あいまいな世界の狭間で、君を見つけた。

コミック

  • おまえの吐息を奪っていった
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14

おまえの吐息を奪っていった

omae no toiki wo ubatteitta

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表題作おまえの吐息を奪っていった

冴島 玲志
リーマン、幽霊が見えなくなった男、ルームシェア相手
依良
社会人、幽霊が見える男、ルームシェア相手

その他の収録作品

  • 描き下ろし

あらすじ

幽霊が見えるという共通点がきっかけで、ルームシェアをしている社会人の玲志(れいし)と依良(いら)。
お互い干渉しすぎない適度な距離感で同居を続けていたある日、突然玲志は幽霊が見えなくなってしまう。
依良とのつながりを失ったことで焦燥感を覚え、初めて依良への感情を自覚した玲志。
そんな中、幽霊の存在が気になるせいで依良が性的な行為をほとんどしたことがないと知った玲志は、彼の“手伝い”をすることを提案し――。

幽霊が見えなくなった男×幽霊が見える男の、視線と想いが交錯するインビジブル・ラブ。

作品情報

作品名
おまえの吐息を奪っていった
著者
早寝電灯 
媒体
漫画(コミック)
出版社
ホーム社
レーベル
アイズコミックス.Bloom
発売日
電子発売日
ISBN
9784834265750

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14

4.3

(55)

(28)

萌々

(21)

(4)

中立

(1)

趣味じゃない

(1)

レビュー数
14
得点
237
評価数
55
平均
4.3 / 5
神率
50.9%

レビュー投稿数14

同じものを見ているとは限らない

幽霊が見える依良と、見えていたけれど見えなくなった玲志。
二人の心情が両方の視点から、とても慎重に描かれつつも、読みやすいお話でした。
ストーリーそのものにも感動し、その読みやすい描き方、表現方法にも感動しました。

温もりを感じる優しいお話でありながら、ぐさっと心に刺さったのが「同じものを見ているとは限らない」という現実です。
それは、依良と玲志の二人だけに限らず、現実世界を生きる私たち自身にも言えること。
玲志が見えなくなったことを告白するところから始まり、依良の反応が拍子抜けするもので、焦った玲志が戸惑いながらも自分の気持ちを自覚していき…という流れにわくわくしていたところ、依良の自慰が苦手な理由とともに明かされた「玲志にも言えなかった幽霊の呼吸音」は衝撃的でした。
明るく気さくで、あまり物事を気にしなさそうに映っていた依良の抱えていた弱さとも言える部分。
とても繊細な人なのだと感じました。そりゃ、依良の背景や現在の立ち居振る舞いを考えれば当然なのですが、周囲に余計な気遣いをさせない依良の気遣いに私自身も目隠しをされていたので、ハッとさせられました。

「同じものを見られない不安」
読み始めたときは玲志だけが抱えていると思っていましたが、まさか依良はずっと前から同じ不安を抱えていたなんて…。
お互いだけが同じものを見られる優越感。
同じものを見られなくなった不安感。
同じものを見ているかどうか、わからない不安感。
こういう玲志と依良の心情を二人の関係性の変化とともに慎重に丁寧に描かれていて、引き込まれました。

依良があちら側に迷い込んだときは、本当に心配しました。怖かった…。
決して諦めずに「通り道」を探す二人の姿に励まされ、心強かったです。
ほんの少しのきっかけで、出られなくなったり、出られるようになったり。
「開け閉めすることで通り道ができる」という描写が興味深かったです。
「道を歩きたいのにズレてしまう」などの幽霊の描写も印象的で、切なさと怖さを感じました。

0

No Title

事故をきっかけに幽霊が見えるようになった玲志は
会社に出る幽霊を祓うために依頼した依良と意気投合。

お互いに幽霊が視えるという共通点から距離が縮まる二人でしたが、
ある日、突然幽霊が視えなくなってしまった玲志。
そのことを告げると喜んでくれた依良にモヤついてしまい…。

