八束とベータの保住は付き合って7年目になる恋人同士。この穏やかな日常だけでも個人的には全然アリなんですが、八束が7年前に一度だけ関係をもってしまったアルファの嘉納と仕事の関係で再会してしまったところから穏やかではいられなくなるわけです。
オメガなので、アルファのフェロモンには強く惹き付けられるわけで、もちろんアルファも。そして、1度だけの関係で尋常ではない相性のよさを認識してたので、思いがけない再会に双方焦るんですよね。くーーぅっ。

どうしてもアルファの嘉納に反応してしまうオメガの本能に、八束は怖くなるんです。アルファではなくて、普通<ベータ>の男の、保住の匂いにやすらぐという八束の気持ちの描写、萌えました。オメガやベータという属性以前に、八束有と保住道隆という個人同士が愛しあっているということを何よりも優先したいのに、もしそれをコントロールできずに、オメガという性に負けてしまうのは、やっぱり人としてどこか哀しい気がします。

ちょっと不安定になってる八束が、嘉納と会うたびに保住に嘘をつく展開、せつなかったですね。んでもって究極に切な~~~~~い(;;)と叫んだのが、切羽詰まった嘉納が、らしくなく暴走する”オメガ誘拐未遂”の場面でした。八束と保住がお互いを失うことの恐怖を実感し、さらに絆を強める展開がエモすぎて悶えました。また同時に、嘉納のアルファとしての苦しみも伝わってきて、もうなんとも言えない感情で胸がいっぱいになりました。

とても印象的だったのが、八束の欲しいのは「庇護者ではなくて伴走者だ」というところ。パートナーの条件だけで言ったら圧倒的に嘉納が上なんですよ(おそらく、おせっせも嘉納八束のがエロいはず…w)。本能と気持ちのギャップに戸惑う八束の内面の描写に緊張感があってドキドキしました。そして、定期的に抑制剤を飲まなきゃならない不自由があっても、保住以上の恋人はいないという八束の想い、ベータの自分が与えられるものは限られているとしても、誰にも八束を奪われたくないという保住の気持ち、波乱によって表出してきた互いに対する執着に萌え転げました。

けっきょく!ノンケだから~とか、オメガだから~とかいう理由は、ダメージを最小にするための予防線でしかなくて、どんな性別であっても”心変わり”の可能性はあるわけで、だからこそ”変わらない気持ち(ずっと好き)”とか”信頼しつづける”ということの美しさを見たいんだよな~~と改めて考えさせられる作品でした。そもそも設定的にそのポイントがわかりやすいのがBLじゃないかと思っていて…本作によって原点回帰した気分です。

描き下ろしは、いい当て馬・嘉納さんにもついに春が…!な展開ですが、保住視点でした。フレンチレストランの美形ギャルソン(伊吹)、てっきりオメガかと思いきやベータだったんですね。しかも、一回くらい嘉納とヤッちゃってるんでは?とかスケベな気持ちで見ててごめんなさい、な展開でした。

”オメガ”だから”アルファ”だからこういう人だ、という固定観念で相手を見てしまっていたな~とベータ保住が反省するところ、心に沁みました。嘉納って”高慢と偏見”のダーシーっぽいと思ってしまいました。やっぱり安西先生の当て馬ってどこか応援したくなっちゃう魅力があります。

19

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