早寝電灯先生初のホラー?風味な作品でしたが、
幽霊的な怖さは殆どないのでご安心ください。
ホラーでも早寝電灯先生ならではの切なさが滲み出ていて、
想い合っていて肌も重ねているのにすれ違ってしまう二人に
胸がぎゅっと締め付けられました。

依良の交友関係は広いはずなのに、
作中でメイン二人以外に名前が出てくるのは依良の友人くらいで、
ほぼ二人のやりとりで描かれる世界観でした。
それが幽霊が視えてしまうゆえに人とうまく関われずに生きてきた
依良の孤独とも重なり、なんだか寂しくて切なくて…。
だからこそ、玲志と巡り会えてよかったと、幸せが沁み渡りました。

0

人とは違う自分を認めるために

今回は幽霊が見えた人と幽霊が見える人のお話です。

幽霊が見える事で受様と知り合った攻様が
見えなくなった事で関係を変化していく顛末と
受様の友人についての短話を収録。

攻様は中3の時に自転車事故にあい
幽霊が見えるようになりますが
妙な目で見られたらと異常を隠したために
秘密を抱える事になります。

社会人となって所属したサークルが
使用するコワーキングスペースにて
怪異現象が起こりメンバーの伝手で
受様がやってきます。

受様は拝み屋などの専門職ではなく
対処ができる素人と言いますが
受様の視線で彼が本当に見えているのだと
わかります。

受様は「空気を入れ替えましょう」と
扉や引き出し等様々なモノを開けすと
霊が消えます。

受様は帰り際に攻様に声を掛けますが
攻様が隠している事を見抜くと
「内緒ね」と去って行こうとしたことで
攻様は受様を引き留めて縁を繋ぎました。

秘密を知る受様との付き合いは気楽で
攻様は更新時期にはルームシェアを申し出て
同居人となります。

ところが1年がたった頃
攻様は幽霊が見えなくなるのです。

どうやら受様の影響らしいのですが
見えなくなったことで心地よかった距離感が
掴めなくなってしまい・・・

電子雑誌掲載作をまとめての紙書籍化で
幽霊が見える受様と見えなくなった攻様の
オカルテックファンタジーです♪

幽霊が見える攻様にとって
見える事が普通の受様との付き合いは
気を遣わずありのままでいられたのに
受様と同居を始めて1年で見えなくなります。

受様は弟妹が見えた性質も変化させていて
「同居したら見えなくなるかも」と言いましたが
攻様にとっては軽い冗談でしかなく
本当に見えなくなるとは思っていませんでした。

攻様は受様と同じ感覚(でもなかったのですが)を
共有できなくなったことで改めて
受様にとっての自分が気になりだします。

心の動きを行動で知らしめるようなシーンが多く
受様が見える事に定まる視線によって
攻様に様々な感情を起こさせていく様子が秀逸で
どんどん攻様の感情に引き込ました。

中盤で受視点に替わる事で
読者には受様事情とそれぞれの想いと葛藤が
詳らかになっていきドキドキが止まりません。

最初受様のゲーム仲間の登場には
ちょっと違和感を感じたのですが
それが受様の危機へと繋がっていく展開は
見事でドキドキ&ハラハラMAXに!!

攻様が受様を大切な恋人にするまで
たいへん楽しく読ませて頂きました (^-^)/

0

静かで独特で

少し静かで独特で、早寝電灯先生らしい空気感の作品。
攻めの想いが募っていく様子とか、受けが自覚していく過程とか、とても丁寧で細やかだったように思います。

この二人はユウレイという特殊なものが見える世界を共有していた(と思っていた)から、そこが二人にとってすごく大きな点だったから、そこにこだわってしまったのかなと思うけれど、
先生のコメントにもありましたが、見ている世界は誰もが違うものだから…そんなにその一点にこだわらなくてもなぁ…と感じてしまいました。大雑把に生きててすみません。

そのモダモダの中に垣間見える燃え上がる恋の炎(←)気持ちが募って堪らなくなる感じはすごく良かったです。あと、ビニール傘やゆで卵など使い方がうまい。

ちょっぴりヒヤっとする展開もあったりして、個人的にはその後から攻めが受けの身体の一部を常に触れてくるというのが大変ぐっときました。

ただ私はキャラクターや関係性、ストーリー的に刺さる感じではなかったかなぁ。

2

No Title

以前から、大好きな作家さんの作品なので、よみました。
「作家買い」している作家さんなので、とくに内容も確かめずに買いましたが、おもしろくて、大満足できる作品でした。

今回は、幽霊が見えるという共通点がきっかけで、ルームシェアをしている社会人の冴島玲志と依良のふたりのお話です。

幽霊が見えるということですが、怖いお話ではないので、ホラーが苦手なひとでも、よみやすい作品になっているとおもいます。

ラストも、とてもよくて、心にのこる作品でした。

2

感想を言語化するのが難しい…!

ホラーが苦手なので少し恐る恐る読んだのですが、視覚的に怖い描写はほとんどなかったので安心して読めました。

幽霊が見えるという共通点をきっかけにルームシェアをしている2人のお話。

依良の「俺と一緒にいたら幽霊が見えなくなるかもしれないよ?」という言葉をうけ始まったルームシェアでしたが、玲志が幽霊を見えなくなってしまったことで、2人を繋いでいたものがなくなってしまいます。

そこで初めて依良への気持ちを自覚して焦る玲志が良かったです。

同じ「幽霊が見える」でも見え方は全然違っていて、玲志は見えるだけなのに対し、依良は呼吸まで聞こえるんですよね。

ラストの「おまえが世界のことを一生懸命考えるから」という玲志の言葉がとても好きでした。

正直、読了後もなかなか感想を言語化できない作品だったのですが、不思議な空気感が心地よくて印象に残っています。

あと、これは完全に個人の感想なのですが、かなりエロく感じました…!

作中でそこまで激しい描写が続くわけではないのですが、絵がとにかくお上手で、2人の視線や距離感、空気感に妙な色気があってドキドキしました。

1

今作も少し難しいけど、攻めの強い恋情は良きでした(※ホラーではありません)

大好きな先生で、こちらは作家様買いしました。(特に「52ヘルツの共振」が好きです!)
先生の作品の、派手さはないけれどしっとり染み込んでくるような、独特の雰囲気、空気感が好きです。全247ページ。以下ネタバレあります。

幽霊が見えるという共通点で知り合い、ルームシェアをしている玲志(れいし)と依良(いら)だが、玲志は突然幽霊が見えなくなってしまい…というお話。

攻め視点メインで受け視点少しの両視点作品。

始まりは攻め視点。
玲志は突然幽霊が見えなくなって依良との共通点を失い、落ち込みモード。同じものを見ている優越感があった、ってそれもう恋では?

序盤に玲志と依良がエッチなことをする展開は、ちょっと急で驚いた。
玲志は依良との共通点を失い、焦りを感じて、さらに依良の反応に煽られて、こんな大胆な行動に出たのかな?
急展開ですが、玲志が戸惑う依良にグイグイ迫るのは雄みがあって良きです。依良の反応も可愛い♡
ここでようやく玲志は好きだと自覚する。

後日、今度は依良の方からまた触って欲しいと言ってくる。依良はある理由から自慰ができなくて困っていた。
依良の言葉でまた玲志に火がついちゃうw
2回目のえちシーンは、玲志の抑えていた欲情が吹き出す感じがとても良い!キスや兜合わせだけなのに、欲情している二人がすごく官能的で、ゾクゾクする濡れ場でした。

とはいえ体ばかり先行するので、普通に好きな気持ちを伝えないの?とは少し思う。
「俺の体にメロメロになってくれねえかな」
って、なんですぐ体なんだ〜(;´Д`A
依良の態度から脈ありそうって感じないのかな?玲志、だいぶ鈍くてヘタレみたいだな。恋は人を愚かにするのかしらん?

と恋がモダモダしているなか、二人で幽霊関係の依頼の仕事へ行くことに。
その仕事中に予想外の展開になったので驚きました。ファンタジーな展開が来ると思ってなかった。これはちょっとこわい…。

ここで受け視点となり、玲志とのこれまでの関係が依良の目を通して語られる。
前半の玲志の気持ちに対して、ここで依良の気持ちが読めて良かったのですが…
どのシーンだっけ?と何度か戻らないといけなくて、やや集中力を削がれてしまったのはちょっと残念でした。(私の記憶力の問題ですが汗)
二人が離れてまた再会するシーンは、ドラマチックな描写が素敵でした。

最後は両想いの濡れ場がしっかりと。
愛のあるエロティックな濡れ場がとても素敵でした♡

ラストは恋人同士になった二人のデートが微笑ましくてほっこりした読後感でした。

先生の作品を読む時はいつも、少し難しさを感じるので、今作も夢中になって読んでしまうような没入感はなかったのですが、物語がしっとりと染み込んでくるような読書体験でした。

先生の作品は手放しに大好きで夢中になる、というわけではないのですが、新刊が出たら必ず読みたくなる、そんな作家様です。
今後の作品も楽しみにしています。

(自分はタイトルの意味を読み解くのが苦手なんですが、「おまえの吐息を奪っていった」も難しかった…。神隠しのことなのかなー…私の読解力よ…涙)

シーモア 白抜き修正or修正不要な描き方
白抜きは少しで、ほとんどは局部の描写を省略または隠した修正不要な描き方。白抜きの煩わしさがほぼなくて良かったです。

0

唯一無二の共通項がなくなってしまったら

幽霊が見えるという共通点が縁で仲良くなりルームシェアをしている二人。あるとき突然玲志から霊感が消えてこの世ならざる者が見えなくなってしまう。二人の関係に変化が訪れるお話。
幽霊とか霊感とか言うとホラーっぽいですが、そこまでホラー寄りではありません。ここに描かれる霊は、我々生きている物とは関係なく、ただ通り過ぎて行く影のような存在。何か悪さをしたり向かってきたりということはありません。
そして、この二人の縁を言い換えると、例えば同じ難病の治療をしている同士とか、誰も知らないようなインディーズバンドのファンだとか、これまで誰とも共有できず一人ぼっちだと思っていたのに同じ人がもう一人居た、という縁、でしょうか。その偶然の出会いは貴重だし、それは声を掛けて仲良くなるよなと思えました。ルームシェアまでするのも分からなくもないなとも。解り合える人というのは貴重ですからね。
ただ、生きづらいとは思うんですよ。行く先々で、なんなら家でも、無害とはいえ影が通り過ぎていくわけなので。
見えるようになったのは、玲志は中学生のときから、依良は物心ついたときから、と差があり、冒頭で玲志の霊感がなくなったことも「元に戻った」という感覚。それだけに依良と離れてしまったと淋しく思う気持ちもとてもよくわかります。
こういう仕掛けは、以前読んだ「52ヘルツの共振」でも思いましたがとてもお上手で説得力があり、気付けば玲志に寄り添って読んでしまいます。
ただ、BLだから仕方ないのですが、ここでエロ方面に行くことが私には難しかったです。ごめんなさい。二人の関係に変化が訪れたこと、共有できなくなった淋しさも相俟って恋愛感情に発展したことは理解できます。だけど即物的に性欲に結びつけることは私には無理がありました。本当に個人的な感想です。

5

ホラーではなくほっこり

幽霊が見えるという共通点からルームシェアを始めた玲志と依良。ずっと見える事を隠して生きてきた玲志にとって、依良は初めて出会った気持ちを共有できる存在。でもある日急に玲志は霊が見えなくなってしまい⋯。
お互いにずっと周囲と違う事に孤立感を抱えてきた2人。依良もまた玲志とは対照的に動きながら苦しみは一緒で⋯。見えなくなった事で依良と一緒にいられなくなるのでは⋯と焦った玲志が、自分の依良への本当の気持ちに気づいてから大展開!
勇気を出し踏み込んで近づいていく2人の関係にキュンとする。

向こうの世界と現世との不思議な境界線、見えなくなってもお互いの間にある繋がりはより強固になってその手をしっかり握れて良かった。穏やかに胸に沁みる素敵な恋物語です。
幽霊たちは出てくるけど怖くなくて、ホラーではないので苦手な方も安心してほっこりしていただきたい。

1

恋情はいつだってインビジブル

あいまいな世界の狭間で、君を見つけた。
この言葉が作品をよくあらわしてる。
「あいまいな世界」をすくいあげ、繊細に色付けするのが非常に素晴らしいのが早寝電灯先生の持ち味。
今回の設定は「幽霊が見える」というオカルト的なテーマ。
見える者同士、という出会い。そこに生まれるケミストリー。
しかし一年後、ひとりが見えなくなる。
嬉しいはずなのに、2人で形作っていたケミストリーが消えてしまうような気がして。
2人の関係性が終わってしまうような気がして。
自分が「見える」事を内緒にしてもらったファーストコンタクトを、今度は依良が「できない」事を内緒にしてあげることで重大なセカンドインパクト⁉︎…みたいな性的な接触。
彼女持ちだったんじゃないの?と私はびっくりしたけど依良もびっくりしたと思う。
依良は初めてだったからそのまま惹かれていってるようにも見えましたが。

何かひとつ共通点があることで出会って惹かれて、その人のこともっと知りたい、一緒にいたいっていうのはとても普遍的な事であって、本作は幽霊が共通項のオカルトチックな設定だけど、実に細やかな恋物語なんだなぁ、って感じました。
依良が狭間に落ちた時に2人が見せてくれたのは、お互いがお互いを欲する強い想い。
そしてこれはもう愛ですよね。

1

自分と”違う”あなたのことを、いつも考える

『52ヘルツの共振』『See you later,Mermaid』などが
大好きな、早寝電灯先生の新刊!☺︎

幽霊が見えなくなった男×幽霊が見えている男。
人ならざる者が”見える”という共通点をきっかけに、
ルームシェアし始めた二人の物語です。
ホラーではないけれど、”幽霊”が出てくるということで
オカルト要素あり、かな?(怖い話ではありません)

今作も、しっとりと読ませてくれる一作!
…と言いつつ、実は初読時は感動よりも
「ん?」と思うところが先行していました、、

こちら、シンプルに「萌えながら読む!」というより、
じっくり解釈を考えたり、考察を楽しみながら
読み込むタイプの物語かなと思います。
ちょっと人によって「合う」「合わない」があり、
好みの分かれそうなお話ではあります。

レビューを書く前に2度ほど読み返してみたところ
初読時の「ん?」という思いが減り、じわじわ沁みてきました。

まだまだ解釈・考察の余地はありそうなのですが、、
何回か読み返してみて感じたことを、記しておきたいと思います。

まず読み終えて思ったのが、タイトル『おまえの吐息を奪っていった』が素晴らしいなあ!ということ。

幽霊が見えるだけでなく、実は彼らの
呼吸音(のような音)が常に聞こえていた依良(いら・受)。
彼らかのこの音が「吐息」だとすると…
念願叶って依良の恋人となった玲志(れいし・攻)。
今後は自分こそが依良の目に映る存在、依良の耳に響く音になるー

そんな玲志の強い思い、覚悟と執着を感じて
思いを馳せずにはいられないタイトルです。

”幽霊が見える”という強力かつ唯一無二の共通点を持っていることで、
無意識に”自分は依良の周囲の人々とは違う”と優越感を抱いていた玲志。
けれど見えなくなってしまった今、この”繋がり”が切れてしまうのではないか、関係が変わっていってしまうのではないか…

と不安に思い始めるのですね。

自分は依良と「同じ」だったはずが、もはやそうではなくなってしまった…と焦る玲志だけれど、実はこの前提から違っていた、ズレていた、というのが面白いところ!
最終話の玲志のセリフが心に響いて、グッときました。

最初から違っていて、今も違うけれど。
依良のことが大好きで大事だから、想像して一生懸命考えるよー
(↑ざっくりです)

これって、”幽霊が見える/見えない”人たちの間のことだけでなく、
全ての恋愛に当てはまる言葉だなあ…と。
じっくり咀嚼したい、素敵な言葉。

主に攻め視点で進むお話のため、
玲志の深い思いがこれまでの過程と共に
まっすぐ読み手である自分の心に届くのが、
とても心地良い・:*+

一方の依良。
受け視点は少なめですが、彼の気持ちの変化の描かれ方も見事だった!
とても説得力がありました。

特に印象的だったのは、3話(かな?)で
二人が玄関先でキスをした直後のシーン。
依良がドアの隙間に挟まっていた傘を内側に引き入れ、
ドアが閉まる場面です。

後の場面でも玄関先が出てきて、依良の回想も入るのですが…
この、傘を室内に入れてドアを閉じたところが、
一つの大きなきっかけになっている。
依良が玲志の気持ちに応えよう、応えたい、と
気持ちを固めたことを(きっと)意味しているのですよね。

「幽霊」が出てくることで一見ちょっと変わったお話に見えるけれど、蓋を開けてみればなんとも一途でいじらしい、二人の恋のお話でした。

一点、はっきりと分からなかったのは、
玲志が幽霊を見ることができなくなったのは、
結局”依良のそばにいたから”だったのか?という点。

ここは答えが明確に示されていなかった。
(と私は思うのですが、どうでしょうか…!)
読み手のあなたに判断を委ねます、ということなのかな。

読んだ後ちょっと独特で、不思議な余韻の残る物語です。
何度も読み返し咀嚼することで、新たな気付きや感覚が得られそう。
ストーリーテラーの早寝先生らしい一作、しみじみ良かったー…

===
★修正:白抜き(やや発光しているように見えたコマが1コマ)(電子シーモア)
濡れ場は少なめ。
心理的繋がりがテーマの作品であるためか、
白抜きでもそんなに気になりませんでした☺︎

2

特別な存在であることの優越感からの脱却

幽霊題材ということで好みかも…と(既刊もほぼ読ませていただいておりますが)
試し読みして購入。

幽霊が見えるという共通点で距離が近くなり、ルームシェアをすることになった二人。適度な距離感で過ごしていたが、ある日、玲志は幽霊が見えなくなって、依良と一緒にいられなくなるかも…と焦るんですが、
ここまでは、共通点が幽霊である必要性あるのかな?と正直思いました(すみません)。

けれども中盤からストーリーがグッと動き出しました。

カバー折り返しの先生の言葉がなるほど!と思いました。
二人ともが同じものを見ているとは限らない、だからこそ想いは伝えなければいけないですね。

1

意味や解釈を考えたくなる

作家買いです。より絵がきれいになられましたかね。特に眉や目のふちの描き方とか(ど素人なので詳しいことはわかりませんが)。

早寝先生の作品は題材とテーマの絡ませ方がすはらしくて本作も見どころたくさんでした。
同じ高さでは歩けない出口が必要な幽霊、見えること、見えないこと、人と同じこと、違うこと…などがメタファーになっている。

幽霊が見える玲志と依良。それがわかる初対面のシーン、玲志と依良の両方の視点がとてもよかったです。人と同じではない不安や孤独感の中、幽霊が見える共通点が強い結びつきになった。
幽霊の捉え方や見えることに対してのスタンスは違うけれども。
この辺り、幽霊が見えない一般的な人にとっての人間関係に置き換えて読めると思いました。

玲志がゆで卵を食べるエピソードもよかったです。玲志のかわいい一面だし。以前から依良は玲志を好きだったんだろうなと思わせますし。
自分と一緒にいたら幽霊が見えなくなるかもと言った時点で玲志に好意があったように感じまして。
なので玲志は流れ上、エロいことから始めちゃったけど依良にとって抵抗はさほどなかったのだろうと。本人もそう思ってましたし。

幽霊が見える依良は自分の体の実体感があまりなかった。性的な感覚を得がたかったのは、幽霊の気配を感じるからでもあるけど、自身の体への確かさが希薄だったからではないかと。
だから玲志(好意を寄せる他者)から触れられて初めて性的な感覚(実体)を得られた。

玄関で玲志にキスされた時、依良がドアに挟まったビニール傘を手にしたのは、幽霊の世界と自分たちの世界の間を閉ざし(扉を閉めた)、ビニール傘のような透明な自分をしっかり自分のものとして玲志のそはにいたいとの決意の表れですよね。
自分だけが幽霊が見えるけど、実体ある人間として生きていきたい、誰かと共に…そう願って依良は死に物狂いで生きてきたんですもんね。それを明るくやってきたのが偉い。

神隠しで、依良はあの世に連れ去られてしまったけど、玲志に会いたい、抱かれたい(実体を感じたい)と願い、それが玲志にも通じたから戻ることができた。2人の間にあった扉を開けて。

幽霊ではなく自分を見てほしい玲志、そんな玲志を見て呼吸が止まったようになり、触れられて(実体を)感じる依良。ここがタイトルの意味でもあるのかなと感じました。
タイトルは、幽霊の呼吸音が聞こえる依良にそれを聞かせないぞという玲志の気持ちでもあるのかな。「お前の吐息を奪っていった」の「いった」の意味が私には難しいです。

幽霊が見えても見えなくても相手のことを想像して一生懸命考える。相手の生き方を尊重して一緒に考える。それは誰にでも大切なことですね。

依良とゲーム友だちが出会った時期が依良の妹と弟が幽霊が見えなくなった時期と重なるのは、依良に友だちができて孤独感が薄まったからでしょうか。
玲志が幽霊を見なくなったのは、同居して依良が玲志と一緒にいたいという思いが強くなったからかなと想像しちゃいます。

幽霊が見えることを通して2人の気持ちや生き方、関係性の変化を深く爽やかに描いてくださりまたまたすばらしい作品をありがとうございます。

1

「見る」表情が豊かだった

依良の側にいれば幽霊が見えなくなるかもしれないとルームシェアをはじめた玲志。ある日、幽霊が見えなくなり「同じものを見ているという優越感」がなくなって、一緒にいられなくなるかもと思い、はじめて依良への気持ちを自覚する。
イライラとからかいと酒の勢いで玲志が依良を押し倒すと、依良に幽霊がいるから性的なことができないと伝えられ、そのまま依良の手伝いをすることに。
初心な依良の赤面や焦る様子がすごくかわいい!!ちょっと玲志が無理やり進めてしまうけど、そんな顔見たら止められないよね!って思ってしまった。
そしてやっぱり幽霊が気になる様子の依良に「見るなよ」と、手のひらで目を隠して嫉妬する玲志がまたかわいかった。2話でまた触れ合うチャンスがやってきて「俺のこと見てよ」ってなるのがまたいい!!幽霊に嫉妬!

他の人たちには見えない幽霊を見ることができるふたりならではの「見るな」だったり「見て」だったりする大事な視線。驚いたり、照れたり、怒ったり…、目の表情がとても豊かに描かれている。互いを見つめ合う様はキラキラしていた。「目の前にいるから 見えなくなったわけじゃない」。まさに「目は口程に物を言う」。
でもタイトルは「おまえの吐息を奪っていった」。依良は幽霊の呼吸音が聞こえるから、呼吸や吐息に敏感だからだろうか。幽霊を見る孤独で思わず漏れていたため息が、不安な気持ちや怖さを伝え合ってふたりが両想いになったからなくなったってことかな?と勝手に解釈した。ふたりがこれから一緒にいれば、きっと吐息はなくなっていくはず。

それぞれが相手への想いを自覚する瞬間は違うし、互いに相手と違うことが怖くなっていくけれど、ふたりの一緒にいたいという想いが重なって無事にふたりの間の道が開ける。この辺り(後半の幽霊に関する出来事)はネタバレなしで読んで欲しい。すごくいいシーンやセリフが描かれているから。
キャッチコピーの「あいまいな世界の狭間で、君を見つけた。」まさにその通りだった!

ラブストーリーの間に惹きつけられる物語や設定があるので、早寝電灯先生の作品はいつも購入している。何回読んでも楽しめるのでおすすめ。今作もとてもよかった!

3

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